アグロデッキから始まるカードゲーム学園生活   作:レッドゾーンX

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校内ランク戦!初対戦の相手は……?

 そして、翌日。俺はデュエル・アカデミーの門をくぐり、教室へ向かう。

 カードゲームアニメでしか見たことのない、プロカードゲーマーを養成するための学校……それが、デュエル・アカデミー。

 成績によってランクが分けられていたり、生徒同士でチームが組まれていたりと色々と面白いところがあるが、今はその話は置いておくことにしよう。

 

 今は目前にまで迫った初デュエルが何よりも重要だと、そう思いながらワクワクしっぱなしになっている俺に対して、カードの中にいるオウガが声をかけてくる。

 

「おい、アギト。少しは落ち着いたらどうだ?」

 

「そんなの無理だって~! アカデミー入学後初のデュエル! しかもお前と一緒に組んだデッキで戦えるんだぞ? ワクワクが止まらなくて当然だろ~!?」

 

「まあ、気持ちはわからなくもないが……」

 

 初陣を前に心が奮い立つというのは、人間もクリーチャーも共通しているだろう。

 俺の場合は奮い立つというよりかは浮足立っているという感じではあるが、初デュエルが楽しみなんだから仕方がない。

 

 クラスを担当している先生の話を聞いて、支給された携帯端末に出ている番号によって対戦相手が決まることも教えてもらった俺は、早速、その番号が書かれているデュエルスペースへと向かった。

 

「今回は入学後初のデュエルなので、エキシビションマッチという側面が強いですが……一か月も経つ頃には、皆さんにも我が校で開催されているランクマッチに参加してもらいます。そこに照準を合わせて、自分なりの戦術を見つけ、磨き上げていってくださいね」

 

「一か月……長いのか短いのかわからんが、それまでにこの貧弱さをどうにかしなければ……!!」

 

「焦るなよ、オウガ。今は目の前のデュエルを楽しもう!」

 

 俺たち新入生が本格的にアカデミーのランク戦に参加し始めるのは、今から一か月ほど後のようだ。

 それまでにデッキの調整等、やりたいことは山ほどあるが……今はデュエルを楽しもう。

 

 そう思いながら自分のスペースで対戦相手を待っていた俺は、不意に響いた大きな声に驚いてしまった。

 

「おいおい、ツイてるぜ! まさか、初デュエルの相手がお前だとはな!」

 

「あれ? 君は昨日の……!」

 

 その声の主の顔に見覚えがあった俺は、目を丸くしながら彼の言葉に反応する。

 サル顔の大柄な男子生徒……端末の画面には、猿川マサルという名前が表示されている。

 顔見知りといえば顔見知りでもある彼が初の対戦相手だと知って少し喜ぶ僕であったが、マサルの方は別の意味で悦びを露わにしていた。

 

「お前、あの雑魚リーダーと契約したんだろ? だったら俺の勝ちは決まりじゃねえか! 楽勝も楽勝だぜ!」

 

「この、サル顔めがぁ……! 俺を馬鹿にするのもいい加減にしろ!!」

 

「わ~わ~! 落ち着きなって、オウガ。これからデュエルするんだから、そこで目にもの見せてやればいいだろ?」

 

「はっ……! お前、本気で言ってんのか? 目にもの見せるとか、無理に決まってんじゃねえかよ!」

 

 ぎゃはは、と大口を開けてマサルが笑う。

 どこまでもオウガと僕を舐め腐っているその態度に若干イラっとしたが、今は黙っておくことにした。

 

(どんなカードゲームでも、対戦相手へのリスペクトは忘れちゃいけないんだけどなぁ。そういうマナーは普及してないのか……?)

 

 これはカードゲームに限らず、全ての勝負ごとにおいて当たり前のことだ。

 相手の使っているカードやデッキを馬鹿にしたり、不快な思いをさせないように紳士的な言動を心掛けなければならないはずだが、マサルはそういったマナーから逸脱した振る舞いを見せている。

 

 腕に自信があるからこその言動なのかもしれないが、そういった振る舞いは避けるべきだ。

 オウガを馬鹿にされたこともそうだが、そんなカードゲーマーとして当たり前のことすらできていない相手に負けるのは嫌だなと考えながら、僕は昨晩組んだデッキをCD用のテーブルの上に置く。

 その後で相棒となるリーダーカードを手に取った俺は、それを指定のスペースに起きながら声をかけた。

 

「さあ、初陣だ。勝ちに行くよ、オウガ!」

 

「当たり前だ! あのサル顔の鼻を明かしてやるぞ!」

 

「ははっ! プレイヤーもクリーチャーも揃って馬鹿とか、救いようがねえな! サクッと捻り潰してやるよ! 来い、エイブ!!」

 

「ウキャキャキャキャキャッ!! やってやろうぜ~!」

 

 マサルが場に出したリーダーは、彼そっくりのサルのクリーチャーだ。

 色は赤。ライフは5。パワーも平均の5000……とその情報を確認した僕は、全ての準備を終えると共にデッキからカードを引く。

 最初の手札となる五枚のカードを確認した僕は、小さく息を吐くと共にその中の数枚を選ぶと宣言した。

 

「このカードをデッキに戻して、同じ枚数を引きます。そちらは?」

 

「俺はこのままで問題ない。マリガンはなしだ」

 

 CDでは、最初にカードから好きな枚数を選択してデッキに戻すことでそれと同じ枚数のカードを再度山札から引けるというルールがある。

 これにより、必要なカードを抱えながら他のカードを探しに行くという動きができるようになっており、プレイングの安定性を引き上げてくれていた。

 

(うん、悪くない。いい初手だ)

 

 改めて引いた五枚のカードを確認し、頭の中でプレイングを組み立てていく。

 想定通りに動くとは限らないが……自分の中で納得できる戦い方を見つけ出せた僕は、マサルへと声をかけた。

 

「待たせてごめん! 準備、OKだよ!」

 

「じゃあ、始めるか。いきなりひどい負け方をすることになるとは思うが、俺を恨むなよ? 弱いリーダーと、そんな奴と契約した自分を恨みな!」

 

 どこまでも余裕たっぷりなマサルからの嘲りの言葉は、もうどうでも良かった。

 ただ、自分で組んだデッキで、自分が選んだ相棒と、カードゲームができる……その歓喜で胸をいっぱいにしながら、俺は大声で叫んだ。

 

「「コントラクターズデュエル、スタート!」」

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