「今日は皆に採ってもらった薬草を使って魔力を高める薬を作る‥何度も失敗して少なってもダイスケ先生が採りに行ってくるから安心してほしい。」
「えー皆頼むから出来る限り失敗しないように‥これ初歩の初歩だからクロード先生と魔導書の通りにやれば上手く出来ると思うから。」
兄弟子と俺が生徒達にそう告げる。
実習室で皆騒ぎながらも授業に取り組んでいる‥あっユゥが薬草を食べている。
隣にカペラが
「おぃバカ食うな!!」
ユゥに言うがそれでも黙々と食べている。しかもマンドレイク‥まぁ薬用だから多少食べても人体に影響はないな‥根菜だから食べたことがないけども‥。
メロウもメロウでマンドレイクを見て
「可愛い〜♥」
目をハートにしている‥可愛いか?あっでも世の中には
"ブサカワ""キモカワ"というジャンルがあるから否定は出来ないが頼むから授業を真面目に受けて欲しい。
そして一番の疑問点はレオだ。
あいつの目の前に白い布に覆っている何が置いておる。
なんだあれ!?
俺授業前にそんな物を準備した覚えがないぞ?
あれなんかよく見るとちょと動いてねぇ?えっ?生物?
‥兄弟子なんでツッコまないの?気づいていないの?
思いながらも俺は一人の生徒を見た。
花がらの可愛らしいエプロンを纏っているカストル。
あの事件以降授業に出席しておりなんなら補習も昨日終えたばり。
カストルは素行不良は目立つが学業自体は真面目にやれば学年の平均的点よりも上の方だと思っている。
だか惜しむ事か魔法はミラーオーグメント以外は使えない所である。
魔法の才能は妹のポルックスが受け継がれている。
一見すると致命的な弱点だ‥しかし"一つの魔法を極めれば"十分に役に立つと俺は思う。
フィジカルを鍛えればもっと面白くなるな‥。
なんならあいつが昔のように俺に"組み手"を申し込んだら喜んで受けようと思っている‥が最近何故かあいつ俺に対してあんまりいい顔をしていないな‥警戒されているというか感じだな‥俺が一体何をしたって言うんだ‥。
「いや〜男が増えるとむさくなっちゃうな〜てか君女に変身出来るんだって?変わってよ。」
「先生こいつ殺していいか?」
「授業中はやめときなさい。」
「はぁ‥‥放課後俺らが見ていない所でやれば問題ないぞ。」
「何言っているんですか!?二人とも!」
手を挙げたカストルの物騒な問に対し俺達の答えにツッコミを入れるスピカもちろん冗談だがな。
それにしても彼女は本当にツッコミの才能があるなと感心してしまう‥。
アストレアがどこで知ったか知らないがカストルの体の秘密を知っているようだ。
あいつはあの厳しい教頭の息子とは思えないほどの軟派な男。
なんでも親御さんによると昔"些細な喧嘩"をした為に一般な中学校に入学をしたが中学卒業前に本人がディアナに入りたいこれまでは比べようもない熱量を持って入試試験を受けて見事合格したそうだ。
親御さん曰く
"本当だったらあのバカ息子が私の言う通りに中等部に入ってくれたらあんな女にだらしない性格になっていなかった。"
悲しく遠い目でぼやいていたなぁ‥。
言わせてもらえば確かに女にだらしないが‥それを除けば成績自体は問題はないむしろ優秀な部類だなと俺は思う。
‥‥生まれ故郷の"愉快な変態な先輩たち"に比べればまだまだ可愛いもんだと感じてしまう。
「先生私シカを捕獲したので鍋に入れてもいいかしら?」
「いつの間に‥ってかまだ生きている!?」
「‥森に返しなさい‥あと勝手なことをするなよ。」
俺はツッコミをして兄弟子はため息混じりで呟く。
白い布に覆い被さっていたのは生きている成体のシカ‥彼女は暴れないように角をしっかり持っている。
円らな瞳でこちらを見ている‥前回のマンドレイクの時に彼女はシカを捕獲していたがあれよりは大きさが一回り大きいやつだ。
まさか授業前に生け捕りにしてきたのか‥?
