体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

13 / 44
ようやく原作かよコイツ

 

 

 

 頭はイノシシ、それ以外は人間。これなーんだ?

 

 そうだね、泥管と同じ変態だね。

 

 

「テメェ鬼だな!?気持ち悪い見た目してんな!」

「──!?」

 

 

 変態に気持ち悪いと言われた。理不尽。

 

 

 

 

 村田を助けてやった後、よさげな山菜はないかと三日ほど山を彷徨いていた泥管。

 

 ふと自分のものではない足音と息遣いが聞こえてきて、辺りを見回そうとした瞬間にソレは現れた。

 

 茂みの中から荒々しい気配を滾らせたイノシシの被り物をした人間(?)が飛び出し、問答無用とばかりにノコギリの如き日輪刀を二本も振り抜いてきたのだ。

 

 

「ちっ、避けてんじゃねえ!!」

「…………」

「このっ……!ちょこまかすんな!」

 

 

 カァァァ……という呼吸音がするところを見るにコレも鬼殺隊なのだろうが、これまで見てきたどの鬼殺隊よりも素っ頓狂な姿形をしているせいでどうにも疑わしい。鏡見ろ泥管。

 

 

 もうかれこれ十分以上はこの調子で、二刀を振り回すイノシシ頭とそれを避け続ける親指のような頭の光景が繰り広げられている。

 

 これだけやってようやく埒が明かないと思ったのか、イノシシ頭は一旦立ち止まって刀を振る事を止めた。

 

 

「お前……何で攻撃してこねえ?」

「──?」

 

 

 今更過ぎやしないか。十分も続けなくても違和感あっただろ。

 

 

 イノシシ頭……もとい伊之助の攻撃は苛烈にして不規則。手数も多ければ軌道も読めない、それこそ見た目通りの獣を、人とは身体の構造が違う生物を相手しているような気分になる。

 

 並大抵の鬼ならばよくてボロ雑巾、なんなら二、三回は頸を斬られていてもおかしくはない。

 

 そこは流石泥管。どれだけ変則的な軌道をしていてもヌルりと避けていた。何なら敢えてギリギリで避けておちょくっていた。何してんだ。

 

 

「……お前鬼じゃねえのか?」

「──」

「鬼なら何で何もしてこねえんだよ!気持ち悪いな!」

 

 

 勿論伊之助には面白くない。馬鹿にされていると分かっているし、鬼だというのに何もしてこないことも意味がわからない。

 

 伊之助から見た泥管は鬼である事は間違いないはずなのだが、反撃してこないわ殺意を感じないわで頭の中に疑問符が飛び交って溢れかえっている。

 

 

 何を言っているかもわからず、かといって倒せそうにもない。こんなトンチキな生命体は伊之助にとって初めてのことだった。皆そうだよ。

 

 理解不能なナマモノといつまでも戯れていてもつまらない。というか段々怖くなってくる。

 

 

 そんな恐怖心を知ってか知らずか、伊之助は泥管との戦いを放棄した。どんな恐れ知らずでも理解不能のナマモノを恐れるのは当然のことだ。

 

 野生で育った伊之助の身体能力は凄まじく、彼にとっては荒れた山道さえ板張りの床と何一つ変わらない。軽やか、というには少々力強い足取りで泥管に背を向けて駆け出した。

 

 

 

 

「うおおおお!?着いて来るんじゃねええええ!!?」

「───!」

 

 

 

 

 泥管も着いてきた。哀れ伊之助。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人揃って走ること数時間。気がついたらどこかの屋敷の中で三日経ってた。不法侵入やめてもろて。

 

 しかも室内に入ってからというもの、鼓の音がしたかと思えば部屋そのものがぐるりと入れ替わった。どうやらここは他の鬼の縄張りだったらしい。

 

 伊之助ともはぐれてしまったし、これはあまりよくない。鬼にも人間にもなるべく肩入れしないつもりでいたのにこれは大変よろしくない。

 

 

 ……自覚がないだけで既にそれなりに人間の味方をしているのは教えてやるべきだろうか。

 

 

 さっさと屋敷の外に出て何も見なかったフリをしよう。泥管はそう決めたのだけれど、部屋がクルクルと入れ替わって動かされるせいで移動すら満足にできやしない。

 

 いっそ血鬼術の持ち主に掛け合って出してもらうしかないだろうか、と思ったその時だった。

 

 

 

 

 

 

「げぇーっ!!泥管!!?……あ、さん!」

「何あれ!?あれも鬼!!?」

 

 

 

 

 

 はい泥管です。善逸君お久。

 

 

 

 どうやら善逸、任務でここの鬼の討伐を命じられたようだ。彼の後ろでビクビクしている少年はその鬼の被害者、といったところだろうか。

 

 

「あ!それより泥管さん!泥管さんならあの人の怪我何とかしてやれない!?」

「──?」

「ここに入る前、この屋敷の中から飛び出してきた人がいるんだ!俺が受け止めて応急処置はしたけど、傷が酷くて……!」

「───!!」

 

 

 なんてこった。そんな怪我人に気づけないとは。泥管一生の不覚。

 

 聞くが早いか、善逸と少年を小脇に抱えて全力疾走。壁?襖?かかってこいやぶち破ってやると言わんばかりの猪突猛進っぷり。それ伊之助がするやつ。

 

 ドカン!バリバリ!と一切の障害物を無視して一直線に駆け抜け、鼓の音が挟まる余地もなくあっという間に屋敷の外へと抜け出た。

 

 背後で屋敷が悲惨な事になった音を響かせているが関係ない。怪我人はどこだ。

 

 

「泥管さん!あそこ!あの人!」

「──!」

「うわっ、うわわっ!?ぜ、善逸さーん!?この人何者なんです!?」

「鬼!だけどいい人!」

「いい人で帳消しにできない単語でしたよ!?」

 

 

 切り傷!出血!打撲!うーん、死にかけ!

 

 というわけで頭をもぎもぎします。痛くてビクンビクンしてるけど我慢してもろて。はーい、痛かったら手を挙げてくださいねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「善逸さん!あの人!……人?とにかくあれ!倒れてる人に何か怖いことしてます!?」

「あれ治療してるんだよ……滅茶苦茶痛いけど」

「治療!?頭をちぎって押し付ける事が治療ですか!!?」

「言いたいことは分かるんだけど、俺もよく分かんない……何なんだろうね、あれ」

 

 

 





【大正コソコソ話】
 頭だけまったく異なる姿形をしていたからか、泥管は伊之助にほんのり親近感を感じている。伊之助は泥管をとんでもないバケモノだと思っている。正解。

 善逸が魔改造されたせいで微塵もビビらずに鬼を討伐し、一緒にいた子供は困惑が止まらなくて考えるのをやめた。

ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。