ジャベルと名乗る謎の人物から無事に離脱する事には成功した。
それと共に、本来の目的地に辿り着き、タケル君達と合流する事が出来た。
だが、そこで驚きの事実が知らされる。
「スペクターの正体が君達の知り合いだと」
「あぁ、マコト兄ちゃんなんだ」
それは、とある事故によって「眼魔の世界」に飛ばされてしまっており、「地獄の様な日々」を送った。
だが、妹の魂は眼魂の中に封印されてしまったことが明かされた。
マコトは彼女を甦らせることだけに全力を注ぎ、邪魔者には一切容赦しない非情な狩人と化した。
「・・・そんな事が」
「俺、どうしたら良いのか」
そうして、悩むタケル君に対して、俺もまた腕を組む。
「未だに分からない事ばかりだが、どちらにしても、英雄魂眼を集める必要がある」
タケルは俯いたまま拳を固く握りしめていた。
「やっぱり……戦うなんてできないよ」
その声は雨上がりの水溜まりのように弱々しい。
「マコト兄ちゃんは確かに変わってしまった。でも俺にとって兄のような人なんだ。傷つけたくない」
葉はゆっくりと顔を上げた。夕暮れの光が彼の横顔を淡く染めている。
「だからこそ戦うんじゃないのか?」
タケルがはっと顔を上げる。
「暴力で勝負するんじゃなくて……ぶつかり合うんだ。言葉だけじゃ届かない本音を」
「本音を……ぶつける?」
「ああ」
葉は静かに頷いた。
「拳と拳を交わすのは、心と心を通わせる手段のひとつだ」
タケルの目に微かな灯りが宿る。
「君のお兄さんは『妹を救う』という想いを武器に変えた。なら君も『生き返りたい』という想いを……形にするしかない」
「でも、カノンちゃんを見捨てたくない」
「そうだ」
葉は断言した。
「大切な人を想う気持ちは同じだ。だが行き方が違えば……剣を交えることでしか語れないこともある」
タケルの唇が震えた。
「俺がマコト兄ちゃんを殴れば……きっと傷つく。でも言葉で伝えられないことも拳なら届くかもしれない」
「それを『戦い』というんだ」
俺の声に確信が宿る。
「お互いの魂をぶつけ合うことでしか生まれないものがある。怖くても進め。それがお前の選んだ道だ」
タケルは深く息を吸い込んだ。
「なんというか葉さんは不思議な人ですね」
「そうかい?」
葉さんと話しをしている。
「不思議な魅力があるっていうか……一緒にいると安心できるのよね」
俺は少し困ったように頭を掻いた。
「買い被りすぎだ。俺はただの高校生さ」
「俺もただの高校生だったし」
「皮肉かな?」
「さぁ」
そうしながらも、俺は彼らの戦いを見守る事しかできない。
「果たして、これも仙人の思惑なのか」