TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド   作:ガテル

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第15話

 

結束バンドのオーデイションが数日後に迫っており、そこでの結果次第でライブに出れるかどうかが決まるという事から皆さん必死に練習されていています。私もバイトの合間で演奏を聞かせてもらい、感想やここはもう少しリズムを速めた方が良いのではなどのアドバイスを言わせてもらっています。ただの素人に過ぎない私の意見、ですが指摘ポイントは意外にも的を得ていると山田さんはおっしゃっていました。自分ではよく分からないのですが……以前から後藤さんの演奏を近くで見てきたからでしょうかね?どちらにしろバンドのお力になれるのは嬉しいです。

 

授業も終わり放課後、現在私と後藤さんは喜多さんのクラスへ向かっている最中です。彼女と後藤さんは一緒にギター練習を行う予定となっているのですが、後藤さんが「わっ、私みたいな子が喜多さんと一緒にいたら周りが不審がるに決まってる。だ、だから練習は教室じゃなくて暗がりスペースで……」とおっしゃられたので喜多さんと合流次第暗がりスペースへGOでございます。

 

 

「着きましたね」

 

「たた他クラスへの突入、それも前回と違い生徒達がまだいる時間。こ、こんなの陰キャにはキツすぎる……」

 

 

教室のドアの前まで来たのですが、後藤さんは私の横で体を震わせながら顔も青ざめてしまっております。他クラスへ入るときに緊張するお気持ちは私も分かります、ですがこのままではオーデイションに向けてのギター練習が出来ません。それは何としても避けなければ。

 

 

「後藤さん」

 

「かっ、花音ちゃん?」

 

「ここは私にお任せください、ですから……あなたは安心して私の背中にお顔を埋めていてくださいね?」

 

「あ、ありがとね、それじゃあ……あっ良い匂いきた。かか、花音ちゃんの匂いはいつでも心が落ち着くウヘヘッ

 

 

少しの緊張を感じながらも、私は教室のドアを開けて―――

 

 

「あの、喜多さんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

 

「花音しゃん!?」「ああ、そのお姿。本当にお美しい……」「琴寄教、それは琴寄さんを見た後にソシャゲのガチャを引くと当たる確率が高くなるとの噂がある……今すぐ10連引かなきゃ」

 

 

私がクラスへ入り声を発した瞬間、生徒達の視線が一斉にこちらへ向きました。一体なぜ……いえ、理由は簡単ですね。皆さんは私ではなく喜多さんの名前に反応されたのでしょう、それほどまでに人気者とは凄いです。

 

騒がれる生徒達の中、目的の人物である喜多さんが私達の元へやってこられて。

 

 

「わざわざお迎えだなんて嬉しいわ!私をエスコートしてください!」

 

 

エスコートとは……背中で後藤さんが溶けかけているのを感じますし、とにかく今はこの場から出るといたしましょう。

 

何故かこちらに片手を差し出してきている喜多さん、私はよく分からないままその手を握ると「紳士的な琴寄さん、素敵……!」と喜んでいます……喜んでくださってよかったです??

 

 

「喜多さんと琴寄さん、美少女同士は絵になるなぁ」「手を繋ぐだなんて……2人は一体どんな関係なんだろ!?」「琴喜多、始まったわね」「そこは喜多琴でしょ!」

 

 

目を輝かせて全身からキターンが溢れ出ている喜多さん、背中には騒ぎからか瀕死状態の後藤さん。そんなお2人を連れて、半分お祭り状態と化したクラスから私は無事脱出しました。

 

 

 

後藤さんと喜多さん、そして私も一緒にお付き合いしたギター練習の翌日。今日はSTARRYで4人揃ってとの事です、私もまたクオリティ向上のための良きご指摘が出来るように全神経を研ぎ澄まし演奏に耳を澄ましましょう。

 

そう固く決意し、STARRYへ入ると。「ぼっち、花音。2人ともこれ着て」といきなり山田さんが迫ってこられて、その手に持っていた衣装とウィッグを見た私は申し訳ないのですが……こう思ってしまいました。

 

―――オーデイション、果たして大丈夫でしょうか?

 

 

 

 

 

「……えっ、何その髪型?」

 

「バ、バンドマンとしての成長を見た目で表現……だそうです」

 

「飲酒、喫煙、女遊び、髪型をキノコヘア、そして有識者のイメージによると女殴ってそう。それがバンドマン、虹夏もやる?」

 

「どれもダメだし、最後のは有識者の偏見に満ちた間違った意見だからね!?後私は絶対やらないから……というか何で花音ちゃんはメカクレなの。わっ、私は顔出した方が良いと思うよ?」

 

「これには理由がある」

 

 

メイドの次は男装コス、しかも山田さんが私に選んだのは何故かメカクレでございました。何がいいとかは全く知りませんが、どうやら山田さん的には私をメカクレにする強いこだわりがあるらしく……一体何なのでしょう?

