TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド 作:ガテル
「目の保養どころかパワーアップして目からビーム打てちゃいそうよ!」「純白、言葉の意味は古代中国の荘子では汚けがれがなく清らかな心その様と記されているらしい。その純白という表現が見合うほどの彼女の美しい足……ああ、これで明日からも人生という荒波に立ち向かっていけそうだ」「ふーん、エッチじゃん」
喜多さんが選んでくれたオーバーサイズのカットソーとショートパンツの組み合わせ、試着だけに終わらず購入してお店を出た所なのですが至る所から私の足にねっとりとした視線を感じるのは何故でしょう……いえ、気のせいですね。きっと気のせいです。
結束バンドのイソスタアカウントを盛り上げるための巡りもレインボースペシャルパフェ(?)に、オシャレな服屋さんと二つ行きましたが次はどこへ行くのですかね?本当なら横にいる喜多さんに聞けば済む話なのですが彼女は今。
「も、もう2万いいねよ!1万どころか2万いってる!まだ投稿して2時間ちょっとよね?それでこの数字、間違いなくもっと伸びて10万も全然視野に入れられるわ……琴寄さんが宇宙のKOTOYOSEになる日も近いのね~!」
私の写真のバズりっぷりを見て興奮状態にあられるので、とても声を掛けにくいのです。それにしても既に2万いいねですか……本当にネットというのは残こry
「流れに乗って次の写真を投稿しましょう!琴寄さん、ちょっとポーズ取ってくれないかしら?」
「ポーズ、ですか」
「自分が思う可愛いを表現してくれればいいのよ、大丈夫!琴寄さんなら何のポーズでも似合うわ!」
表現というのも中々に難しく、悩んでいたそのとき……ふと手元のビニール袋に入ったぬいぐるみが目に入ってきました。脳内に電流が走る感覚、我ながら素晴らしいアイデアを閃いたと断言できます―――これでいきましょう。
「喜多さん、今からあなたに私の思う最高の可愛さをお見せします」
「それは楽しみねー!ちなみに何のポーズをするつもりなの?」
「四足歩行セノモーフと同じポーズを私が今ここで「琴寄さんそれは絶対にダメよ??」
……ダメでございました。
結局シンプルにピースが良いという結論になったのですが、表情を作れない私なりに工夫しようと撮るときにWピースのポーズをしました。恥じらいからか顔に熱が集まり赤くなっているのを感じましたが、それにしても……喜多さんが目を見開いて連写し続けていたのはどうしてでしょうか?
「わ、わざわざポーズ取ってもらったのにごめんなさい、これはちょっと使えないわねフフフ……」
「?」
ボツなのに撮った写真を保存用フォルダへ入れていた喜多さんに対して軽い疑問を抱きつつ、次はどこへ行くのかと尋ねると彼女は嬉しそうに笑いながら。
「本当はもっと回る予定だったけど、正直最初の1枚だけで宣伝目的は十分すぎるほどに達成されちゃったの。2枚目に関しては帰りに改めて撮ればいいわ、だからこの後は―――遊ぶわよ!早速カラオケ行きましょ!!」キターン
カラオケという事はつまり歌わなければいけないのですか?前にSTARRYでお歌を披露したとき、私的にはかなり自信があったにも関わらず皆さんからデスボ扱いされてしまいました。喜多さんもその場にいたなら私をカラオケに誘うような行為はしな……そういえば喜多さんはあの場にいませんでしたね。
喜多さんは左目にカラ、右目にオケ、両目でカラオケの文字を浮かべながら先ほどのように私を引っ張り全力ダッシュを初めてしまわれました。ウキウキといった感情が光となり全身から溢れ出していて、私とカラオケに行くのをそこまで楽しみにしてくださるのは嬉しいのですが……これはまずいですね。今更お断わりできる状況ではなくなりましたよ?
