袴田を隣に連れ立って、濡れたコンクリートの道を進んでいく。目的地は近所のスーパーだ。
一体何が悲しくてこいつと二人きりで買い物に行かなくてはならないのか。
別に袴田のことが嫌いなわけではないけど、そう思わずにはいられない。
なにせ、今さっき出発した紗由の家には、華恋さんと八奈見が来ているのだ。こういう時は、せめて女子と──できれば華恋さんと──行きたいものじゃないか。
スーパーでは、今日食べる分とお菓子と飲み物、あとは紗由の食糧も買う予定。荷物が多いことを考えると、同行者が男で助かったのかもしれない。
いやでも、重たい物も代わりに持ってあげることで女子がときめくシーンはラブコメの鉄板ではなかろうか……?
「なんだか悩まし気だな。夕飯のことか?」
「そんなところだ」
短いやりとりを何度か繰り返すだけで、俺たちの間にこれといった会話はなかった。袴田の方も積極的に話してくるということも無くて、無言のままに雨道を進む時間が続いていた。
女子の三人組と言えば、今頃は紗由の部屋で楽しく女子会中だろう。家から締め出された俺たち男組は買い出しに回されたのだった。
命令者である紗由の名誉のために言っておくと、別に意地悪をされたという訳ではない。雨のせいで制服が──紗由はスカートも──濡れてしまったので、その辺の事情もあるのだ。俺と袴田からしても、女子の着替えに遭遇するのは気まずいということで、反論もせず二人して逃げるようにスーパーに向かったのだった。
ま、まあ、華恋さんの着替えが見たいか見たくないかで言えば当然見たいわけだが、流石にまだ早いというのが本音だ。
そういうのはもっと段階を踏んでいくべきであって、漫画みたいなラッキーなお色気展開など、現実ではむしろ関係を変に悪化させてしまうリスクの方が大きいのだ──。
そんなことを考えていると、軽トラが俺の横を通りすぎて、足元にたまっていた水が勢いよく跳ねる。音に反応して視線を向けた瞬間、びしゃりっと跳ねた水が顔面を直撃した。
「……」
「お、おい、大丈夫か? 北見」
右半身をずぶ濡れにされて立ち尽くしていると、目の前のことに驚いた袴田が声をかけてきた。
見る限り、水をかけられたのは俺だけらしい。
水を差す、なんて表現があるが、ここまで物理的なのは初めてだぞ。ちくしょう。
袴田に借りたハンカチで顔を拭きながら歩き続けていると、見慣れた大手スーパーの看板が大きな明かりを灯しているのが見えてきた。
夕方の買い出し客の車が何台もせわしなく駐車場へと吸い込まれている。
「さっさとおつかいを片付けようぜ」
雨を避けるように小走りで店内に入ると、袴田が濡れた前髪を手櫛でかき分けながら言った。
キュッキュッと靴底を鳴らしながら自動ドアを抜けると野菜コーナーから冷風が流れてくる。夏だから仕方ないとはいえ、ずぶ濡れの体にはなかなか応える寒さだ。体を震わせながらショッピングカートを一台取って来ると、袴田は息を合わせるように買い物かごをセットしてきた。
「えっ、そんなに買うのか……?」
「悪い悪い、いつもの癖で」
上下のラックに二段でセットされたので困惑していると、ややあって袴田は苦笑を浮かべた。
今の手際……こいつが日頃、八奈見とスーパーで買い物をしていることが一発で分かったぞ。やっぱ仲いいんだな。
「でも、みんなで食う分と有針の分で会計分けた方がいいじゃないか?」
「確かに。なら二段でいいか」
ぜんぜんそこまで考えてなかった。
さすが袴田……と感心しながら、俺はカートを店内に進ませる。
最初に向かったのはお菓子コーナーだ。女子会組から要望があった訳ではないけれど、友達で家に集まっているんだし袋菓子とかあったほうが盛り上がるだろう。
この機会に気が利く男であることをしっかりアピールしてやるんだ。
色とりどりのお菓子を眺めながら、棚の合間を進んでいく。華恋さんは甘い物としょっぱい物、どっちの方が好きなんだろう?
