『カイガン!ヘラクレス!パワー!ライオン!十二の試練!』
黄金の紋章が空中に浮かび上がり、巨大な光が身体を包み込む。装甲が組み替わり、肩に獅子の毛皮を思わせる重厚な装甲が広がる。身体は一回りどころか二回りも大きくなり、足を踏み出しただけで地面が低く唸った。視界の高さが変わり、世界がわずかに小さく見える。
俺は拳を握る。指を曲げただけで、腕の装甲が低く軋んだ。筋肉のようにうねるエネルギーが体中に満ちている。
「……これがヘラクレスの力か」
巨大化した眼魔が唸り声のような咆哮を上げ、一直線に突進してくる。俺は正面から迎え撃つ。ガンガンタマフを呼び出し、クモランタンと結合させてハンマーモードへ変形させた。巨大なハンマーの重量が腕に伝わるが、不思議と重さは感じない。
互いのハンマーが激突する。
衝撃が地面を走り、境内の石畳が波のように持ち上がった。瓦礫が跳ね、鳥居の柱がきしむ。普通の戦いなら一撃で決着がつくほどの衝撃だが、互いの力は拮抗していた。
眼魔が再び振り下ろす。俺もハンマーを振り上げて迎え撃つ。打ち合うたびに衝撃波が広がり、周囲の木々が揺れ、地面が低く唸る。まるで小さな地震が何度も起きているようだった。
三度、四度と衝突を重ねるうちに、わずかに手応えが変わる。眼魔の腕が押し返され、足元が後ろへ滑る。暴走した力は確かに強いが、制御されていない分だけ無駄が多い。
「……力の使い方が雑すぎるんだよ」
俺は踏み込みを深くする。足元の地面が沈み込み、その反動がそのまま腕へ伝わる。振り抜いたハンマーが眼魔の武器を弾き飛ばし、巨体が大きくよろめいた。
隙を逃さない。
俺はそのまま腕を掴み、腰を落として持ち上げる。巨大な身体が宙へ浮き上がる。周囲の空気が一瞬だけ止まり、次の瞬間、眼魔の巨体は空高く投げ飛ばされた。
「ここだ!」
落下する軌道を目で追い、着地点を読み取る。俺はハンマーを大きく振り上げ、全身の力を込めて構えた。
『ダイカイガン!オメガボンバー!』
落ちてくる巨体に合わせてハンマーを叩き下ろす。黄金のエネルギーが炸裂し、衝撃が地面を叩き割る。巨体はそのまま叩き潰され、装甲が砕け散った。
衝撃が消えると、境内には静けさが戻る。瓦礫の中に残っているのは、崩れた眼魔の残骸だけだった。
俺はハンマーを肩に担ぎ、空へ向かって息を吐く。胸の奥から自然と声が溢れ出る。
「うおおおおおおおっ!」
英雄の勝鬨のような咆哮が境内に響いた。
ヘラクレスの力は、確かに俺の中で燃えていた。