究極の救済、そのニセモノ   作:Dr.パックマン

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数日後。

警察と協力して隅々まで探したり情報収集したことでアジトや隠れ家がないことも確かとなり、役目を終えた重夢は---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガシャット!』

 

 

『let'sgame! メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?』

 

『I'm a 仮面ライダー』

 

 

「エグゼイドだ!」

「エグゼイドが来てくれたぞ!」

「もう少しの辛抱だ!!」

「お願い、エグゼイド!!」

「早く道を開けろ!」

『悪い!急いでるから越えさせてもらうぞ!』

 

野次馬の集団をひと跳び。

おおよそ30mの跳躍で飛び越えると、そのまま着地して火が上がっている家の窓を見つめる。

 

『出来る限り伏せて煙を吸わないようにするんだ!すぐ行くから待ってろ!』

「……!!」

 

窓から頷くのが見え、見えなくなった。

指示通りに動いてくれたのだろう。

すぐさまエグゼイドは駆けると、この場で一番偉いであろう消防士の人に頷く。

 

「エグゼイド!すみません、お願いします!」

『ああ、すぐ搬送できるように頼む!』

「ご武運を…!」

 

『さて、急ぐならこっちだ!』

 

大の字を描くように両手を開き、右手をレバーに添えるように。

左手を斜め上へと向ける独特なポーズを取る。

そして。

 

『大変身!』

 

『ガッチャーン!』

 

『レベルアップ!』

 

ゲーマードライバーのアクションレバーを横にずらすことで開く。

するとガシャットの基板柄、ピンクのエフェクトが出現しエグゼイドを覆う。

 

『マイティジャンプ!』

 

マイティアクションXのステージが背面へ浮かび上がり、マイティが跳び上がる。

 

『マイティキック!』

 

マイティがライダーキックをする。

 

『マイティマイティアクションX!!』

 

そして白いパーツがはじけ飛び、新しいボディが生まれた。

顔だったものが背中に移行し、ピンクが全体的に色を占める、ずんぐりした見た目からスリムな人型へと姿を変えたエグゼイドは右手を高く挙げて着地する。

これこそエグゼイドの本領。彼の個性の()()()の本当の姿。

LEVEL UP、すなわちエグゼイドマイティアクションゲーマーレベル2。

 

彼はそのまま一度の跳躍で窓まで跳び上がり、部屋の中に侵入する。

煙こそあれどまだ火は来てないようだ。

そこには母親らしき人と小さな赤ん坊が居た。

 

『もう大丈夫だ!俺に掴まれ!!』

「お、お願いします!まだ娘が…娘が下に! 気づいた頃にはもう火が来てて出れなくて…!娘の個性は葉っぱを生み出すもので火に弱くて……!」

『!!分かった。心配すんな、あんたが居なきゃその子が助からなくなる。絶対に助けるから先に降ろすぞ。俺を信じて任せろ!』

「は、はい……!」

『赤ん坊をちゃんと抱えてろよ!』

 

急がないと行けなくなってしまったが、だからといってこのまま置いていくわけにはいかない。

お姫様抱っこする形で抱え、赤ん坊を離さないように告げると、チョコブロックを生成しながら地上へ降り立ち、既に用意されていた担架に降ろすと再び跳躍して入る。

 

『下って言ってたな…!なら火を起こせる場所…キッチン。まずはリビングだ!』

 

エグゼイドには複数の機能が搭載されている。

そのうちの一つとして、動体反応を捕捉・識別し、自動的に追跡マーカーをセット出来るのだ。

さらに火事場だろうと取り込んだ空気から有害物質を除去することで、変身者の健康を守る機能まで存在しており、まさに災害救助において彼ほど適任な存在は居ないとも言える。

無論、変身せずともゴリ押しで何とかするオールマイトという規格外も中には存在するが。

とにかく火の中に突っ込んでいくと階段を降り、リビングらしき部屋の前に辿り着く。

 

『ここか!』

 

生身では無理だろうが、仮面ライダーのスペックともなればパワーがレベル1よりも落ちるレベル2だろうと超人的な力を発揮出来る。

ドアを開けようとして開かないことに気づくと、拳一発で破壊する。

するとリビングの中央に女の子が一人。

既に動けなくなってるのかぐったりとしてしまっている。

跳躍して障害物を乗り越え、すぐに抱き上げた。

 

