普通じゃないモブ警備員   作:タヌキソード

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第35話 赤き巨人-オメガ-

 

トレセン学園 警備員室

 

 

 

「…誰も帰ってこなかった…」

 

 

テーブルに突っ伏したまま人工ウマ娘のライトオブホープ(旧名:被験体1)はそのように言った、この警備員室は館山宗次郎という名の警備員が使っているもの、そこにいるホープは彼によって助けられ、居候している存在だ、この警備員室には他にも動くふわふわのウルトラ戦士のぬいぐるみ達やレイオニクスのロドがいるはずだが、外のパトロールが長引いているのか、帰ってきていない、なんなら館山宗次郎本人も帰ってきていなかった

 

 

「まあいいです、仕事が長引いて帰れない人も世の中にはいるみたいですし、宗次郎さん達もきっとそうだと思います。それに皆のご飯はラップして冷蔵庫に入れましたから」

 

 

昨日、彼女は夕飯を作っており、その時に作った彼らの夕飯を冷蔵庫に入れていた。これならば腐ったりする事はなさそうだ

 

 

「さて、少し走ってきますか」

 

 

ホープはそう言うと、窓を開けてそこから外へと出ると、練習場で走り始めた、早朝ということもあり、練習場には誰も居なかった為、安心して走ることが出来た

 

 

「なんでオリジナルのウマ娘達って走る事を楽しいって思えるんだろう…」

 

 

『オリジナルのウマ娘』というのは恐らく母親という存在から自然に生まれてきたウマ娘達の事を言うのだろう。本来ウマ娘というのは走るために生まれてきた生き物。ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継いで走る存在だ、だがホープは、今は亡き伏井出ケイによって悪の戦士ウルトラマンベリアルの遺伝子を元に人工的に作り出された存在である為、本来ウマ娘が持っているはずの走りたいという気持ちや走り続けたい気持ちを生まれながらに持たなかった。

 

 

「一番になって何になるんだろう…意味なんてあるのかな…?」

 

 

故にレースで勝つことに意味があるのかすら疑問に思っていた、ホープはウマ娘の中でも一際イレギュラーな存在なのである

 

そしてホープは走る事にもそもそも興味がなかった

 

 

「ふう…少し運動しましたし。生徒の子が来る前に警備員室に戻りましょうか」

 

 

走り終えたホープはそうして警備員室へと戻っていくのだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---

 

再び、警備員室

 

 

「え…」

 

 

警備員室に帰ってきたホープは、テーブルに置いた焼きそばがない事に気づいた

 

 

「今日の朝ご飯が…」

 

 

そのように言った時だった

 

 

「うーん」

 

 

見知らぬ声と麺を啜る音が、警備員室の倉庫から聞こえてきた、声と音のした方へと目を向けるとそこは倉庫の中のある一角、倉庫のライトに照らされて何者かの影が映し出されていた

 

 

「(窓閉めるの忘れてた…)」

 

 

不審者が中にいる事を確信したホープは、窓を開けっ放しにした事を後悔、近くにあったGUTSスパークレンスを持って、謎の影へと近づいていった

 

 

(麺を啜る音)

 

 

麺を啜る音はまだ聞こえる

 

 

「うん」

 

 

見知らぬ声もまだ聞こえる

 

 

「おい誰だー!」

 

 

ホープは思い切って影の主の前へと飛び出してGUTSスパークレンスを構えた

 

 

「…?」

 

 

影の正体…それは白シャツを着た謎の男だった、男はホープの朝食だった焼きそばを食べており、ホープの声に反応し、ホープの方へ向いた

 

 

「私の朝食が…」

 

 

ここで謎の男が突然立ち上がった

 

 

「えっ?」

 

「この感じ…なんて…う…う…」

 

 

謎の男は意味の分からない事を言いながら、ホープの方へと向かってくる

 

「あ…」

 

「うまい!美味 美味しい デリシャス」

 

「はっ?」

 

「名前は?」

 

「えっ?」

 

「これの名前」

 

「えっと…焼きそば…ですよ…?」

 

「焼 き そ ば…」

 

 

食べていた物が焼きそばという食べ物であると理解すると、謎の男は焼きそばを持ったまま歩き出していく

 

 

謎の男は今度は目覚まし時計を見つけ、手に取った

 

 

「これは?」

 

「目覚まし時計ですよ?」

 

 

手に取った物が分かったあと、謎の男は手に取った目覚まし時計を置く

 

 

