仮面ライダーシャーマン   作:ボルメテウスさん

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人と神の力

サクナヒメの神の力が全身に漲る。紫神聖なる羽衣が戦闘服のように具現化し、空気を震わせるほどの威圧感を放つ。

 

俺の中に宿る神の声が昂揚を帯びる。今までとは段違いの身体感覚が脳裏を駆け巡る。

 

「これが……神の領域か」

 

口元が自然と吊り上がる。全身に溢れる力は物理的なものだけでなく、もっと根源的な支配欲求のようなものを刺激する。

 

「ふん……興味深い変化だ」

 

ネクロムは冷静に観察しながらも構えを解かない。だがその瞳の奥に微かな警戒が走ったのを俺は見逃さなかった。

 

「来いよ」

 

挑発と共に地を蹴る。今までと異なる加速感。地面を抉るように飛び出し、一気に間合いを詰める。

 

「なっ……!?」

 

ネクロムの目が見開かれる。予想以上の速さに一瞬反応が遅れた。

 

『今だ!』

 

羽衣が蛇のように蠢き、敵の腕に巻き付く。

 

「ぐっ……!!」

 

拘束されたネクロムが振り払おうと腕を引くが、羽衣は鋼鉄のように固く食らいつく。

 

「遅い!」

 

そのまま引きずり寄せながら膝蹴りを腹に叩き込む。衝撃で息を詰まらせた敵が後方に吹っ飛ぶ。

 

だが即座にネクロムは床を滑りながら体勢を立て直す。この程度では倒れない。

 

「面白い……!」

 

再び駆け出すネクロム。今度は低空から蹴りを放つ。鋭い旋風を伴った軌道。

 

『正面から受けるな!』

 

本能的に身体が反応する。羽衣を盾のように展開し蹴りを受ける。衝撃が分散されほぼ無傷でやり過ごす。

 

「チッ……!」

 

舌打ちと共にネクロムが手刀で首を狙う。しかしそれすら羽衣が自動的に護衛するように阻んだ。

 

『どうした?その程度か?』

 

サクナヒメの声が脳内で高笑いする。神の加護を得たことで自尊心が膨れ上がっていく。以前のように自分の意志で制御できるかどうか不安になるほどだ。

 

「調子に乗るなよ……!」

 

ネクロムが猛攻を仕掛けてくる。だが羽衣が自在に蠢き全ての攻撃を遮断してしまう。

 

「ははっ……無駄だ」

 

優越感が湧き上がる。もうこいつの攻撃は届かない。僕は完全無敵になったのだ。

 

「さあ、本気を見せてくれよ?」

 

煽るように挑発する。内心では焦りがあった。この全能感は長く続かないかもしれないという恐怖。

 

『驕るなよ小僧』

 

サクナヒメの厳しい声に思考が引き戻される。そうだ。慢心は敗北に直結する。

 

「行くぞ!」

 

地面を蹴って突進する。羽衣を剣のように形成し、袈裟懸けに斬りかかる。

 

ネクロムはバックステップで避けつつ反撃に転じた。その拳が羽衣に触れる瞬間、布が意志を持ったように翻り弾き返す。

 

「ぐっ……!?」

 

バランスを崩した敵の懐に入り込む。必殺の一撃を放つために拳を固める。だが。

 

「甘い!」

 

ネクロムの足払いで体制が崩れる。油断した……!

 

『集中せよ!』

 

羽衣が自動的に防御態勢を取る。それでも激しい衝撃が骨を軋ませた。

 

「まだだ……!」

 

強靭な精神力で持ち堪える。羽衣でネクロムの胴体を巻き付ける。

 

『ダイカイガン!サクナヒメ!オメガドライブ!』

 

シャーマンドライバーから放たれる轟音と共に体内のエネルギーが沸騰する。羽衣が螺旋を描きながら空中へと舞い上がる。

 

視界が極彩色に染まり思考が研ぎ澄まされる。今この瞬間、世界の全てが減速しているように感じる。

 

「これで終わりだ!」

 

跳躍した瞬間、足元に黄金の稲妻が迸った。空中で一回転し加速を乗せた必殺のライダーキック――羽衣が彗星のように尾を引きながら軌跡を描く。

 

「ぐっ……!」

 

ネクロムは両腕を交差させて防御態勢を取る。全身の筋肉が緊張で膨れ上がり、衝撃に備える姿勢だ。

 

ドガァァァァン!!!

 

衝撃波が周囲を薙ぎ払い瓦礫が宙を舞う。火花のような光粒が散り散りに舞い踊る。

 

『耐えるだと!?』

 

サクナヒメの驚愕が脳裏を貫く。確かに俺の蹴りは完全に命中している。だがネクロムは歯を食いしばりながらも倒れず踏みとどまった。

 

「ふん……思ったよりやるな……!」

 

息を切らしながらも皮肉混じりの台詞を吐く。しかし――その言葉とは裏腹に。

 

パキン……ッ!

 

軽快な金属音。ブレスレットが亀裂を刻む音だ。

 

「なっ……!?」

 

ネクロムの目が見開かれる。右手首を覆う装置に縦に亀裂が走る。次の瞬間――

 

パキィン!!

 

完全に砕け散った破片が煌めきながら宙を舞う。

 

「・・・なるほど、プロトタイプではこの程度か」

 

そうブレスレットから眼魂を取り出し、そのまま投げ捨てた。

 

「まぁ良い、その神の力、いずれ貰おう」

 

それと共に、奴はそのまま、どこかに消えていく。

 

「・・・まさか、厄介な敵が現れるとはな」

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