共に拓く、明日への道 作:単独行動 EX
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「と、着いたな。大聖杯はこの奥だ。ちいとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな」
この奥、って言ってもな……明かりもなしにこの中へ、ってのはな。
「天然の洞窟……のように見えますが、これは本来の冬木の町にもあったものですか?」
あ、確かに。ただでさえ怪しいけど、その上で何者かが作ったものなら罠の可能性は更に高まる……と言っても、アーチャーが居る、という話だし待ち受けているんだろう。
「おそらく元は天然ね。半分天然、半分人工といったところで、魔術師が長い年月をかけて拡げた地下工房、かしら。それよりキャスター、大事なことを確認していなかったわ。」
大事なこと?一応信はおける、真名はクー・フーリン……あと何か知りたいことってあったっけ?
「セイバーのサーヴァント。真名、知っているんでしょう?何度か戦っているような口振りだったし。」
なるほど、現段階の最大の関門、セイバーの真名。これが分かればいくらかマシにはなるのかもしれない。
「ああ。知っているとも。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名に辿り着く。俺以外がまともに生き残っていないのもその宝具がゆえだ。」
5人のサーヴァントを相手に連戦連勝、尋常じゃないな。
「強力な宝具、なんですね……それで、その真名は?」
マシュが受けることになる宝具、実際のところ何を相手にさせられるんだ?
「王を選定する剣、そのふた振り目。おまえさん達の時代において、最も有名であろう星の力を宿した聖剣」
……まさか、円卓の。
「その宝具の名は、
それは、流石にズルいんじゃないか?サーヴァントは、自身の最も優れていたとされる時期の姿で召喚されると聞く。一人で数百人、数千人を相手取る文字通り一騎当千の相手なら、このままだと勝ちの目は相当薄いと思うんだけど……
「懲りないな、魔術師。勝てないからってお友達でも連れて来たか?」
「マシュ!戦闘態勢!」
「はい!先輩!私の後ろに、椋さんは所長をお願いします!」
アーチャーのサーヴァント、だな?
「おう、話してたら信奉者の方が出て来たな。相も変わらず聖剣使いの護衛気取りか?テメエは」
「……ふん。信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」
アサシンやランサーと違って理性がある、会話ができる。……まさか、陣営同士で手を組んでいる?
「ようは門番だな。……来客、つまり俺らは敵とは違う分類なワケか?何からセイバーを守るつもりかは知らんが、ここらで決着をつけようや。主人ともども、ブッ倒して駒を進めてやるよ」
「粗方察しは付いたようだな。大局を知りながらも自己中心的に物事を進めようとする……魔術師になっても貴様のやり方は変わらんと見える。文字通り、この剣で叩き直してやろう」
剣、二刀流か……アーチャーが剣!?……アーチャーじゃないのか!?
「ハ、弓兵が何をほざくか。ってオイ、なにぼんやりしてんだ嬢ちゃん。相手はアーチャーだ。あんたの盾がなきゃオレはまともに詠唱出来ねえ。マスターだけじゃなくてオレのことも少しは気にしちゃくれねぇか?」
「あ……は、はい!すみません、なぜか少し気が抜けていたようで。問題ありません、お任せください!」
「作戦会議は済んだか?行かせてもらうぞ。───トレース、オン!」
◆
「まずは正面、突っ込んで来るよ、マシュ!」
駆け出したアーチャーを見て、マシュに声を掛ける。
「マシュ、右に跳んで!」
短い詠唱を終えたクー・フーリンが杖を振り、その軌道に浮かび上がったルーン文字はそのまま光弾となってアーチャーを捉えんと翔んだが、アーチャーはマシュが離れたことで空いた両手の剣を用い、弾いて見せた。
「隙を見せんじゃねェ、距離詰めて来るぞ!」
「は、はい!」
クー・フーリンがマシュに声を掛け、応えるように盾を構えたマシュ。今度は完全に受け切ることができたのか、鈍い音を立てて剣が弾かれたアーチャーは、一度距離を取ったものの間髪入れずに再度距離を詰めてくる。
「慌てるな、それでいい。良くやった!」
足元に走るルーン文字の環、空を漂う符号。アーチャーがマシュへ駆けだしたこともあり、クー・フーリンへ向ける視線は焦りを含んでしまう。
「クー・フーリン、行ける!?マシュ、多分これ以上は追い付かない!」
「嬢ちゃんなら次は耐えられる、そうすりゃ間に合う!オレが
視線を向けるとまさにアーチャーが斬りかかっている。姿勢は低く、盾の死角を突く角度での斬撃。
「マシュ、下だ!」
「っ、はい!」
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……正直、驚いている。マシュは無口で内気、みたいなイメージだったので、こんな風に腹から声出して連携を取るみたいなのをしてることが既に驚きだ。何より立香、アイツは凄い。一般も良いとこの出で、こんな状況に文句も言わず泣き言も溢さず、今はマスターとして指揮を執る。
「所長」
「何よ、室伏」
「立香、凄いっすね」
少なくとも俺は、彼の立場じゃ流石にキツいだろうよ。
「藤丸?……そうね。経験不足は甚だしいし、魔術回路は貧弱で、戦術なんて無いようなもの。でもああやって最前線に立って、マスターとして戦ってる。いつかの誰かを思い出すわね。駄弁ってないで、室伏も戦いなさいよ」
「離れても良いです?離れない方が良いですよね流石に。」
「離れて良いわけないでしょ、何のためにこうやって分けたのよ」
「理不尽だなぁ……」