仮面ライダーシャーマン   作:ボルメテウスさん

92 / 115
迫るガンマイザー

空気が歪むような感覚が、街の奥からじわじわと広がってきた。

アカリの持つ機器が不規則に鳴り、数値が一気に跳ね上がっていく。

俺はその音を聞いた瞬間、さっきまでの静けさがただの前触れだったことを理解した。

 

「……来るぞ」

 

視線を上げた先、空間が裂けるように揺れた。

そこから現れたのは、燃え上がる炎をまとった個体と、その背後に現れる異様な影だった。

 

「ガンマイザー……!」

 

マコトが低く呟き、すぐに構えを取る。

アランもまた一歩前に出て、警戒を強めた。

シブヤとナリタは思わず息を呑み、カノンは兄の背後に位置を取る。

 

前方に立つのは、全身を炎に包んだガンマイザー。

その熱は離れていても肌を刺すように伝わり、空気そのものを歪ませていた。

 

「こいつが……」

 

言葉を続ける前に、もう一つの気配が動いた。

 

背後にいた影が、ゆっくりと形を持つ。

それは人型をしているようでいて、どこか歪んでいる。

複数のガンマイザーの特徴が混ざり合い、無理やり一つに押し固められたような異形だった。

 

腕の一部は刃のように尖り、別の部分は流体のように揺れ、背後には光の輪のような構造が不規則に浮かんでいる。

その姿は一つの存在として安定しているはずなのに、どこかで常に崩れ続けているようにも見えた。

 

「……あれが、合体している個体か」

 

ココロワヒメの声が静かに響く。

その分析の裏に、わずかな警戒の強さが滲んでいた。

 

次の瞬間、その異形の視線がまっすぐこちらに向けられる。

いや、“こちら”ではない。

 

「……俺か」

 

完全に狙いを定められている。

他の連中ではなく、神の眼魂を持つ俺を優先しているのがはっきり分かった。

 

合体ガンマイザーが一歩踏み出す。

その一歩だけで、地面が低く軋んだ。

空気が圧縮されるような重さが押し寄せ、身体の奥まで響く。

 

マコトがすぐに横へ出る。

 

「葉、あれは……!」

 

アランも続いて前に出ようとしたが、俺は手を上げてそれを止めた。

 

「待て」

 

二体の敵が、同時に動き出す。

炎のガンマイザーは周囲へ熱を撒き散らしながら前進し、合体個体はまっすぐ俺へ向かってくる。

 

このまま全員で突っ込めば、確実に崩れる。

頭の中で一瞬だけ状況を組み立てる。

 

距離、位置、攻撃範囲。

二体同時に相手をすれば、誰かが確実に巻き込まれる。

 

「2体を同時に倒すのは無理だ!」

 

そのまま声を張る。

 

「俺がこいつの相手をしているから、そっちのガンマイザーを頼む!」

 

一瞬だけ、空気が止まる。

 

御成が何か言いかけるが、言葉にならない。

シブヤとナリタも戸惑いを隠せず、視線が揺れる。

 

マコトが俺を見る。

その視線は鋭く、それでも迷いを含んでいた。

 

「……一人でやるつもりか」

 

「分断しないと全員やられる」

 

短く返す。

 

アランが低く息を吐き、視線を炎のガンマイザーへ移した。

 

「……分かった。こちらは任せろ」

 

カノンが小さく頷き、マコトも構え直す。

迷いは消えきっていないが、それでも全員が動く覚悟を決めた。

 

御成が叫ぶ。

 

「どうか、ご無事で……!」

 

俺は振り返らなかった。

 

炎のガンマイザーへ向かって、マコトたちが駆け出す。

その動きと同時に、合体ガンマイザーの気配が一気に膨れ上がった。

 

逃げ場はない。

こいつは最初から、俺だけを潰しに来ている。

 

俺はゆっくりとドライバーに手を当てた。

 

「……来い」

 

『カイガン!シャーマン!宿すは神!守りしは魂!』

 

光が弾け、装甲が身体を包み込む。

変身と同時に、合体ガンマイザーが動いた。

 

一瞬で間合いを詰められる。

速いだけじゃない、質量そのものがぶつかってくるような圧だ。

 

腕を上げて受ける。

衝撃が全身を貫き、足元の地面が砕けた。

 

「っ……!」

 

一撃で理解する。

 

強いとか、そういう次元じゃない。

これまで戦ってきたガンマイザーとは、明らかに格が違う。

 

それでも、退くわけにはいかない。

 

視線を上げる。

 

目の前の異形が、ゆっくりとこちらを見下ろしていた。

その姿は不安定でありながら、確実に一つの意思としてまとまっている。

 

俺は足を踏み込み、構えを取る。

 

「……相手してやるよ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。