「ショコラちゃん…どうするの!?ハートなんてあたしたちが出したら、人間に恋なんてしたら!」
「しーっ!エンギでもないこと言わないでよ!」
青ざめた顔で慌てる2人。
【ハートは奪う物で決して奪われてはいけない】
これは魔界の掟であり、相手が魔女や魔法使いならともかく人間に恋をするなんて言語道断。魔法使いとして失格であり魔界裁判で100%有罪判決を受け千年間その姿を剥奪され動物に姿を変えられ闇の中を彷徨うこととなる。
「ちがうもん!!ピエールなんか好きじゃないってば!!」
「でもハートが出ちゃってるよ!」
「どうするのショコラ!!」
「…ピスじゃなくて?何色の?」
少し冷静になったショコラの声にもう一度2人でのぞきメガネを作る。
「…うん、ちゃんと見てもやっぱりピスじゃない」
「オレンジのときめきハート…」
「…あたしとしたことが!!カッコ悪い!!」
カシャ
「ん?」
何かの機械っぽい小さい音が聞こえた。カメラのシャッター音?ショコラの方が気づくのが早くその音の方向に勢いよく近づいて木の影に隠れていた人に話しかけた。
「ちょっと!何やってんのよ」
「うわっ…」
ショコラに詰められ尻餅をついたのはメガネをかけた初等部の男子生徒だ。
「勝手に人の姿映さないでよ、あんた誰!?」
「あっ…えっと、同じクラスの」
「同じクラス〜〜〜?ぜんっぜん印象ないけど…」
「同じクラスの西谷だよ…新聞…」
「新聞?」
「新聞部なんで写真撮ってただけだよ!!ごめん!!」
走って逃げていった。ショコラと同じクラスの男子生徒だったようだ。
「…なんだ?あいつ」
「でも!」
「うん、見えたね」
「ハート、それもオレンジ!」
「やったねショコラちゃん!」
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ショコラに謝って逃げた勢いでそのまま新聞部まで走ってきた西谷は部室に入り扉を閉めて息を整える。
「おー待ってたぜ西谷!」
先に中にいたのは御門アキラ。
「どーだ!オレの言う通りあの転校生、宇宙人だっただろ!」
「アキラ!!かわいいじゃん加藤ショコラ!!どこが宇宙人だ、アホ!!」
ドヤ顔で西谷に話すが大声で否定されて
「な…どうしたんだ西谷、なんでおこってんの?」
アキラは引いてしまった。
「部長、次の記事だけどさー」
別の子が西谷に話しかけるが
「ん?…もう決まってるから」
「へ?」
「ボクが書くから、写真ももう撮ってあるから」
「「…」」
部員たちの顔も反応も見ずにパソコンに向かい勢いよく文字を打ち始めた。
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「むっふっふ〜!ラッキー♡」
猫足のバスタブ、泡風呂の中。
「明日早速あの子のハートをもらっちゃおう」
自分が特に何をしたわけでもないのにオレンジのハートが手に入りそうでご機嫌なショコラ。
「それから…そうだ、ピエール!嫌なこと思い出しちゃった、気をつけなきゃ!あいつには二度とときめかない!」
絶対に好きになんかならないもん と心に決めて、でもあんな澄ました顔して「にんじん食べて」って…本当に食べていたらどんな顔してたんだろうと考える。そう考えることで自分の胸にまたオレンジのハートが出てきていることにショコラは自分で気づいていない。
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「あ、バニラ。どう?ショコラの様子」
リビングでくつろいでいた私はショコラの部屋から戻ってきたバニラに聞く。ソファに座って
「またハートが出てた…ホントにピエールが好きなのかな」
「そっか…幼馴染としてどう?今のショコラ」
バニラは少し考える。
「ショコラちゃんはモテモテだったけどショコラちゃんが誰かを好きになることは多分なかったと思う…それになんか…分かんないけどあの子はやめた方がいい気がする」