とりあえず王道であるポテトチップスの棚の前に陣取って悩んでいると、袴田が無造作に大袋のポテチ(うすしお)に手を伸ばしているのが見えた。
一点目はポテチで決まりとして……いやまてよ。ふと、昨日のことを思いだす。
昼休み、購買に向かう道中で華恋さんから『杏菜はダイエット中なの!』と聞かされたのだ。あいつさっきまでパンケーキがどうたらって言ってたからすっかり忘れていた。昨日の今日だし、八奈見はまだダイエット中のはずだ。
袴田は両手にポテチのうすしお味とのりしお味を手に取って見比べている。
俺は薄々勘付いている。八奈見杏菜がいったい誰のために、誰に可愛く見られたくて涙ぐましい努力をしているのかを。
せっかくパンケーキという欲望を運よく(?)寸でのところで回避できたのだから、ここでもさりげなくカロリーという悪魔から彼女を遠ざけてあげるべきではないだろうか。
そうと決まれば話は早い。袴田に真意を悟られぬようにうまく誘導しなければ。
「なあ袴田。女子はほら、油っこいのとか気にするだろ。晩飯もあるし、ここはあえてヘルシー路線のお菓子でいかないか」
「たしかに。ご飯食べるならポテチは重いかもな」
納得してくれたようで袴田は袋を棚に戻した。よかった。
「それで、ヘルシーなお菓子って?」
「えーっと」
特に考えていなかったので、周りの棚をきょろきょろと見渡す。
「茎わかめ……なんてどうだ」
八奈見の秘密を守りつつ、状況を打開するための冗談としておつまみコーナーを指差した。
女の子の扱いに馴れている袴田ならきっと、「いやいや、そりゃないだろ。それよりも~」みたいな流れで、俺の知らない女子ウケ抜群のヘルシーお菓子を紹介してくれるに違いない。
……そう期待していたのが、袴田は真顔で頷くと迷いなく茎わかめとスルメの大袋を鷲掴みにしてカゴへ放り込んだ。
あ、あれ? 冗談のつもりだったんですけど。
「じゃあ決まりってことで。次は何コーナーに行く?」
「えっ、マジで買うの?」
提案しておいてなんだが、あっさり受け入れられたのでびっくりした。家に居るのは曲がりなりにも華の女子高校生な訳だが……。
「でも、よく知ってたな」
「なにが?」
「茎わかめだよ。最近、杏菜がよく食べてるんだ。なんかダイエット中らしくて」
隠してねぇのかよ。ダイエット。俺の気苦労はなんだったんだ。
「華恋とか友達の前では『パンケーキ食べたーい』とかゆるふわ女子ぶってるけど、俺の部屋じゃあいっつも茎わかめとスルメばっか無限に噛んでんだぜ。『これなら太らないもん!』とか言いながらさ」
「本当に食ってんのかよ。しかもスルメて」
ある程度仲良くなった今だから言えるが、八奈見が袴田の部屋でスルメを齧るシーンはすぐに想像できた。やさぐれた顔で天敵であるカロリーに愚痴を言いながら、ぎーっとスルメの足をかみ切るのだ。なんというか違和感がない。実に想像通りの八奈見っぽい行動だった。
例えスルメ食っていたとしても八奈見が可愛い女子であることは否定しないが、なんというか……うん。
前に会ったバスケ部の部長なんか、あのモフモフ頭の一軍陽キャ美少女の連絡先を知りたくて俺に泣きついてきたというのに、その子が裏では幼馴染の家でスルメを食べるような奴だと知るのは、どうにも世の中の残酷さを突きつけられるようだ。
「ていうか待てよ。今さらっと『俺の部屋』って言わなかったか?」
「ああ、幼馴染だしな、よく来る。昨日も布団を引っぺがして無理やり起こされて……」
カートを押しながらふと尋ねると、袴田は何でもなさそうに肩をすくめた。
「ま、ついつい二度寝しちゃったんだが」
「お前、そのことを俺以外に言ってたらそのうち刺されるぞ……」
クラス指折りの美少女に部屋まで起こしに来てもらえるなんて、ラブコメ主人公みたいな生活をしやがって。
「お前のところはどうなんだ。有針が起こしに来たりしないのか?」
