体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

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 うちの零余子ちゃんはこんな感じです。






マジかよコイツ

 

 

 

 零余子は臆病者だ。

 

 柱が怖いし鬼舞辻無惨が怖いし上弦の方々も怖い。なんなら鬼だけどお化けも怖い。

 

 

 そんな性格をしていたから、鬼になってからも安全第一の生活だった。鬼殺隊とはなるべく戦わずに各地を転々としながら、なるべく目をつけられないようにと居なくなっても問題のない浮浪者や賊共を選んで食っていた。

 

 せせこましい生き方だが、どんなにみっともなくとも回数を重ねれば鬼としての力はついていく。気がついた時には血鬼術を発現させていた。

 

 

 で、運の悪いことにその時ちょうどたまたま下弦の鬼に欠番が出ちゃいまして。無惨の目には血鬼術が使えてそこそこの数人間を食った鬼が映りました。

 

 

 しかし臆病者の零余子、下弦の鬼に就任するにあたって無惨にとあることを懇願した。

 

 

 

 ──泥管、という鬼に会わせていただきたく

 

 

 

 時折他の鬼から聞く泥管という鬼に会いたいと言ったのだ。

 

 零余子はあの時の無惨の『別に構わないけどアレかぁ……』な表情を死ぬまで忘れることはないだろう。なんなら気の毒なものを見る目で見られたし。

 

 

 琵琶の音が一つ聞こえた後、目の前には水滴のような頭の筋骨隆々な鬼が立っていた。悲鳴をあげた。

 

 

 零余子が泥管と会いたかった理由はただ一つ、他の鬼から聞いていた圧倒的な肉体強度を獲得する方法を知りたかったから。

 

 

『どうか私にその凄まじい強度の肉体を得る方法を教えていただきたく……!』

『──』

『い、いいんですか!?』

 

 

 思ったよりあっさり許可が出た。泥管さん、渾身のサムズアップ。

 

 

 

 そうして泥管の手によって零余子は更なる力を得たのだが。

 

 

 

 

「硬さはまだしも、速さは中途半端だもん……力なんてこれっぽっちも変わらなかったし……」

「───」

「うう……せっかく泥管さんに強くしてもらったのに……」

 

 

 

 その結果、零余子は既存の血鬼術を失ったかわりに泥管並みの硬さと泥管の半分以下の速度、そしてほんのちょっぴりの筋力を得た。

 

 

 泥管が零余子にした事は単純なもので、自分の頭を三分の一ほどちぎって食わせただけだ。

 

 物凄く嫌そうな顔をしながらも零余子はそれを食べ切り、今の力を手に入れた。鬼ってそういうシステムだっけ?

 

 

 失った血鬼術は使い勝手の悪い半端なものだったが、泥管の肉を食って得た血鬼術はある意味で破格の血鬼術だ。

 

 

「……え?爆血(・・)?そりゃあ柱が飛び退くくらいの威力はありましたけど……当たらなかったら意味無いじゃーん!?」

 

 

 うん、聞き覚えしかねえ血鬼術だな。

 

 零余子が新たに得た血鬼術。それは自分の血を起点にして強烈な発火を起こすことができるという能力。血鬼術だけ、どころか何でもかんでも焼き尽くします。

 

 区分で言えば童磨の属性違いのような血鬼術なのだが、流石に出力が違いすぎる。童磨が際限なくばら撒けるのに対し、零余子は体力的な限界が存在している。

 

 

 おまけにその強くなった血鬼術を信じて柱を襲ってみれば、例の元から乳がデカい方の女の柱に血鬼術そのものをズンバラリンと切り伏せられた。

 

 

「その後あの方からも『死なないくらいに硬くなったのに何故逃げる?』って怒られたし……踏んだり蹴ったりだよう……」

「───」

「怖いものは怖いんだもん!私が一番最初に会った鬼殺隊なんか、ゴウンゴウン音してたからね!?しっかり恐怖を刻み込まれちゃってるよ!」

 

 

 本当に運が悪い。それ多分鬼殺隊最強の人。

 

 

 整った顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら泥管に縋り付く零余子。恐怖がぶり返してきたのか足が産まれたての子鹿の如し。

 

 

 尚、こんなんでも泥管と同じで陽光を克服していたりする。日輪刀が本当に効かないじゃねえか。

 

 それを聞いて一瞬滅茶苦茶喜んでいた鬼舞辻無惨。泥管由来と聞いた時にはスンッ……と真顔に戻ってしまった。

 

 

