Douce Magie   作:Somniatio

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Interaction avec les étudiants

 

(魔界に帰りたいな…ハートなんて取れないしいらないもん)

 

水たまりの上を歩きながら散歩をしているのはふわふわの綿菓子みたいな髪に紫の目、ノースリーブの膝丈ワンピースに雨傘を持ったバニラ。

 

(ショコラちゃんたちと戦うなんてイヤ。クラスメイトとも上手く喋れない、呪文もド忘れしちゃった。ハートが16個光ったのだってまぐれに決まってる)

 

雨上がりの朝の透き通った水たまりには魔界への通路、水晶の扉が隠れている。そんな噂を聞いたことのあるバニラはついそれを探しに家を出てきてしまった。

 

「アハハハこっちだひろし!」

遠くから誰かの足音と楽しそうな笑い声。

「どこ行くんだ!ひろし!」「ワンワンッ」

焦る男の子の声と犬の鳴き声が近づいてきて考え事をしていたバニラはそっちを見る。

「こらッだめ!!」

「え…キャッ!」

 

アプリコットカラーのミニチュアプードルがバニラの視界に入る。と同時に勢いよく飛びつかれバニラは水たまりに尻餅をついてしまった。

「ひろし〜〜〜…お前何やってんだバカ!ごめん泥だらけにしちゃって…」

ひろしという名前の犬に飛びつかれ続けそのまま動けないバニラ。謝ってくる男の子を見るが微妙に目線が合わない。転んだ拍子にワンピースがめくれて若干パンツが見えていて彼はそちらに気を取られている。バニラはさりげなくのぞきメガネを使って

(この人…ハートが出てる!)

「これで拭くよ、ごめん」

男の子は泥だらけのバニラを持ってるタオルで拭いてあげようと手を伸ばす。

 

「シュ…」

「は?」

 

シュガシュガルーン バニルーン

ハートを ハートを くださいな!

 

 

 

「あれ…何で俺こんなところに座って…うわ、泥だらけ!ひろし!!おまえか!?」「ワンッ」

男の子はハートを取ってすぐ隠れたバニラに気づかず、そして会った事も忘れひろしに文句を言いながら去っていった。

「もらっ…ちゃった…」

 

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「おはよう、シャンティ。ねぇバニラがどこに行ったか知らない?」

「え、部屋にいないの?」

制服に着替えていたら部屋にショコラが入ってきた。

「いないの、アイスチョコレート飲みたくて作ってもらおうとしたんだけど」

「自分で作りなよ…どこに行ったんだろうね?」

話しながら鏡の前でネクタイを締め、その場で一回転。変なところがないか全身確認し鞄を持って自室からリビングへ。

 

「あっバニラ」

なんだ、ちゃんといるじゃないか。ショコラとすれ違ってただけなんじゃないの?と言おうとして

「ただいま、ねぇこれ…」

なぜか泥だらけのバニラが見せてきたのはオレンジのハート。

「うわあ、オレンジのハートだ!」

「一体どこに行っててなにがあったの?…いやまず学校行く準備したほうがいいね、朝ごはん用意しとくから着替えておいで」

「うん」

「いいなー、一目惚れのハートかあ」

バニラを見て羨ましそうにショコラが言う。

 

 

「そうだ、せっかくバニラも1コ目が取れたんだからロビンに報告しようよ!」

朝ごはんを食べ終わった私たちはショコラの提案で鏡に向かう。鏡での通信は人間でいうとテレビ電話のようなものだ。接続を開始して15秒ほどで

「…急ぎの時使えって言ったのになんだよ朝から」

通信が繋がりロビンの顔が映る。

「バニラもハートが取れたの!」

「オレンジか!300エクルだな。そういえば昨日言ってなかったがショコラのピスは5エクルにしかならないよ。『魔性の魔女シナモン』の娘も苦戦してるな、ピス1コとは…」