「まさか」
「じゃあ、お前が起こしに行くのか。有針の家にはよく行ってるんだろう?」
「部屋だけは出禁なんだ」
小学校の頃こそ普通にお互いの部屋に行き来して遊んでいたものだが、中学に上がってからはなんとなく紗由の部屋に入るのが気まずくなって、リビングから先には行かないようにした。
紗由の方も同じころに俺の部屋にめっきり来なくなって、部屋の行き来はそれっきりだ。
中学の頃に一度だけ、用があって紗由の部屋に行ったことがあったが、その際には扉を開けた瞬間、顔面に辞書を投げられる始末だった。
ノックしなかった俺が悪かったけど、あれはマジで痛かった。
「へぇ。そんなことが」
「それで懲りてもう何年も入ってない。ま、俺だってアイツのこと部屋に入れたくないけど」
俺が愚痴ると、隣を歩いていた袴田がふいに足を止めた。
てっきり幼馴染のくせして変な所で不仲であることを嘲笑われると思ったのだが、なぜか妙に真剣な目で俺の顔を覗き込んできていた。
「な、なんだよ、当たり前だろ? 思春期の男女なんだから、部屋に入れないのが普通だって。お前と八奈見の距離がおかしいだけだ」
「……まあ、そうだよな。普通は、異性として意識してりゃ部屋になんか入れないよな」
袴田は自分に言い聞かせるように小さく呟いて苦笑すると、俺からカートを奪って代わりに押し始めた。なんだってんだ、一体。
困惑しながらもどんどん進んでいく袴田の後を追う。向かったのは飲料コーナーだった。
「北見は何飲む?」
「俺はコーヒーかな。紗由はコーラが好きだ」
「せっかくだしデカいコーラ買っておくか。余っても有針が飲むだろうし」
「ああ、いいなそれ、なんかパーティーっぽいし。それなら俺もコーラでいいや」
それを聞いた袴田がカートに1.5Lのコーラを入れる。
「あとは……そうだな」
「飲み物だけどさ、ピーチティーも買わないか?」
袴田が冷蔵ケースを見ながら悩んでいたので、俺はここぞとばかりに一歩前へ出た。
俺は華恋さんの好きな飲み物を知っている。そう、学校でよく飲む姿を目撃しているピーチティーだ。どう考えても彼女の好きな飲み物に違いない。
ちょうど、俺の目の前には紙パックに入っているピーチティーがある。これを買っていけば、ちゃんと好みを憶えていた俺への好感度は爆上がりに違いない。
ふっふっふ。どうだ袴田め。俺はちゃんと華恋さんの好みだって把握してるんだからな。
「華恋さんが好きだし、俺も結構好きなんだ。買ってもいいだろ?」
そう告げると、袴田は北見がピーチティー? と言う感じで意外そうな視線を向けてきた。
いやまあ、俺がピーチティーが好きって話は普通に嘘なんだけど、自然に買わせるためにはこのぐらい言っておかないと。
「うーん。コーラだけでも十分じゃないか?」
「へ? で、でも、華恋さんって炭酸飲料を飲むイメージはないし。こういう紅茶系も用意しておくべきだろ?」
あっさり否定されたので慌てて付け加えると、袴田はくすりと小さく笑った。
「この前の放課後、華恋とカラオケ行ったんだけどさ、あの見た目によらずドリンクバーでコーラばっか持ってきてたんだ。意外だったから聞いてみたら、実はコーラが大好きだけど学校じゃあ子供っぽくて恥ずかしいから飲まないらしくて」
袴田は思い出し笑いを浮かべながら、どこか愛おしそうに口元を緩めていた。
「有針の家には俺らしかいないし、華恋も喜んでコーラを飲むんじゃないかな」
な、ん、だ、と……。
俺の知っていた「華恋さんのピーチティー」が、一瞬にして「放課後カラオケのコーラ」に塗り替えられていく。
普段あんなに清楚な華恋さんが、袴田の前ではそんな子供っぽい顔を見せているなんて知らなかった。え、てかカラオケ行ったことあるの? 放課後に? それって二人で? それとも八奈見と三人で? ねえどっち? 返答次第では俺が死ぬぞ?
