SCPで遊んでみた。 作:暇つぶし
警告:以下のファイルはレベル4/XXXクリアランスを持つ職員にのみ開示が許可されています。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル:SCP-XXX-JPの物理的収容は現時点では不可能です。当オブジェクトは物理的 実体を持たない社会構造変質現象であり、その影響は特定の国家の人口動態に深く根付いています。
収容努力は、影響の緩和と進行の遅延に焦点を当てます。
* 情報統制プロトコル「ゆりかごの番人」: 財団は影響下にある国家の政府、メディア、教育機関にエージェントを潜入させ、SCP-XXX-JPの進行を加速させる特定のミーム(例:「過度な個人主義の称揚」「子育てに対する極端な経済的悲観論」)の影響を相殺するための対抗ミームを流布します。目標は、合計特殊出生率を人口置換水準である2.07以上に安定させることです。
* 技術的介入プロトコル「アトラス」: 労働人口の減少による財団の活動基盤(物資生産、インフラ維持、将来的な職員補充)への影響を最小限に抑えるため、財団フロント企業を通じて自動化技術、AI、省人化ソリューションの研究開発を加速させます。
* 監視と予測: 世界各国の人口動態データは常時監視下に置かれます。SCP-XXX-JPの影響が新たな国で確認された場合、即座にO5評議会に報告され、プロトコル「ゆりかごの番人」の適用が検討されます。
現在のところ、これらのプロトコルはSCP-XXX-JPの進行をわずかに遅延させるに留まっており、根絶には至っていません。
説明:SCP-XXX-JPは、主に技術的に発展した人型生物の社会において発生する、自己増殖性の社会崩壊現象です。この現象は、以下の2つの異常な構成要素が複合的に作用することで発現します。
* SCP-XXX-JP-1: 世代間の価値観伝達プロセスに作用するミーム災害。このミームに汚染された社会では、個体(人間)が次世代の個体を生産・育成すること(出産・育児)に対し、異常なレベルの精神的・経済的負担を感じるようになります。これにより、個体数が出生によって自然に補充されるプロセスが著しく阻害されます。
* SCP-XXX-JP-2: 医療技術の非異常的な発展に付随して発生する副次的効果。個体の平均寿命が、社会システムが想定する活動期間を大幅に超えて伸長します。これにより、社会全体の生産活動に従事しない非活動個体の割合が指数関数的に増大します。
SCP-XXX-JP-1とSCP-XXX-JP-2が同時に進行すると、影響下の社会は人口ピラミッドの急激な逆転を経験します。すなわち、社会を維持するための生産活動を担う若年・壮年個体数が減少し、主に社会保障リソースを消費する老年個体数が増大する構造へと変質します。
この構造変質は不可逆的かつ自己加速的です。生産者層の減少は一人当たりの負担を増大させ、これがさらなるSCP-XXX-JP-1の伝播を促し、出生数をさらに低下させるという悪循環に陥ります。
最終的に、SCP-XXX-JPに侵された社会は、労働力の不足、社会保障制度の崩壊、経済活動の停滞、技術革新の停止といった連鎖的な機能不全を引き起こし、CK-クラス(文明再構築)シナリオまたはSK-クラス(支配シフト)シナリオへと至る可能性が極めて高いと結論付けられています。財団の存続基盤である人類文明そのものを内部から蝕むため、最優先で対処すべき脅威です。
補遺XXX-JP.A: O5評議会による声明
我々はこれまで、世界を脅かす数多の異常存在を収容してきた。殴れば死ぬ怪物も、理解不能な物理法則を操る現実改変者もいた。だが、それらは全て「外部からの脅威」だった。SCP-XXX-JPは違う。これは我々の内側から、我々自身の選択の結果として静かに進行する病だ。銃弾もミーム殺害エージェントも、この巨大な流れの前では無力に近い。我々がDクラスを確保し、新たな研究員をリクルートし、日々の食事を得られるのも、全ては正常に機能する社会基盤があってこそだ。その土台そのものが、砂のように崩れ始めている。
これは、財団史上最も手強く、そして最も重要な収容対象かもしれん。我々が守るべき「正常性」とは何か。その定義自体が、今まさに問われているのだ。 - O5-█