勝ちヒロインを好きになってしまったのですが   作:北極鳥ユキ

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特に何の役にも立たない登場人物紹介とミニエピソードです。


Intermission +おまけ

役に立たねぇ登場人物紹介

 

 北見 祐一(きたみゆういち)

 1年C組。身長だけは高い少年。好物はKFC(ケンタッキー)。青椒肉絲でしかピーマンを食べられない。

 

 有針 紗由(ゆばりさゆ)

 1年C組。ミニマムな少女。好物はミスド。よく牛乳を飲んでいるが成長する気配はない。

 

 真戸瀬 亜希(まどせあき)

 1年A組。男を勘違いさせる才能に富んでいる少女。好きな無人島はクリッパートン島。

 

 蘆吹 康斗(あしぶきやすと)

 1年E組。オタクという枠にすっぽり収まる眼鏡少年。あんかけ料理が好物で、リンガーハットでは皿うどんしか頼まない。

 

 蘆吹 実羽瑠(あしぶきみはる)

 中学二年生。兄とは対称的にスポーティーな帰宅部少女。愛称はハル。

 

 重浦先輩(おもうらパイセン)

 漫研の部長を務める三年生。それ以外の素性は謎に包まれている。

 

 姫宮 華恋(ひめみやかれん)

 1年C組。圧倒的な正ヒロイン属性を持つ美少女。五月に季節外れの転校をしてきた。デカい。

 

 袴田 草介(はかまだそうすけ)

 1年C組。圧倒的な主人公属性を持つイケメン。華恋とは偶然転校前に知り合いになるなど、まるで()()()()()()()()()()()()()縁で結ばれている。

 

 八奈見 杏菜(やなみあんな)

 1年C組。明るい食いしん坊少女。華恋に次ぐ美少女だが、少し残念なところがある。

 

 

その√156.25 漫研大ピンチ!? 生徒会vs重浦先輩vs教師陣

 

 三年生として高校生活最後の体育祭が終わった。

 いやまあ楽しかった。楽しかったよ? 私は運動神経が良い方ではないけど、思い出も作れたし。でもさ、普段から漫研に引きこもっている人間をリレーに出すのは違うと思うんだ。普通に死にかけたんだけど。後輩のためにもアレは来年なくすべきじゃなかろうか。

 

 さて、その後にあるのが生徒会選挙だ。

 私は生徒会役員()()とは因縁浅からぬ関係にある。常に影から生徒会を監視し、次期生徒会長について調査する必要がある。なぜなら奴らは漫研の廃部を狙う悪の組織だからだ。

 

 もちろん、私の仕事は情報収集だけにとどまらない。新生徒会が発足すれば、昨年に前部長と生徒会との間に結ばれた停戦協定(コンコルダート)は破棄されることになる。ゆえに、新たな協定を結ばなくてはいけないのだ。

 まあこれは漫研の伝統行事みたいなもので、毎年毎年、部長は生徒会長と交渉している。

 

 受験を控える身だが、勉強以外にもやるべきことはたくさんだ。

 しかし、これもすべて愛すべき後輩()()のためだ。漫画研究同好会部の部長として、私の居場所を、このイリーガル部活動を後世まで残すために……。重浦──動きます。

 

    ◇

 

「やあやあ。まずは、新会長就任おめでとう、とでもいっておこうか」

 

 見つけ出したのは二年生の中で一番食えない新生徒会長(こむすめ)

 私は彼女を前にうやうやしく挨拶をする。

 

 新生徒会長は名を「放虎原(ほうこばる)ひばり」といって、この私の目をもってしても腹の読めない奴。

 ものすごい天才なのか、あるいは本当に何も考えていないのか。みんな大好き「普段は昼行灯だが実は作中最強キャラ」を絵に描いたような奴で、正直どっちなのかさっぱり分からん。

 

「お久しぶりです」

「就任早々で悪いな」と前置きしつつ本題を切り込む。「放虎原よ。それで前会長とも話し合っていた漫研廃部の件なのだが──」

 

 放虎原は無駄に整ったイケメンフェイスをこちらに向けると、表情一つ変えず口を開く。

 

「やはり漫研は仮廃部にせざるを得ないと思います。前会長は黙認していましたが、ゲーム機の持ち込みに鍵の私物化。今回ばかりは一回仮廃部にして反省していただくべきかと」

 

 ……まてまて。仮廃部ってなんだ? 廃部じゃなくて仮廃部?

 

 そんな話は前会長(アイツ)ともしてないぞ??

 てかなに、一回とか二回とか、回数制なの? 仮廃部って。

 野球のスリーアウトみたいな感じ?

 

「ええと……仮廃部ってなんだ?」

「仮廃部は仮廃部です。つまり、仮の廃部なのです」

「三回仮廃部にされるとアウトだったりする?」

「……まあ、そんな感じです」

 

 どんな感じだよ。

 んな制度知らないぞ。この三年生たる私が知らない制度なんてあるもんか。

 いや、まあそこいったんいいや。

 

「そもそも、こっちは品行方正でやってるんだ。どこぞのバードウォッチャーや文芸部とは違う。よそ様に迷惑をかけたことなんて一度もない」

「では、通報のあった『いかがわしいゲームソフト』の持ち込みについてはどうされるんですか」

「別にいかがわしくないから! 誤解だから!」

 

 ギクッ……と思わず反応してしまう。

 恐らくこの前買ったばかりの秘蔵のファミコンソフトのことだ。

 い、一体どこから情報が漏れたというんだ。

 北見や蘆吹ですら知らない情報だぞ!?

 

 いやまて。なんでアレの中身がいかがわしいとわかるんだ? まだ起動してないぞ?

