浜辺にエンジン音が弾けた。砂を蹴るブーツの軋みすら焦燥に変わる。
視界の端で何かがゆらめいた。
──タケルが立っていた。
まるで夕暮れの水平線に溶け込むように。
金色の光が彼の周りで踊り狂い、髪の一本一本が太陽フレアのように輝いている。
「タケル君……!」
名を呼ぶ声が虚しく波音に飲まれた。
「……間に合わなかった」
目の前で少年の姿が透けていく。伸ばした右手が虚空を掴む。
タケルの消えた空間で金色の粒子がゆっくりと沈殿していく。
それを見つめるアカリの嗚咽が波間にかき消された。
「……嘘……です」
御成が膝をついた。
「こんな……理不尽な……」
俺も呆然と佇むしかない。
けれど。
『これは』
「サクナヒメ?」
「……どうした?」
突然押し黙ったサクナヒメに問いかける。
彼女の長い睫毛が微かに震えていた。
『おかしい。確かに消滅したはず……』
隣でココロワヒメが眉をひそめる。
「それって、タケルの事なのか?」
『えぇ、どうやら黄泉へと向かうはずでした。だが、魂がその途中で別の何かと接触して、これは』
『融合したのか』
「えっ」
俺が驚きの声を出すと、御成とアカリの2人が反応した。
「どうしたのっ」
「・・・タケルは、まだ消滅していない」
「何を言って、今っタケル殿は」
そう、御成が言おうとした時、彼は眼を見開いていた。
釣られて、見つめた先には、空から光が灯っている。
更にその光の先には、ある人物がいた。
「あれは」
その先にいる光が地上へと降りてくる。
それを確認すれば。
「たけっ」
その瞬間。アカリの声が止まる。
それと共に俺はなぜか分かった。
ここにいるタケルは、確かにタケルだ。
「たっタケル殿が生き返ったぁ!!」
そう、御成は叫んだ。
しかし、サクナヒメとココロワヒメの反応は違った。
『あれは、生き返ったというよりも融合に近い感じがする』
『サクナ様も感じましたか』
『あぁ、似た経験をかつてした事があるからな、だが、一体』
そう疑問に思っていると、タケルが取りだした物。
それは、これまでの眼魂とはまるで違った。
『一発闘魂!アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』
その眼魂を、ゴーストドライバーに装填すると共に感じたのは、これまでとは違う。
「変身!」『闘魂!カイガン!ブースト!俺がブースト!奮い立つゴースト!』
鳴り響くと共にタケルが身に纏った姿。
それは、本来ならば変化しないボディの色を炎のような深紅に変わっていた。
「あの姿は一体」
「・・・二つの魂が一つに融合している」
「えっ、二つの魂?どっどういう事ですか!?」
「分からない、だが、タケルの身に何かが起きているのかだけは確かだ」