アニポケ世界で全国図鑑完成の旅(全1025)(ただしパッチールのフォルム違いは除く)   作:ビビリダマ

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4.トキワの森にて 11/1025

 

 さて、マサラタウンやトキワシティを出たひよっこトレーナーにとって最初の難所と言えるのがこのトキワの森である。

 

 おおよそ、子供の足で最短で行っても踏破に2日から3日かかる大森林だ。

 

 土地としては虫タイプの巣窟であり、何故かここで歩みを止めた、もしくは旅に出ていない虫使いトレーナー集団、所謂『たんぱんこぞう』が立ちはだかる。

 

 さて、取り敢えずここで為すべき目標は、当面の捕獲要因候補のバタフリーの進化前、キャタピーの確保。マーシャドー戦で消費し過ぎたモンスターボールや高級ボールの資金繰りの為のトレーナー戦をこなす必要があるだろう。

 

 というのも、我々、御三家&図鑑所有トレーナーは、ポケモントレーナー候補生としてある程度の金銭・物資支援は、ポケモン学会やポケモンリーグ、ポケモンだいすきクラブから受けられる。

 

 ただし、意外とシビアな事に、基礎額から増額させたり、支援を継続してもらう為には、継続的なトレーナーとしての実績が必要なのだ。

 

 分かりやすい所で言えば、ジム戦やポケモンコンテストなど。大半のトレーナーは先人や情報が多く、手段が確立されている、これらを目指す。

 それ以外で、実績となる部分としては、ポケモン図鑑新規登録や野良バトルの戦績なんかも挙げられる。

 特に対トレーナーの野良バトルはポケモン図鑑のオートバトルレコーダー機能により、微々たるものではあるが勝利しつづければ多少の実績になるのだ。

 

 そして、レポート。新種のポケモンや新たな技、ポケモンの生態に関する発見を書き記し、ポケモン学会に提出する事により、審査次第では大きな実績になる。

 

 私も、ホウオウの羽根やマーシャドーに関するレポートは記し始めているが、この二つは虎の子。中途半端な状態で提出し、実績の伸びが小さくなるのは避けたい。

 

 ともあれ、ポケモンをコンプリートするのであれば、そうした活動継続の為の活動も行わねばならぬのだ。

 

 そうした心持ちを新たにしながら、私は昼でなお暗いトキワの森に足を踏み入れた。

 

「ポッポ、コラッタ、すまないが私の護衛、あとは索敵を頼む」

 

 モンスターボールを投げ、そう指示を飛ばす。

 

 レギュレーションの都合上、進化後のポケモンに用は無い。が、襲ってくるのはそういった成虫要素を持つ進化後のポケモンだ。トキワの森だと特にスピアーなんかに襲われたら百害あって一理なしだ。ビードルの捕獲も、安全上の観点から後回しだな、これは。

 

「コクーンの群か。ここは避けよう、む?」

 

 私は、何者かに刀を突きつけられていた。

 

「お主、マサラタウンから来たポケモントレーナーか?」

 

 振り返ってみるとそこには、甲冑を着込んだ少年がいるではないか。

 たんぱんこぞうの進化形のさむらいこぞうとでも、言える見た目である。

 

「出立したという意味であれば、諸事情で出身は別に───」

 

「問答無用、せやっ!拙者とポケモン勝負をするでござる」

 

「……そうか、分かった」

 

 恐らくとも、私の苦手な手合い。余り理屈が通じない雰囲気である。ともあれば時間の無駄。バトル自体は望む所なので、さっさと済ませるのが良いだろう。

 

 さて、敵の手持ちは2体。

 

 どうせ虫タイプだろうと、私はポッポを選択。ひこう技など覚えちゃいないが、まぁ開幕有利な盤面を作る練習とでも考えておこう。

 

 敵はカイロス。見た目に少し気押されるが、たいあたりが等倍で通る以上、空を飛ぶこちらに理がある筈。

 

 背後に周り、たいあたりのヒットアンドアウェイを指示するとそれなりにサマにはなる。加えてカイロスの角の幅では、ポッポを挟む事が難しいことが味方してこちらが勝利。

 

 続いて出てくるは、トランセル。……ああ、原作を思い出した。確かかたくなるしか指示されない哀れなやつ。即ち、カモである。

 

 私はポケモンをコラッタに交代させ、しっぽをふる、と、たいあたりを交互に使わせて無難に撃破。

 

「見事……!」と彼は感動しているが、軽くスルーして、勝利の代価にキャタピーと一応、ビードルについても尋ねてみる。

 

 キャタピーについては、態々探すまでもなく飽きる程いるとのことでその場から10秒程で見つけてもらい、捕獲。

 ビードルに関しては彼自作の対スピアー用の防護ネットを用いて、巣に接近。

 一匹採取して、とっととトンズラかました。

 

 幸運にも、予定外のビードルまでゲット出来たではないか。が、であれば育成を急がねば、すぐに6匹埋まってしまう。進化の早い虫ポケモンを優先しようか。

 

