『さて、どうするんじゃ?奴はかなりの強者だと思うが』
俺の方にサクナヒメが声をかける。
眼前にいるジャベルは、これまで戦ってきた眼魔よりも強いのは明らかに分かる。
戦闘方法もある意味シンプルな格闘戦と遠距離に放つエネルギー弾のみ。
だが、それを徹底的に鍛えている為にそれを切り抜けるのは難しい。
しかし。
「向こうになくて、こちらにある物を使う」
「何?」
「力を貸してくれ、サクナヒメ!」『良いじゃろう!』
俺はサクナヒメに声をかけると共に、瞬時にサクナヒメ眼魂を起動させ、そのままシャーマンドライバーに装填する。
「・・・それが神の眼魂」
「変身」『カイガン!サクナヒメ!晴々咲かそう!米は力!』
『カイガン!サクナヒメ!晴々咲かそう!米は力!』
変身の瞬間、ジャベルの眼は変わる。
「……ほう。先ほどとは桁外れの威圧感だ」
ジャベルの声に警戒色が滲む。
俺は答えない。ただ腰を低く落とし、大地に根を張るように両足を広げた。
シュバァッ!!
虚空より出現した二枚の黄金の羽衣が流星のように疾走。一枚はジャベルの足元を捉え地表へと縫い付け、もう一枚が蛇行しながら相手の首筋を目指す。
「!?」
眼魔は驚愕の声を上げたが遅い。
羽衣は鎧のような硬度で敵の装甲を削り取りつつ、瞬時に十数メートル先へと引きずり込む。衝撃で地面に亀裂が走った。
「単純な物理法則ではない……!」
ジャベルが呻く。
俺は無言で腰を落とし続けている。手元のガンガンタマフを真上に掲げると羽衣の柄部分が螺旋状に輝いた。
「舞え」
一声。すると宙を舞う二条の布が生き物のように波打つ。一条が鈎針のように曲がって敵の左腿を絡め取った瞬間、もう一条が反対方向へ鞭のようにしなる。
ドゴォッ!!
ジャベルの巨躯が地面を滑走。火花が迸る。
「これが神の力なのかっ。先程までの生ぬるい動きとは比べ物にならんな」
彼の拳が微かに震えているのを見逃さなかった。
「ふん、なるほど。これがお前の本領か」
奴の口角が歪んだ。獲物を見つけた猛獣の笑みだ。
「神の力……面白い。ふさわしい相手だ」
俺は瞬時に判断した。正面突破は不利。サクナヒメの羽衣を左右の樹幹へ射出する。
「!」
羽衣が巨木の枝に食らいついた直後、パチンコ式の引力で身体ごと空へ舞い上がる。風を切る音が耳朶を打つ。
「逃げたつもりか?」
真下から届く嘲笑。だが遅い。ジャベルが地面を蹴る前に俺は数十メートル上空へ到達していた。
「むしろ、こっちの邪魔をしていたのはそっちだろっと」
それと共に、俺はその場を離脱し、タケル君の元へと急いで向かった。