アニポケ世界で全国図鑑完成の旅(全1025)(ただしパッチールのフォルム違いは除く) 作:ビビリダマ
旅に出てから7日、コハルさんが同行してから3日。
サトシ君は未だにやって来る気配は無いので、とりあえずおつきみ山を日帰りで踏破できる範囲で踏破しようと試みる事に。
ニビシティを拠点にしつつ、暫く午前中はおつきみ山かトキワの森でポケモン収集、野良バトル、午後は図書館に詰めてポケモン育成に必要な座学、夜はポケモンセンターにいるトレーナーと少しバトルという形になるだろう。忙しない日々である。
因みにサトシ君を待つ理由は、旅に出るタイミングが一緒だっだから何となく、とコハルさんに説明している。コハルさんは、数秒私の顔をじっと見たが、何やら納得したようで、その方針に従ってくれるようだ。本当に恩に着ります。
そんなこんなで3番どうろのトレーナーを軽くコハルさんが蹴散らして、おつきみ山への分岐に足を踏み入れる。
「ここがおつきみ山。ねえゴウ、なんでおつきみ山って名前がついてるの?」
「確かこの山で月の石がよく取れるからじゃなかったか?民間伝承とかでは、昔、隕石が落ちた山とも言われているな」
「……ないとは思うけど、宇宙から来たポケモンとかがいたらいいね」
「うーん、その幸運はもう少し後で良いかな、今の俺たちじゃ、捕まえられなくって超悔しい思いするのがオチだよ」
このように、私の罪悪感とは関係無く、コハルさんとキチンと話すようになった事も主だった変化の一つだ。タケシさんのアドバイスから色々考えて、せめてこの旅路では彼女に良くすると決めたのだ。
「ゴウ、ねぇ、あれ」
ふと、コハルさんが何か見つけたらのか、空に指を指す。
「ズバットか。いや、おかしい、彼らは夜行性/洞窟性の生き物だ。……まぁ、そんな事もあるか。そい、モンスターボール」
疑いすぎは頭に良くない。ただでさえ狂った量の学問を詰め込まなければいけないのだ。神経質になる意味はないだろう。
「ズバットは……なつき進化かぁ。結構長めに手持ちに入れてキチンと育てないとなぁ。ゴウ、どっちが持っておく?」
ポケモン図鑑を見ながらコハルさんはそう呟いた。旅に出るまではポケモンにあまり興味が無い感じだったのだが、一度やると決めた事に対してはこのようにかなり真面目なのである。
「取り敢えず、手持ちに空きのあるコハルが持っておいてくれると助かる。……確かになつき進化の観点は完全に盲点だったな、一朝一夕でなんとかなるものじゃないし」
うーん、やすらぎの鈴やゴージャスボールなどのなつき度モロに関わって来るアイテムや、ポロックやポフィン、ポフレなんかの嗜好品を大量購入するには圧倒的に資金力が足りない。新無印のサクラギマネーは偉大やったんやなぁ。
まぁ、レポート書きまくって、支援額を増やす以外道は無いだろう。図鑑の新規登録だけじゃ、到底追いつきそうに無い。
そんな事を考えながら、3番どうろの帰り道、トレーナーとの野良バトルや襲いかかってきたオニスズメの群を一匹だけ捕まえながら撃退したりしていると、遂に私の最初のポケモンのコラッタがラッタに進化した。
喜びと共にラッタをオーキド研究所に転送し、捕まえたオニスズメを手持ちに入れ、育成を再開する。
……一応、私のファーストポケモンであるのに、こんな感じになってしまうのはあまりにもリソースが有限だからか。すまん、ラッタ。今晩存分に構ってやるからな。
兎に角、時間も金も知識もスキルも足りない。唯一あるのは、子供の身体の体力だけだ。ならば、あるものを全力で活用する他ない。
という訳で、昼過ぎにニビシティに帰還。食事の後、コハルさんはリモートで学校の授業、私は図書館で薬草学や植物学を。午前中のおつきみ山攻略はこの世界の植物に対するフィールドワークも兼ねていたので記憶が新しい内にそれらを知識に昇華させねばならない。
学校は終礼にだけ顔を出して、一応宿題とやらを出された終礼の内に片付ける。まぁ、この辺りはコハルさんとの約束だから、形式的とはいえしっかりと済ませる。……後、単純に私は不登校だった癖に、コハルさんを学校から奪っていって旅に連れ回している張本人だから誰かしらからは恨まれているだろうしな。この事はそれとなくコハルさんに聞いてみたが、コハルさんの友達は全然応援してくれているらしい。
