ただのパブリックエネミーに転生した人   作:性癖の暴走

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 ──────私はその日の出来事を生涯忘れる事が出来ないだろう。あの、この世で最も存在してはならない怪人の事を。

 


CaseNo.2 『無印シーズン終盤に絆されて仲間になる系魔法少女』

 

 

 私の名前は『黒羽 紫苑(くろは しおん)』怪人に両親を殺されたショックで魔法少女としての覚醒した只の中学生。

 

 聖ユニコーン学園に通っていた私は、二度とパパとママの様な犠牲者が生まない為、学業の傍らに怪人狩りを必死に行い続けていた。幸いな事に私にはその道の先輩でもあり同時に親友の魔法少女がバディを組んでくれていた為、その生活でも結果を残せていた。

 

 でも唯一の親友も、パパとママを殺したあの怪人の攻撃から私を庇って殺された。

 

 パパとママが死んだのはあの時、私に力が無かったから。

 

 私が弱かったからあの子は私を庇って死んでしまった。

 

 その日から、私の中の時計の針はきっと止まっちゃったんだと思う。

 

 

「────私には仲間は必要無い。貴女達マジカル☆クリティカルの様に群れなきゃ戦えない魔法少女はメイワクなだけ」

 

 

 私は強くならなきゃダメなんだ。パパとママの無念を晴らす為に、私を庇ったあの子が無駄死にじゃ無い事を証明する為に、怪人を根絶やしにしなきゃいけない。それが私達魔法少女の使命で、人々の安全の為に心血を注がなければならないのに、遊んでる彼女達を見ていると無性に腹が立った(嫉妬した)

 

 だから手合わせと称して彼女達と戦った。彼女達は才能こそあったけれど、敵に対する苛烈さが無い。それじゃあダメ、死んでしまう。だって怪人は卑怯で、卑劣で、どんな手でも使ってくる。

 

 そして、そんな奴等の思惑にハマれば被害を受けるのは戦えない人達になる。それじゃあ怪人達と同罪だ。そんな魔法少女は要らない。

 

 

「そんなの辛いだけだよ……シュヴァルツちゃん」

 

 

 倒れ伏したマジカル☆クリティカル達。その中心人物の『赤星 明里(あかほし あかり)』こと、マジカル・ロートは私を憐れむ様な目でそんな事を口にする。

 

 何も失った事が無いからそんな事を言えるんだ。

 

 

「辛いとか、辛く無いとか、どうでもいい。私は怪人を倒すだけ」

 

 

 そう言った瞬間、遠くにとても強い怪人の反応があった。彼女達のサポートをしている妖精が何か騒いでるけど、あの消耗じゃあ駆け付ける事は出来ない。

 

 私はプラスエナジーを使って飛翔する。その速度に彼女達は驚いていたが、真面目に怪人を倒していればコレぐらい朝飯前。

 

 

「行くよモルモル。怪人は全部倒さないと」

 

「しゅーちゃん。少しは休んだ方がいいモルよ……」

 

「まだ大丈夫。それに私はあの子の分も戦わないといけないから」

 

「モルゥ……」

 

 

 肩の上に乗ったモルモル(ハムスターの妖精)が心配そうにしているけど大丈夫。プラスエナジーもまだまだ余裕があるし、今日はエネルギーバーじゃないごはんをしっかり食べて来てる。

 

 だから心配しないで? 今日も危なげなくやっつけてみせるから!! 

 

 

 

 

 ───────── と言う決意を持ってるっぽい魔法少女が僕の目の前でお腹を抑えながらプルプルしてるんだけどどうしたらいいんだろうね?

 

 

 いやまぁ、身体が言う事効かないんですけどね???

