体が生えたディ〇ダみたいな鬼   作:南亭骨帯

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やったよコイツ

 

 

 鬼舞辻無惨の討伐、並びに死者0名という朗報は瞬く間に広まった。

 

 祈ることしかできなかった藤の花の家紋の家も、戦う事ができなかった隠の人々も、第一線を退いていた育手やかつての隊士達も……誰もが涙を流し、喜びの声を上げた。

 

 

 鬼の始祖が死んだことにより、無限城内や日本各地に潜んでいた鬼も死んだ。例外となったのは泥管の肉を食った零余子や妓夫太郎達と……人間に戻った禰豆子だけ。

 

 うん、普通に考えれば如何に泥管が特異な鬼だったとしてもだ。彼とて鬼舞辻無惨によって鬼にされたことに変わりはないのだから彼らも朽ち果てるのだと誰もが思っていた。

 

 幾分かの猶予はあれど彼らの辿る末路も同じだろうと思い込んでいたが為に、二日経っても三日経っても消える気配のない彼らに驚かされていた。

 

 

「……まあ、私達は普通に人間に戻っちゃったけどね」

「まあまあ、死ななかった事を喜ぼうぜ?俺なんか陽光を浴びて死ぬかと思って変な悲鳴あげちゃったしね!」

「それでも『きええええっ!?』はないでしょ。こっちが驚かされたわよ」

「耳がイカれるかと思ったなぁぁ……」

「やめて!恥ずかしいから掘り返さないで!」

「っ……!っ…………!」

「鳴女ちゃんに至ってはツボに入ってるよね!?」

 

 

 そんな彼らがいるのは牢屋の中。檻の中に童磨と鳴女が入れられており、他の三人はその外から話しかけていた。

 

 

 鬼舞辻無惨が死んだことで彼らも死ぬと思われていたのだが、泥管のせいなのか死ぬことはなかった。

 

 そうなると彼らの扱いに困ってしまう。何せ被害者無しの兄妹と浮浪者一名を除けば襲いかかってきた賊しか食べていなかった零余子に対し、童磨と鳴女は生きてきた年月相応に無辜の民を食らってきた。

 

 既に血鬼術も喪って戦う力を持っていないとはわかっているけれど、彼らの無罪放免に納得しない隊士達が多いのも事実。やむを得ず一旦投獄するしかなかった。

 

 

 ちなみに零余子も『いや私は……?』と自己申告をしていたのだが、後ろにそびえ立っている(ように見えるだけの通りすがった)泥管を見て何も言われなかった。お前ほどの奴が言うなら案件?いや何も言ってないって。

 

 

「うーん……これからどうしよっかなあ」

「……貴方はナントカ教があるじゃないですか」

「『万世極楽教』のことかい?あんなの、アテになるわけないだろ」

 

 

 決戦前日に死んだフリして教祖やめたし、とは童磨の談。鬼の再生力があれば喉に刀をぶっ刺しても死なないのよね。

 

 元々童磨は近いうちに教祖の立場を捨てるつもりでいた。何せちょっと仲良くなった赤子持ちの母親を嫉妬で殺すような連中が集まった宗教だ、未練など微塵もない。

 

 

 逆に鳴女は生きていこうと思えば何とでもなると思われる。顔面に大きく開いた一つ目は人間に戻る時に二つへと分かれ、それなりに整った顔立ちに収まった。

 

 そこに琵琶の腕前があれば敷居の高い旅館なりであっさりと仕事を手に入れるだろう。ただし人殺しは許さない。許してたまるか。

 

 

「そもそも……出してもらえるんでしょうかね」

「……食わなきゃ飢えるし無惨が煩かったとはいえ、食ったのは事実だしねぇ」

「何人食べたんです?」

「んー……六十日に一人は食ってたけど、長く生きてきたせいで数え切れないかも」

「ちなみに私は二十九人でした」

「……え、少なくない?君結構古株だよね?」

「私、少食でしたので」

 

 

 絶対コイツ反省してないだろ。コレと比べたら自分はまだ可愛げがあるのではないか?と思わずにはいられない童磨だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まさかこの日を生きて、皆で迎えられるなんて思ってもみなかったよ」

 

 

 何の瑕疵もない、健康体となった産屋敷耀哉の声に柱達は静かに微笑んだ。

 

 十人の柱と産屋敷耀哉、そして産屋敷家の人々。鬼舞辻無惨を滅ぼす為に戦い、死ぬつもりでいた者達による最後の柱合会議。

 

