TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド   作:ガテル

3 / 23
第3話

 

「いきなりごめんね?私、下北沢高校2年の伊地知虹夏!」

 

「ごご、後藤ひとり秀華高校1年です……」

 

 

……突然ですが自己紹介、それは人物の第1印象を決める大切な事柄だと私は思っております。しかしこの性格故に失敗ばかりでした、小中と記憶に新しい1ヶ月前もそうなのですが何故か私が自己紹介をすると毎回皆が固まってしまわれるのです。お二人のが終わり次は私の番でございます、今度こそ成功させなければなりません。

 

私は冷静に息を整え、見る者に好印象を持たせるため出来る限り表情を柔らかくさせようと意識し。

 

 

「―――秀華高校1年、琴寄花音と申します」

 

「微笑む花音ちゃんの破壊力ガッ!?」

 

「……ひ、ひとりちゃんに花音ちゃんか!よっ、よろしくね!」

 

 

伊地知さんは顔を赤くされ、言葉もたどたどしく動揺されているように見えます……私はまた失敗してしまったのでしょうか?

 

この後、伊地知さんは後藤さんに声を掛けられた理由を話されました。どうやら今日ライブがあるにも関わらずギターの人が突然辞めてしまったらしく、それで後藤さんに代わりのサポートギターをお願いしたいとの事です。

 

後藤さんと私は彼女の勢いに何も言えず、流れのまま下北へ向かう事になってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

「―――着いた、ここだよー!」

 

「も、もうライブハウス入った!?どどどんな感じが教えて花音ちゃん……」

 

「後藤さん、まだ入り口にございます」

 

「……あのさ、どうしてひとりちゃんは下北着いてからずっと花音ちゃんの背中に顔を埋めてるの?」

 

「あっ、ここが落ち着くので」

 

「そ、そうなんだ」(やっぱり私頼む相手間違えたか……?)

 

 

後藤さんのお気持ちはとても分かります、私もライブハウスに来るのは今回が初めてですしこういう所は中々に緊張致します。そんな不安を抱えつつ、階段を降りて中へ入ると……意外にも安心感を感じて自分自身驚いてしまいました。

 

それに、この暗さと圧迫感には思い当たる場所がございます。

 

 

「後藤さんの部屋の押し入れ、ですね?」

 

 

私がそう呟くと、背中に張り付いていた後藤さんが突然顔を上げられて。

 

 

「ほほ本当だ、ここは私の家……というか花音ちゃんが私の押し入れを連想してくれたの嬉しい同じ考えウヘヘッ」

 

「ひとりちゃん?その発言ちょっとヤバいよ?」

 

「後藤さんと一緒のお考えを持てた事、お友達として嬉しく思います」

 

「もしかしてこの子も意外とヤバめ??」

 

 

後藤さんは先ほどからずっと不安そうにされていて私も心配でした、なので落ち着いてくださってよかったです。ほっと一息ついた矢先、何やらこちらをじっと見つめてくる女性に気が付きました。派手な見た目ですが美人さんでございます。

 

 

「あっ!PAさん!」

 

「おはようございます……」

 

「いいいイキってすみません」

 

 

こちらを見てきておられたので、最初は伊地知さんに用があるのかと思いましたがPAさんはどうやら私に思う所があるらしく複雑……いえ同情?の籠った瞳を向けてこられて。

 

 

店長がこの子を見たら……大変そうですね、頑張ってください

 

 

ボソッと何かを言い残し、顔を伏せてしまいました。一体何だったのでしょうか?気になりますが、この件について深掘りするのは危険なような「やっと帰ってきた」

 

……深淵を覗き込みそうになっていた私はその声で現実へと引き戻され、聞こえた方向に振り返りました。

 

 

「リョウ!この子は後藤ひとりちゃん、奇跡的に公園に居たギタリストだよ。もう1人はね」

 

「―――秀華高校1年、琴寄「ごめんストップそれはやめて!?」ど、どうしてでしょうか?」

 

 

頬を赤らめながら伊地知さんが私の自己紹介を止めてこられました、横の後藤さんも同意らしくまるでヘドバンのように頭を高速でブンブンと振っておられて……そこまでダメだったとはショックでございます。

 

 

「かなりおもしれー女な気配、私のポジションが取られる危険性がある」

 

「何言ってんの……この子は琴寄花音ちゃん、ひとりちゃんの同行者というかお友達だよ。ひとりちゃんが凄い勢いで花音ちゃんも一緒にってお願いしてきてからOKしたんだ、別にそんな事しなくても全然来ていいんだけどね?」

 

 

そう言って苦笑いを浮かべる伊地知さん、今回のライブと関係のない私も快く受け入れてくださった彼女の優しさには感謝しかありません。私はお友達として後藤さんのお傍にいると誓った身ですから、不安そうにしているなら尚更一緒にいなければ。

 

 

「そしてこの子はベースの山田リョウ、変人って言ったら喜ぶよー?」

 

「おもしれー女ポジションが脅かされそうな今、変人アピールを欠かさない。一つ言っておくと私は金が無くて昼食を食べれないとき草を食べて耐え凌ぐから、どうだ花音」

 

「おいこらリョウ!いきなり謎マウント取るな!ごめんね花音ちゃん、こいつには後でキツく言っておくから……って花音ちゃん?」

 

「……山田さん、体の健康は何よりも大事です」

 

 

気づけば私は山田さんに近づきその手を優しく握っておりました、いきなりで驚かれたらしく山田さんは動揺しているように思えます。口で伝えるだけでここまでするつもりはなかったのですが……自分でもよく分かりません、あくまで前世、されど命を一度無くした経験がある私はこういったお話に過敏に反応してしまうのでしょうか?

 

 

「いっ、いやでも何だかんだ大丈夫だから」

 

「今は大丈夫でもいずれダメになってしまわれるかもしれません、私は山田さんのお金の使い方について口を出すつもりなどないですが……ただ心配なのです。こんなの何様だと思うでしょうが、少しでいいから自分のお体を大切にしてあげてください」

 

 

表情こそ変わっていませんが、山田さんの目はグルグルと回っており。

 

 

「わ、わかった……?す、少しは大事にする???」

 

「―――ふふ、約束でございますよ?」

 

「……た、助けて虹夏ぁ」

 

 

「あのリョウが折れた!?」

 

 

 

自分勝手で申し訳ないと思いますが、もし少しでも私の言葉が響いてくださるならば嬉しいです……それにしても山田さんはどうして顔を赤くされているのでしょう?

 

 

 

 





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。