「でもどういえば手を引くか、だよね。ショコラはピエールからまだハート取る気がありそうだし私たちが何か言って素直に聞くとも思えない…」
私たちは顔を見合わせてため息をついた。
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「取材!?」
「うん…お願いできるかな?」
廊下で西谷に呼び止められたショコラ。
「いろいろ質問に答えてくれるだけでいいんだ」
新聞部の取材の申し込みのようだ。
「うん、いいよ」
「ホント!?じゃあまた後で図書室で!」
2人きりのチャンスにハートをもらうつもりで承諾し教室へ戻るショコラに
「おい!!お前!」
御門アキラが話しかけた。
「何?」
「西谷に何したんだよ!お前の写真撮りにいってからおかしなことになってんだぞ、周りの意見は聞かねーしゲームの話も乗ってこねーしぼんやりしてアホ顔だし」
だからなんだという顔でショコラはアキラに問いかける。
「…それがなんであたしに関係あんのよ」
「大アリだね、あいつはお前のことがスキになっちゃったんだから!」
「ちょっと待て!!アキラ!!」
教室の手前でそんな話を大声でしていたから西谷本人にも聞こえていたようで強烈なタックルを喰らうアキラ。
「何勝手に言ってんだよ!」
「え〜ちがうの?」
「ちがくもない…けど、そう言う問題かよ!ふざけんな!」
「……。」
「お前とは絶交だ!新聞部にも来るな!」
「あーわかったよ」
一方的に絶交宣言をされたアキラは教室へ入って行った。
「ごめん加藤さん…」
「…?ううん」
「図書室、行こうか」
ショコラと西谷は歩き始めたが、2人のやりとりを見ていたショコラはどうしてアキラと西谷が絶交したのか理解ができず考える。
(この子は友達のアキラと絶交するほどあたしのことが好きなの?それならそれを伝えてくれたアキラにどうして怒るんだろう…好きってことを相手に知られるのがそんなに嫌なのか…やっぱり人間は違うなー…)
西谷の後について図書室まで来て
「じゃあ約束の取材を、どうぞこっちに座って…なんか怒ってる?」
考え事をしている顔のまま座ったショコラ。
「別に!早く質問しなよ!」
少し気を使ってきた西谷にぶっきらぼうに返す。
「うん…じゃあ趣味は?」
「カエル狩りとクモ人間ごっこ」
「クモ人間?…じゃあスキな食べ物は?」
「チョコレートとホネホネキャンディー」
「ホネホネ…?新しいやつ?」
「昔からあるよ、次の質問は?」
「じゃあ好きな言葉は?」
「ぶっとばす!」
「なんか…すごい変わってるね…」
「そう?次の質問は?」
「じゃあ…好きな男の子のタイプは…」
「好きな男の子?そんなのいないよ」
そこまで話したところでコツコツと足音が聞こえショコラがそちらをチラッと見ると
(ピエール…!)
図書館の本を返しにきたピエールがいた。ショコラはつい目を合わさないように下を向いてしまう。
「じゃあ…理想でもいいよ!理想のタイプ!」
心臓バクバクのショコラはつい
「にんじんが食べられる人!好き嫌いの多いやつはお断り!」
ピエールに聞こえる声でそう言い放ちそのまま立ち上がって
「加藤さん!?どうしたの!?」
「あたし用事思い出したから!!またね!」
そのまま図書室から逃げるように走り去った。
「ねえ!まってよ」
1人残された西谷は
(行っちゃった…怒ったのかな?何考えてるかさっぱりわからない…)
「よし、頑張っていい記事書くぞー」
考えながら独り言を言った。
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(危なかった…)
学校の裏の森まで来てしまったショコラ。
(ピエールのやつ、いきなり現れるんだもん…びっくりして西谷のハート取るのを忘れちゃった、せっかくのチャンスだったのに…)