 

 泥管がいなければ自分の命すら囮にする気でいたお館様と、命に変えても鬼舞辻無惨を殺すつもりでいた柱達。彼らが五体満足のまま、こうして顔を突き合わせていられるなんて夢にも思わなかった。

 

 一族の悲願は成された。家族の、愛する者の仇を取れた。この時をもって鬼殺隊の存在意義は失われた。

 

 

「鬼殺隊は、今日で解散する」

「「「「御意」」」」

「長きに亘り身命を賭して……世の為人の為に

 戦って戴き、尽くして戴いたこと……」

 

 

「産屋敷家一族一同、心より感謝申し上げます」

 

 

「顔を上げてください!礼など必要ございません!」

「そうです!鬼殺隊が鬼殺隊で在れたのは、産屋敷家の尽力が第一!」

 

 

 だから、これで最後。深々と下げられた頭に柱達が慌てて制止をかけるけれど、お館様……産屋敷耀哉は微笑みを絶やさずにゆっくりと顔を上げた。

 

 

「……これからの私達は鬼殺隊の長でもなければ、守ってもらわなければならない権力者でもなくなった」

「ですが……!」

「だから、これからは皆の友人になりたい。もし許してくれるのならば……私が地獄に落ちるまでの僅かな間、良き友人達と生きていたいんだ」

「っ、勿論です!身に余る光栄です!」

「ああ、そういうんじゃなくて……もっとこう、対等に……」

 

 

 しかし産屋敷耀哉、対等となるには少しばかり人心を掌握し過ぎた。友人というにはあまりに謙った姿勢の柱にオロオロとする彼を見てあまねや子供達もクスクスと笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爺ちゃーん!帰ったよー!」

「先生と呼べって言ってんだろ!!」

「痛ったァ!?え!?今日輪刀の鞘で殴らなかった!?」

「ンなわけあるか。柄で殴ったんだよ」

「どっちみち日輪刀だよね!?」

 

 

 こちら雷の呼吸の育手、桑島慈悟郎の屋敷にて。

 

 三日も経てば鬼殺隊関係者には既に情報が回っているのだろうが、それでも善逸と獪岳は自らの口で伝えたくて彼の元を訪れていた。

 

 諸々の報告や検査によって少し時間が経ってしまったが、それらが済んだ後にすぐさまここへ来たのだ。

 

 いつも通り喧しいやり取りをしながら屋敷へと上がると、そこには正座で待ち構えている桑島の姿があった。

 

 

「……爺ちゃん?」

「先生?」

「…………此度の戦い、誠にご苦労じゃった」

 

 

 重々しく開かれた口から出たのは、堅苦しくも万感の思いが込められた言葉だった。

 

 

 桑島もかつては柱として鬼狩りを行っていた剣士。35歳の頃に片足を失って引退し、自分の代わりに戦う者達を何人も見送ってきた。

 

 そうして今、かつての自分ではできなかったことを自分の弟子達がやり遂げてくれた。これが嬉しくない人間がどこにいようか。

 

 

「……お前達は、儂の誇りじゃ」

「っ……じいちゃーん!」

「せん、せい…………ありがとうございます!」

「ぬあーっ!?待て待て待て!?お主ら二人に飛びかかられてはさすがに───!?」

 

 

 ドンガラガッシャーン。もっと色々と言いたいことがあったというのに、どこか締まらない。そりゃご老人に身長160cm超えが二人も突っ込めばそうもなる。

 

 重苦しい空気はどこへやら。数分後には二人が正座をさせられて説教させられるいつも通りの光景となっていた。

 

 

 

 

「俺頑張ったのにー!」

「うるせぇ!?横でギャーギャー喚くな!」

「まったくお前らは……らしいと言えばらしいが」

 

 

 





【大正コソコソ話】
 童磨と鳴女は産屋敷家で雇われることになった。鳴女の琵琶に合わせて扇と共にヒラヒラと舞う面のいい童磨は有名な芸者になった模様。

 妓夫太郎と梅、零余子はどこかで畑仕事をしている。鬼ではなくなったけれど身体能力は柱達くらいはあるので割と余裕。ただちゃんと疲れるし日焼けもするので妹を心配してはうるさいと言われて凹むお兄ちゃんが生まれた。


ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?

  • ええんやで
  • 駄目、全部書け
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