TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド   作:ガテル

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第20話

 

全米№1大ヒット!この夏、あの興奮と感動が帰ってくる―――

 

 

「ボブ!どうしてまたサメ竜巻が発生しているの!?アレは私達が2年前に命を懸けて消し去ったはずなのよ!?」

 

「冷静になれ、クレア」

 

「そんなの無理に決まってるわ!だってあの戦いで私達は……私達は大切な親友であるカイルを失ってるのに!あなたまでいなくなってしまったら「安心しろ」

 

「確かにまたアレと戦えば今度こそ命は無いかもしれない、俺だってカイルを失った悲しみから未だに立ち直れていないんだ。だが俺はその悲しみ以上に君を失う方が怖いさ」

 

「ボブ……」

 

「みんないつか死ぬ……だが今日じゃない」

 

 

―――サメ竜巻リターンズ、8月公開。

 

 

あのサメ竜巻の続編がようやく見れるのですね?本当に楽しみでございます……金沢八景で後藤さんがチケットノルマを無事達成されて、ベースのお姉さんであられる廣井さんともお知り合いになったあの日から1週間が経ちました。本日は土曜日、私は喜多さんとショッピングモールで結束バンドのイソスタ宣伝の為に写真撮影を行う予定になっています。今は待ち合わせの時間より少々早く着いてしまったので、モール内の映画館で上映予定の気になる映画のフライヤーを取ったりグッズを見たりで時間潰しをしておりました。

 

私のお気に入り映画のキャラクターグッズを発見し、即決で購入させていただきましたね。ふとスマホの時間を見れば、いつの間にか待ち合わせの5分前となっており……少々自分の世界に入りすぎたようです。場所は下の階ですぐ近くなので早く行くとしましょう。

 

 

 

 

「喜多さん、待たれましたか?」

 

「キャー!コンマ1秒も待ってません!何か今のやり取りデートみたいじゃないかし、ら……」

 

「喜多さん?」

 

「えっと、琴寄さん、そのビニール袋からはみ出てる変な形の頭のぬいぐるみは一体何のキャラなの……?」

 

 

喜多さんは私が先ほど映画館で購入したグッズに対し、何やらとても驚かれているご様子です。サイズが大きいからか袋からはみ出している事に気が付きませんでしたね?彼女は訝しげな表情でジッとぬいぐるみを見つめています、どうしてかは分かりませんが……とりあえず決して変な物ではないと説明いたしましょう。

 

私はぬいぐるみを袋から取り出し。

 

 

「―――これはセノモーフでございます、有名な映画シリーズに登場する地球外生命体のエイリアンですね。見た目が可愛らしいので私は大好きなのです」

 

 

喜多さんは私の説明を聞かれると、少しの間ポカーンとした後。

 

 

「琴寄さんの感性、独特で素敵!」

 

「ありがとうございます?」

 

 

全身から光を輝かせながら褒めてくださりました、前にお母様とお父様にこのキャラが可愛いと伝えた所……とんでもないお顔をしていたので喜多さんの反応は嬉しいでございます。こんなに可愛いのですから、皆さんもこの反応が普通だと思うのですが何故でしょうね?

 

私はぬいぐるみをビニール袋に戻し、喜多さんにまずはどこへ行かれるのかを聞きました。数日前に電話でお話したときに「その日の予定は私に任せて!イソスタ映えしそうなスポットを沢山探しておくわ、結束バンドの初ライブも来月に迫ってきているし……絶対イソスタを盛り上げて認知度が上がるように頑張らなきゃね!」とおっしゃっていました。私も同じ気持ちなのですが、喜多さんはクラスでの人気に限らずSNS上でもかなりのフォロワーを持っているほどの華やかなお人。しかし私はその真逆で地味で容姿も悪く、力になれる自信が全くありません。むしろ彼女の足を引っ張ってしまうのでは……不安でございます。

 

私の質問に対し、喜多さんはキターンと効果音が聞こえるほどの数分前を遥かに超える眩しさの輝きを放たれて。

 

 

「イソスタで分かりやすくバズると言ったら、やっぱり人気カフェで今流行りのものを頼んでそれを入れた自撮りを撮る事ね。このモール内にSNSで話題沸騰中のお店があるのよ、まずはそこに行きましょう!」

 

 

……つまりはバズり勝負が始まるのですね?