『大丈夫か!?もう少しの辛抱だからな!お母さんともう一人の家族が待ってる。気を確かに持てよ!』

「ぅ……えぐ、ぜい……?」

『ああ、助けに来た。ちゃんと口元を抑えてるんだ。出来る限り吸わないようにしろ!』

「ぅ、ん……」

『よし、あとは脱出---』

 

その時、ふと違和感を覚えた。

親と仲が悪いわけでも干渉していないわけでもない。

あの様子からして大切に思われているに違いないだろう。それこそ赤ん坊が居なければ単身で向かいそうな勢いすら感じさせた。

なら何故この子だけがこの場にいるのか。

果たしてこの子の命を救うだけでいいのか?

いや、それではダメだ。

観察。

もっと周りを見ろ。

何かあるはずだ。

この子だけがこの部屋に居た、この子にとって命にも変えたがいほどの大切なものが---

 

『重夢。向こう側を見ろ』

『…!あれは……』

 

火の向こう。

揺らぎでうっすらと見えたところには煤が黒く染めてはいるが、まだ燃えておらず無事に生き残っているぬいぐるみ。

そしてこの場には居なかった男が写っている家族の写真。

家が限界を迎えつつあるのか、床が抜けてそこへ落ちてくる焼かれた板。時間がゆっくりとなったような錯覚を味わいつつ、頭の中ではパズルのように次々と繋がっていった重夢とパラドは互いに行動に移った。

パラドが分離し、少女を抱える。

エグゼイドが火の中に突っ込み、ガシャコンブレイカーを手元に召喚。

落ちてきた板をハンマーで破壊し、写真立てとぬいぐるみを回収。

ガシャコンブレイカーの衝撃で火を僅かに吹き飛ばすと、駆け抜けて手を伸ばす。

まるでそうするのが分かっていたようにパラドが手を取り、エグゼイドは窓を蹴り壊して跳躍する。

少女を預かってパラドが体内へ戻り、ぬいぐるみと写真立てを持ったまま少女を抱えたエグゼイドはそのまま地面へ着地。

そのタイミングで家が少しずつ崩れ始めた。

すぐに少女を担架に乗せると、振り向いて他に生体反応がないか注視する。

反応は無い。

どうやら全員だったようだ。

これ以上は自分が出るものではない。

この場を去る前にエグゼイドは向き合う。

 

『これは君の、大切なものなんだろ?』

「あ……」

 

ぬいぐるみと写真立てを差し出すと、女の子はゆっくりと手元に手繰り寄せて涙を流していた。

よかった、と何度も口にして。

それを見ながらエグゼイドは救急隊員の人たちに連れて行ってもらうようにお願いした。

振り返ることは無い。

次に聞こえてきた悲鳴に、エグゼイドはレベル2のまま跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来んじゃねぇえええ!このガキが死んでもいいのかァ!?とっとと道を開けろ!!」

 

腕を拳銃に変えて周りを牽制する男が居た。

その男の腕の中には一人の黒髪の女の子が捕まっている。背は高めではあるがランドセルがあることからまだ小学生だろう。

拳銃より早く動けるヒーローが果たしてどれだけいるのか。

恐らく誰もがこういうはずだ。

そんなこと出来るのなんて、オールマイトくらいだと。

もしかしたら可能とするヒーローがいるかもしれないが、誰もが知っているのはオールマイトくらいである。

だからこそ下手に動くことができない。

個性がある世界でも銃というのは強力な武器となる。それが個性となれば尚更。

ヴィランならばゴム弾や非殺傷の弾を使用するはずもない。

つまり今出来るのはヴィランを刺激せず見逃すこと。

捕まっている子の個性が銃を通さない頑丈なものであれば問題ないが、例えそうだったとしてもパニックとなってる子供に個性を使うなんてこと出来るはずもなく。

そこへ---。

 

『そぉらぁ!!』

 

気配もなく突如現れたエグゼイドが男の腕を打ち上げ、目を見開くヴィランは目の前の存在を排除すべく即座に発砲しようとしたが、この程度数多くのバグスターや強敵とほぼ()()で戦った歴戦の戦士たるエグゼイドに通用するはずもない。

