アニポケ世界で全国図鑑完成の旅(全1025)(ただしパッチールのフォルム違いは除く) 作:ビビリダマ
旅に出て十日目、八日目のおつきみ山探索が夜通しだった為、一日オフを入れた後にリハビリがてら、トキワの森方面へ。
因みにオフ中は、私は勉強、というより読書……こちらの世界で本を読んでいると元ネタがゲームやアニメなので勉強している気分がしなくてお得というのは、この手の憑依・転生モノでのお約束である。
コハルさんは、私が合流以前に捕まえたポケモンと交流しつつ、数日動き回って必要性を感じたモノをサクラギ博士マネーで買い足したといった具合。本人的には自分の実績で得た補助金でやりくりしたかったみたいだが、ご両親の押しに負けたみたいだ。
という訳で、2番どうろでは現状、捕まえるポケモンも居ないので気楽に野良バトルでレベリングをしていると、前方から見覚えのある少年が歩いてきた。
そう、サトシくんである。
「ああっ、オレより遅刻して研究所でポケモンを貰えなかったゴウ!」
「相変わらず、酷い覚えられ方だなぁ」
改めて考えるとこの辺は、初期特有の毒舌だな。ライバルのシゲルとドンパチやってた弊害と、まだ歴が浅くて少々幼い事が関連しているのだろうか。まぁ、あまり考えても、サトシ君に限っては無意味だろう。
「何だか、すっげぇ久しぶりな気がする!」
「まぁ、9日経ったからな。おっと、そちらは……」
「あたしは世界の美少女、名はカスミ!話はサトシから聞いてたわ。サトシより寝坊したって言うんだからどんなマヌケな子かと思って見てみれば、意外や意外、全然まともそうじゃない!それにそんな可愛いガールフレンドまで作っちゃって、隅におけないなぁ、君」
「わ、私?!あっ、サクラギ・コハルです。よろしくお願いします。カスミさん、サトシ君。えっと、ガールフレンドっていうのは語弊があって……」
「まぁ、普通に諸事情での旅の同行者ですね」
「あら、残念。というか事情と言えば、自転車!早く弁償しなさいよ」
「わかってるよ……そうだ!ゴウ、俺とポケモンバトルしないか?」
今、明らかに自転車の弁償代の足しの為に私にバトルを申し込んだな……こんなサトシ君は見たくなかったでござる。
「ん、分かった。使用ポケモン数はそっちの持ってる数に合わせるよ」
「じゃあ、3匹で!いけぇ、ピカチュウ!」
まぁ、でもここらで対主人公戦というのも悪くない。なんか経験値豊富そうだし───
「3連勝!」「ピッピカチュウ!」
まぁ、結果から言うと手も足も出ず、私は3タテされて負けました。
……あの電気ネズミ強すぎだろ、どうなっているんだ、勝てる気がしない。
渋々、私のここ数日の実績が、じてんしゃ代に変わるであろう未来を見つつ(トレーナー評価変遷)、お互いに近況報告する為にニビシティのポケモンセンターへ。
道中、石売りに扮したタケシさんの父親と遭遇するイベントがあったが、ここはノータッチ。変なことして、タケシさんが旅に出られなくなったら大変な事になる。
「サトシ君のピカチュウ、すっごく強かった。何か秘訣でもあるの?」
「そりゃ、俺の育て方があばばばばっ……あっ、コハル、俺の事はサトシでいいよ」
サトシ君が何か言おうとした瞬間、ノータイムでピカチュウが電撃を流した。ああ見えて意外とピカ様は誇り高いのである。
「あっ、そうだ。俺さ、ポケモンリーグの地区大会に出るって決めたんだけど、ゴウもやってみないか?俺たち、いいライバルになれると思うんだ」
サトシ君からの、挑戦への誘い。
これがもし、私が彼と同じ10才の少年であれば、一にもニにも飛びついて、最強を夢見ていただろう。
しかし、私には、既に託された『夢』がある。
半端な真似は出来ない。
「いや、俺は全てのポケモンをゲットしなきゃいけないから、流石に無理だ。6体を強く育てるのと、100体育てるのは、大変さの種類が違うだろ?」
「あら、堅実に見えて夢は意外と大きいのね。じゃあコハルはどうしてトレーナーになったのかしら?」
「私は、───ただ、何もかもを置いて、旅に飛び出して行っちゃった人を連れ戻したいだけです。でも、その人の夢も叶えてあげたくって……」
「わお、この子も凄いロマンチスト。こんな子に想われている男子はさぞかし幸せ者なんでしょうね」
「あはは……、そんなこんなで、まぁ今は彼女と一緒に旅をしています」
色々面倒臭そうであるし、人に話すような話でもないので、肝心な部分は暈しておくと何故かカスミさんに憐れむようなモノを見る目で見られた。大方、私が片思いしているとでも勘違いされて非常に気を遣われているのだろう。……いや、強ち間違いでは無いのかもしれない。コハルさんがよく想っているのは偽物の"私"では無く、ゴウくんだ。どれ程信頼を築いても、そこだけは履き違えてはいけない。
「じゃあ、コハルはポケモンと何かしてる訳じゃ無いんだろ?折角旅に出たんだ。人のためだけ、だなんて勿体無いぜ」
ここでサトシ君からコハルさんへ勧誘がかかる。彼は挑戦するのに誰かと一緒じゃないと不安、というか細い精神性をしていないので、善意100%の勧誘であろう。
