ココロワヒメの焦った表情から、只事ではない事は理解した。
「ココロワ、それで、これは一体何なんだ?」
俺と同じ疑問でサクナヒメが思わず尋ねる。
すると、ココロワヒメもまた頷くと。
「この装置、詳細に関しては私も調べなければ分からないのですが、分かっている限りでも、この世界と別の世界を強制的に繋げる事が出来る装置みたいです」
「なんだとっ!こんなので、そんな事が出来るのか」
サクナヒメの言葉通り、少し見る程度だったら、ただのガラクタにしか見えない代物がそんな事が出来るとは。
「この装置を作り出した方が、どのような考えなのかはまだ分かりません。ですが、このまま放っておけば、確実に危険です」
「では、この装置を破壊すれば良いのか?」
目の前に原因となる物があれば、あれば、確かにその方法が一番の解決策かもしれない。
だが、ココロワヒメはそのまま首を横に振る。
「既にこの装置が作られた以上、別の場所で作られている可能性があります。材料を見る限りでも、この時代ならば手に入れるのに、それ程の手間はかからないと」
「うぅ、ではどうすれば」
サクナヒメが頭を抱えていると。
「確かにこのままでは無理かもしれません。けれど、葉さん。私の力を使ってくれませんか」
「ココロワの?」
「えぇ、ここでは、私達、神の力は十全に発揮出来ません。ですが、あなたに宿る事が出来れば」
そのココロワヒメの言葉を聞いて、俺は。
「分かった!」
それを聞くと、ココロワヒメは、そのままシャーマンドライバーの中に入る。
そのまま、シャーマンドライバーから出てきた眼魂を起動させ、再び装填する。
「変身!」『カイガン!ココロワヒメ!発明は希望!創造は奇跡!』
その音声と共に、俺の姿が変わる。
青のパーカーに模様は歯車の様な形をしており、体の各所から金属光沢のある管が伸びていて、そこからは緑色の粒子が流れている。
そして、頭部はココロワヒメの髪型を模したヘッドギアになっている。
「さて、それでは、始めますね」
俺は、その言葉に従い、ガンガンタマフを、そのまま、目の前にある機械に刺す。
すると、ガンガンタマフが差し込んだ事によって、その機械の詳細が頭の中に入っていく。
「これは」
「私は車輪と発明を司り、様々な道具を作る神。故に、こうして手を触れれば機械の詳細と、次に何を行うのか推測する事が出来ます」
「おぉ、さすがはココロワヒメだ!」
「ムフッ…!」
俺とサクナヒメが褒めると、ココロワヒメもまた、特徴的な笑い声を出す。
「とにかく、これで場所は分かりました。すぐに向かいましょう」
「けれど、ここから遠いんじゃ」
「葉様、確か自転車は」
「あぁ、持っているけど」
「では、自転車にガンガンタマフをハンドルに押し込んで下さい」
「えぇ、壊れないか」
「大丈夫なので」
ココロワヒメの命令に従い、ガンガンタマフの柄を自転車のハンドル根元へ強く押し込んだ。金属と木材が軋む不吉な音が響き──
「うわぁ、嫌な音って、あれ!?」
サクナの悲鳴が耳を劈く。その瞬間、ガンガンタマフがハンドルへ吸い込まれるように一体化した!
バリバリバリッ!!
フレーム内部で鋼材が沸騰し始める。溶接痕が赤熱しながら歪み、チューブ状の骨格が蛇のように蠢き始めた。タイヤから蒸気が迸り、金属製の羽根が翼膜のように拡がる。
「ほえ〜!? 自転車が鳥に!?」
サクナが目を剥く。だが変形は止まらない。フレームは蒸気パイプと歯車に覆われ、車輪はプロペラと歯車群に変貌。荷台のチェーンが螺旋状に巻かれ、後部に竜巻エンジンが隆起。
最終的には。
「なっなんか、とんでもないのになったが」
「ばっバイクになっているけど、これは、ココロワヒメ」
俺は思わず尋ねると。
「ガンガンタマフを通じて、私が改造しました。これで目的地まで向かいましょう」
「相変わらず、おぬしの頭もどうなっとるんじゃ…」