鳩尾に一撃。

超人的なパワーを持つエグゼイドの一撃に発砲出来ず意識が一瞬途切れる。

 

『こっちだ!』

「ひゃ…っ!?」

 

その隙を逃さず女の子を抱き寄せると、気絶まではいかなかったのか男は連射する。

 

「て、っめええええ!」

 

『ガシャコンブレイカー!』

 

次々と発射される銃弾に、女の子を既に胸元に抱き寄せたエグゼイドは守るように召喚したガシャコンブレイカーで冷静に銃弾を見極めて壊すと回転を加えた足による一撃がヴィランの顎を打つ。

白目を剥き、倒れるヴィランの胸倉を咄嗟に掴んでゆっくりと下ろす。

ヒーローではあるがドクターだ。

ドクターとしてヴィランだろうとヒーローだろうと一般人だろうと、誰であっても命を奪うことはしない。

 

『大丈夫か?』

「ん…大丈夫です……」

『そうか、無理はするなよ。ヴィランに襲われて怖くないやつなんていないだろうからな』

「ん……」

 

口には出していても、本当は怖かったはずだ。

少しでももう大丈夫だと伝えるように頭を優しく撫でると、女の子は頬を赤めながらぼうっとした様子でエグゼイドを見つめていた。

不安だったんだろうな、と思いつつ喋るのが苦手なんだろうと小児科を目指してる重夢は推測していると気配を感じ取り、何人かが接近してくる。

その中で誰よりも早くに駆けてきた女性が女の子を抱きしめた。

 

「唯!よかった…無事で、本当によかった………っ!唯を助けてくれて本当にありがとうございました!」

『気にすんな。ヒーローとして当然のことだ。怪我がなくて良かった』

 

見た感じ母親だろう。

言葉を返してる間に、数人がやってきた。

コスチュームに身を包んだことからこの場に居合わせたヒーローか。

 

「悪い、助かった!透明の個性か?」

『いやそういうわけじゃない。とにかくこの場は任せていいか?この子のケアもしてあげてくれ』

「ああ、残りは俺たちの方でやっとく。協力感謝する!」

 

やったことは単純に透明化のエナジーアイテムを取得。気配を感じさせず接近し、制圧しただけ。

本当は残って安心させてやりたいが、次の現場に行かなくちゃならない。

問題がありそうならば解決後に声を掛けるつもりだ。

時間を掛けてでも治す。

命だけではなく、心も救わなくちゃ意味が無いのだから。

かつて自分が、そうして救われたように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆走バイクに乗りながら街を駆ける。

ヒーロー飽和社会だと言っても、個々の力はトップに比べれば遥かに劣ってしまう。

不殺である必要であるヒーローはヴィランに比べて能力も制限されてしまうからだ。

それはエグゼイドもしかり。

本来持っている力は現在の力よりも遥か先を行く力。

しかし雄英でレベル2でも十分トップだったエグゼイドにとって、成長した今ではレベル2でも名のあるヴィランでもない限り制圧できてしまうのだ。

これ自体は元々エグゼイドに備わっている機能のひとつで、変身者の技量が戦闘力に変換される他、レベルや戦闘経験によって攻撃力や防御力が増すというもの。

ほぼ独りで激戦を乗り越えたが故に、その力量はトップヒーローと大して変わらない。

彼が本来の力を使う時は、それこそ世界規模の危機に陥った時だろう。

かつて現れた大ショッカーに対抗すべく、あの時持っていた最強の力。

最大(マキシマム)の力を使ったように。

そうしてると人混みが見えた。

警察が囲むように大勢居て、突入せず待機している。

事件みたいだ、とエグゼイドはバイクを止めて跳躍すると、銀行のシャッターが閉じられていた。

とりあえず地面に着地すると、知り合いに声を掛ける。

 

『立て籠りか?』

「エグゼイド!来てくれたのか」

『今日はヒーロー活動をメインにしててな。状況は?』

 

塚内直正。

オールマイトと関わることが多いらしく、エグゼイドも度々話すことがあった。

そのため、エグゼイドの正体を知ってる一人でもある。

別に重夢自身は隠すつもりはあまりないので、人目を気にせずに変身はするがわざわざ自分から正体を明かすつもりはないだけだ。

 