「乱暴に扱わないで下さいよ?…?」

 

 

謎の男にそのように注意した所でホープは謎の男に焼きそばを押し付けられた、その後も謎の男は部屋の中を歩き、目についたものを手に取っては落とした

 

 

「あ、待って待っt…ちょっと!何してるんですか!?」

 

 

謎の男は手に取った物を見ては落とし、また物を手に取っては落としていく

 

 

「あぁ〜!なんかやめてください!?」

 

 

ホープの言葉に謎の男は気づかない、そのうち謎の男はティッシュを何枚か引き出しては落とした

 

 

「落とさない!落とさない!おーい!」

 

 

警備員室がどんどん謎の男が手に取って落とした物で散らかっていく

 

 

「お"わ"ぁ"〜!!宗次郎さんの新作のGUTSハイパーキーがー!!!」

 

 

謎の男は止まらない

 

 

「これは?」

 

 

謎の男はそのうち、スパークレンスを手に取った

 

 

「駄目っっっ!!!」

 

 

ホープはすぐに謎の男からスパークレンスを取り返した

 

 

「これは、私が光に…ウルトラマンティガになるきっかけを作った大切なものなんです…壊したらどうにもならない…」

 

 

ホープは大切そうに抱え、スパークレンスを懐にしまった。

 

 

ネビュラエンタープライズという会社で育ち、そこから逃げたホープは途中で光るピラミッドの中へ入り、そこでスパークレンスを手にした、その後宗次郎と出会ったあとの戦いで彼女はスパークレンスを掲げてウルトラマンティガへと変身した、彼女にとってスパークレンスはかけがえのないものなのだ

 

 

「…ちょっと!?」

 

 

ホープは謎の男を追いかける

 

 

「ちょっと…!?ちょっと…!?」

 

 

謎の男は手に取った書類を見て落とす、今度は書類がついたボードを手に取った

 

 

「あーーっ!ほんとやめてください!?」

 

 

ホープは懇願するも謎の男はやはり止まらない、手に取った書類がついたボードから書類が落ち、その書類を見たあとにボードを置いて辺りを見渡す

 

 

「ちょっと…貴方誰ですか!」

 

「…誰?…」

 

 

ホープに誰なのかと問われても謎の男は自分が誰なのかが分かってないようだった

 

 

「どこから来たんですか!?ここ関係者以外立ち入り禁止の筈ですよ!?」

 

 

トレセン学園は学園関係者や生徒以外立ち入り禁止の場所、見学するのなら許可を取っていくはずだ、謎の男はそのように問いかけられて首を傾げた

 

 

「うーん…」

 

 

そのあと、謎の男は天井を見上げた

 

 

「天井!?」

 

 

天井?この男は一体…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---

 

その頃、トレセン学園から離れた公園にて

 

 

「見つけたぞ」

 

「おやおや…これは…」

 

 

警備員の館山宗次郎の仲間の1人であるレイオニクスのロドが、半分白半分黒の服を着た謎の男…もとい霧崎を見つけていた、霧崎はベンチに座り、日傘を差していた

 

 

「今度は何を企んでいる…」

 

「そんな事はしないさ」

 

 

ロドの問いかけに霧崎はそう否定した

 

 

「宗次郎君の件だが、あれは私とは無関係だ」

 

「証拠は?」

 

「SKaRD」

 

「SKaRD?」

 

 

霧崎が言った『SKaRD』という言葉にロドは首を傾げた

 

 

「何かの部隊か?それが宗次郎の件と関係しているのか?」

 

「まあそうさ、しかも面白い事にその部隊は別世界から来ているんだよ…君よりも前にね」

 

「(俺と同じ、別世界から来た者…)」

 

 

どうやら宗次郎が帰ってこない事にはSKaRDという謎の部隊が関係しているらしい

 

 

「この世界は人間とウマ娘、異なる種族が共存し皆が協力し合っている、俺の夢を体現したような良い世界だ」

 

「だがこのマルチバースは、他マルチバースの宇宙人達から見たら侵略しやすい部類に入っている。私は君よりも前にこの世界に来て色々見てみたが、ここの人間達は『ウマ娘』という存在がいるからなのか、未知の生物に対する警戒心が薄い、そんなのでは簡単に侵略されてしまうよ」

 

「……俺達宇宙人からすればこのマルチバースの地球で生きる者達はまだ幼く弱い、あの黒き王の血を引くホープというウマ娘も正直言ってまだ弱い、だが無限の可能性を秘めている」

