TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド 作:ガテル
伊地知さん、山田さん、後藤さん、そして喜多さん、遂に結束バンドのメンバーが揃われました。そこで改めて「より一層バンドらしくなるには?」とバンドミーティングを行う事に、とても興味深いお話にございますから私も参加できてよかったです。前回といいメンバーではない私が参加してよいものかと思ってしまうのですが……伊地知さんが「花音ちゃんは実質メンバーみたいなものだよ!私達結束バンドに欠かせない存在なんだからさ!」と笑顔でおっしゃって、他の3人も頷いて同意してくださったのは本当に心の底から嬉しかったです。
結束バンドの今後に関わる、真面目なミーティングが始まります。
「まずは形から入ってみるのもアリでしょ!」
「アリですね!流行ってるメイクとかも真似してるうちに様になってくるというか!」
「そうそう!」
上手い例えらしく伊地知さんは共感されております、私はメイクに関しての知識が何もないので例えの意味が分からず首を傾げてしまいました。こういったお話には正直複雑な気持ちを抱きますが、やはり女の子であるならば少しは知っておくべきなのでしょうね……そう思っていると喜多さんが私に渇望の眼差しを向けてこられている事に気が付きました。
「……ほしいわ」
「喜多さん?」
体を震わせながらも徐々に光が強まっていかれて。
「―――私も琴寄さんみたいにノーメイクでその可愛さが欲しいわ!その綺麗すぎるお肌とかホント一体どうなってるの!?お願い!何か秘訣があるなら教えて!」キターン
「……栄養バランスの良い食事を取りよく寝る事、でしょうか?」
「健康的で素敵!」
「まま眩しい!?とっ、溶けちゃう……」
「話が脱線してるよ!?」
真面目なバンドミーティングでございますね?
「喜多ちゃんとぼっちちゃんも落ち着いたし……ようやくこれを出せるよ!」
伊地知さんが出されたのは、様々な色の結束バンドでした。これらは全てご自分で作られたそうです、私はこういったもの好きですし良いバンドグッズだと思いますよ。既に山田さんが自分の腕に青の結束バンドを巻かれていて、私はそれが気に入ったのかと思ったのですが……何やらペンでサインをしていますね?
「物販で500円で売ろう、サイン付きは650円で。花音のは多分倍……いや3倍でも売れるか?ほら、書いて書いて」
「だから花音ちゃんをビジネスに使うのはダメって言ってるでしょ!」
「両方10倍でも買います!」
「そ、それバンド内でお金が循環するだけじゃ……」
ビジネスの匂いを感じ、両目にお金を浮かべていらっしゃる山田さん。どうしても私に書いてほしいらしく、私の手に直接結束バンドを渡し―――
「……ごめん、やっぱいい」
しかし、お互いの手が触れあった瞬間に山田さんは顔を赤くしてその手を引っ込めてしまいました。それきり黙り込んでしまったので、とりあえず本人がおっしゃったようにサインの話は無かった事になりました。どうして山田さんはいきなりやめたのでしょうか……いえ、理由は明白ですね。私のサイン付きなど売れるわけがございません、なので売れ残り赤字化を回避するための判断でしょう。ええ、間違いないです。
そこから他にバンドらしくなるアイデアで、喜多さんがバンドのイソスタを担当するSNS大臣になりました。しかし、とある問題が。
「琴寄さん!一緒にイソスタやりましょう!」
それは喜多さんからイソスタを一緒にしないかと誘われてしまった事です、彼女はとても可愛らしいので向いてるでしょう。ですが私は……いえ、私も何かバンドに貢献しなければなりませんね。メンバーではない以上、音楽以外の部分で助けになれる所があるのなら望んでやるべきです。
「分かりました、やらせていただきます」
「キャー!イソスタ天下も夢じゃないわ!」
「花音ちゃんも参加か、喜多ちゃんの言う通りホントに天下取れそうだなぁ……?」
成果を残せる自信はありませんが、結束バンドのために精一杯頑張りましょう。そう強く決意していると。
「かか花音ちゃんが陽キャになっちゃう!?いっ陰キャの私を置いて行かないで、ヴァァァァァァ……」
横で後藤さんが溶けかけていました。
「後藤さんを置いていくなど絶対にしませんよ、何故なら私は後藤さんのお傍にいると誓っているのですから。よしよし、大丈夫でございますよ」
「……ふ゛っ゛か゛つ゛」
「後藤さん再生早いのね~!」
その後、後藤さんはオリジナルソングの作詞を担当する事が決まりました。そういえば前に話されていましたね?後藤さんは「ちょちょいのちょいですよ!」とおっしゃっていましたが、大丈夫でしょうか?
「かのちゃーん!おままごとしよー!」
「いいですよ、私は何の役になればよろしいですか?」
「かのちゃんは10股中の悪女で、私はそんな悪女をだんざいするせいぎウーマン!」
それはおままごとでしょうか??
あれから1週間後、現在私は後藤さん家に来ています。どうやら作詞に悩んでいらっしゃるらしいのでお手伝いできればと思ったのですが、以前ふたりさんと遊びのお約束をしていた事を思い出し彼女に付き合っている最中なのです。ふたりさんは本当に可愛らしいですね……どうして悪女や断罪という言葉を知っているのは分かりませんが。
「この屋根ゴミめ!だんざいしてやる!」
「あまり汚い言葉を使ってはダメですよ?」
私はふたりさんの頭を優しく撫でて差し上げると、気持ち良さそうに目を細めながら「えへへー!ごめんなさい!」と謝ってこられました。可愛くて癒されますね……そんなとき、後藤さんのお母様とお父様が深刻そうな表情を浮かべながらリビングに入ってこられました。
「花音ちゃん、ひとりちゃんがね……取り憑かれちゃったの」
「今日渋谷行く人、この指とーまれ!ここは有名なイソスタ映えスポット!後10分後に花火が打ちあがるから……えっ?」
入ってきた私を見て固まられる後藤さん―――いえ、悪霊。彼女にあんな事を言わせるだなんて、相当強力な悪霊でございますね。映画であれば十字架などが効き目のあるイメージですが、ここは日本なので除霊方法が違います。とりあえず沢山のお塩を持ってきましたが……これで大丈夫でしょうか?
「後藤さん、必ずや悪霊からあなたを救ってみせますからね」
「……まま真面目な顔もカッコイイけど、ちっ違うよ!?」
……誤解であるのが判明いたしまして、沢山のお塩を持って構える私と謎ハートサングラスを付けた後藤さん。両者の間に気まずい空気が流れてしまいました。