 

私と同じように理由が分からず首を傾げていられる伊地知さん、山田さんは表情にこそ表れていませんが彼女を納得させられるという強い自信を感じます。

 

 

「花音、こっち来て」

 

「は、はい」

 

 

山田さんの傍へ行くと、彼女は私の目にかかった前髪を勢いよく上げられて。

 

 

「!?」

 

「どう?」

 

「……リョウ、ちょっと」

 

 

顔を赤くされた伊地知さんは山田さんを手招きしており、彼女だけでなく山田さんも同様に赤くなられているような。お2人は何やらコソコソ話しています。

 

 

 

「メカクレで完全に隠れた花音の赤い瞳を一気にオープンする、驚いた?」

 

「確かにアレは破壊力凄いね、花音ちゃんの瞳は本当に綺麗だからさ……リ、リョウもそう思ってるんでしょ?」

 

「……凄いの見せたから見物料ちょうだい」

 

「コメントはぐらかしたなコイツ……」

 

 

 

 

「キャー!琴寄さんの瞳の眩しさに焼かれちゃうわ!」

 

「もも、もう1回やって花音ちゃん……」

 

 

私が今回の件で理解したのは……メカクレの世界とは奥深い、という事でございます??

 

 

 

 

 

 

「……よし、今日はここまでにしようか!明日のオーデイションに備えてゆっくり休んでね。花音ちゃんも付き合ってくれてありがと!感想やアドバイスすっごく助かったよ!」

 

「それなら本当によかったです」

 

 

様々な出来事がありましたが、ついに明日はオーデイション。伊地知さんからの感謝を聞いて、私は自分なりに結束バンドのお力になれたのだと思うと……何か熱いものがこみ上げてきますね。

 

STARRYから出て帰り道、私と後藤さんはお互い無言です。決して喧嘩したなどではなく、後藤さんは真剣な表情で何か考え事をされている様子なので邪魔をしてはいけない話しかけておりません。きっと後藤さんなりに明日に対する想いがあるのでしょう……そんな静寂に包まれる中。

 

 

「―――ぼっちちゃーん!花音ちゃーん!」

 

「えっ」

 

「伊地知さん?」

 

「驚かせちゃってごめんね?」

 

 

突然、私達の元に伊地知さんが走ってこられました。

 

 

 

 

「……そういえば私、ぼっちちゃんがどんなバンドしたいとか。何のために今バンドしてるとか聞いた事なかったなって」

 

「あっ、いや」(チヤホヤされたくて初めて、今の目的の一つが花音ちゃんを惚れさせるためとか絶対言えない……)

 

 

そこから伊地知さんは語られました、人によって目的はそれぞれでライブが全てではない。知ってもらうのも今は配信とか色々あると……確かにそうですね、ギターヒーローである後藤さんと彼女の演奏を聞いている私はまさしく今の時代の当てはまるでしょう。

 

そして伊地知さんには夢があるそうです、だからついつい熱くなり過ぎてしまわれると。「ぼっちちゃんに無理させてないかなって、バイトの合間とかで毎回付き合ってくれる花音ちゃんにもね?」

 

その言葉に対して、私と後藤さんは揃って首をブンブンと勢いよく振り否定しました。伊地知さんはそんな私達を見て、苦笑いしながらも表情はとても嬉しそうです。

 

 

「にっ、虹夏ちゃんのバンドやる理由は売れて武道館ライブですよね?」

 

「うーん、本当の夢はその先にあるんだけど……まだ2人には秘密だよっ!じゃあ明日よろしくねー!」

 

 

人指し指を口元に近づけ笑顔を浮かべる、そんな伊地知さんはとても。

 

 

「伊地知さん」

 

「ん?どうしたの花音ちゃん」

 

「―――秘密、でございますね。ふふっ」

 

 

何だか眩しく微笑ましいです、そんな思いからか私はつい伊地知さんの仕草を真似してしまいました。人指し指を口元に近づけ笑顔……笑顔になっているかは分かりませんが。

 

伊地知さんはしばらく固まられた後、俯きながら勢いよく走り去ってしまいました……どうしたのでしょうか?

 

 

 

(花音ちゃん、カウンターなんてズルいなぁ……顔見られてないよね?)

 

 

 

 

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