「あれはまちがい!!」

「初めてなんだからいいよ、それでも」

「もっといいの取ってくるもん!!」

真横で大声のショコラ。耳がキンキンする。

「あのなーショコラ。人間界じゃそういう態度の女はモテないんだぜ。素直に可愛く「ありがとう、がんばります♡」って言えるようにしないと全然ダメ!ハートなんて取れないぞ。シャンティとバニラも引き続き頑張れよ」

寝起きの声でショコラを煽るロビン。そのまま通信が切れた。

「うっせーじじい!」

「…さあ、学校行くよ!遅刻しちゃう」

怒ってるショコラと若干気まずそうなバニラを連れて家を出る。

 

「ねぇ、バニラはどうやってオレンジ取ったの?」

「わかんない、転んじゃって…」

「だから泥だらけだったのか」

「うわ…最悪じゃん!…あ、見て!虹だよ」

空を見ると虹が出ていた。

「赤、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、紫…」

端からゆっくり消えていくそれはコロコロ移り変わる人間の感情みたい。

「こんな色のハートを胸に作るって、人間って不思議な奴らだな…」

ショコラが独り言を言った。

 

 

消えていく虹を見ながら登校し学校に着いた…はいいけれど何故か校門に人だかり。女の子が集まっていて何やら黄色い声が飛び交っている。

「うちのクラスの子達だ、なんの騒ぎだろ…!あいつ!」

「知ってるの?ショコラちゃん」

「ほら、昨日あたしに礼を言えだの呆れるだの言ったいやーなやつだよ!」

そこにいたのは割と顔の整った、金髪にアイスブルーの目をした中等部の男子生徒。アキラと追いかけっこをした時ハートを吹っ飛ばしてそれを拾ってくれた人らしい。

「…でも誰かに似てない?」

バニラが呟くが私には心当たりがない。ショコラはクラスの子達に近づいて

「ねえねえ、あの金髪の人誰?」

彼が何者なのかを聞いた。

「プリンスピエール様♡ 中等部の生徒会長でテニス部とフェンシング部の部長なの、ちなみにあたしたちは初等部ファンクラブの…」

「おはよう」

「え…」

「おはよう」

アレが誰か聞いていたらその男子生徒から近づいてきて私たち、というかショコラに微笑みながら2回挨拶をした。

 

「…なによ、名前聞いたりして!知り合いなんじゃん!」

「しかも向こうからおはようって!」

「どういう関係!?」

クラスメイトからちょっと詰められているショコラ。

「あたしの家来」

「ちょっと!冗談でもそんなこと!」

「うそうそ、あたしの兄貴」

「えっほんと!?スゴ…」

「うっそー」

「もーーー!ほんとかと思ったじゃん!」

キャッキャと話す女の子たち。流石はショコラ、ちょっとピリついた雰囲気だったのに上手くコミュニケーションを取りちょっと仲良くなっている。

ふと上を見るとさっきの男子生徒が2階の窓からこちらを見ている。なんとなく査定されているかのような視線を感じて、私はショコラとバニラに声も掛けず逃げるように教室へ向かった。

 

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学校2日目、授業がやっぱりよく分からない。算数と国語は何となく雰囲気でできるけど社会と理科(特に科学)は本当に分からなくて隣の席の女の子が察して色々教えてくれた。昼休みはその子とその友達がご飯を一緒に食べようと誘ってくれたので一緒に食堂へ。

 

食堂は中等部含む全学年の生徒が集まるようでかなり広い。そもそも生徒はお弁当を持参するか学食を食べるかその日の気分で決められるようで、全員に学校から学食用の決済カードが支給されている。確かに全校生徒と小銭のやり取りをするのは食堂が混んで大変だしお金自体が生徒同士のトラブルの元になりかねない。学校にそんなシステムを入れられるとはかなりハイテクだ。食べ物も自分の好きな物をその場で選べるしそれもかなりの種類がある。

昨日はお昼休みロビンがそれぞれにサンドイッチを持ってきて中庭で食事を済ませていたので知らなかった。ロビンに失くすなよ、と言われて渡されたカードの意味がようやく分かった。