このカヴン‥個性的な生徒がやっぱり多くてまとまりが出来るのか心配になってきたぞ。
マトモなのはやっぱりこのカヴンのツッコミ役のスピカし‥。
「先生方せっかくだし鍋パーティーもいいのでは?‥ごめんなさい。」
「スピカ‥キミもか。」
兄弟子が無言でスピカを睨み俺は嘆きの声を出す‥。頼むから授業を受けて欲しい‥でも鍋パーティーは悪くないな‥ん?
「‥‥。」
そんな俺達のやり取りをしているスピカを見つめている生徒‥アリアがいる。
「何?」
「別に〜。」
スピカは気づいてアリアに言うが素っ気ない態度で返されていた。
授業はなんとか終えて放課後を迎えた。
放課後一通りの作業を終えて俺は本当だったら寮に帰る所だが裏山で魔法の特訓をしているスピカと兄弟子に顔出しにその前に‥購買部で差し入れを購入してさて行こうとすると。
「ダイスケ先生。」
「?」
背後から声が聞こえ後ろを振り返るとそこにいたのは銀髪のロングヘアーの生徒がいた。何故か真剣な眼差しで俺を見ていた。
「カペラか?どうした?」
背後にいたのはカペラことカペラ・カプリコーン。
カヴンの生徒の一人でユゥ・アリーズの相方的な生徒。
資料によれば両親がこの国の官僚と教師という職務についている言わばエリートな家庭の生まれだったな。
しかもスピカと同じくあの受験を合格したという。
ここ数週間見る限りカヴンの中でなんの問題を起こす事はない素晴らしくも真面目な生徒だと俺は思う‥がそんな生徒が俺に声をかけてきた。
もしかしてこの学校生活に悩むでもあるのか?相方のユゥのことで何かを吐き出しいことがあるのか?
「実は相談したいことが‥。」
ほら来た‥きっと兄弟子には言えないが俺になら言いやすいんだろうな。
悩みを聞いてあげるのも教師の役目。
「相談?いいぞ。なんならそこの空いている相談室に行くか?」
「はい‥ん?」
「Z〜Zz〜」
俺達の背後からが何がというかいびきのような声が聞こえる見るとフラフラと歩くユゥが現れた。
「あ、あれって寝ている?寝ながら歩いているの?」
「あのバカっ‥!おい起きろユゥ!!」
「Zz‥Zz〜Zz。」
カペラは彼女に近づいて起こすが一向に起きない。
「おいユゥくん?起きて起きて‥。」
彼女の耳元で何度も指を鳴らしてみるが本当に起きない。
どうやら本当に起きないもようだ‥。
「すいませんいつもこうなんです。」
カペラは謝るが俺は別に気にしてはいないむしろこれ病気なんじゃね?と心配してしまう。
「ならばこれはどうだ‥。」
先ほど特訓中のスピカと兄弟子の為に購買部で購入した差し入れ‥チョコレートをふんだんに使ったドーナツをユゥの鼻、口元に近づける。
「‥!!」
すると彼女はドーナツの甘味に気づいて目を覚まし食べる。
「よし。起きた!」
起きたことに喜びを感じながらも何故か彼女におかわりのドーナツを与えていた。なんというか‥小動物に餌をやっている気分になっている。おかわりか?いいぞ?いいぞ‥。
「先生‥ユゥにそれ以上食べさせるのは‥。」
「‥‥はっ!?」
俺はカペラの言葉に目を覚ました‥いつの間にか差し入れが全部ユゥにあげていたのであった。
先程の騒動を終え俺とカペラ、ついでにユゥが相談室の部屋に入る。
狭いがここなら防音とかもなく他人には言えない悩むを打ち解けるのは丁度いい。
‥ってその前にユゥはまたコクリコクリと眠気が強くなってきているな。
二人を座らせて本題に入る。
「‥‥それでその相談とは?」
俺がそう言うと彼女は真っ直ぐな視線を向けた途端に頭を下げた
「頼む!私に先生の"ワル"を教えてくれ!!」
「‥‥ハイ?」
耳を疑った‥えっ?俺のワル?ワル!?
