どれだけ時間が経ったかいや‥まだそんなに時間は掛かっていないはずと思うほど長く短いと感じるほどの感覚であった。
師匠が俺が持ってきたたった数枚ほどの書類をいつもとは違う真剣な眼差しで見ている。
こういう時の師匠あんまり見たことがないな‥と思っていると師匠は書類を置いた表情はまだ真剣な表情であった。
「‥‥これ確かなこと?」
「今は亡き祖父の遺産の中から発見しました。しかもご丁寧に"あいつらの教義の詠唱"で解く厳重な仕掛けの中に入っておりました。」
「そしてこの調査結果は?」
「私の古いというか"腐れ縁の人達"が集めた情報しかも一部には表社会から抹消され裏社会‥それも古文書レベルの確かな情報を得たものも入っています‥おかげで色々と高くつきましたが‥。」
「アホ弟子‥私の何も知らない所で勝手に危険な橋を渡ろうとしているのですか‥。」
師匠が呆れ顔で言う。
正直に言うとある意味こっちの方が大変だった‥。
話し合いする前に揉めて危うく殺し合いになる寸前だったけども知り合いの先輩達のおかげでなんとかなった‥あれはあれで血の気の多い人達‥今思うと血の海地獄にならなかったのは奇跡だと思う‥
でも国から離れる時にあの人達が"落とし前をつけてくる"と言っていたけども大丈夫だよな‥。
「‥‥‥とりあえず貴方の出生と血筋は分かりました。それで何故その事を私に教えるの?」
師匠が問う。当然だディアナに戻ってそうそうこの事を告げるのはおかしい‥でも俺は。
「師匠相手に隠し事をするのは得策でもないしそれに俺にとって恩人の一人でもあり"身内"みたいな存在だから安心して素直に言える‥他の人には言えませんよ。」
いや待て‥あの失踪した兄弟子には言えるか‥いやでもあの人知った途端に最初は優しく接するけどもだんだんと弱みに付け込んで来そう‥質が悪いからなぁ‥Sだし。
「そぅ私が知る限りでは貴方は特殊な存在ね‥それでダイスケはこれから一体どうする?」
俺がふと思っていると師匠が問いかける。
2年ぶりににダイスケと優しく呼んでくれたな‥。
「‥‥実は隠されていた倉庫の中の祖父の遺書があって内容が俺への謝罪の言葉と"何も出来なくこの世を去る俺を憎んでくれ"と書いてありました‥‥でもはっきり言えば俺は憎んでも恨んでもいません。」
「‥‥‥。」
師匠はまた真剣にこちらを見ている。
生前祖父と暮らしていた時俺が寝ている時に深夜になんか泣き声が聞こえて泣き声がする方にこっそりとおっかなびっくりで見に行くと祖父の部屋から聞こえ少しドアを開いて隙間を見ると机に座りながら泣いている祖父がいた。
泣いている祖父の口から
"許してくれ。許してくれ。"と呟いていた。
俺はあまりの衝撃で固まっていると祖父が扉の隙間から見ている俺の存在に気づいた祖父は俺に近づいて‥俺を抱きしめた。
力強くそして暖かく温もりを感じた。
俺はその時に何を言ったか覚えていない。
それでも俺も負けずに強く抱きしめた。
その日は久しぶりの一緒に布団に入って寝た。
老人特有の匂いがあったが苦にもせずむしろ今はその温もりに包まれていたかった。
朝日が昇る頃には祖父が早く起き朝食を作ってくれた。
夜中の事はなんもなかったように振る舞ってくれた‥。
あれ以降祖父が涙を流す所は見なかったけども‥その数年後祖父はこの世を去った。
「俺にとって最初に魔法を教えてくれたのは祖父ですし、それに亡くなるまで一緒に暮らしていつも優しく笑っていてくれた。そんな祖父の心を少しでも和らげたのではないか‥今思うとあれが孫としてあの数年間は"最初で最後のおじいちゃん孝行"だと思っています‥‥真相知っても俺は変わらずに俺のままで生きたいと今回の帰郷で決意しました。」
「そぅ‥‥。」
俺が発言すると師匠がいつもの穏やかで優しい表情を浮かべた。
この表情なんど見ると落ち着くんだよなぁ‥。
俺が言いたいことを言ったし別の話題にふりますか‥。
「まぁ今後の俺の活躍を見届いてください。んで師匠俺本当に教師なれますよね?何処の学部ですが?中等部、高等部?個人的に出来れば入学そうそうの中等部の方がいいですよね。まだ生まれたての魔術師達を育てるのが俺の夢でしー。」
俺が熱弁を振るうように言うと師匠が先程とは穏やかな顔ではなく何故か目を細めて
「何を言っているのですか‥"お前"がいきなり中等部の教師を何かをしたら生徒達が付いて来なくなる‥それにまだ教師は教師でも‥見習い教師なお前‥。」
とんでもない事を言いやがった‥ってか口調が大分変わった‥いつもの師匠に戻っていないか?これ?
「はっ‥‥はい?見習い ?えっ?そんな俺が学園の生徒で在籍中に"見習い教師"とか聞いたことがないのですが‥あの失踪した兄弟子でも最初から教師だったような気がしますが‥。」
兄弟子は学園に在籍中に王国地上初17歳で教授になった。‥てっきり俺もそれぐらいかなと自負していたけども‥。
「あれは特例だ。あのバカ弟子は実績もあり能力もあった。周囲から特に王国からの信任もあったから選任にした。‥一方お前は兄弟子に比べて能力が低く実績があるがただ魔術師として品がないというよりはお前が"蛮行"が多くて選任をやめようかなと悩んだくらいだった‥でも弟子だから可哀想だからこれくらいの措置をした‥感謝してほしいなぁ‥。」
師匠はそう言う随分な酷評を出してきやがったなぁ。
「いやでも見習い教師って基本何をするんですか?」
「3年間カヴン(※クラス)を担当する先生の補佐とカヴンの生徒達の見守りと授業の補佐‥まぁ他には色んな業務に携わるそれぐらいかな‥。」
つまり副担任見たいなものか‥教授の元で学んで生徒達を見守り色んな業務をしつつ3年間で正式な教師いや教授になれー
「ちなみに何かしら問題行動が起こしたら即クビだから覚悟しとけよ。ただでさぇ多めに見ているんだからな。」
師匠の声が冷たく感じた‥。
というと師匠は机の上にある書類を見せて渡してきた‥承諾書と労働条件通知書、雇用契約書等の書類だな。
「さっさっと書け私だって忙しいんだから‥。」
「師匠‥一つ確認したいことがあります。」
書く前に聞きたいことがある。俺にとっても大事な死活問題な事だ。
「‥なんだ?」
「見習い教師って事はやっぱり給料は低いんでしょう?なら副業をしてもいいでー」
「駄目に決まっているだろうアホ弟子が。」
即答で拒否られた‥。
こうして結局サインをした。この事が後の幸か不幸か分からない。
誰の先生の下に付くのはまだ現状では決めていないいないらしく追って伝えると言われた‥。
出来れば高等部で3年間お世話になった恩師のヘルクレス先生か‥めっちゃくちゃ怖いけどもなんだかんだで面倒見のいいズベン先生の下に行きたい‥そうだ久しぶりに顔を見せに行こう。