体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

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しぶといなコイツ

 

 

 鬼舞辻無惨は焦っていた。

 

 初手で策謀に負けた時点で逃げに徹するべき……否、そもそも泥管を生み出してしまった時点でこの結末は定まっているようなものだろう。

 

 

 産屋敷家を襲撃した際、泥管から飲まされた肉片のようなもの。その中に入っていたのは珠世によって作られたと思われる複数の薬品と猛毒だった。

 

 それだけなら、いやそれだけでもだいぶ致命的な問題なんだけども。それ以上にマズイのがそれらを包んでいた肉だ。

 

 これまで散々使われていた泥管の肉だが、その見た目は色が着いた餅のようなもの。採取する瞬間を見ていない限りは口に入れることにあまり抵抗がない見た目をしている。

 

 しかし無惨の口にシュゥゥゥーッ!された物はそんな見た目ではなかった。赤黒い箇所とテラテラとしたピンクで構成されたグロテスクなものだ。決して泥管の肉ではなかった。

 

 その正体は妓夫太郎と零余子と不死川の血を泥管の肉に混ぜ込んだ殺意の塊のようなオブラート。比率にして血液10に肉が1だ。

 

 

 元々妓夫太郎の血鬼術は己の血で生み出した鎌と鎌による斬撃を操るもの。そこに他人の血を混ぜ込んで更に泥管の肉を足すことでブヨブヨとした肉に変じたのだ。

 

 その役割は中身の保護ともう一つ。無惨の体内で中身と混じり合い、より強力な効果を発揮させる為。

 

 要は効果を二段階にわけたのだ。生半可なものではすぐに解析されて分解を始めるだろうと思った珠世達は一分一秒でも長く効果を持続させる方法を探していた。

 

 その結果行き着いたのがこの無惨絶殺オブラート。表層の比較的弱い毒素を取り込んで『余裕やんけ!』と調子に乗ったところで中身のもっとヤバい物を一気に吸収させようと考えた。

 

 

 案の定無惨は全てを後悔している。余裕をぶっかまして一息に吸収し、現在進行形でお腹がブレイク中。厠はどこだ。無限城にンなもんねぇよ。

 

 

「ぐ、うぅ……っ……!?おの、れ……!おのれおのれおのれぇ……!!」

 

 

 泥管の肉で腹を下し不死川の稀血で酔っ払い、トドメに零余子の血が内側からジワジワと身体を焦がしている。

 

 そこに珠世謹製の鬼の身体を人間に戻しつつポップコーンエスケープを阻害し、一分で百年分歳をとって細胞破壊を引き起こす薬品が効いてくる。というか効き過ぎてる。

 

 そこにいるのは千年の時を生きる鬼の始祖のはずなのだが、脂汗に塗れ内股で情けなく歩く死にかけの老人の如き有様。鬼狩りが来るまで生きているのかさえ怪しい気がしてきた。

 

 

 ただでさえ泣きっ面フルボッコ状態の無惨を更に焦らせているのが配下の鬼達との繋がりが次々と消えていること。

 

 猗窩座まではまあわかる。童磨が途切れたときには思わず声を漏らし、黒死牟に至っては死人のような肌を一層青ざめさせるくらいに予想外だった。

 

 まだ鳴女がいれば逃げるくらいはできる!と思った瞬間に鳴女も途絶えた。無惨は泣いた。

 

 

 余裕があれば肉の繭でも作ってゆっくりと分解に集中できたのだろうが、凄まじい速度で配下が消えたせいでそれもできなくなった。

 

 杖つきの老人並の速度でヨタヨタと歩きながらどうにか解析と分解を試みているものの、強化された薬効がそれすら許してくれない。

 

 

「何か……ない、のか……!この状況を覆す何か……!!」

 

 

 そこになかったらないですね。

 

 

 しかし天運は無惨に味方した。

 

 

 繋がりが途絶えた為に死んだものと思われていた鳴女の琵琶の音が微かに聞こえた。

 

 無惨は勝利を確信した。傍から見れば勝利にはあまりにも程遠い様相だが、生きてさえいれば勝ちだと言い張る無惨にはこの状況からでも勝ちに持っていける。頑張れ無惨負けるな無惨。

 

 

「思えば……っぐ、鳴女が死んでいたのならっあ……無限城も、崩壊していぃぃ……たはずぅっ……!」

 

 

 鬼なんだから下から出るものなんてないはずなのに括約筋に力を込める。馬鹿め、鬼の始祖がクソなど漏らすか。

 

 運はこの鬼舞辻無惨に味方してくれている!と降って湧いた幸運に笑う。運じゃなくてウンが味方しているような……。

 

 

 そしてようやく琵琶の音が近づいてきた。何らかの方法で自分との繋がりを断ち切られた為に捜索していたのだろう、と鳴女を評価していた。

 

 このまま今夜をやり過ごし、また百年でも二百年でも引き篭ろう。肝心の泥管と寝返った鬼共は残るが、現代の鬼殺隊は間違いなくそれで終わる。想定通りとは程遠いけれど、間違いなく自分が勝ったと思い込んだ無惨は障子の中に吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

「お前を殺す」

 

 

「げぇーっ!!泥管!!!?」

 

 

 

 ジャーンジャーンジャーン!!

 

 

 当然ッ!そこには泥管ッ!!

 

 

 勝ち誇った面で障子の向こう側へと降り立った無惨の目の前!約1680万色に輝く日輪刀を携えた泥管が素顔を露わにして立っていた!鬼殺隊どころか鳴女とも結託した泥管による最後の罠である!

 

 

「コイツがァ!!!」

「あれが……」

「あの男が!!」

「奴が……」

「鬼舞辻!?」

 

「無惨!!」

 

 

 勿論待ち構えているのは泥管だけに非ず。泥管の肉で負傷を治した万全の柱十名と炭治郎とその同期達、寝返った鬼達もしっかり待機していた。もう助からないゾ。

 

 

「ふざっ、ふざけるなァ!?何をしている貴様らァ!!?」

 

「いやー……俺も一緒に死んであげるつもりだったんだけどね?カナエちゃんがどーしてもって言うからさあ……」

「私達の恩人はアンタじゃなくて童磨さんと泥管さんよ!アンタの下についた覚えはないわ!」

「流石にかわいそぉだなぁぁ……」

「いやーキツイでしょ……」

「来世に期待した方が有意義ですよ」

 

 

 この状況下でまだ元配下にキレるあたり本当に無惨である。目の前の脅威に対処してから言ってもろて。

 

 さあ腹を下して酩酊しつつ内側からジワジワと灼かれ、その上人間に戻りながら九千年近く歳をとった状態でポップコーンエスケープ縛りで頑張ってくれ無惨。

 

 

 





【大正コソコソ話】
 諸々のショートカットに成功した結果、原作の半分くらいの時間で無惨戦に到達。珠世の薬についてはブーストがかかって原作と同じ状態まで効果が進行しており、なんならそこから原作の倍のスピードで進行するのでもっと弱体化していくことになる。

 上弦以外の名も無き鬼は手が空いていた柱や雷一門、伊之助とカナヲ辺りが殲滅した。本当の意味で無惨の味方が一人もいなくなった。

ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
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