TS銀髪美少女に感情ぐちゃぐちゃにされる結束バンド   作:ガテル

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第8話

 

「やっと昼休みかー!」「俺マジ昼飯のためだけに生きてるわ」

 

 

本日は月曜日、しばらく風邪でお休みしていた後藤さんも無事治られて一安心いたしました。そして今は昼休み、私は後藤さんと机や掃除道具などが置かれている謎スペースで昼食を取る予定となっております。入学当初の数日間は昼休みに入ると私が彼女のクラスに行き、そこでお昼を食べるという形だったのですが「ごっごめんね、これ以上ここにいるとしし嫉妬とか色々な感情の混じった視線の嵐に焼かれて死ぬ……」と半分溶けた状態で後藤さんが必死に訴えてこられたので無しになりました。原因は一体何なのですかね……いえ、思考の渦に陥って後藤さんを待たせるわけにはいきません。そこについて考えるのはやめて向かうとしましょうか。

 

席を立とうとしたそのとき。

 

 

「かっ、花音様!よければ私と一緒にお昼食べませんか!?そして放課後は私の家で花音様を食べ―――何でもないです」

 

 

斜め後ろの席の女子生徒、この前消しゴムを拾い渡して差し上げた方が私に声を掛けてこられました。クラスの人にお昼を誘われる、その事実に私は驚きのあまり声が出ません。しかし……頬が赤く目も大きく開かれ呼吸も随分荒いような気がします。

 

 

「申し訳ありません、先に約束しているお相手がいるので……」

 

「そうですか……」

 

「私を誘っていただけた事、本当に嬉しく光栄に思います。ですから……あなたがよろしければ別の日にどうでしょうか?」

 

「ぜぜ全然OKでしゅ!!」

 

 

凄まじく嬉しそうにされています?そこまで私を好意的に思ってくださる人がクラスにいるだなんて、消しゴム拾いという小さな行いでも何かに繋がるものなのですね。STARRYでの経験に続き、私は人間関係についてまた一つ理解を深められた気がします。

 

 

 

「―――という事が先ほどありました、私も後藤さんのようにこれからも1歩ずつ成長していけるように頑張ります」

 

「……かか花音ちゃん、そっその子には気を付けて」

 

 

……謎スペースの暗がりでも伝わるほどの、後藤さんからの真剣な忠告と心配という感情に黙って頷くしかない私でございました。

 

 

 

 

 

「がっ、頑張って教室の前まで来たはいいものの心の準備が。こここういうときは花音ちゃん成分を摂取して落ち着かないと……いい匂いヘヘッ

 

 

後藤さんは私の背中にピタリとくっ付き、小さく笑い声を出されています。私達は今、喜多さんという女子がいるクラスの前まで来ており……その理由は募集中である結束バンドの新しいギターボーカルに彼女を勧誘するためでございます。先ほど偶然耳に入ってきた情報なのですが、どうやら喜多さんはお歌が上手くバンド経験もあるそうです。本人も見ましたが、性格は明るそうで容姿もとても可愛らしく華やかな人でした。

 

知らない人に声を掛けるというのは中々に勇気がいる事ではありますが、後藤さんは「この前のバイトも風邪ひいて休んじゃったし、わっ私も結束バンドに貢献するために頑張らなきゃ……!」とおっしゃっていました。私もメンバーではないですが気持ちは同じ、頑張らなければ。

 

 

「後藤さん、ここは一緒にお声掛けしましょう」

 

「ドリンクのときに続いて協力プレイ……うっ、うん。花音ちゃんと一緒なら出来る気が「2組の後藤さんだよね?それと……琴寄さんっ!???」まま眩しい!?」

 

 

喜多さんは私の顔を見た瞬間に表情を光り輝かせられると、凄い勢いで私達の元まで近づいてきました。

 

 

「あの琴寄さんよね!?1年どころか学校全体で知らない人はいないと言われるレベルの有名人!私も入学式で見たときから一度お話してみたかったの!」

 

 

溢れ出る光から後藤さんは眩しさで目を覆っていられて、とんでもないパワーの持ち主にございますね。かくゆう私も喜多さんの怒涛の勢いに着いていけないのですが……それでも思わず疑問に感じる部分はあります。

 

 

「私が学校全体で知らない人はいないレベルの有名人……申し訳ありませんが、誰かと勘違いされているのではないでしょうか?」

 

「勘違いなんかじゃないのよ、1年の琴寄さんと言ったら入学当初からみんなが話題にしてた人だもの」

 

「そんなはずは」

 

 

―――いえ、全て理解いたしました。私の容姿の悪さはそこまで誰もが話題にするものなのですね、事実とはいえショックにございます。

 

ち、違うと思う……

 

喜多さんの光は更に強まり、気のせいかもしれませんがキターンという効果音が聞こえてくる気がします。その喜び方はまるで憧れの人に……いえ、それは違いますね。どちらかというと推しキャラ?に出会えたときのように思えます。

 

 

「遠目から見ただけだけど、それでも分かるおしとやかな所作とか。それに雪のように真っ白な肌とか、外見も……まるでお姫様みたい。もう可愛すぎ!先輩への憧れとはまた違うんだけど、私の推しね!あっそうだ!一緒に写真撮ってくれないかしら!」

 

「そ、その……」

 

「それじゃあ撮るわね!」

 

 

何も分からぬままツーショットを撮られてしまいました、無表情で到底写真映りの良いものとは言えないと思うのですが喜多さんは満足そうです。撮った写真を見てキャーキャーとされていますね。

 

その勢いのまま、喜多さんは興味津々そうにある事を私に聞いてきました。

 

 

「琴寄さんって本当に肌白くて綺麗!当然元からなのは分かってるけど、もし良かったらどこの化粧品使ってるか教えてくれないかしら!」

 

「化粧品、でございますか?」

 

「―――えっ?少しは使ってるのよね??」

 

「いえ、そういったものには全く詳しくないもので……使っていませんね」

 

 

それに……私は色々と認識が曖昧なのもございますから。

 

私の返答に喜多さんはしばらく固まられた後。

 

 

「ノーメイクでその可愛さ、推しが強すぎるわ……キターン」

 

「喜多さん!?」

 

 

そう言って倒れてしまいました……何故かお顔は嬉しそうです。

 

 

 

 

「ああっ、あの……バ、バンドの話を」

 

 

 

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