戸惑っていると彼女は続ける。
「私はこの学校を選んだ理由の中にかつて先生がここの生徒の時にやった数々の"伝説"に憧れて日々目指そうとしています!でもワルってなんなのか未だに分からない‥だから教えて欲しいんだ!先生のワルの美学を!!」
彼女は大真面目に言う。
俺はあまりの事に天井を見上げながら言葉に出来なかった‥俺は学生時代そこまで悪いことはしていないぞ?
ただ胸糞悪い先輩、同級生を決闘と称してぶっ潰したり(※半殺し)追放したりほんの少しだけ改良と称して違法魔道具の製造をしたがそこまで別に悪いことはしてないぞ?
それにワルってのは別にいいものじゃないぞ?マジで。
ここは一人の教師(※見習い)として彼女を諭さないと‥!
「あーカペラ君のような‥真面目でしっかりしている生徒がワルに憧れてはー」
「マ ジ メ‥。」
俺が彼女を諭そうとするが突然彼女の遮ったあと雰囲気が変わった‥どっどうした?
「マジメって言うなー!!私はワルだー!!!」
その途端に彼女がキレた!なんだ!いきなり!?
「窓ガラスを叩き割ってやる〜!!」
彼女は机にあった花瓶を取り窓ガラスの方に向かって投げようとする。
「おぃ馬鹿!やめろ!!」
彼女を止めようと俺は羽交い締めにして止めようとする
ここで問題が起きたら師匠(校長)と兄弟子になんて言われるのか分かったもんじゃない‥!
「離せ!この野郎!!」
激昂した彼女が暴れながら抵抗。頭を動かしながら後頭部を使って俺に頭突きをしようとする‥仕方がないかくなる上は。
「ごめん!!」
俺は告げると羽交い締めを辞めた刹那に彼女に密着し自分の両手を組み合わせて二の腕で彼女の咽喉、頸動脈を圧迫して絞めあげる。
「ぐっ‥!?」
彼女は逃れようと暴れるが無駄だ‥たった数秒だが暴れる力抜け弱くなると分かるとすぐに離す。
これ以上すると後遺症になる可能性もあるからだ。
「はぁ‥はぁ‥!」
花瓶は手を持ったまま割れずに済んだが水が溢れているが今はそんな気づいておらず必死に息を整えようとしている。
「すまん大丈夫か?」
俺はしゃがんで心配しながらそう言うと彼女はこちらを見て‥何故か笑みを浮かべていた。
まさかまたやる気か‥?すぐに立ち上がり距離を取り嫌々ながら構えると。
「‥その怪力と一瞬の判断力‥そして生徒になんの躊躇いもなく裸絞めをする教師‥最高だ!あんた最高のワルだ!」
目を輝かす彼女がいた‥。
いやいや君が突然暴れたから仕方なく"鎮圧"しただけで普段はこんな事はしないぞ?組手以外では。
「おーあのカペラをここまで追い込むのは初めて見たかも‥。」
先程まで睡魔に襲われていたユゥがこちらを見ていた‥。
「ゆ、ユゥくん?まさか見ていた?」
恐る恐る彼女に問う。
「先生がカペラに"真面目"って言った時に眠気が飛んだ。」
「そうか‥。」
つまり最初から見ていたという訳か‥やべーどうしよう。
カペラに裸締め、ユゥにはバッチリと目撃されている‥言われたら俺の教師(※見習い)生活終わりだな。
はっはっ‥どうしよー。
平静を装いながらも背中に冷や汗が出てきているなと感じていると。
「先生。」
カペラが俺の前に立っていた。
「なんだね‥?」
「やっぱり先生は力強く私が憧れていたワルだ!頼む私を弟子にしてくれ!あと先生直伝の体術も教えてくれ‥!!」
目を輝かしながらそう言ってきた。
もう一度断ろうとするが‥弟子にしてくれないとこの件を捏造してクロード先生に言う、他の教師達に言うと言ってきたのでやむなく了承した‥‥お前も教師(※見習い)を脅す立派なワルだと俺は思うぞ。
ユゥに至っては
購買部で菓子(※口止め料)を買ってくれたら寝て忘れるかも。
と言われたのですぐに買いに行ったらその日の購買部で売ってあった菓子を全部買わせられた‥。
二人はホクホクな表情を浮かべながら寮に戻ったが。
俺の心と財布が寒さを感じながらも相談室の後片付けをしながら一日が終えた‥。