 

「成る程…」

 

「人間やウマ娘がどう成長していくのか、正直俺は楽しみではある」

 

 

霧崎はベンチから立ち上がる

 

 

「『今回は』私は静観の立場を取らせてもらうよ、では…」

 

 

ロドにそう言うと、霧崎は突如として出現した赤い魔法陣の中へと入り、魔法陣諸共姿を消した

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---

 

その頃ホープは、警備員室の窓から外へ出た謎の男を追いかけて、学園の外へ出ていた。学園の外に出ていた謎の男は腕を上に掲げていた

 

 

「…何してるんです?」

 

 

ホープの問いに謎の男は反応しない、謎の男はさらに飛び立つような動きをする

 

 

「飛べない…」

 

「え?」

 

「飛べる気がしたんだけどな…」

 

 

飛べなかった?のか、謎の男はどこか残念そう?だった。そのあと謎の男はどこかへと走り出し、ホープはそのあとを追った

 

 

謎の男は住宅街の方まで走ってきていた、何やら匂いを嗅いで何かを探しているようだ

 

 

「何探してるんだろう…?」

 

 

ホープは何とか謎の男に追いついた、何かを探している様子の謎の男を見てホープは首を傾げた

 

 

「あの…不法侵入とかしてる以上警察に通報しなきゃいけないんですけど…」

 

 

ホープは、宗次郎からプレゼントされたスマホで警察に通報しようとする

 

 

「けい…さつ…?」

 

 

謎の男は警察も知らないようだった

 

 

「え…警察も知らないんですか?」

 

 

ホープはそのように問いかけるが、謎の男は何も答えない

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…!

 

 

ここで謎の轟音が響く

 

 

ドガガガァァァン!!

 

 

そのあとに建物が一つ陥没してしまった

 

 

「何だ!?」

 

 

通りがかりの市民達はその音に驚く

 

 

ドガガガァァァン!!

 

 

そして陥没した箇所から巨大なツノが出現、さらにそこからツノの持ち主である巨大な怪獣が姿を現した

 

 

「何あの怪獣…警備員室にある怪獣のデータバンクにあんなの載ってなかったよ…?」

 

 

怪獣は足で瓦礫を払いながら前進、それを見た市民達は次々と逃げていった

 

 

「ひっ…!」

 

 

いくらウルトラマンに変身出来るとはいえ、ホープはまだ怪獣への恐怖を拭えていなかった、ホープは恐怖から謎の男の後ろに隠れるように立つ、謎の男は怪獣を見て動かない

 

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

 

「うわぁぁぁぁ…!!」

 

 

怪獣の足がこちらに迫る…ホープは恐怖から目を瞑った。次に目を開けた時、ホープは何故か空の上にいた、訳が分からずホープは困惑する、また次に目を開けた時、ホープは地上にいた、見上げると遠くに怪獣の姿が見え、隣には謎の男がいた、まさかこの謎の男がホープを連れて飛んでここまで来たのだろうか…

 

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

 

怪獣は鳴き声をあげたあと地中へと潜り姿を消すのだった

 

 

「怪…獣…」

 

 

謎の男はボソッとそう呟くのだった…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---

 

避難所にて

 

 

『府中市で発生爆発事故の速報です、以前詳細は不明です…』

 

「いつになったら分かるんですか!?息子の安否は!?」

 

「トレセン学園に通ううちの担当バがどうなったか分からないんですか!?」

 

「私達にも分からないんですよ…」

 

 

ラジオ放送が流れる中、多くの人々が避難所へとやって来た、避難した者の中には子供の安否を知りたい母親やトレセン学園に通う担当バの安否を知りたいトレーナーの姿もあった。その避難所にはホープと謎の男がいた

 

 

「あの、名前は…?」

 

「さぁ…」

 

 

ホープが謎の男に名前を問いかけるも、謎の男は自分の名前すら分かっていないようだった

 

 

「いや、ほんとどこから来たんですか?」

 

 

ホープの問いかけに対して謎の男は空を見上げ、そして右手を空に掲げた、つられてホープも右手を空に掲げる

 

 

「…空!?」

 

「うーん……」

 

 

謎の男は右手を降ろし、ホープは右手を降ろしながら謎の男の様子を見る

 

 

「…記憶喪失!?マジですか…」

 

 

謎の男はどうやら記憶喪失のようだ、その事にホープは驚きを隠せない

 

 

「あの、さっきの…『怪獣』…あれどういう意味なんです?」

 

