「どこに連れて行くつもりだ……?」
コロポックルは小走りで森の奥へと向かっていく。その足取りは軽快だけど、何か焦っているようにも見える。俺たちは必死にその後を追った。
突然、コロポックルが急停止した。前方から爆発音と破壊音が聞こえてくる。木々の隙間から覗くと——
「なっ!?」
そこにいたのは二つの存在。一方は黒い体に赤い模様を持つ巨大な怪物。もう一方は緑色のフードを被った戦士だ。見たことのない存在だけど、どこか見覚えがある。
「あれ……ゴーストか?」
緑のライダーは弓を操り、矢を次々と放っている。しかしなぜか怪物に届かない。
いや、その眼前に展開している赤いバリアによって、その攻撃が遮られている。ゴーストの矢は悉く弾かれてしまっている。
「くそっ!」
苛立ちを滲ませるライダーの声が響く。その叫びに混じり、バリア越しに刃が閃いた。怪物の体から突如伸びた斧が振り下ろされ、ギリギリで回避するゴースト。
「危ねぇ……!」
一瞬遅ければ切り裂かれていただろう。それでも距離を詰めようと何度も矢を射るが、全く効果がない。
「このままじゃまずい!」
俺が声を上げる。
「助けに行きますか?」
ココロワヒメが即座に問いかけてきた。俺は頷く。
「もちろんだ!」
「だが、奴を信じられるか?」
その問いかけに対して、迷う。
だが、コロポックルは眼魔を睨んでいる。
おそらくは、何かある。
ならば。
「俺はコロポックルを信じるから」
「・・・はぁ、本当に」
「悪いな、とにかく」
「葉様らしいですね、ではコロボックル様」
すると、コロボックルもまた頷き、そのまま俺のシャーマンドライバーに入る。
そうして、出てきたのは、コロポックルの魂が宿った眼魂。
それを、再びシャーマンドライバーに装填し、構える。
「変身」『カイガン!コロポックル! 小さな力!大きな守り!』
ドライバーから青白い光が溢れ出し、俺の体を包み込む。視界が一瞬暗転し、次の瞬間には新しい感覚が全身を駆け巡っていた。
アイヌの民族衣装を思わせる鮮やかな刺繍入りのジャケット。袖口と襟元には白いファーが付き、足元は厚底ブーツになっている。腰にはコロポックルのシンボルと思われる勾玉飾りが揺れている。全体的に軽量だが、動きやすそうなデザインだ。
そして右手には——
「おっ?」
いつものガンガンタマフが形状を変わる。
持ち手の部分から氷の塊が覆い被さっている。
氷の籠手がさらに冷たい空気を纏った。まるでボクシンググローブみたいだ。
「なるほどね、これで殴れってわけか」
「行くぞ!」
地面を蹴り出すと、驚くほどのスピードで疾走した。普段のとは違う軽快な感覚。これがコロポックルの「素早さ」か。
ゴーストと眼魔の戦いが見える位置まで一瞬で到達する。ゴーストは弓による遠距離攻撃を試みているが、バリアに阻まれ続けている。
「くそっ! このバリアどうやって突破すれば——」
その刹那。
「どりゃあ!」
俺は助走をつけ、渾身の一撃を眼魔の正面から叩き込んだ。
ガシャアアン!!
拳が直撃——しなかった。
分厚い赤いバリアが一瞬歪んだものの、完全に衝撃を吸収された。氷の籠手自体もビリビリと震えている。
「痛っ!?」
「え……?」
ゴーストが呆然とこちらを見る。眼魔も動きを止め、不審げに俺を睨んでいた。二人分の視線を受けながら咳払いする俺。
「もしかして、シャーマン!なんでここに!」
「今は、それを気にしている場合か?」
そうしながらも、俺は眼前の眼魔に攻撃を続ける。
奴のバリアに幾度となく、拳を打ち込む。
そのたびに拳が痛くなるが、関係ない。
このバリアを貫けば……
「ぐぅ!お前!」
そう、奴はその手に持つ斧を投げようとする。
けれど、投げてこない。
それは、まさか。
「攻撃した瞬間、バリアを解除しなければならないって事か」
「っ」
俺の言葉に、奴は目を見開く。
「だからこそだ」
「ぐっ!なら!」
奴は俺との距離を取る。それに併せて斧が宙を舞い、俺に向かう。
だが。
『ダイカイガン!ロビン!オメガストライク!』
その攻撃は、奴のバリアに僅かな隙間が出来る。
その隙間を狙うように、ゴーストが放った緑色の一撃が、眼魔を襲う。
「なぁ!」「そこだな」『ダイカイガン!コロポックル!オメガストライク!』
それと共に、バリアが解除された眼魔に向けて、巨大化した氷の拳を真っ直ぐと眼魔に打ち付ける。
バリアに邪魔されることなく。
そして、眼魔は消滅した。
周囲に氷の霧と共に、俺はその場から離脱する。
未だにゴーストの正体が分からない以上は。