体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

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どこまで関わってんだコイツ

 

 

 あービックリした。これだから忍者は嫌いだ。鬼になってから何度背後を取られたか分かりゃしない。

 

 

「悪かったって。一応戸は叩いたんだが、気配がするのに反応がなくて気になったんだよ」

「───!」

「忍者にいい思い出がないって……待て待て、お前どんだけ長く生きてんだ?大抵の忍なんざ江戸の頃にゃ絶えてんぞ?」

 

 

 うるせえこちとら平安生まれじゃい。

 

 

 で、忍者……宇髄が何故泥管の元を尋ねたのか。落ち着きを取り戻した泥管が聞いてみると、神妙な顔をして話し始めた。

 

 

 何でも彼の嫁さんが三人、遊郭に潜入して鬼の手がかりを探しているのだと。

 

 何故遊郭に?と聞くと鬼が潜んでいる可能性があるらしい。で、仮に遊郭に鬼が潜んでいたとして。そこにいるのが上弦の鬼という可能性も出てきたものだから、泥管から少しでもいいから情報を貰えないかと思って来たらしい。

 

 

 困ったことに泥管は遊郭に潜む鬼に大変心当たりがある。それも上弦の鬼に心当たりがある。

 

 きっとその鬼は上弦の陸。兄妹の鬼である堕姫と妓夫太郎の事だろう。

 

 

「やっぱり何か知ってるのか?」

「───」

「…………はあ?」

 

 

 いやそんな顔をされましても。本当のことしか言ってないし嘘ついてないもん。泥管、ウソつかない。

 

 

 堕姫も妓夫太郎もかつての上弦の陸……今の上弦の弐である童磨によって鬼にされた。

 

 俺が来なければ堕姫も妓夫太郎も死んでいたぜ?とは童磨の談。片や生きたまま燃やされ、片や背中をバッサリと切りつけられ、だったとか。

 

 

 生まれた時から酷い環境に身を置いていながら、それでも互いの事を大好きなまま育った兄妹。そんなの泥管が指をくわえて見ているはずもなく。

 

 童磨に頼られたこともあって泥管は二人のことをしっかりとお世話した。まず胃袋と舌を鷲掴みにするところからスタート。

 

 泥管による温かくて美味しい手作りご飯を食べ、ついでに泥管の頭をちょろっと与えて味覚を人間に戻してやったり。それはもう大層可愛がった。

 

 

 結果、人間を一人も食わないまま上弦の陸になった。無惨は寝込んだ。ざまぁ。

 

 当然無惨はキレ散らかしていたけれど、それから百年ほど経っても二人より強い、或いは優秀な鬼は出てこないので上弦から追放することもできない。

 

 

 

「……つまり、なんだ。敵じゃない……のか?」

「───」

「『堕姫はちょっと反抗期気味』……いや知らねえよ。そんで地味に落ち込んでんじゃねぇよ面倒くせぇ」

 

 

 ご飯を持って行っても一緒に食べてくれなくなりました。ぴえん。

 

 

 それで敵かどうかという話だが、おそらく手出しをしなければ敵対はしないだろう。

 

 過去にも何度か柱と遭遇したことがあるそうだが、そのほとんどが二人に気づくことなく終わった。

 

 何人かは怪しんだり探りを入れてきたりしていたけれど、真昼間に(・・・・)店の外で顔をあわせるだけですぐに帰って行ったという。

 

 

「…………陽光、克服してんのか?」

「───」

「『短時間なら大丈夫』じゃねえよ!?んなもん誤差だわ!誤差!」

 

 

 だって……ねえ?堕姫ちゃんったら、肌が白すぎて完璧に克服できなかったんだもの。日に焼けやすいくらいには克服できてない。できてるだろそれ。

 

 

 というわけで、鬼が潜んでいるなんて噂がどこから出てきたのかは知らないけれど、遊郭に潜入しても特に何も成果はないと思うよ?