 

 

 

 

 

「―――レインボースペシャル!7色どころか倍の14色盛っちゃったテヘ☆マジごめんなさーいパフェです!」

 

「見て見て琴寄さん!上にドーナツも乗っかってるわ!」

 

「……その、凄いです」

 

「ごゆっくり、それと……もしあなたがよければバイト終わった後に私とゆっくりしてもいいですからね?」

 

「?」

 

 

意味深な笑みを浮かべながら店員さんは戻っていきました、今のは一体……いえそれよりもパフェの方に意識を向けましょう。残念ながらメニュー名の時点で脳が理解を拒むのですが、あまりにカラフルで見ているだけで目がグルグルするようなインパクトから視覚にも衝撃が来ますね。喜多さんを初め周りのお客さん達もとても楽しそうに写真を撮っていて、私だけがこの空間についていけないようです。

 

 

「ほら!琴寄さんも写真撮って!」

 

「は、はい」

 

 

喜多さんに撮った写真を確認してもらうと、どうやら凄まじいほどのブレ具合だったらしく私とパフェが何重にも見えているそうです。自撮りなど一度も経験がないものですから失敗してしまいましたね。これでは容姿以前の問題でございます……

 

落ち込む私を見た喜多さんは、まるで私を安心させるように大丈夫よと優しく微笑んでくれました。

 

 

「最初は誰でも失敗すると思うわ、私だってイソスタ始めたばっかりの頃は全然良い写真が撮れなかったの。でもね?沢山撮ってるうちに自然と上達していって―――だから琴寄さんが落ち込む必要なんてないわ!私も教えるから一緒に頑張りましょ!」

 

「……喜多さん」

 

 

イソスタに対し抱いていた不安な心がスッと軽くなる感覚、喜多さんが一緒ならきっと大丈夫―――こわばっていた表情が緩んだその瞬間。パシャリと彼女のスマホから写真を撮った音が鳴りました。突然の事に驚いた私でしたが、それはどうやら向こうも同じなようで。

 

 

今の琴寄さん、本当に凄く綺麗―――あれ!?お、驚かせちゃったわよね!?本当にごめんなさい!」

 

 

どうやら無意識で撮っていたのか、喜多さんは自分自身に驚き困惑している様子です。一瞬でしたが……喜多さんのあんな顔は初めて見ました。どうされたのでしょうか?

 

改めて喜多さんからアドバイスを受けて写真を撮ると、表情こそ硬いもののブレは改善されて一応自撮りと呼べるものが出来上がっていました。

 

 

 

 

 

「パフェ美味しかったわね!」

 

「そうですね」

 

 

メニュー名は正直謎しかないですが、パフェ自体の味は本当に美味しかったです。食べ終えた後に喜多さんのスマホに私の自撮り写真を送り、ご自身のアカウントとは別に作られた結束バンドの公式イソスタアカウントに喜多さんと私の写真を投稿しました。

 

今は反応待ちとの事でアプリを閉じていますが、早く確認したいのか喜多さんはウズウズされています……申し訳ないのですが私の結果を見てガッカリされるのは間違いありません。喜多さんと違い私にバズる力などないのですから。

 

 

「そろそろ開いてもいいわよね、反応はどんな感じになって……ガッ!???」

 

「き、喜多さん?」

 

 

喜多さんの口から信じられないほど低い声が飛び出しました、そしてしばらくフリーズされた後に私にスマホの画面を見せてこられて。

 

 

「―――琴寄さん!30分でもういいね数5000超えてるわ!このままいけば余裕で万バズよ、イソスタ天下も近いのね~!!」

 

 

……これは一体何が起きているのでしょう。

 

 






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