仮面ライダーシャーマン   作:ボルメテウスさん

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洗練された戦い

シャーマンのパーカーが風に揺れる。

 

目の前のネクロムもまた、同じようにパーカーが揺れる。

 

見た目としては、俺達と同じようなシステムを使っているようだが、先程の変身で使ったブレスレットが気になる。

 

そうしていると、ネクロムはゆっくりと構える。

 

その手には武器ひとつ無い。徒手空拳――それだけで十分という自信の表れか。

 

「アラン……と言ったな」

 

俺の言俺にネクロムは反応せず、無言のまま間合いを詰めてきた。

 

速い――だが、妙に正確すぎる軌道。まるで精密機械のような踏み込みだ。

 

「――ッ!」

 

咄嗟にガンガンタマフを掲げる。火花とともに甲高い衝突音。ネクロムの肘打ちを受け止めたものの、掌から痺れが伝わる。

 

『ほう……この男の技、研ぎ澄まされている』

 

サクナヒメの声が耳の奥で響く。その間にも攻撃は続く。拳、蹴り、掌底――すべてが計算された角度で襲いかかる。

 

「ただの格闘家じゃない……軍隊仕込みか!」

 

俺は一歩退いて鎌の柄で胸板を打とうとした。が――

 

パシン。

 

紙一重で受け止められ、そのまま手首を掴まれる。

 

「!」

 

力強い引っ張りと共に投げ技へ移行しようとしてくる。反射的に片脚で地面を蹴り、体重を後ろに逃がす。

 

ズザザッ……!

 

滑りながら間合いを離し、体勢を立て直す。

 

『油断ならんぞ! 次来る!』

 

「わかってる!」

 

ネクロムは再び滑らかな動きで接近してきた。今度は左からの奇襲。

 

鎌の腹で防御するが――同時に右側へ回り込みながら鋭い膝蹴りが飛んでくる。

 

「甘いな!」

 

素早く鎌の柄を捻り、膝受けながら体ごと捻る。肩で突き飛ばして距離を取った。

 

「……」

 

無言で構え直すネクロム。その瞳の奥に迷いがない。これは訓練された兵士の目だ。戦うことが当たり前になっている者の目――

 

「ほぅ、これまでの戦いを見ていても理解していたが、直接戦って、改めて理解した。君の強さは、あの中で最も厄介だろう」

 

そすいながら、互いに構えを取っている。

 

互いに距離を保ちながら構えている。

 

その距離を縮めるように一歩踏み出したのは俺からだった。

 

「ふっ」

 

風が斬られたような鋭い音と共にガンガンタマフを振るう。

 

ギィンッ!

 

鋭利な金属音。ネクロムが肘で受けた。

 

その瞬間――俺はすでに次の一手に入っている。

 

「まだまだッ!」

 

返す手で鎌の刃を軸に回転させる。逆袈裟から振り下ろす軌道へ変化。だが――

 

パキィン!

 

ネクロムは完璧なタイミングで屈みながら片手を地面についた。同時に反対の脚で低い位置からハイキック。

 

ガンガンタマフの柄に衝撃が走る。

 

「くっ……!」

 

一瞬バランスを崩したその隙を突くように、ネクロムが瞬時に間合いを潰してきた。

 

至近距離での拳の応酬が始まる。

 

パシィン! バキィッ! ガキッ!

 

両者の攻撃が交錯するたびに火花のような光が弾け飛ぶ。

 

『なんて効率的な攻撃だ……!』

 

サクナヒメが声を上げる。ネクロムの動きは一切の無駄がない。最小限の動作で最大限のダメージを与える設計思想を感じさせる。

 

「くっそ……!」

 

一方の俺も負けじとカウンターを入れようとする。だがすべて紙一重で避けられる。まるで俺の行動を先読みしているかのようだ。

 

『こやつ……直感ではなく“パターン”で動いておる!』

 

「だとしてもッ!」

 

俺は鎌の柄尻を使ってネクロムの脇腹を狙う。

 

しかし――

 

バチン!

