ホビアニ系TCG世界にTS転生したので、いっちょラスボスを目指してみる 作:どくいも
――ガッチャ!楽しい
あの後、気骨溢れる若者たちとの
個人的には、一回くらい負けてあげてもよかったのだが、そもそもスライムデッキ以外では相手の奇跡カードの特性上、ドロー力に差がつきすぎて負ける方が難しいし、スライムデッキで手を抜いて戦うと
それに、初めの2人以外は初めから勝つのを諦めてしまっていたので、結局今回も全勝してしまった。
しかしながら、ホビーアニメの世界観な世界とは言え、実際に神になるやらカードの力で世界征服するなどと発言するのは、なかなかにすごいことなのではなかろうか?
しかも、その目標のために実際に外道を働き、その結果、神のカードを賭けてデュエルをした。
こんな面白行動力を持った若者がいるとは、まだまだこの国も捨てたもんじゃないと思わせてくれる。
結果としては彼らは全員私に負けてしまったが、これに懲りず、これからもこの世界の悪党らしく、ぜひとも神のカードを狙い続けてほしい。
「……で、君たちは何をしてるの?」
「はい!この背信者にして裏切り者達の処刑の準備です!!」
「やめてね????」
だからこそ、教団員さん達はこの未来ある若者軍団を勝手に殺そうとするのはやめてください。
そういう所だけ、ホビアニの邪教らしくしなくてもいいから。
負けたら死の制裁とか、リアルでやられても怖いだけだから。
しかしながら、詳しい話を聞くと、どうやらそうではないらしい。
というのも、この若者たちが行った悪事は、相当のものだったようだ。
放火や殺人、人身売買に裏切りと、現代日本を基準にしても死刑になりえる、そんな犯罪を複数行っているとのこと。
う~ん流石にそれは予想外。
流石に殺人クラスの悪党は、一般ホビーアニメの範疇から外れている気がする。
いややっぱりそんなことないかも、うん。
となるとこれは面倒くさいことになった。
本来私はこの後彼らに適当な罰ゲームを与えたうえで、ゆっくり退席しようと思っていた。
が、それをするとこの未来ある若者たちは十中八九この教団員達に殺されてしまうだろう。
報復されるにふさわしい悪事を繰り広げたのだから、ある意味しかたない。
とはいえ、個人的にはちょっとまってほしいのが本音。
なぜならば、こいつらは本物のホビアニ世界の悪党だからだ。
この先も生き残って、是非ホビーアニメにふさわしい騒ぎや騒動を起こしてほしい。
え?自分で保護する?ははは、御冗談を。
『こいつらの事なんて、どうでもいいでしょ~。
それよりも早くあの
スライム族として、あの
さて、もう一つ頭を悩ませるのが、この勝負で使われた奇跡カード【スライム族封印の瓶】である。
このカードはいわゆる、ちょっと工夫すれば具現化することができる、本物の奇跡カードでもあり、デッキに組み込むことで、ほんの少しドロー力が向上したりする。
特に、このカードは効果がスライム族メタであるからか、スライムデッキ相手にはドロー力が急上昇するようなのだ。
私としては、デッキが限定されるとはいえ、お手軽に好敵手を作れるいいカードだと感じたのだが、ミミクリウスにとってはそうではないらしい。
『貴方は有用だからって、身近に爆破寸前のダイナマイトや狂犬病を患った犬を近くに置きたい?』
うん、それはいやだ。
個人的には、破壊は仕方ないにしろ、カード自体は何らかの形で取っておきたいのだが……。
そのレベルの嫌悪感なら、ここまで訴えるのもやむなしである。
「「「罰を、罰を、裁きをオオォォォォ!!!!」」」
『早く抹消して~~。
は~や~く!は~や~く!!
一生のおねが~い!!』
かくして、右耳から教団員たちが、左耳から自分に化けた相棒(2Pカラー)が喚いてくる。
教団員達は必死過ぎてちょっと引くし、相棒は自分の姿でそんな子供っぽく駄々をこねるな。
各々が好き勝手言ってきて、少々頭が痛い。
が、それをできる限りどうにかするのが盟主の役目、勝者の責務という奴だろう。
しらんけど。
「………うん!これならよさそうだな!