胸の奥がひどくざわめいて、手にしていたピーチティーのパックが急に冷たく感じられる。
「でも割り勘だし、北見が飲みたいなら買ってもいいぜ。ピーチティー」
「あっ、あぁ、じゃあ、いちおう両方買っておこう。うん」
茫然自失状態だったが、なんとか平静を装ってピーチティーをカゴに入れた。
俺の敗北感も知らず、袴田の押すカートは最後の目的地である生鮮食品と調味料のコーナーへ滑り込んだ。
まあいい。ここからは俺の領分だ。
気を取り直して、まず冷凍食品のケースを開けると、三食入りの冷凍うどんを二つと、温めて乗せるだけのレトルト牛丼の具をカゴに入れた。これが、しばらく分の紗由の食料だ。
「有針って料理上手いんじゃなかったか?」
「うん、料理の腕はめちゃくちゃいいぞ。弁当だって自分で作ってるし、この前も定食みたいに立派な朝ごはん作ってくれた」
「だったらどうして冷凍うどんなんて買うんだ」
「ほんと極端な奴でさ、自分一人の飯となると途端にズボラになって、面倒くさがって素うどんしか食わなくなるんだよ」
俺が呆れ顔で肩をすくめると、袴田は何か言いたげに目を細める。
「大丈夫だって。俺が面倒みるから、怪我人に素うどん生活なんてさせねぇよ。でも非常食はあった方がいいだろ?」
「俺が気になったのはそこじゃないが……」
じゃあなんだよ、と聞いてみるが袴田は答えなかった。
気にせず俺は野菜と精肉のコーナーへと進み、頭の中に用意した買い物メモを参照しながら手早く食材を選んでいく。
さて、今夜の五人分のメインディッシュは──オムライスだ。
俺はネットに入った大玉の玉ねぎと鶏もも肉、卵を二パック、それから調味料棚でホールトマトの缶詰を二つカゴに放り込んだ。
コンソメやバターなどの調味料はまだ残っていたはず。ああ、いや。片栗粉が切れてたな。今日は使わないけどついでに買っておくか……。
「な、なあ、北見。今夜の晩飯ってオムライスだよな? なんでケチャップじゃなくてトマト缶なんか買ってんだ?」
「決まってるだろ、市販のケチャップなんか使ったら普通のチキンライスになっちまう。まずはこの玉ねぎを弱火で一時間じっくり炒めて飴色にして、そこにトマト缶とみりん、冷蔵庫に余ってるぶどうジュースを足してソースを一から煮詰めるんだよ。それをチキンとご飯に混ぜて──」
「まてまてまて」
「どうした? ああ、みりんのことか。本当はワインが欲しいんだけどさ、買えないから代わりにみりんを使うんだよ。そこまでヘンな味にはならないから安心してくれ」
「違う。そんなに時間をかけたら杏菜が暴動を起こすぞ」
袴田の指摘にはっとした。確かにすっかり腹を空かせている八奈見には酷なことをする。まあ、茎わかめあるし大丈夫だろう。悪いが我慢してくれ。
「せっかく作るなら妥協はしたくないんだ。こう見えても、俺も料理の腕は結構いいんだぜ?」
「意外だな」
「まあ、妥協できないせいでウチの母さんとアイツの母さんからキッチン出禁を食らってるんだけどさ、今日は親もいないし、久しぶりに本気出すぞ。楽しみにしてくれ!」