 

 

  

 「どうしたモル?! しゅーちゃんさっきから変モルよ!?」

 

 「オナカイタイ」

 

 「えっ? 何言ってるモル? 声が小さくて聞こえないモルよ!!」

 

 「ヤメテ……コエ……オナカ……ヒビク……チョット……オシッコ……デタカラ……!!」

 

 「顔が青いモルよ!? 本当に大丈夫モル!?」

 

 

 肩の上にいるモルモット風の妖精が大きな声で彼女に話しかけているが、その度にビクッとなったり、めちゃくちゃ深呼吸したり、明らかにトイレを我慢している人間の動きをしていて凄まじく不憫だ。

 

 なんとか、こう、頑張って身体の制御が出来ないか頑張っては居るんだけど、連続攻撃が一回攻撃になるくらいの変化しか起きない。

 

 不定形の身体はグネグネと変形し、鞭の様にしなりながら目の前の少女の腹部を狙って攻撃を放つ。空気の壁が破裂したような音と共に強烈な打撃が見舞われたが、何故かその場に彼女は居なかった。

 

 

 「残念モルね!! どうやらお前の異能はボク達妖精には効かないようだモル!!」

 

 「………そうね」

 

 「咄嗟にテレポートしたのは正解だったモル。ちょっと着地に失敗してお尻から着地したけど大丈夫だったモルか?

 

 「…………………………大丈夫になったけど大丈夫じゃ無いから撤退」

 

 「な、なんでモル!?」

 

 「撤 退 す る か ら !!

 

「り、了解モル」

 

 

 そう言って、極力お尻が地面に付かない様な座り方をした彼女は死んだ目でテレポートを催促して妖精と共に去って行った。

 

 今回……僕、悪くない……よね?

 




 
 ・黒羽 紫苑

 過去に囚われてる系ヒロイン。こっからなんやかんやマジカル☆クリティカルと衝突したり協力したりして仲を深め、最後に自分の思いを吐露したり、気を失ってる時に両親や親友ちゃんと霊界交信したりして過去を振り切り、未来に向かえる筈だった。
 
 悲しいかな、主人公と出合った所為でヨゴレてしまった模様。自前の物と親友ちゃんの形見、この二つの変身アイテムで二重変身してたので、めちゃくちゃ頑張って耐えてたけど、サポート妖精がよかれと思って行ったテレポートでダムが決壊。悟りを開いた様な遠い目をしながら撤退した。

 幸いな事に()()()目撃者が居なかったが、この後主人公絶対殺すウーマンになったので光落ちルートは消えました。

 ・妖精
 ヒーローやヒロインのサポート役。プラスエナジーによって生み出された存在の為、『生命体』の概念に当てはまらず、また『生命体』の原罪を持たないので主人公の異能の対象外。ただし直接戦闘力が無いのと、生理現象をイマイチ理解してないので割と味方の中の敵。

 お腹抑えてる人の背中をバシバシやったりする。今回はモルモット型だったので大きな声で喋る程度だったが、その度に『ぐぅぅぅぅッ!?』『はッはッはッ!!』『おごうッ!?』など女の子が出しちゃいけない声をパートナーに上げさせていた。


 ・主人公

 前世で大罪を積んだと思い込んでいる社会的尊厳絶対破壊怪人に転生した人。実際は真逆で徳を積みまくってたが、神のミスで死亡→神のミスで前世の記憶がぶっ飛ぶ→神のミスで転生先がコレになると言う苦労人。因みに神の姿は黄色いヘルメットを被った猫だったとかなんとか。

 ・社会的尊厳絶対破壊怪人

 圧倒的外道。前話では触れては居なかったが、外道能力云々以前の問題点として高次元の存在の力が介入して生まれた存在の為素の戦闘能力が3桁程違う。以下は代表例。

 ・不定形故に物理攻撃が効かない。
 ・分泌されている粘液が不思議パワーを無視する。
 ・公衆の面前で服だけ溶かす液を分泌する。
 ・ダイダランシーの様に衝撃で硬化する。
 ・超音速以上亜光速以下で行動する。
 ・不定形故に全身グネグネ整形して予測困難な攻撃をする。
 ・異能で中腰になってる奴の腹を執拗に攻撃する。
 ・中の人含めて誰も知らないが倒したら強化形態で復活する。

 遭遇したらトイレに引き篭ろう。
 
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