ホビアニ系TCG世界にTS転生したので、いっちょラスボスを目指してみる 作:どくいも
お待たせしました
ギルナちゃんを養成所に送ってから早数か月。
各国への威圧と新たな好敵手発掘目的で行ったラルズ侵略だが、一定の成果を出す事はできた。
まずギルナちゃんに関してだが、残念ながら彼女はいまだに
しかし、デッキの再構築はすでに終えているし、養成所での対戦成績も良好。
招集儀式や札研との共同作業もうまくいってるそうなので、復帰戦まではそう遠くはないだろう。
各国へのアピールもそこそこだ。
ラルズへの電撃侵攻により、ようやく各国は我が国の脅威度を理解してくれたようだ。
そのおかげで、日夜大小さまざまな国が我が国に外交官を送ってくるうえに、旧ラルズ領にもスパイが大量に流入。
外交官の質も段違いで、以前のようなやる気のない案山子ではなく、優れた頭脳と強い信念をもった骨のある札使いが送られてきた。
だからこそ、本来今頃は各国の外交官と楽しい外交
寝る間も惜しんで謀略渦巻く中、己の信念と国益をかけて真剣
――……と、なるはずだったんだけどなぁ。
「……はぁ」
さて、現在私がいるのは、オオミヤ国内の6属性アリーナ玉座風執務室、そこで国政に関する大量の書類をさばいていた。
無論、こんなもの見せられても、ただのTCG大好きメスガキTSおじさんにわかるわけもない。
しかし、私は腐ってもこの国の盟主であるため、ここで私が手を抜けば、この国に住む
なので、ここでは私のできる範囲でこれらの仕事をこなす必要があるのだ。
この世界特有のやり方で。
『ん、次のやつお願い』
「ん」
本来なら一人のはずの執務室だが、隣にいるのは長めの髪に小さな体躯という自分そっくり……いや、自分そのものの人物がいる。
普通なら、ほくろの位置すら同じ人物など双子かクローンくらいしか存在しない。
が、この人物の正体は
普通の札神を具現化するのはそこそこ面倒くさいが、ミミクリウスは自分の相棒でそこそこ付き合いも長い。
そのため、少し念じるだけで具現化が可能であるし、彼をこうして招集すれば二倍の速度で仕事ができたりする。
……まぁ、こいつを招集しても変身元が政治能力くそ雑魚メスガキTSおじさんなので、政治能力には期待ができず、これだけでは全く作業効率が良くならないのだが。
かなしぃなぁ。
だが、ここは
なので、少し工夫をすればこんなことができたりする。
「時間は15分、準備は良い?」
『うん、始めて』
「では……奇跡札【占断】発動」
その瞬間、自分の手に持つカードを通して大きな力が
そして、ミミクリウスを通して文字通りの【奇跡】が発動。
自分の脳内に無数の情報と光景が走り、かつてないほど頭が冴える。
今ならあらゆる情報を精査し、未来も見通せる万能感すら感じるようになった。
『うん、そっちにも効果は発動したみたいだね
それじゃあ、こっちの書類の山は私がやるから。
マスターはそっちの方をお願い』
「ん、了解」
そう、実はこの世界、カードとは遊んだり真剣
今回使った奇跡カード【占断】は、墓地肥やしとドローを兼ね備えたそこそこ便利なカードではある。
が、現実で効果を使用すると一時的に予知能力+頭の冴えがよくなるという、なかなかにぶっ壊れた効果を発揮するのだ。
もっともカード効果を
が、条件がきつい分、効果は絶大である。
「ん~~、終わった。
……で、どう?そっちも終わりそう?」
『ええ、こっちももう終わるわよ。
……でも本当に大丈夫?無理してない?』
自分の姿をしたミミクリウスが自分の体調を心配してくる。
なお、このカード効果の現実での発動は、ただでさえ発動条件が厳しいのに、発動するのに代価が必要だったりする。
もっとも、それに関しては私はあまり心配していない。
なぜなら、その代価とはカードへの欲望や信念などの心のエネルギー的な何かであるからだ。
実際心のエネルギーが足りなくなると、精神虚弱ややる気消失、重症の場合入院してしまう事もあるらしい。
が、そんなもの私にとっては
「大丈夫よ、幸いMP貯金に関してはギルナちゃんとの勝負でたっぷり徴収したからね。
むしろ、使わないともったいないのよ」
さらに言えば、この精神力的な何かは真剣
あと数年、いや数十年以上、
十年
「お疲れ様です、盟主様。
それでは書類を回収させていただきます。
……相変わらず、見事な手腕です」
そんなこんなで書類作業が終わり、秘書のリコちゃんが書類を回収しに来てくれた。
その際に少しお褒めの言葉をいただいたが、個人的にあんまりうれしくない。
なぜなら、秘書をはじめ、この国の官僚たちは、奇跡カードの力を借りずとも、これらの作業をこなせるからだ。
彼女たちに比べれば、奇跡カードを使って政務をしている自分は二流、上に立つものとして色々恥ずかしく感じるわけだ。
一応、今はこの国が人手不足なのもあり、自分のような政治能力ゴミムシでもできる範囲でお手伝いをしている。
が、将来はこんな頭小学生男児などさっさと首にして
大丈夫大丈夫、数年前に官僚学校を作ったから、人材不足は近いうちに解消するはず、きっと。
「お世辞は結構よ。
……で、今日の仕事は終わり?」
「はい。書類関連の仕事は以上です。
もっとも、各国から面会のアポイントメントが来ていますが。
どうしますか?」
「……はぁ」
リコのその発言に思わず、思わず眉間にしわが出る。
さて、これを聞いた諸君たちは、疑問に思うだろう。
なぜ私が外交
しかし、そんな
――接待
接待
特徴としては、外交官は基本的に国王や盟主に勝ってはならず、外交官はいかにうまく負け、媚びへつらうかを勝負するわけだ。
なんでだよ、歓待するならまともに勝負しろよ、そっちの方が喜ぶから。
(せめて、自分が接待する方なら、まだ変則
これは、今まで
真剣
曰く、昔は外交にも積極的に真剣
それに、真剣
さらには、そんな間違いで結んだ条約も、真剣
結果として、外交で真剣
えぇえぇ、非常に賢い判断だと思いますよ、なんでそこで冷静になるんだよボケが。
(せめて、お遊戯
なお、あまりにも勝負を受けてくれなかったので、一度外交官相手に無理やり真剣
デッキ貸し出しでの真剣
ちくせう。
「……予定に入ってないってことは、別に私でなくてもいいってことでしょう?