それじゃぁ……罰ゲ~~~ム!!」
かくして、妙案を思いついたのでそれを実行する。
腕を高く上げ、それを敗者の方に向ける。
すると彼らのデッキが光り、そこから一枚のカードが飛び出してくる。
それは、本物の奇跡施設カード【スライム族封印の瓶】。
スライムを忌み嫌う札神がスライムを封じるために作った瓶だ。
そして、そのカードから放たれた光はその形を膨張させ、虚空に実体を生み出した。
大地を揺らして現れたのは、巨大な土の瓶。
口からは白い蒸気を吐き、まるで待ち構えていたかのようにそこに存在した。
一般教徒たちが大いに驚き、相棒は忌々し気にその瓶をにらみつけていた。
「この
瓶よ、今すぐ《それ》を封印しろ」
私はその瓶に命令した。
するとその瓶は、まるで
「………あ?
ああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なぜぇえ????」
「ぎゃああぁぁぁあああああ!!!!」
……ただし、吸い込むのはスライム族ではない、元主人であり、この
その衝撃により気絶していたものも目覚め、何人かは逃走をするも逃げきれず。
まるで紐に繋がれたかのように悪漢達全員が瓶の中に入り、容量を無視して全員封印されてしまった。
『ここはどこだ?
ここから出してくれぇ!!』
『いたいよ、こわいよ、寒いよぉ!!!』
『あああああぁぁぁぁ!!!??』
もっとも、この瓶はあくまで【スライム族封印の瓶】なので、封印は完全ではないようだ。
中から悪漢達の悲鳴が聞こえ、側面はゴムのように伸び、人の顔や手足が浮かび上がっていた。
教団員たちはあまりの不気味な光景に硬直し、
おそらく、相棒は自分がこの瓶を素直に壊さないことを察したのだろう。
しかし、ちゃんと無効化はするのでこれ位は許してほしい。
「瓶よ……個人的に君のことは嫌いじゃなかったよ」
その瓶の表面にそっと触れる。
するとその表面には僅かな湿気と生ぬるさを感じさせながら、波打っていた。
うん、これならうまくいきそうだな。
「そして、野望溢れる若者たちよ。
たしか君たちは神になりたかったんだろう?
ならば、私がその願いを叶えてやろう」
そして、その言葉と共に、私は瓶に触れていた手に心の力を籠める。
すると、瓶の振動は激しくなり、発光も強くなる。
教団員達が思わず目をつむってしまうほどだが、私はまっすぐそれを見つめ続ける。
「………!!」
すると、目の前にあった瓶が徐々に小さくなり始めた。
瓶の中にいた若者の悲鳴が一層強くなり、その振動も内側から壊れそうな程になる。
が、それでもそんな抵抗など無意味という様に、瓶は小さくなり続け、それと共に悲鳴も小さくなっていった。
そうして、瓶が瓶の形を保てなくなり、悪漢達の声が聞こえなくなった頃。
そこに残されていたのは、何枚かのカードであった。
教団員達が呆然とそのカードを見つめる中、私は静かにそのカードを手に取る。
そして、手の中にある一枚は……。
「どう?【札神】になった気分は?
……って、聞いても、何も答えられないか」
かくして私は、カード化した若者達を見ながら、自分の試みがうまくいったことに満足感を覚えるのでした。
「あ、貰った神のカードの代わりにこれを上げるからね。
ちゃんと大事にしなさい」
「え、いらな」
凄い嫌な顔をされた。
さもあらん。
〇おまけ
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●【滴瓶の隷徒】 2エナ
札神カード~壺・奴隷 AT0 DF並
1ターンに1度、この札神がダメージを受けた時、アナタはライフを1回復する
この札神は、攻撃できない
[盟主によって生み出された、見せしめの一つ
人の裸体を模した壺であり、痛めつけることにより水が手に入る。
かつて毒を吐いた口は、もはや水しか吐けぬ]
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