「よく分かんないけど、頭に浮かんだ…」

 

 

先程『怪獣』と呟いた事に関しては頭に浮かんだのを言っただけだったようだ

 

 

「情報が入り次第全てお伝えします!」

 

「だからその情報はどこまで来てるんですか!?」

 

「いつまで待てばいいんだ本当に!」

 

「情報が錯綜しているんです!」

 

 

避難所の受付では職員が避難してきた市民に言い寄られていた

 

 

「やっぱトリガーの野郎は人類とウマ娘の味方なんかじゃねえんだ!」

 

「そんな事ないです!トリガーは我々の味方です!」

 

「でも来ねえじゃねえかよ!怪獣が出たのによ!」

 

「この前の戦いの傷が開いて動けないかもしれないんです!」

 

「そんなの誰が信じるんだよ!」

 

「人間じゃないなら傷くらいどうだってなるだろう!」

 

 

さらにはウルトラマントリガーが敵な味方かで市民の間で揉め事が起きていた、ウルトラマントリガーはあの宗次郎が変身した光の巨人である

 

 

「恐怖…?不安…?混乱…?」

 

 

そんな様子を見て謎の男はそう言った

 

 

「(あの人達…!)」

 

 

宗次郎はトリガーとなって幾度となく府中の街を守ってきた、そんなトリガーにあれこれ言う人々にホープは怒りを覚えた。そんな時、謎の男のズボンを誰かが引っ張った、謎の男がそれに反応して見てみると引っ張っていたのは幼い小さなウマ娘だった、ホープも気づき少女の方を見る、親とはぐれてしまったのか、少女は不安そうだった

 

 

「どうしたの?」

 

 

目線を低くしてホープは少女にそう聞いた

 

 

「うっ…!うぅぅぅぅ…!」(泣)

 

 

少女は泣き出してしまった、謎の男は泣く少女を見つめる。揉め事はまだ続いており、泣く少女を見たホープは少女が親とはぐれてしまった事と大人たちの大きな声に怯えて泣いてしまったのだと思い、揉め事を止めに入った

 

 

「ちょっと!!ちょっと!!子供が泣いてるのが分かんないですか!?」

 

 

「うぅ…!グスッ…!」(泣)

 

「…涙?」

 

 

泣く少女を見て謎の男はそう言った、ホープは続けて言う

 

 

「それに何ですか!!トリガーにあーだこーだ言って!!貴方達がこうして生きてるのはトリガーのお陰なんですよ!!トリガーにただ守られて何も出来ないくせに口だけは大きいんですね!!」

 

 

「な、なんだこのガキが!!あぁん!?」

 

 

職員に言い寄っていた壮年の男がホープに掴みかかる

 

 

「それと!!こういう時、『大人がしっかりしなきゃな』じゃないんですか!?」

 

「んだとこの野郎…!」

 

 

正論を言われ、壮年の男はさらに手に力を強める、だがその手を謎の男が掴んで止め、壮年の男の頭の上に置いた、そのあとに謎の男は少女の方へと戻り、少女を抱き上げてどこかへと歩き出す

 

 

「あ!ちょっと…!…すみません!」

 

 

ホープは謎の男の後を追う

 

 

少し歩いた所で謎の男は少女を降ろした、そのあとにホープが少女へ駆け寄った

 

 

「大丈夫?」

 

 

ホープの問いかけに少女は頷く

 

 

「誰か!この子のお母さん知りませんか!?」

 

 

ホープは声を張り上げて周りに呼びかけた

 

 

「ミクちゃーん!ミクちゃーん!」

 

 

その声に1人の大人のウマ娘が反応し、ホープ達のいる方へ駆け寄る

 

 

「ママー!」

 

「ミクちゃん!」

 

 

少女は大人のウマ娘へと駆け寄る、この大人のウマ娘が少女の母親のようだ

 

 

「ありがとうございました!ありがとうございました!」

 

 

少女の母親はホープと謎の男にお礼を言った

 

 

「いえ、私は何も…」

 

 

ホープはそのように言葉を返す

 

 

「ほら!」

 

「ありがとう!」

 

 

そのあとに少女はお礼を述べた

 

 

「…」

 

「…よかったね」

 

 

謎の男はそれを見つめ、ホープはそのように言うと少女は頷く。そのあとに少女は母親と共に避難所のホールの中へと戻っていった

 

 

「…」

 

 

その後、謎の男はホープを見つめる

 

 

「何ですか?」

 

「そうか…お前、優しいなんだな?」

 

「べ、別に…ああいうの放っておいたらあとで気になるじゃないですか。なんか出来たんじゃないかなって、それが嫌なだけで…」

 

「やっぱり、優しいだ…」

 

「何ですか?『だ』って?」

 

 

ここで謎の男はホープの元を離れると、また何かの匂いを嗅いだ

 

 

「…来る」

 

 

謎の男はそのように呟いた、その直後

 

 

ゴゴゴゴゴ…!ドガガガァァァン!!