なら、我が国の外交官に行かせてあげて。
彼らにも、ヤマト国以外の外交官と経験を積ませなきゃいけないからね」
「分かりました。
では、その様に」
なので今は餅は餅屋に、外交もよほどのことがない限り、我が国の外交官に任せることにした。
くそう、各国の外交官め覚えてろ。
ラルズの再開発が終わったら、お前らの国に攻め込んでやるからな。
それまでガチデッキ調整して待ってろよ。
「というわけで、折角だから代わりに何か
できれば接待でない真剣
「流石盟主様、此方の困難を見抜いて……!!
……ありがとうございます」
リコに追加の仕事がないかと尋ねると、とある一つの団体への視察を頼まれた。
その団体とは、ラルズ成立前からラルズ領に住んでいる精霊信仰をしている宗教集団であり、旧ラルズ政府成立時に実質的にラルズを支配していた団体だそうな。
ラルズ政府ができた後も抵抗をつづけ、実際にいくつものテロや犯罪を成立させ、凶悪犯も複数だした悪徳集団だそうな。
現に、この前ギルナちゃんと遊んでいた旧ラルズ特別収容所にも、件の宗教団体の幹部が複数人収監されていたほどだ。
「そう、わかったわ。
なら、私がその仕事を引きうけたから、あなた達は別の仕事を片付けといて」
「盟主様……!!」
リコが何やら感動しているが、こっちはそれどころじゃない。
なぜなら、この団体はどう見ても、ホビーアニメ特有の【古のカードを信仰する怪しい宗教団体】に違いないからだ。
古から神のカードを信仰し、それで天変地異を起こそうとする。
関わればハプニングを起こしてくれるし、なによりもTCGアニメの主人公なら絶対に関わってくる。
そういうポジションの宗教団体に違いないからだ。
つまり、ここに悪役たる私が接触すれば、ほぼ確実に力試しと称して真剣
そのうえ、暫定未来の主人公君と接触できるかもしれないし、そうでなくても何らかのハプニングを起こしてくれるはず。
もし仮に、その宗教団体が正義の団体であるならば、当然国を侵略する悪である私と敵対してしまうわけだが、そこならそれで真剣
つまり、どちらにしろ真剣
盛り上がってきた~~!!
「一応、夕食会までに戻るつもりよ。
でも、もしものことがあったら、そのための準備はお願いするわ」
「……!!はい!!」
かくして私は、スキップしそうになる足を抑えながら、件の宗教団体のアジトへと突撃しに行ったのでした。
なお、到着後。
「……!!おお!!ようこそいらっしゃいました!!
お狭い所ですがどうぞ!!」
「ささ、これは粗茶ですが……。
本日はこちらにおいでいただきありがとうございます」
「ええ、ええ、いえ、此方としては直接お礼を申し上げたく……。
あの邪悪な独裁者から、私たちの子を救い、治療までしていただいてありがとうございます!
本当にあの解放活動がなければ……感謝の言葉もありません。
これはせめてものお礼のカードです」
「え?腕試しの真剣
いや、すいません、我らはかの独裁政府にカードを奪われてしまいました。
一応配給でいただいたデッキと奴隷デッキを組み合わせた仮のデッキはありますが、盟主様のデッキ相手では力不足なので……ごめんなさい」
残念ながら、件の宗教団体は前ラルズ政権のせいですっかり弱体化。
その上、此方にお礼のカードを1~2枚渡すことはできるが、誰もまともなデッキになるほどのカードは持っておらず、真剣
しかも、組織として弱体化しているせいで、邪悪な呪術師や世界征服を企む邪神の化身もいないため、クリーンな宗教組織へと落ちぶれてしまっているそうな。
つまり、ここではすばらしいハプニングや危険な真剣
ただ、怪しい団体からの感謝の言葉を聞き流す、実に悲しい時間が過ぎることになりましたのさ。
めでたくなしめでたくなし。
「おい!ジジイ!!
こんなチビガキに俺達の神を渡すだなんて間違っている!!」
「な、なにをいう!!
そもそもお主たちのせいで、アイツらが犠牲に……ぐはぁ!!」
「お、おじいちゃん!!!」
「ぎゃははは!!俺達に指図をするな!!
それにその
ゲヘヘヘヘ、あの闇商人からひそかに集めたカードたちなら、このガキにも勝つことができるはず!!
そして、俺は新時代の神になるのだぁ!!!
ヒャッハァ!!真剣
と思っていたら、組織内から何人かの若者が現れ、年長者に反発。
しかも、神のカードを賭けて自分に勝負を挑むというおまけ付なのだ。
こうして、素晴らしい若者たちのおかげで、自分は久々に真剣
めでたしめでたし。