「おまえ、有針家で出禁食らってる領域が多いな……」
腕まくりをして意気込む俺の横で、袴田はカートの手すりに肘をついたまま、心底呆れ果てたような、それでいてどこか探るような目で俺をじっと見つめていた。
「……お前さ、やっぱり有針と距離感バグってるよな」
「なんだ急に」
「部屋には入れてもらえないって言ってた割には、冷蔵庫の中身は全部把握してるし、そもそも幼馴染の母親からキッチン出禁食らうほど入り浸ってんじゃねえか」
「幼馴染ってそんなもんだろ」
肩をすくめて見せると、鏡のように袴田も同じポーズを取った。
最後に通りかかったデザートコーナーでは、少し高めのイチゴのプリンを一個だけ手に取ってカゴに入れた。さっきバス停で勝手に勉強会の話を進めて機嫌を損ねてしまったから、せめてもの詫びだ。もちろん、これは割り勘ではなく俺の自費。
紗由のやつ、みんなの前では『甘いものなんて別に』とツンケンしているくせに、俺が帰った後にこういうのを一人でこっそり食うのが好きなのだ。
◇
スーパーを出る頃には、あれほど激しかった雨足もいくらか弱まっていた。
夕暮れの生温い空気の中、俺と袴田はパンパンに膨らんだ二つのレジ袋を分担して提げ、鷹胡台の緩やかな坂道を登って有針家の前へと戻ってきた。
正面から見えるリビングは真っ暗だったが、二階の窓には暖かい明かりが灯っている。やはり部屋で女子会中らしい。
「あー、重かった。今開けるからちょっと待ってろ」
俺は左手に食い込むレジ袋を持ち替え、ズボンのポケットから熊のキーホルダーのついた鍵を出して重たい錠前を回す。
その瞬間、すぐ後ろでビニール袋を揺らしていた袴田の気配が、ぴたりと止まった。
「合鍵、持ってるんだな」
落ちてきた声は、さっきまでスーパーで雑談をしていた時とはまるで別人のように低くて平坦だった。心臓がドクンと嫌な音を立てて跳ねる。
振り返ると、袴田は薄暗い玄関灯の下で俺の指先にある鍵をじっと見下ろしていた。
手の中の冷たい合鍵をぎゅっと握りしめると、背中にじわりと嫌な汗が滲むのを感じる。
「あ、いや、これはその、あいつが足を怪我してるから、一時的に預かってて──」
なぜか罪悪感に駆られ、慌てて言い訳を探したその時、玄関の奥からパタパタと足音が近づいてきた。まもなく、俺がドアノブを引くよりも早く内側からドアが押し開けられる。
「あ、帰ってきた! 遅いよ二人とも! おなかペコペコなんだけど!」
明るい大声が玄関先の張り詰めた空気を一瞬にして吹き飛ばした。現れたのはサイズの合っていないツワブキ高校指定のジャージを着た八奈見だ。
袴田はゆっくりと視線を上げると、爽やかな笑みを浮かべて「杏菜の好きなお菓子買ってきたぞ」といつもの軽い調子に戻り、俺の横をすり抜けて先に中へと入っていった。
「えっ、やったー! なになに? ポテチ? ドーナツ? まさかパンケーキ!?」
上機嫌な八奈見と袴田の明るい声が遠ざかっていく。階段から足音がして、華恋さんと紗由が下りてくるのが見える。
開け放たれた薄暗い玄関先で一人、俺はまだ立ち尽くしていた。