「あんたねぇ、さっきから何度も言ってるけど、これはそんな簡単な事じゃないの。ポケモンリーグに挑戦するには、めちゃめちゃ強いジムのトレーナーを倒して、8つのバッチを集めないといけないんだから。そもそも、あんた一人じゃ、ニビジムのタケシにはかないっこ無いわよ。……『お願いします』って頼むなら私、手伝ってあげてもいいわよ?」
「ふん、いらないよだ」
「ッ、あっそ、勝手にすれば?……コハルちゃんはどうする?私でよければ手取り足取りジム戦対策やポケモンバトルのイロハを教えてあげるわよ?何だったら私のポケモン貸してあげる。ニビジムの専門タイプと相性いいのよ」
「それは、是非是非、お願いしたいんですけど……、もうニビジムには行っちゃってて、その……」
コハルさんは基本的に謙虚であるため、こういった場面ではどうすれば良いか分からなくなってしまう。助け舟くらい出すか。
「ああ、コハルは、ニビジムのタケシさんにジムバトルで勝ってるんです。でも、まだ旅に出たばかりなので───」
「「ええぇっッ〜!?」」
カスミさんは当然として、黙ってご飯をかき込んでいたサトシくんからも驚きの声があがる。
「わお、意外や意外、いや恋する乙女は強いというけれど、さしものカスミさんもそこまでとは、お見それしちゃうわ。それに、ちょっと話しただけでも、とっても可愛くていい子だし、これ、あたしの『世界の美少女』称号のライバルになっちゃう!?」
どうやらコハルさんは、カスミさん的にかなり評価が高いようで何かめちゃくちゃ気に入られて撫で回されている。一方、サトシ君はというと……
「ふん、だ。猫可愛がりしちゃって、……コハル、俺だってすぐにニビジムを突破してみせる。その暁には、一回、バトルしようぜ」
完全にライバル認定したようで、メラメラと闘志を燃やしている。
「う、うん、じゃあその、勝ったら教えてね」
コハルさんは、あまりこういった感情に慣れていないのか、おっかなびっくりそう返答した。
……私、完全に蚊帳の外だが、やはりジム戦くらいはやったほうが良かっただろうか。
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その後、サトシ君は単身ニビジムに突貫したので、我々はニビジムに併設されたフリーのバトルコートにこっそりとやってきた。
何故こっそりとなのかというと、カスミさんの指示、即ち、ツンデレ仕草である。いや、この場合は冷たい態度とったのに心配していると知られるのが恥ずかしいといった具合なのだろうか。何でもかんでもツンデレというのは良くないな。
基本的なレクチャーはタケシさんから受けて習得している事を伝えると、カスミさんはむしろ嬉しそうに、応用的且つテクニカルな技術をコハルさんに教え込んでいく。
「バトルの時はポケモンだけでなく、相手のトレーナーを良く見るべし。例えば、水タイプのポケモンに炎タイプのポケモンを出してきたら、普通は油断する。実際にサトシみたいにタイプ相性も分かっていないだけの人もいるわ。でも、これから色々な人と戦っていくと、絶対にそれだけじゃ無いの。そういう悪巧みを察知出来れば、何かされた時も動揺せず、冷静に対処できる」
「逆に、自分の気持ちを読ませちゃ駄目。相手の空気感に飲まれて余計に劣勢になっちゃうし、トレーナーの不安はポケモンにも伝わっちゃう。だから、ピンチの時こそ、笑いなさい」
「技をポケモンがどう使うかを把握しなさい。例えばうちのヒトデマン、『みずてっぽう』は星の先端から出るけど、『あやしいひかり』や『サイケこうせん』は真ん中の宝石から出る。これはただ、この三つの技が使えるって覚えている事と大きな差が出るの。ほら、『みずてっぽう』と『こうそくスピン』を組み合わせると……」
……旅に出た最序盤から現役ジムリーダー二人にみっちりコーチングしてもらえるなど、幸運などというレベルでは無い。まぁ、それを言ったらサトシ君が凄い事になるので今更であるが。
兎に角、そんな風にトレーナーとしてのパワーレベリングをしているので、コハルさんの成長曲線はとんでもない事になっている事は想像に難くないだろう。
加えて技術レクチャーのバトル中に、ニドラン♀がニドリーナに進化。ポケモンの育成もこの濃い経験の中で、順調に進んでいるようだ。流石にレポートの関係ですぐに月の石(おつきみ山のピッピからお土産として貰った)を使う訳にも行かず、アイテム進化のポケモンは36レベルを目処に進化させる事にした。これは御三家の最終進化レベルに合わせた形である。
という訳で、一通りレクチャーが終わると、次は敗戦したであろうサトシ君を探して、そっちの方に向かったのを見た人がいるという川辺に向かう。
見つけた時には、サトシ君とピカチュウはタケシの親父さんに水車による充電修行を受けている最中だった。
「……私のポケモン使えば、カンタンに勝てるのに」
カスミさんは、そんな姿をただじっと、少し焦ったそうに見守っていた。