じゃあ後は、初恋していたであろう男子連中だな、……コハルさんキチンと可愛いし、密かに好きだった連中からしてみればブッ殺案件だろう。……まぁ、その辺はきっとクチバシティに行った時に、何かイベントは起こるだろうから、今心配することじゃあ無い。
という訳で細やかに筆を動かし、気がつけばもう夜に。今日の動きの感じが、街に滞在している時の基本行動になるのか。かなりハードな感じだが、こればっかりは慣れるしか無い。育成をする為のスキルを身につけたり、もう少し資金が潤沢になれば、少しくらいの余剰が出て来るというものだが、今はまだ諦めるしか無いだろう。
コハルさんは、初日故に流石にクタクタといった具合だったので、今日はもう休むように伝え、夜のポケモンバトルの部は私単身に。
今日活躍してくれたポケモン達に構いつつ、コンディションを確認。進化したラッタとキチンとここで触れ合って、重さや技、身体の特徴などを把握する事も忘れない。
さて、一通りのコンディション確認が終わった為、適当にバトル相手を探すと、マサラタウンから出立した同期らしきトレーナーと遭遇。フシギダネを選んだ人物のようだ。取り敢えずバトルを申し込む。
まぁ、さらっと「最初の御三家何選んだ?」というのを聞き出す卑怯臭い事をしていたので、フシギダネ対策でポッポを選出。どうせ同期だと聞けば間違いなく相棒を選出してくるだろうからな。
という訳で普通の野良トレーナーよりは骨があったがひこう技でどつき回しサクッと撃破。ここでポッポがピジョンに進化。かなり美味い経験値でございました。
で、あとはレポート書いて寝ました。
タイトルは『昼行性のズバットの存在に関する考察』
……やっぱり気になっている自分に驚いたんですよね。
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旅に出て8日目。
やはり前日に書いたレポートの内容が気になり、おつきみ山に。
ズバットが生息しているであろう洞窟を軽く探索してみると、原因はすぐに分かった。
「環境破壊だな、ライトアップなんかすればズバットらは、パニックになって昼間に外に飛び出す事もあるだろう」
「でも洞窟なんか明るくして、どうするの?」
「月の石の不正採掘者だとかそんな所だろ。取り敢えず、〆れば実績兼経験値になる」
「え、えぇ〜、ジュンサーさんに頼った方が、もう、待ってよゴウ!」
イシツブテ、パラスを捕獲しつつ、洞窟内を進行すると犯人は前世で見過ぎたため、背格好を見た瞬間解る連中であった。
……確かにトキワの森の次の登場回はここだったな。
「やい、不正採掘者。みみっちい商売は辞めて、洞窟のライトアップを消すんだ」
「なによあんた。あたしたちは、あんたらみたいなガキンチョに構っている暇ないのよ。痛い目に合わせてあげるから、手持ちのポケモン全部おいてお家に帰りなさい」
という訳で、ロケット団戦である。前回負けたからか、雑魚だと認識されていて、なんだかんだと言ってくれなかった……。
局面はムサシ・コジロウとの擬似的なタッグバトル。
余談だが、毎回毎回サトシ君らにサクッと倒されている彼らであるが彼らは序盤のポケモンしか持っていないひよっこトレーナーにとっては、倒す事はかなり難しい。レベル差がある上にどくタイプ使いである彼らに対しておつきみ山までで捕まえられるポケモンでは、タイプ相性的にあまり有効なポケモンがいないのだ(強いて言えばサンドとか?)。多分あのピカチュウは6Vである。
アーボ、ドガースに対して、こちらはイシツブテ、コハルさんはズバットを選出。
まぁ、イシツブテにどく技の通りは悪いから、それでなんとか、くらいの選出である。
「ドガース、『スモッグ』!」
「アーボ、『どくばり』!」
……しまった、この閉所では、スモッグは回避しようが無い。トレーナー諸共やられる。対悪党戦の経験の不足に起因するミスだ。
イシツブテが『どくばり』をくらい、我々は緑色のガスにより視界を失う。