 

 泥管の言いたいことが分かったのか、宇髄は片手を額にあてて大きくため息をついた。

 

 

「んだよ……ようやく上弦の尻尾を掴んだと思ったってのに……」

「───」

「あん?『そもそも上弦に勝てるのか』って?んなもん……いや、どうだろうな」

 

 

 泥管の見立てではどの上弦と戦うにしろ柱が三、四人はいないと厳しい気がする。まだ会ったことのない柱がどうなのかはさておき。

 

 例えば今回遊郭にいた堕姫と妓夫太郎。堕姫は妓夫太郎よりは弱いので柱一人でもなんとかなるかもしれない。

 

 しかし妓夫太郎は最低でも二人以上の、防御や回避に優れた柱が必要だろう。彼の血鬼術は猛毒があり、かすり傷ひとつすら致命傷になりうる。

 

 堕姫と妓夫太郎同時となれば四人くらい必要だ。妓夫太郎の猛攻を堕姫が補助する形で攻めてくるので、攻撃にしろ防御にしろ手数を求められる。

 

 

 そう思うとやはり鬼の方が戦力としては上か。現時点でぶつかり合えば鬼殺隊は完膚なきまでに殺し尽くされて終わるだろう。

 

 一応自分が鍛えた善逸と獪岳がいるが、あの二人でも相性次第で可能性が生まれるかどうかというくらいだ。不意打ちとかそういう方面ならもっと可能性は高くなるかもしれない。

 

 

 

 まあ、今はあまり関係ないか。一番近づくことができた上弦の陸が無害と分かった以上、宇髄も宇髄の嫁達も遊郭を調査し続ける理由はなくなった。

 

 消化不良です、という感情を隠そうともしないしかめっ面で宇髄は帰宅の準備を始めた。

 

 

「……一応聞いとくか。お前、他の上弦の所在を把握してたりしないのか?」

「───」

「ま、そりゃそうか。拠点を構えてる方が少ないわな」

 

 

 上弦の鬼は、ねぇ……?弐と陸以外はあまり一箇所に留まらないし、留まっていたとしても大抵無限城だから鬼殺隊が干渉できないもん。

 

 なので鬼殺隊が自力で辿り着けそうなのは弐と陸なのだが、二分の一で無害な方を引いてしまった。弐は弐で潜入自体ほぼ不可能みたいなもんだし。

 

 

 

 ほんのり哀愁漂う宇髄の背中を見送り、泥管は少し考える。

 

 どうにも最近、鬼殺隊が無惨の首に迫りつつある気がするのだ。

 

 元々下弦の鬼は入れ替わりが早かったが、近年はあまりにも立て続けに入れ替わっていた。上弦に至ってはそもそも所在を割り出すことさえ不可能だった。

 

 自分が積極的に関わった鬼殺隊はせいぜい善逸と獪岳くらい。鬼殺隊が挙げた成果に直接的に関わったことはない。

 

 

 これはそう遠くないうちに全面戦争になる気がする。この数百年、停滞していた戦いが大きく動き出すだろう。

 

 そろそろ自分も動く必要がある。死に損ないなら死に損ないなりに、やりたいようにやってやる。泥管は誰もいない家の中でひっそりと覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………それで私の所に来たと?」

 

「何だこの化け物!!?」

 

「愈史郎!やめなさい!否定はしませんが

 

 

 あのちょっと???

 

 

 





【大正コソコソ話】
 鬼化して早々に顔の肉を食わされたせいか堕姫は若干泥管のことが怖い。妓夫太郎は最初こそ警戒していたが、途中から警戒するだけ馬鹿馬鹿しいことに気づいた。

 上弦の中では唯一人を一度も食っていない鬼だったりする。なんなら人も殺してないので定期的に無惨からピキられているが、情報収集で普通に優秀だったせいで殺すに殺せずにいる。

ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
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