 というわけで、さむらいこぞうと別れ(結局、名前聞きそびれた)、トキワの森の踏破を再開。その後も4、5戦たんぱんこぞうを蹴散らし、キャタピーをトランセル、ビードルをコクーンにし、初日は終了。テントを張り、ポケモンを手当て、その後、『トキワの森の虫ポケモンの蛹形態への進化過程の観察結果』という、まぁ初歩的なレポートを書き上げ、就寝。7/1025、先行きは長い。

 

 

 

 ▲

 

 

 さて、2日目。といっても新規を増やす必要も無し。ひたすら野良トレーナーバトルをこなして、レベリングをしていく。

 

 サトシくんたちは、出立日時が同じ以上、私の少し後ろにいる筈。色々考えたが、大体同じ旅路を行きながらも、同行まではしない、と行った具合に落ち着いた。コミュニケーションも嫌いじゃないが、正直、気楽な一人旅の方が性に合っている。

 

 ポケモンセンターでは、必ず顔を合わせるくらいに調整すれば、大きなイベントを逃すことは無い、……筈だ。

 

 勝負を挑んでくるたんぱんこぞうを蹴散らしていたら、コクーンがスピアーに進化。これでまずは一系統コンプリート。まぁメガシンカはまだまだ先の話なので、一旦スピアーの使用は打ち止めだ。……よく考えたら"がくしゅうそうち"などという便利なアイテムが無いこの世界では、経験値を無駄にしない為にも常に未進化・育成中ポケモンでの戦闘を強いられるのか。これは、私自身のトレーナースキルを上げていかねば立ち行かなくなるな。

 

 あぁ、因みにだがレベルはポケモンセンターやポケモン図鑑で確認が可能である。何をどう定量して、数値化しているかは不明だが、まぁ低レベルの現在は漠然と戦闘に勝利していけば問題ないだろう。

 

 さて、スピアーの育成が思ったより早く終わったので朝考えた事を秒で撤回して、新規ポケモン捕獲を試みる。ゲームでは、トキワの森にはキャタピー系統、ビードル系統、ポッポ系統1進化、あとレアエンカでピカチュウまでしかいない訳だが、ここは現実。あのいかにもトキワの森にしかいません、といった風貌のさむらいこぞうがカイロスを持っていたのだ。探せばもっと他に何かいるだろう。

 

 ……そう欲をかいたのが、運の尽き。

 

 私は2日目の午後を無駄にしてしまった。土地勘も知識もない人間には、特殊なポケモン相を発見する事は出来ず、このザマである。

 

 まぁ、失敗もまた経験。地道にやっていこうか。

 

 私は、失敗原因をタウンマップ以上の地域別の正確な地図や、ポケモンの生態・分布に関する知識不足と判断し、ニビシティにて少し知識を仕入れようと決めた。

 

 

 ▲

 

 さて、3日目。やっとの思いで森を抜け、2番どうろへ。

 

 森から出る直前の最後のバトルで、トランセルが蛹を破り、バタフリーに進化してくれた。何というか、森の踏破と相まって少し泣きそうになるような体験であった。

 

 閑話休題、ニビシティが近いからか、岩が多い地形になってきた。

 

 ポケモン相にも僅かに変化が見られ、虫ポケモンが少し減り、代わりにニドランが現れるようになった。♂♀揃えて捕まえて、手持ちが7匹に。簡易転送システムを用いてスピアーを研究所に送り、旅を再開。

 

 これまたニビシティが近い影響か、ジム戦対策をするトレーナーがそこそこいたので夜にはニビシティにつけるように調整しながら進行した。

 

 というわけで、その晩、3日ぶりの文明の光だ。

 

 達成感と共に久々のアスファルトの地面を踏み締める。まさに旅の醍醐味である。

 

 流石に疲れた為、ポケモンセンターに直行し、ポケモンを回復させていると……ジョーイさんから伝言を伝えられた。

 

 

 

 

 

「クチバシティのゴウさんですね。こちらに着いたら親御さんに電話をかけるように言伝を預かっております。旅に夢中なのは分かりますが、あまり親御さんに心配をかけないようにね」

 

「……分かり、ました」

 

 オーキド博士に連絡しようとしていた通話を切り替えて、憂鬱な面持ちでゴウ君のご両親に電話を繋げる。私が、ゴウ君のふりをして彼らを騙すという罪の上塗りをまたしなくてはならない。

 

 トキワの森の中の創意工夫が楽しすぎて、すっかり見失ってしまっていた、或いは忘れられていた事を思い出す。

 

 私は、ポケモントレーナーから、他人の自我を塗りつぶした卑しい憑依者に逆戻りしてしまうのだった。

 

 色々な事が頭をよぎったが、何とか思考を演技モードへと切り替えていく。

 

 通話ボタンを押す。

 

 もう手は震えていない。

 

 

 

 

「───ゴウ?その、久しぶり。コハルだよ」

 

 

 

 ───聞こえてきた声は、よく知らないのに見知った声で

 

 やはり、私の業は、私を決して逃してくれないのだと強く悟った。

 

 

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