「グループによる犯行だ。ヴィランは五人ほど。異形型と思わしき者が二人。三人のうちの一人は、触れたものを硬質化する個性みたいだ。

他二人はまだ不明だが、戦闘向けの個性と思われる。人質を取られていて交渉はしているんだが……要請したヒーローが来るのにもまだ時間はかかる。オールマイトも別の事件を解決してる最中で来れなくてな」

『OK、それだけで十分だ』

「待て、どうするつもりだ?」

『決まってんだろ? ヒーローならやることは一つだ。人の命を救うのはドクターでありヒーローでもある俺の仕事だ』

「まったく…相変わらずだな。気をつけてくれ」

 

片手を挙げて返事すると、エグゼイドは目当てのエナジーアイテムを探す。

少し遠くにあったがチョコブロックを破壊した際に出てくれたので、緑色のメダルを取得しながら銀行のシャッターに向かって突撃していく。

 

『液状化!』

 

その体を、まるでスライムのように液状にして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スライム状から元の姿へと戻ったエグゼイドは隠密活動に入っていた。

ヴィランもまさか侵入されるとは思っていないだろう。

警戒してる者はおらず、中央に人々が集められてそこをヴィランが囲んでいる。

不審な動きをしないかの確認をしてるのだろう。

巨大な上に鱗に覆われたヴィランが一人。背は小さめだが、どこかライオンを思わせる見た目をしているヴィランが一人。もう一人は銃火器を持っていて、一人はナイフ。残り一人は周囲に目を配らせながら電話している。

会話からして警察と交渉しているのだろう。恐らくリーダー。

相手の個性が分からない以上下手に身動きは取れない。

 

『どうする?俺も出るか?』

(いや俺一人で問題ない。それに変身する時にバレる危険性がある)

『それもそうだな。バレる前に制圧も出来るが…あの場の人達が危険か』

(ああ、誰か怪我するかもしれないしな。とりあえずやることは決まった。優先順位は銃を持つやつだ。そのためには……)

 

エグゼイドは二本のガシャットを取り出す。

この場に必要な力。

そしてエナジーアイテムの位置の確認。

条件は、全て整った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

---この日のために何日も作戦を練った。

ヒーローのパトロール場所、時間、どのヒーローが居るのか。

入念に調べ、そしてついに作戦決行。

無事に銀行を制圧し、全てが上手くいった。

酒に飲んだくれる親。

生活費に必要なわけじゃなくギャンブルのためにさんざん借金を背負い、挙句の果てに停滞し続けた支払いを全部押し付けて蒸発しやがった親。

罪を押し付けてきたクソ会社。

全てを失い、底辺にまで真っ逆さまに落ちた俺は手を血に染める選択をした。

似た境遇の仲間を見つけ、今度はこいつらと人生をやり直す。

今までは小さなもんばかりで小金稼ぎにしかならなかったが、それも準備のためだ。

今回は一番の山。人生を変えるための一歩。

俺を散々裏切った他人などどうだっていい。俺たちさえ幸せになれるなら、なんだって。

金さえありゃ顔なんて変えることも出来る。日本から出ることだってできる。

俺に失敗は許されない。

こいつらの分も俺が頑張らなくちゃならない。やらなくちゃならない。

大丈夫だ、もしヒーローがあっても切り札の薬がある。

 

 

「交渉は決裂だな。お前ら!」

「ふひひ、やっとか!」

「やるっすよ!」

「コロス…!」

「俺たちの糧になれ!」

 

警察と交渉していたリーダーの一声にヴィランが動き始める。

騒がしくなったのが原因か赤ん坊が泣き始め、言葉を理解した人々がパニックになり、悲鳴があがり。

 

「う、うわぁああああ!!」

「はっ、早速犠牲者が一人ってなぁ!」

 

一人の子供が、飛び出した。

勇敢ではあるが無謀。

銃火器を持つヴィランが子供に向ける。

この瞬間、次に訪れる未来に多くの人が目を閉じ、耳を防いだ。

 

『バンバンシューティング!』

 