「コハル!目と口を閉じて、吸い込まないようにするんだ。戻れイシツブテ、いけっピジョン!『かぜおこし』!ズバットは、スモッグに紛れてアーボ達に接近してくれ」
軽く嗅いだ感じ、硫化水素やら二酸化窒素、煤やらの一般的な排気ガスより少し濃い位の毒素。致死性は無いが、小さいポケモンや子供が体調を崩すには十分過ぎる程。目、口、鼻を閉じて粘膜から溶け込む事さえ防げば、症状の進行は防げる。
ここでポケモンを共用にしている事が功を奏し、ズバットにも私の指示が通る。
ズバットは、現実の蝙蝠と同じなら、視界ではなくエコーロケーションという音の反響で空間を把握する能力を持っている筈。であるならば、どくタイプである事も考えて、スモッグに潜航させる策を取る。
「「うわぁぁぁぁ!!!」」
相手方が撃ったスモッグが返ってきてそこそこの恐慌状態に陥っている内にコハルさんを介抱しつつ、次の指示を飛ばす。
「ピジョンは『かぜおこし』ストップ!コハルの護衛を頼む!ズバット『おどろかす』攻撃!」
スモッグがロケット団より後方に吹き飛ばされきらないよう、風起こしを止め、ズバットに、『おどろかす』を指示。たぶん視界不明瞭の中なので原義的な意味での『おどろかす』攻撃になっているだろう。
「ごめん、ゴウ。もう大丈夫。ありかと」
「いや、こちらこそ少し無鉄砲すぎた、反省するよ。立てるか?」
「うん、……ズバット『くろいまなざし』」
えっ。
「えっと、あの状況なら洞窟の奥に逃げようとするだろうから、先にその手を潰しておけば後はトレーナーの方がスモッグでやられてくれると思って。……ズバット、体力が減ってそうなら、『おどろかす』に混ぜてニャースを狙って『すいとる』攻撃も使って」
ひぇっ。完全に倒し切る気でいらっしゃる。
何となくの先入観で、ムコニャはぶっ飛ばされてやな感じ〜までがセットだと思っていたアニポケキッズの私からしたらとんだ恐怖展開である。逃げられないって、どうなっちゃうんだ?
その後も『あやしいひかり』で混乱状態にも陥れて完封勝ち。
まぁ、その辺の麻縄で縛り上げてニビシティに戻ったら通報、という処置を取ることになった。携帯通信機器が普及していない初代世界観でなんとか命拾いしたな、ロケット団。
さて、まぁ後は撤退して、環境保全や悪人の指導なんかは、公的機関に任せようと思ったのだが、一匹のピッピがコハルさんの足元に現れて何やらこちらに話しかけてきた。
「妖精ポケモンのピッピだ、どうしたの?」
ピッピは、何やら私達を何処かに案内したいようでついてきて欲しいとばかりに踵を返して洞窟を進み始めた。流石の私も、ここでモンボを投げつけるのはTPO案件。まぁ、今日のレポートのネタにしよう。
進んでいくと、そこには巨大な岩と、それを取り囲むピッピ達、つきのいしと思われる複数の破片が転がっていた。
「ゴウ、これって、伝説にあった隕石なんじゃ?!」
「うーん、……付近の鉱物が僅かにガラス化している、確かにここは一度高温になった事があるみたいだ。後はヴィドマンシュテッテン構造が見られれば、隕石と同定できるんだが、……ピッピ達の大切なものに酸ぶっ掛ける訳にもいかないかぁ」
それに『ようかいえき』を覚えたアーボはすでにお縄である。
「ゴウ。こういうのは、素直に感動しておけばいいんだよ。だってほら、こんなに綺麗」
洞窟に穿たれた丸い穴からは、月が顔を覗かせており、月光の中、ピッピは空から来たお星様の周りを舞っている。
「私、最初は、君を連れ戻す為に旅に出たのだけれど、今はちょっとだけ、旅に出られて良かった、とも思っているの。勿論、私にとって、最も幸せな事はあの何気ない生活に皆で帰ること。でも、その道行きにはこれからもきっと色々な事があって、決して、旅立つ時に考えていた、ただ身を投げるような事にはならないって分かった。だから、安心してこの旅路を歩こう?」
「そう、だな」
彼女の言葉の一つ一つには、色々な感情が乗っていて。思考がぐちゃぐちゃにになり、私はただ、ぶっきらぼうにそう返す他なかった。
今宵の月明かりに照らされた彼女の横顔は、生涯忘れられそうにない。