「これでも頑張ってるのにぃ……!もう柱の半分以上と戦ったんだよ!?」

「───!?」

「え、うん。確か……水と霞と、風と……こい?濃い?鯉?とにかくコイの柱!」

 

 

 いつの間に。泥管もさすがにビックリ。

 

 当然戦績は0勝4敗。ゴウンゴウンも含めれば5敗。水と霞はぼんやりしていた瞬間を見計らって離脱し、風はなんか『アレと同類かよォ……』と舌打ちの後に蹴り飛ばされた。理不尽。

 

 

 ともかくだ。泥管並みの強度のお陰で死なずに済んでいるだけで、実際はこれっぽっちも強くなった気がしないのだ。

 

 彼女が泥管の元を尋ねたのは何も愚痴を吐きに来ただけではなく、更なる力を得る為に尋ねたのだ。

 

 

「でも、これ以上ってできます?また泥管さんの肉を貰えばいいの?」

「──」

「アッハイ。それは大前提デスカ……」

 

 

 頭をひとちぎり分渡しながら泥管は考える。今の零余子には何が足りていないのか。度胸は自力でつけてもらうとして。

 

 

 とりあえず耐久力。彼女の血鬼術は想像よりもずっと体力を持っていくし、体力なんてあればあるだけ困ることは無い。

 

 次に手数。威力は申し分ないので、数を増やして一発でも多く撃って可能性を上げた方が効率がいいだろう。

 

 

 

「──」

「何か思いつきました?」

 

 

 

 結論:飯を食え零余子。

 

 

 体力と血の量と質。これらは全て沢山食べることで少しずつ底上げされるはずだ。ならばこれ以上にやるべき事など存在しない。

 

 

 そうと決まれば善は……否、膳は急げだ。

 

 

「え?あの、何を」

「───」

「ご、ご飯?人──じゃなくて料理を!?」

 

 

 この泥管、他人に食わせる飯は決して妥協できない。それも強くなりたいと願っている可愛い可愛い愛弟子(仮)ならば尚のこと。

 

 零余子を食卓に着かせると、信じられない速度で動き始めた。残像のせいか四、五人くらい泥管がいるように見える。地獄絵図。

 

 

 自分の嗜好は菜食よりだが、今回は零余子の体力と血を強くする必要がある。つまり肉や魚の大盤振る舞いだ。

 

 

「いや、あの、ちょっと!?何か物凄い勢いで料理が増えていく……!!?」

「──!!」

「せめて説明してくれませんか!?」

 

 

 作れる飯を片っ端から作っていく。

 カツ丼、豚汁、卵焼きに天ぷら。どこで覚えてきたのかカレーライスやオムレツ、ぶ厚いビフテキまで出てきた。

 

 

 ようやく配膳の手が止まった頃には、部屋が料理の皿で足の踏み場がなくなるくらいに作られていた。そろそろ零余子も泥管の意図が読めてきた。

 

 

「……まさかこれ全部私一人で?」

「───!」

「そ、そんな……」

 

 

 

 

 

 

「いいんですかっ!!?」

 

 

 

 蟲柱よ、お前に足りないのはこの愛嬌だ。

 

 

 零余子、一寸の迷いもなく食事を開始。人の頭ほどはある豚のカツ丼をすぐさまペロリと平らげ、バケツの如き豚汁を一息で飲み干した。

 

 こちら、童磨に次いで胃袋を鷲掴みにされた鬼の零余子ちゃんです。いっぱい食べてね。

 

 

 満面の笑みを浮かべながら次から次へと皿を空にしていく。吸引力の変わらないどこぞの掃除機かな?若しくはピンクの悪魔。

 

 

 食って強くなる……なんてどこの少年漫画の世界観だと言いたいところだが、鬼は元からそんな感じの生体なのであまり突っ込まないでやって欲しい。

 

 こうして零余子は夜が明けても尚食べ続け、某恋柱でも満足してしまうほどの量を食べ切った。

 

 

 ちょっと試したら爆血滅茶苦茶強くなってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……ぷはーっ!!泥管さんのご飯おいしかったー!」

「──」

「え?そりゃ食べた分は動きますけど……私、どれだけ食べても太らないんですよねぇ……」

「──!?」

 

 

 今明かされる衝撃の真実。蟲柱がそっちに行きましたよ。

 

 

 





【大正コソコソ話】
 零余子の陽光克服を聞いて無惨も恐る恐る泥管の肉を少し食べたが、しばらくの間腹痛と吐き気に悩まされるばかりで微塵も克服できなかったとか。

 ここの零余子ちゃんは何とは言わんが平たいし、全体的に細い。何か太れないらしい。蟲柱はキレた。

ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
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