 つまり、アレの中身が「普通のサッカーゲーム」である可能性は捨てきれないわけで……。

 

「……てか、いかがわしさなら文芸部の方がよっぽどだろ! 先に月之木を捕まえてこい!」

 

 ついでにその『仮廃部』とやらも文芸部の方が先だ。あいつら部員のうち一人は幽霊部員だから本当は人数足りてないままに活動してるんだぞ。

 

 え? 漫研はどうなのかって? そりゃぁ、私たちはハナからイリーガルだし……。

 

「そのあたりは対処中ですので、ご安心ください」

「嘘つけめっちゃくちゃ野放しだぞ!? この前、BL音声を押し付けられそうになったぞ!?」

「我々としても順序というものがありますので、そこはご承知頂きたい」

「月之木が元生徒会だから、身内びいきしてるんじゃないか? まったく放虎原よ、私はキミをそんな風に育てた覚えはないぞ!」

「育てられた覚えもありませんが……。ところで、文芸部と共に名前の挙がった『どこぞのバードウォッチャー』ですが、他にも問題のある部活をご存知ということですよね。ぜひ、そのお話を生徒会室で──」

「おっと口が滑った」

 

    ◇

 

「──という訳で新生徒会との交渉は決裂しました。これから漫研は抵抗運動に移りたいと思います。まずは生徒会役員に対してゲリラ攻撃を仕掛け……」

 

「「まてまて!」」

 

 重浦先輩がやらかした。

 まあこの人が問題を起こさなかった時など一度も無かったけども……。ともかくとして、今回は割とピンチだ。なにせ生徒会と対立し、『仮廃部』とやらの危機なのだから。

 

 イリーガルということもあって漫研と生徒会は昔から微妙な関係だったそうだが、新生徒会への移行のタイミングと、ゲーム機の持ち込みや清掃用鍵の未返却が明らかになった時期が重なったことで、問題がこじれることになったらしい。実にマズイ。

 

 そもそも仮廃部って何? という話はいったん置いておこう。

 重浦先輩も、俺も、康人も知らないからだ。

 

「てか状況悪化してねぇか!? アンタ何やってんの??」

「交渉に行くと言い出したと思えば、どうしてこんなことに……」

「仕方ないじゃないか! 放虎原があんなに手ごわいなんて思ってなかったんだ! 北見、蘆吹、共に邪知暴虐の生徒会と戦うぞ!」

 

「「遠慮しておきます」」

 

「なんでだ! キミたちの大好きな重浦先輩を独りにするというのか!? 矢面に立たせるのか!? この恩知らず! 裏切者ぉ!」

 

 重浦先輩は話が通じないと分かると、地面に寝転んでじたばたし始めた。

 信じられるか? これがもうすぐ十八歳になる人間の姿だぞ?

 こんなのが成人になっていいのか? 

 

「ねえ祐一、どうする? コレ」

 

 と康人が駄々っ子パイセンに対して冷たい目線を向けながら指をさす。

 

「放っておいていいんじゃないか? ダンブルドア先生にも救えぬものはあるわけだし……」

「誰がヴォルデモートだ!」

 

 はぁ、とため息をついてから仕切りなおす。

 

「しかし、これからどうするんです先輩。色々言いましたが漫研がなくなるのは、やっぱり俺らとしても困ります」

 

 話が進まないし、いったん真面目にフォローしておこう。

 

「だから対策を考えるんだろうが! ほら、北見、蘆吹、何かアイデアをだせ!」

 

 先輩に無理強いされて、頭をひねる。同じように悩んでいる様子だった康斗は「あっ」と声を上げると、勢いよく顔を上げた。

 

「……ふと思ったんだけど、この部室って学校から貸し出されてるんだよね?」

「そのぐらい康斗だって知ってるだろ? 掃除の対価だ」

「だったらさ、生徒会に廃部にする権利はないんじゃないかな。そもそも僕らはイリーガル。予算諸々、生徒会の管轄外だし、廃部にできるのは部室を貸してる学校だけじゃない?」

 

「「あっ……」」

 

「ということは、なんとかなりそうですね。よかったよかった」

「いや不味いぞ。実に不味い。教師陣からの漫研に対する印象は最悪と言っていい。つまり学校も味方とは限らん。放虎原に協力する可能性も十二分に考えられる」

「は? なんでですか? 俺たち何もしてないどころか、清掃の手伝いしてるのに」

「そうですよ。僕も祐一もすごく真面目な生徒だし」

「実はこの前、担任と揉めて話し合ったばかりなんだ……」

 

「「原因アンタかよ!」」

 

「あと、学年主任と、進路指導と、教頭とも揉めてる……」

 

「「ほんとに何やってるの!?」」

 

 なんでこの人は関係してるほぼすべての教師と対立してんだ。バーサーカーかよ。

 

「だってアイツら、ちょっと模試の成績が下がっただけなのに漫研を辞めろと言うんだ! 理不尽すぎる! 私がこれまで何度、漫研に入りながら学年一位を取ったと思ってるんだ!」

「だからって先生と喧嘩することはないでしょ」

「そうですよ。むしろ期待されている証拠じゃないですか。やんわり場を収めるべきですよ」

 

 俺たちが詰め寄ると、重浦先輩は一通り叫びまわってから、しょぼんと肩を落とす。

 

「でも、でも、辞めたくないんだよぉ、漫研……」

「まぁ──その件はもういいですよ。とにかくこれからのことを考えましょう」

 

 こうして、俺たち三人は漫研維持に向けて話し合いを重ねることになったのだった。

 

「次回、『さようなら漫画研究同好会部。重浦先輩死す!』へ、つづく……」

 

「こら北見! 遊戯王のモノマネしながら嘘予告を言うんじゃない! 続かないからな!」

「えー? 結構自然な流れでしたよ」

 

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