私はブラブラと揺られながら歌に関する問題をどうしようかと必死に悩むのでした。
「琴寄さんってカラオケにはよく来るのかしら」
「いいえ、今日が始めてでございます」
「初めて……ええ!?琴寄さんカラオケの経験ないの!?」
「そ、そんなに驚くような事なのですか?」
「……琴寄さん、今日は沢山歌いましょうね」
何だか喜多さんから温かい眼差しを向けられています……私自身インドアですし、それにお友達の後藤さんはカラオケという単語を聞くだけでダメージを受けてしまう程なので行く機会などありませんでしたね。喜多さんは慣れていらっしゃるからタブレットの操作も手早くいつの間にかマイクも私の手に握られています。これは一体どういう技ですか??
喜多さんは変わらず温かい眼差しで。
「何か歌いたい曲とかある?今日は私見てるだけでいいわ、だから思う存分歌っていいのよ」
見てるだけに徹する作戦は無理のようですね、もう完全に歌うしかない流れなのでは?デスボと評された私の歌声、このままでは伊地知さんや山田さんのように喜多さんにも幻覚を見せてしまう事になってしまいます。
緊張状態の私とは対照的に喜多さんは目を輝かせながら歌うのを待っておられて……私は覚悟を決めました、歌うのは避けられないので出来る限り抑えに抑えて幻覚を見せないよう努力いたしましょう。
―――喜多さん、必ずやあなたをキメさせませんからね。
「それでは歌わせていただきます」
「キャー!!」
「―――ボエエエアアアアアア」
「えっ」
……前回に比べてだいぶ抑えられてると確信を持てています、行けますね。
「ヴヴヴエエエエエエ」
「琴寄さんの歌声、聞いてると頭をシェイクされる感覚になって……うっ」
歌うのに精いっぱいで喜多さんがどう反応されてるかは分かりませんが、大丈夫だと信じましょう。
歌い切り、不安を抱きながら喜多さんの方を見ると。
「1曲だけじゃ足りないわ!もっともっとクださイ!」
「喜多さん……本当に嬉しいです、ではご要望に応えて早速次の曲へ行きましょう」
「楽シみネー!」
喜多さんがキマらなくて安心です。
「本当に今日は楽しかったわ!カラオケで琴寄さんが歌い始めてから店を出るまでの記憶が曖昧なのはどうしてか分からないけれど……」
「色々回りましたし疲れてたのでは?」
「何か他の理由があったような気がするのよ、でもまぁ―――別にいいわよね!」
帰り道、喜多さんと今日の出来事について振り返っているのですが私もとても楽しかったです。後藤さんとお家にいるのも本当に好きなのですが、こういった外に出てショッピングモールやカラオケ店で遊ぶというのはまた違った良さがあり……バイト経験といい世界が広がったのも結束バンドの皆さんと知り合えたおかげですね。
そう温かい気持ちになっていましたが、まだ今日のやる事が一つだけ終わっていないのに気づきました。
「喜多さん、さっき写真の2枚目は帰りに撮るとおっしゃっていましたが今やりますか?」
「あっ……そ、そうね!?そろそろ駅に着いちゃうし今撮りましょうか!」
どこか上の空といった様子の喜多さんに首を傾げつつも、彼女がスマホを取り出したので私もまた身構え―――ふふっ。そんな必要はもうありませんね?撮る相手が喜多さんと思うと私の心がスッと軽くなりました。
「それじゃあ撮るわね!」
写真撮影で失敗した私を励ましてくれて、服も選んでくださり、今日は喜多さんに助けられてばかりでした。本当に優しい人、ならばそんな彼女に答えなければいけません。
左手でピースサインを作り、写真を撮られるのが分かっていても頬は自然と緩み。
「―――琴寄さん、とっても良く撮れてるわ!」
撮れた写真を見て喜多さんは満面の笑みを浮かべてくださいました。
喜多ちゃんの部屋。
「写真も撮れた事だし早速イソスタに出さないとね!それにしてもこの琴寄さんはいつにも増して本当に綺麗、まるで妖精さんみたい。誰かと共有するんじゃなくて私だけの写真、私だけの思い出にしたいわ……あれ?私今何て思ったのかしら?」
(自分が可愛いと感じたものは誰かと分かち合いたいとずっと思ってきたのに、でも琴寄さんに対しては彼女の可愛さを独占したい。推しに対してこんなに気持ちダメなのに胸のドキドキが止まらないわ、こんな感情初めてよ。私、もしかして―――恋愛的な意味で琴寄さんが好きになっちゃったの!?)