ホビアニ系TCG世界にTS転生したので、いっちょラスボスを目指してみる 作:どくいも
さて、世界征服予告をした後だが、改めて自己紹介しよう。
私の名前は【レア=ウルト】、名前は自分でつけた。
理由としては、この名前なら『だが、俺はレアだぜ』と自然に言えるから。
カードゲーマーならつけないわけがない。
もちろん自分にこんな名前を付けるぐらいなので、前世はバリバリのカードゲームオタクだ。
決闘者でもあり、モンスターマスターでもあり、平地歩きでもあった。
そんな幅広いカードゲームをやってきたので、当然【戦術記録再編型カードゲーム・セレドミ】もやっていた。
世間だと領土システムがマナのパクリだと揶揄されることはあったが、それでも面白いTCGであることには違いはなく、自分のTCG歴の中でも深くハマった。
カジュアルからガチ、構築戦に限定戦、なんなら、アニメや漫画も追いかけた程度にはハマったものだ。
だからこそ、そんなセレドミの世界に転生したと気が付いた時は、非常に興奮した。
おあつらえ向きにジャパニーズホビーアニメな世界観であり、
アニメや漫画とは違う世界であったがそこは仕方がない。
たとえ、孤児の文無しで家がなく前世と性別が別でも、私にとってはここは間違いなく天国だった。
前世だと、その辺シビアだった。
若い頃はお金が足りず、大人になってからは時間や友人が足りないのは、カードゲーマーなら分かってもらえる悩みだろう。
それにこっちの世界では、
まぁ、真剣勝負での敗北のペナルティは重いが、それだってある程度の加減は可能。
ある意味この世界の住人全てが
もっともつい最近は、自分が強すぎたせいで対戦棄権地獄を経験していたわけで。
だからこそ、ラスボス化決意&全方面宣戦布告などの無茶をしたわけだ。
しかし冷静に考えると、いくら楽園を取り戻すためとは言え、宣戦布告はやりすぎであった。
明らかに頭がゆだっていたし、訂正しようにも、この情報は国民達にも拡散済みだ。
おそらく、今頃は我が国は上も下も大騒ぎ、この国の始まって以来の危機ともいえるはずだ。
ともすれば、私が予想できる動きとしては、暴走した独裁者=私を止めるべく、国民が立ち上がるだろう。
ともすれば、正義感に溢れた国民が私にデモの
ここは
なんならクーデター
ああ!色々ピンチだが、偶然にも
偶然にも!!なんてことだ!!やったぜ!!
そんな風に政権不安という名の
「……クーデターやデモ活動はまだ?」
「そんなものは当然起きてません。
流石盟主様です」
なお、自分の予想に反して、クーデター
民衆はもちろん、秘書すらも自分の発言に驚きはしたものの、口論
国外からも外交官が様子をうかがいに来たり、口でやんわり制止されはしたが、外交
「盟主様の圧倒的カリスマと強さは国中、いや、世界中全てに広まってますから。
この国において、盟主様の意見にNOと言える民はおりません」
秘書のドヤ顔がうざい。
そもそも、この【オオミヤ=リコード】は自分が
小さく歴史も浅いが故、自分の誇張された噂が末端まで広がっており、そのせいで民もあまり反乱する気が起きないのだろう。
くそ!なんて時代だ!
「でもやっぱりおかしいじゃない。
今更ではあるけど、こんなド素人のメスガキが支配者として認められるなんて。
こんな素人感覚の国家盟主なんか、もっと不満とか出てしかるべきなんだけど」
「その発言が間違いなのは、盟主様の内政
盟主様はデッキ選択肢が幅広いだけあって、内政能力も目に見張るものがあります。
プレイの所作一つ一つに気持ちが込められており、慈悲深いとも評判です」
悪用しておいてなんだが、
政治とは、賢い人が集団で相談し合って何とか運営していく物で、こんなカード大好きメスガキおじさんがノリで行っていい物ではない。
「それに、はじめ宣戦布告について聞いた時は驚きましたが、私達は何があっても盟主様についていくと決めてますので!
盟主様がそういうことをするということは、何か深い意味があるに違いありません!!!」
秘書の期待が重いが、残念ながらあの宣戦布告に特に意味などない。
しいていうなら、もっと気軽に(私が)
それにしても非常に面倒くさいことになった。
ラスボスになる決意をして、その上各所に宣戦布告までしたのに、まさか何も変わらないなんて。
こちとらラスボスになる決意はしたものの、ラスボスになってまでしたい悪事など特にないのだ。
だからと言って、今から先の発言をなかったことにするのもまた違う。
なぜならば、こちとらホビーアニメのラスボスを目指しているのだ。
発言の取り消しなどをしていたら、悪役としての格が下がってしまう。
それこそ、ホビーアニメの一話限りの色物キャラレベル。
なので私は、ラスボスとしての目標を守るなら、自身の発言を否定せず、ホビーアニメの悪役らしい行動をとらなければならない。
そんな面倒くさいことをやりたくないという思いもあるが、それでもこの地獄が続くよりは悪役の方が数倍マシである。
――だから、まぁ、これは仕方がないのだ。
虚空の穴に手を突っ込み、外出用の外套とデッキケース群を取り出す。
炎、風、地、水、光、闇それぞれの属性を使った1属性から2属性のスタンダードなデッキを中心に持ち出していく。
本当は3属性デッキやロマン構築五属性、わからん殺しが得意な無属性デッキあたりも持っていきたい。
が、今回は仕事であるし、布教するにしても3属性以上のデッキは初心者には優しくないので仕方がない。
「リコ、さっそくだけど準備の方はできている?」
「……!!ええ、もちろんです盟主様。
私を含む、親衛隊はいつでも準備ができております!」
ノリで聞いたのに準備が万端と返されてしまった。
私本人ですら今決めた事なのに、一体何の準備ができているのかとか、小一時間問い詰めたい。
しかし、今回は時間が大切なので、そこは割愛しよう。
そう、今から行うのは、まだ見ぬ主人公や宣戦布告したのに交渉
宣戦布告なんてしたのに、
彼らが口だけではなく、札を出したくなるような素敵な口実を与えてやろうというのだ。
カードを頭上に掲げながら、私は高らかに宣言した。
「ならばさっそく始めるとしましょう。
世界征服の第一歩。
カードの力を使って、侵略戦争を……ね」
ここまで読んでくださりありがとうございます
感想や誤字報告をいただけると幸いです