藤襲山。それは藤の花が一年中咲き誇る不可思議な山であり、鬼殺隊の最終選別が行われる場所だ。
鬼は藤の花を嫌う為、この山の中に放り込まれると外に逃げ出せなくなる。
鬼の習性と藤襲山の環境が奇妙な程に噛み合い、最終選別は成り立っている。
鬼殺隊の隊士が捕らえた血鬼術を使えない程度の鬼を放し飼いにし、その中で七日間生き延びた者だけが鬼殺隊として刀を取ることが許されるのだ。
その日も例年通りに隊士候補が集まっていた。妹を鬼にされた少年やどことなく余裕が無さそうな少年、そして散々泥管にボコボコにされた善逸も。
獪岳は一足先に最終選別を受けて見事合格しており、今や鬼殺隊の注目すべき新人として期待されている。
当人は鬼を斬る度に『やっぱアイツがおかしいだけだったんだな』と呟いているようだが。
産屋敷家による最終選別の説明も終わり、いざ鬼が潜む山へと向かった候補者達。ほとんどが憎悪や復讐心に取り憑かれて力み過ぎている中、善逸は一人どこまでも穏やかな態度だった。
「うわー……本当に暗いな。獪岳が言ってた通りだ」
というかお前本当に善逸か?ってくらい穏やかである。怯える素振りもなければ足取りは軽やかで、獪岳から聞いた藤襲山の光景を見てポカーンと口を開いている。
そんな油断塗れの状態を見た鬼が大人しくしているはずもなく、辛抱たまらんとばかりに勢いよく飛び出し───音もなく首を斬られた。
「───は?」
「……分かっちゃいたけど、泥管さんと比べたら大体雑魚鬼だな」
「なん、で……」
「遅い、脆い、弱い。そんなんにビビってたら泥管さん見た時に気絶しちまうよ」
善逸がこんなにも穏やかな理由。それは彼の中の鬼の基準が泥管になってしまったからだ。やめとけ。
泥管と比較した時大半の鬼は、というか鬼舞辻無惨と上弦の鬼の一部以外は弱く見えてしまう。そんな化け物と数日みっちり組手を続けていれば感覚も狂ってしまうだろう。
ちなみにだが後に上弦の壱と出会した獪岳はこう語った。
──泥管と同類だと思ったら別に……
お前いつか死ぬぞ獪岳。
と、まあ二人して泥管の地獄から生還したのだから最終選別なんてチョチョイのチョイやで。
襲ってくる鬼を返り討ちにしながらのんびりと過ごし、最後の日だけ霹靂一閃で大暴れするという前代未聞の最終選別突破を果たした。
七日後に再び集まった候補者達だが、二十人中十四人が合格だった。六人はって?死ぬ前に山を降りたので死人はいないから安心していいよ。
(アイツ……滅茶苦茶鬼切って回ってたな)
(七日目に大暴れしてたのアイツだよな……?)
(すんごいボーッとしてるけど大丈夫かなあ)
(あの黄色い髪の人、凄かった……!水の呼吸とは違ったけど、俺でも分かるくらい呼吸の練度が違った!誰に教わったらああなるんだろう?)
(これ帰ったら泥管さんいたりしないよね?出る前に散々やったしいないよね?来ないはずだよね?)
善逸からすれば
一方産屋敷家の者達は想定以上の合格者数に驚き、鎹鴉と玉鋼の用意が大変だった模様。頑張ってかき集めて持ってきました。
【大正コソコソ話】
獪岳は獪岳で藤襲山の鬼をほぼ全滅させた。手鬼はビビり散らかして隠れたお陰で助かったが、今度は同じような気配の善逸が来たから泣いた。炭治郎が楽にしてくれました。
桑島に報告に戻ったらやっぱり泥管がいて死ぬほどビビった。お祝いに美味しい物持ってきてくれただけだった。
ほぼ原作沿い部分は大幅カットしてもいい?
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ええんやで
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駄目、全部書け