体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

14 / 44
幕間:善逸さんマジパネェっす

 

 

 

 善逸は将来有望な新人鬼殺隊である。鬼に鍛えられたけど鬼殺隊である。

 

 そのせいか妙に多くの任務を言い渡されているのだが、比較対象が泥管と獪岳の二人しかいない為に何一つ疑問を持たず働いている。

 

 他の新人が一体か二体を切っているうちに五体を切り、彼につけられた鎹鴉……というかスズメの五加木(うこぎ)*1は大忙し。ただでさえ小さい身体で西へ東へと飛び回っては任務を持ってきていた。

 

 

 チュンチュンと鳴く五加木が言うには、とある屋敷に何人もの人が引きずり込まれては出てこないのだと。どう考えても鬼案件である。

 

 

 道すがらに襲いかかってきた鬼を一体返り討ちにしながらようやっとついた屋敷。震えている兄妹らしき二人とは別に、忙しない鼓の音が屋敷の中から響いていた。

 

 

 これには善逸も困った。原作よりもずっと大人びた雰囲気を纏っている善逸だが、中身は大して変わっていない。臆病は据え置きそのままである。

 

 何度も言うが彼の基準は兄弟子と化け物。つまり怖がるにもその二人が基準値になるから怖がらないだけだ。

 

 逆に言えばそれ以外は原作の善逸と変わらない。女の子がいればデレッデレになりながらちょっかいを出すし、錯乱すれば汚い高音で喚き散らして霹靂一閃の速度で駆け回る。喧しさが増しただけでは?

 

 

「あっ!!」

「うぉわあっ!!?」

 

 

 あ、さっそく汚い高音。

 

 鼓の音に集中していたせいか、背後から歩いてきた何者かに気づけなかった。心臓が口からまろび出るかと思うほど盛大にビビり散らかした。

 

 

「君は最終選別の時の!」

「あ、ああ……狐の面を着けてた奴か。脅かさないでくれよ」

「それはすまない。俺は竈門炭治郎だ」

「お、おう。俺は、我妻善逸」

 

 

 ここでようやく原作主人公参戦。女の子に泣いて縋り付く善逸なんていなかったんや。

 

 

 聞けば炭治郎もこの屋敷に向かうように言われたようで、初めての共同任務ということになる。グイグイくる炭治郎と対人へっぴり腰な善逸。大丈夫かこれ。

 

 とりあえず近くにいた兄妹らしき二人に話を聞くことにし、怯えきった二人を五加木で何とか落ち着かせる。手乗り雀の可愛さがなければどうにもならなかったかもしれない。

 

 

 まず、この屋敷は二人の家ではないそうで、やはりこの屋敷の中に鬼がいるらしい。

 

 夜道を歩いていると二人には目もくれずに兄だけを連れていかれ、そのまま屋敷の中に入っていってしまったそうだ。

 

 

 話し終えるとボロボロと涙を零し始めた二人。狼狽える善逸だったが、そこは長男の炭治郎。先の任務で折れた肋の痛みを押し殺して微笑んだ。

 

 

 その間も屋敷の中から響いていた鼓だったが、どうも先程からより鼓の音が激しくなっている。狼狽よりも疑問と警戒が勝った善逸が炭治郎に聞こうとして、突如人間が放り出されてきた。

 

 

「な───」

「俺が行く!」

 

 

 血塗れで落ちてきた何者かに思わず硬直してしまった炭治郎。判断が早かった善逸がすぐさま駆け出し、弱々しい呼吸音がするそれを何とか抱き留めた。

 

 

「っ、善逸!」

「止血する!手伝ってくれ!」

 

 

 幸いと言うべきか、傷は深いだけで致命傷ではない。しかし血を流し過ぎている可能性があり、あまり猶予はないだろう。

 

 できれば今すぐにでも医者にかからせてあげたいけれど、この人物を抱えたままで間に合うような距離に医者があるかも分からない。

 

 

 一体どうすれば、と焦燥が募る善逸の耳に一つの音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドンドットット……

 

 

 

 

 

 

 

「……泥管、さん?」

「えっ?」

 

 

 屋敷の中から聞き覚えのある、そして心当たりしかない拍動音。間違いない、泥管がいる。

 

 

 善逸は知っている。泥管には治療する力があると。

 

 厳しい鍛錬の中で一度だけ起こった事故。森の中で兄弟子と二人がかりで泥管を相手取っていた時、善逸は足を滑らせて木の枝に脛を抉られてしまった。

 

 とんでもない激痛にのたうち回ることしかできずにいた善逸と狼狽えてばかりの獪岳。あんなに頑張ったのに、と怒りと悲しみに思考が塗りつぶされかけた瞬間、もっと強い痛みが走った。

 

 

 

 ──治っ……た?

 

 

 

 何をどうされたのかは覚えていないけれど、親指程に抉られていた足を治してくれたのだ。

 

 

 

「泥管さんがいるなら、この人も助かるかもしれない……!」

「ぜ、善逸?どろくださんって誰だ?」

「この屋敷の中にいるんだ!泥管さんならこの人を助けられる!」

 

 

 困惑する炭治郎を余所に善逸は屋敷へと向かっていく。炭治郎も慌てて背負っていた箱を兄妹に任せ、屋敷へと向かう。

 

 

 すると兄妹は箱からした音に怯え、あれに何が入っているのかを尋ねるために着いてきてしまった。これには善逸も炭治郎も焦った。

 

 

「着いてきたら駄目だ!この屋敷はもう鬼の───」

 

 

 

 鼓の音が声を遮った。

 

 敷居を境に部屋が入れ替わったのだ。

 

 妹と炭治郎、兄と善逸の二組に分断されてしまった。

 

 

「大声を出すなよ……!鬼が来るかもしれない」

「っ……!」

「外に……は、出れないか」

 

 

 せめてこの子だけでも、と玄関だったはずの方の引き戸を開けてもやはり室内。今の一瞬で察してはいたが、室内を間取りごと入れ替えてしまうようだ。

 

 こうなったら仕方ない。善逸にできることは一刻も早くどこかにいる泥管を見つけ出し、この子を安全に外に逃がしてやること。それしかない。

 

 

「ぐひ、ぐひひ……子供だ」

「ひっ!?」

 

          うだ」

 

「舌触りがよさそ

 

 

 

「とりあえずこの程度なら何とでもなるし、早く進もう」

「……えっ?あれっ!?」

「──は?」

 

 

 悠長に自分の存在を見せびらかすような雑魚鬼ならばどうとでもなる。独特の拍動音がする方へと急がねば。善逸は朽ちていく鬼に目もくれずに耳をすませて泥管を探し始めた。

 

 

 

*1
チュン太郎の事。アニメで本名が明かされており、漢字は実在する植物の物を適当に当てました。





【大正コソコソ話】
 画面外で炭治郎の手によって鼓の鬼は討伐された。

 鼓の鬼、響凱は泥管の拍動音を一度だけ耳にしたことがあり、あまりにも自由な音色に感動してほんのり強化されていた模様。

 それでもほんのり程度の強化だったので結果は変わらず。強いていえば伊之助にちょっとだけ傷を負わせられた程度しか変わらなかった。

ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。