『ガシャコンマグナム!』

 

「あ?なんだ、この音…ぐべっ!?」

 

一つの銃弾が銃火器を弾き、追加で放たれていた非殺傷の銃弾の嵐が襲いかかり、一人のヴィランの意識を奪われる。

 

『シャカリキスポーツ!』

 

『ガシャット!』

 

『キメワザ!』

 

『SHAKARIK CRITICAL STRIKE!!』

 

なんだ、と警戒するヴィランたちだが、突如自転車に乗ったエグゼイドが回転しながら突進してきた。

 

「マカ、セロ…!!」

 

鱗に覆われた巨体のヴィランが受け止めようと両腕を広げた。

しかし回転するエグゼイドを止めることは叶わず吹き飛ばされ、シャッタごと吹き飛んで行った。

 

「このガキを---!」

 

一人突撃したせいで輪から外れた子供を人質にしようとナイフを持ったヴィランが捕まえようとする。

そこに向かって自転車を蹴り飛ばし、避けることが出来ずに巻き込まれて飛んでいくヴィランから視線を外したエグゼイドは子供を抱える。

そしてガシャコンマグナムでエナジーアイテムを撃ち抜いて取得。

 

『挑発!』

 

すぐに人質を取ろうとしたヴィランが強制的にエグゼイドに意識が向けられる。

ガシャコンマグナムを投げつけ、ライオンを思わせるヴィランに直撃。子供をその場に降ろし、怯んだ隙に顎を打って気絶させる。

残るリーダーと思わしきヴィランは何らかの薬を迷わずに首に打つ---

 

「ちっ!」

 

より早くエグゼイドの蹴りがヴィランに直撃する。

しかしエグゼイドは手応えを感じられず油断なく見つめると、そこには全身を守るような丸いバリアらしきものが貼られていた。

 

『みんな、もう大丈夫だ!落ち着いて外に逃げろ!俺が何があっても守る!』

 

悲鳴に近い声を挙げながら慌てて逃げていくが、我先にと逃げようとする人の方が多い。

誘導したいが、ヴィランに背を向けるわけにはいかない。

駆けつけてくる警察が見えたため、警察に任せるしかない。

 

「お前、エグゼイドか…!こんな日に限って、邪魔をすんじゃねぇ!!」

『どんな事情があるかは知らない。でもその薬は危険だ、早くこっちに渡すんだ!』

「こうなった以上、一人でも巻き込んでやる……!」

『!!』

 

放たれた銃弾。

咄嗟に背後を振り向き、エグゼイドは市民を守るべくその身で銃弾を受け止める。

大したダメージにはならないが、リーダーと思われるヴィランは注射器のようなものを首にあてがっていた。

そして注射器に入っていた中身が無くなったのか、空を捨てていた。

その瞬間、今までは考えられない広範囲のバリアが広がり、エグゼイドは咄嗟に拳を叩きつける。

しかし破壊することが出来ず、驚きつつも両腕で受け止めることで外に押し出されはしたがバリアの広がりを阻害していた。

 

 

 

『あれはトリガーか』

(“個性”因子誘発物質(イティオ・トリガー)…日本では流通が禁止されていたはずだ。鳴羽田(なるはた)でもかなり出回っていたが、持っていたとはな。あの様子からして鳴羽田の突発性(ヴィラン)と恐らく同じタイプだ。それもあって一時的にとはいえさっきとは比べ物にならない力を引き出せるか。だけど)

 

「ァアアアアアアァ!!!」

『すぐにその苦しみから解放してやる!』

 

『ガシャット!』

 

明らかに暴走状態。

白目を剥き、バリアの範囲がますますと広がっていく中でエグゼイドはマイティアクションXガシャットを抜き取り、息を吹き込んで腰部に備え付けられているキメワザスロットホルダーに装填。

 

『キメワザ!』

 

ボタンを一度押し、準備運動するように手を合わせて動かし、右足を軽く回すと腰を深く落として両拳を作りながら構える。

ゲームのエフェクトのように極彩色の稲妻を纏い、そして、もう一度ボタンを押した。

 

『MIGHTY CRITICAL STRIKE!!』

 

目元が一瞬光ると、頭上を見上げて跳躍。

 