 

その瞬間、ネクロムの指が俺の手首を捉えた。そのまま捻り込むような関節技へ移行する。

 

「ぐっ……!?」

 

鎌の保持が緩む。俺の背中が壁に叩きつけられそうな勢いで引き寄せられる。

 

『危険だ! 脱出するのだ!』

 

サクナヒメの声と共に俺が身を捩る。

 

ズダァァァン!!

 

倒れ込まずに耐えたが、肩が軋む痛みが走る。

 

「はあっ……!」

 

息を荒げながら距離を取る。

 

その間にもネクロムは冷静に構えを維持している。汗ひとつかいていない。

 

『鍛錬の質が違う……このような動きをする者とは初めてだ』

 

「ああ……」

 

俺は汗を拭いつつガンガンタマフを強く握り直す。今の攻防で確信したことがある。正面からの力勝負では分が悪い。

 

「だったら……!」

 

突如として鎌を手放す――いや違う。柄を逆手に持ち替え、短剣のように構えたのだ。

 

「速さで勝負させてもらう!」

 

そのまま地面を蹴り上げ跳躍。一直線に喉元への刺突。

 

バチッ!

 

ネクロムは腕でそれを受ける。が――俺はすでに次の動きへ入っていた。

 

高速で身を捻りつつ二撃目、三撃目へと繋げていく。

 

パシィン! ビシッ! バキィン!

 

ネクロムの反応速度が一拍遅れる。わずかだが拳の振りが乱れた。

 

そこを見逃すまいと俺は回転しながら鎌の柄で腹部を殴打しようとする――

 

が――

 

シュパァァァン!!

 

鋭い風切り音と共にネクロムの脚が鞭のようにしなりながら俺の手首へ直撃。

 

「ぐぁっ!」

 

武器が宙を舞い、床へ落ちる。

 

『しまった……!』

 

サクナヒメが声を上げた時にはもう遅い。ネクロムの正拳突きが額へ迫る――

 

「させるかっ!!」

 

咄嗟に身体を捻って直撃を回避。だが衝撃波のような圧が肌を掠める。

 

「くっそ……!」

 

即座に後方へ飛び退り、転がりながら距離を稼ぐ。壁を蹴って立ち上がりながら、落ちた鎌を拾う。

 

『油断するな! 次来る!』

 

サクナヒメの警告と共にネクロムが再び接近してきた。

 

今回は突きではなく連続の下段蹴り。狙いは脚か――!?

 

「ちぃっ!」

 

片脚を上げて蹴りを回避する。そのまま宙に浮いた状態で鎌を振るうが――

 

ガンッ!!

 

ネクロムの肘打ちは正確に鎌の刃先を押さえ込んできた。

 

「甘いな」

 

冷徹な声と共に左手が伸びてくる。今度は首へ――!

 

『危ない!』

 

瞬間的に俺は自分からバランスを崩した。落下しながら反転し背中から床へ。そのまま受け身を取りながら転がる。

 

ズダァン!!

 

床を跳ねるように立ち上がった時にはネクロムも同様に距離を取っていた。

 

お互いに消耗しながら睨み合う。短い時間ながら濃密な攻防が繰り広げられた。

 

「なかなかやるね」

 

そうして俺達は戦いながらも、お互いの動きを把握する。

 

「・・・・・・」

 

互いに距離を取る。

 

相手の姿を見れば、明らかに格闘戦で鍛えられた動き。洗練された技に無駄がない。

 

けれど。

 

「まだまだ、やれるさ」

 

そう、ガンガンタマフを構えながら言う。

 

「戦闘能力の差を理解していると思うがな、君程の実力者ならば」

 

「あぁ、確かに、俺だけだったら、勝てる可能性はないな。けれど、俺には、最も信仰している神がいるからな」瞬時に、俺はサクナヒメの眼魂を、そのままシャーマンドライバーに装填し、構える。

 

『カイガン!サクナヒメ!晴々咲かそう!米は力!』

 

鳴り響く音声と共に、俺はサクナヒメと一つとなり、そのまま構える。

 

「さて、ここからが本番だ」

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