 

「夢咲さんって加藤さんと愛須さんと一緒に転校してきたけど知り合いなの?」

「一緒に学校来て一緒に帰ってくもんね」

「そうだね、知り合いというか一緒に住んでる」

頼んだカルボナーラを頬張りながら質問に答える。

「どういう関係?パパとママは?」

「私たちみんな親が海外だからね、親同士が仲良いから子供達も一緒の方が安心なんじゃないかな?私たちがバラバラに住んでたらロビンさんも私たちを見るの大変だもんね」

「あ、そっか。みんなロッキンロビンがみんなの保護者?なのか」

それっぽいことを言ってみるが納得してくれた。一応嘘とは思われてないみたいけど根掘り葉掘り聞かれると困るので話題を少し変える。

 

「2人は前から仲良しなの?」

「うん、2年生の時桃花と同じクラスになってそれから!」

「柚葉ちゃんと隣の席になったんだよね」

私の隣の席の子は柚葉ちゃん、その友達は桃花ちゃんというらしい。

「ねえ、夢咲さんのことシャンティちゃんって呼んでもいい?」

「呼び捨てでもいいよ、好きに呼んで」

「やった!じゃあシャンティて呼ぶ!」

名前の呼び方一つで喜んでいる2人がとても可愛らしい。たわいもない話をしながらご飯を食べ終わり食後のコーヒーを飲んでいると

 

「あ、愛須さんじゃない?」

桃花ちゃんに言われてそっちを向くとバニラがいた。バニラは先に私に気づいていたようで

「バニラ、今からご飯?」

「ううん、食べ終わったところ」

近くに来たので言葉を交わす。

「シャンティちゃん、もうお友達ができたの?」

「うん、この子が隣の席の柚葉ちゃん、この子が桃花ちゃん」

「隣のクラスだけどよろしくね!」

柚葉ちゃんがバニラに声をかける。物怖じしない積極的な性格の子だ。

「うん、ありがとう…シャンティちゃん、ショコラちゃんが中庭で待ってるけど来れそう?」

「あ、行く行く」

ちょっと冷めたコーヒーの残りを飲み干して席を立つ。

「ちょっと行ってくる、2人ともまた後でね!」

「「いってらっしゃーい」」

食事のトレーを返却してバニラと小声で話しながら廊下を歩く。

 

「午前中過ごしてどう?バニラ」

「まだクラスの子達と話すの緊張する…」

「ハートは?取れた?」

「まだ…お昼ご飯1人で食べてたら話しかけてくれた男の子が3人いたけどハートは見えなかった」

「そっか、でも向こうから興味持ってくれてるならハートを取るチャンスかもね」

「そうだといいな…シャンティちゃんは?」

「私は…正直授業受けるのに精一杯でハートまで手が回らない!」

「人間界の授業、魔界の勉強と違うもんね…」

それぞれのギャップや苦労があるなと思いつつショコラの元へ。

 

「2人とも、調子はどう?」

ショコラはなんだか楽しそうだ。

「ショコラテンション高いね?いいことでもあった?」

「ほら、朝会った金髪の人いたでしょ?ピエールってやつ!」

 

ショコラは2回も向こうから声を掛けられたのでオレンジのハートを彼からもらうことを決めたようだ。クラスの子達に情報をもらって食堂でピエールと接触、1人でご飯を食べている彼に寂しいだろうから一緒にご飯を食べてあげようか?と提案したところ神妙な顔で1つお願いをされたようで、

 

「にんじん食べてって、キライだって言ってるのにあいつが入れちゃうんだよ…ってコックさんの方見て言ったの!あっはは、変なやつ!」

大爆笑しながらショコラは言った。

「ショコラちゃん…」

「なに?どしたのバニラ…」

バニラがのぞきメガネでショコラを見ながら

「ショコラちゃんのハート!!オレンジに光ってる!!!」

焦ったような、少し切羽詰まったような声で言った。

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