『ジャンプ強化!』

 

『からの---!』

 

『マッスル化!』

 

エナジーアイテム連続獲得によるコンボ。

それらが合わさり、本来の43mよりもさらに高く跳び上がったエグゼイドはそのまま降下蹴り---ライダーキックを放つ。

バリアに直撃し、ヒビを入れるも砕くには至らない。HIT

しかし一撃では終わらない。

エフェクトを纏い続けたまますぐに右足を左側に動かして蹴り、HIT 逆さまになりながら右足を叩きつけるオーバーヘッドキック。HIT

流れるように振り向きつつ右足で再びライダーキックし、バリアを砕く。GREAT

ヴィランにそのまま突進し、蹴りを加えるとそのままの勢いのまま下から蹴り上げるようにして上下に一回転のサマーソルト。HIT

最後の一撃と言わんばかりに左、右のワン・ツー、フィニッシュ。

HIT PERFECT

 

『会心の一発!』

 

その場に着地し、すぐにヴィランに近づいて体を起こす。

そして口を開けさせて舌を確認した。

 

『今回が初めての使用みたいだな…重度の使用者じゃない。それに恐らくアジア製。これならすぐに抜けるな』

「エグゼイド!」

『塚内か。怪我は少ししているが命に別状はない。リーダーと思われるヴィランでトリガーの使用者だ、個性はバリアだと思う。

おかげでそれほど被害はでなかったが、アジア製だろう。小児科以外にも外科医など研修してるから分かるが、確実じゃないからな。そっちの方で検査はしてくれ』

「ここでもトリガーか…分かった。エグゼイドがそういうなら間違いないだろう。市民の方はこちらの方で引き受けている。君が来てくれて本当に助かったよ……協力感謝する」

『ああ、悪いな。俺は次の現場に向かわせてもらうぜ』

 

爆走バイクを起動して召喚すると、ブレーキをかけながらサイドスタンドを足で上げてバイクに跨る。

 

「何かあったらまた連絡するよ」

『わかった、そっちも頑張れよ』

 

一言を躱し、エグゼイドはバイクを発進させてその場から去っていく。

それからというもの幾つもの事件を解決し、エグゼイドはある程度問題ないと見ると、変身を解除した。

 

『ガッシューン』

 

「とりあえず…この辺りは僕が居る必要はなさそうだ。強力なヴィランが出てきたなら出る必要はあるだろうけど…」

『重夢は人間だ。動き続けることは出来ないだろ』

「分かってるよ、パラド。とりあえずハンバーガーでも買って別のところに向かおうか。ベテランヒーローがいる地域は任せても問題ないだろうし、まだ新人のところに行った方がいいしね」

『本当なら重夢ならもっと上だろうけどな。ゲムデウスを倒すなんてオールマイトでも出来なかったことだ』

「オールマイトさんは僕と違って平和の象徴として事件発生率を減らしてる。僕じゃ比べる方が失礼だよ」

 

理解はしているが納得出来ない。

そんな内側から感じられる感情に苦笑し、重夢はひとまず休憩を選んだ。といってもすぐにでも何処かに行くつもりなので休憩と言っていいかは怪しいが。

そしてトイレに行って、水分補給して、ハンバーガーを食べて、別の地域に行こうとした時だった。

通知音が響いた。

依頼か、それとも数時間前に出会った塚内からのものか。だが緊急事態なら電話のはずだろう。

もう夜になろうとしている。

ヴィランの数も増えていく。

自身の活躍こそどうだっていいが、市民を守るエグゼイドとして活動しようと思っていたところだ。

スマホを取り出し、相手を見る。

そこに表示された相手は---

 

 

「…オールマイトさん?」

 

 

平和の象徴たる、No.1ヒーローオールマイトからのメッセージだった。

 

『塚内くんから話は聞いたよ、大活躍したってね。すまない、私の方でも少々大きな事件があってね、行けなかった。お陰様で助かったよ、お疲れ様。ところで君に伝えたいことが、大事な話があるんだ。時間がある時で構わないのだが、二人っきりで会えないかな?』

 

---男女であったならば、告白イベントでも発生しそうなメッセージと共に。

 





エグゼイドのライダーキック、描写難しすぎ問題
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