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

 

あの怪獣が建物を突き破って現れた、それを見た市民達は避難所にあるホールの中へと逃げていく

 

 

「貴方は早く逃げて!ここは私が…」

 

「グライム…!。思い出した!巨大な爪で地中を掘り、硬い岩盤に当たるとツノから熱線を出して溶かす…」

 

「訳わかんないこと言ってないで!あっ!」

 

 

謎の男はあの怪獣をそう呼び、怪獣の元へ歩き出す

 

熱線を出す怪獣だというのならばあの怪獣の名前は『熱線怪獣グライム』といった所だろうか。

 

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

「し、知りませんからね…!私は貴方の事を知りませんから!本当に知りませんから!」

 

 

ホープはそのように言うと、ウルトラマンティガに変身する為に避難所の裏へ向かう

 

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

 

謎の男は歩みを止めない

 

 

「ああ、もう…!」

 

 

避難所の裏へ向かおうとしていたホープだったが、謎の男がまだ逃げてないのを見て放っておけなくなったのか、謎の男の方へと走っていく

 

 

「あのちょっと!…ほんと逃げてください!」

 

 

ホープは謎の男を引っ張って謎の男を避難させようとする

 

 

ここでグライムはツノから光線を放つ、光線は街に当たった瞬間大爆発を起こした

 

 

「うっ あっ あっ あ〜っ!」

 

 

その光線は2人の所にも飛んできた

 

 

「あ〜っ!」

 

 

謎の男は爆発に巻き込まれる前にホープをなんと空高く投げてしまった

 

 

「うわぁ〜! ?うわぁ〜!」

 

 

空高く投げられたホープはそのうち地上へ落下していった、だがそんなホープを謎の男は助け、地上へ降りた

 

 

「えっ?」

 

「…?」

 

 

ここでホープはある事を確信した

 

 

「まさか、あ、あの時も貴方が!?」

 

 

それは、一度目の怪獣の襲来の時に自分を助けたのが謎の男だったいう事

 

 

「俺の事なんか、知らないんじゃなかったのか?」

 

「知りませんけど、貴方が逃げないから…」

 

「俺が逃げないから…助けに来たのか…?」

 

「気分が悪いでしょ誰かを見捨てて行くなんて!」

 

「そうか…やっぱりお前は優しいだな」

 

 

ホープの行動を近くで見た謎の男はホープのその優しさを知り、そのように言う

 

 

「うん…ありがとう!」

 

「…」

 

 

謎の男にお礼を述べられホープはなんともいえない顔になる

 

 

「ママ!ママ!ママ!」

 

 

その時、あの時助けた少女の声が聞こえてきた

 

 

「ミクちゃん!ミクちゃん先逃げて!」

 

「やだ!ママ…!」

 

 

さらには少女の母親の声も聞こえてきた、2人が声のする方へ向かうと、そこには少女に先に逃げるように言う母親とそれを拒んで母親とと共に逃げようとする少女の姿があった、母親の方はよく見れば足を怪我しているようだった、逃げている最中に足を怪我してしまったのだろう、母親は何としてでも少女を逃がそうとするが少女は母親と共に逃げたいのか、なかなか先へ逃げてくれない

 

 

「見捨てると気分が悪い…お前の言ってる事は分かる」

 

 

謎の男はホープの前へ立つ

 

 

「ちょっと何を…」

 

「飛べる気がする…。何とか出来そうな気がする…!」

 

「あんな大きいのどうにも出来ないでしょう!?(ていうか本当は私がどうにかしようと思ってたんですけど…)」

 

「大きく…なれそうな気がする!」

 

 

右手を掲げ、謎の男はそう言った

 

 

その直後、謎の男の額から赤い光と共に赤い物体が飛び出す、赤い物体は周囲を旋回し、謎の男はそれを手に取る、その瞬間赤い物体は赤いスラッガー…もといオメガスラッガーへと変化した

 

 

「俺が…助ける!」

 

 

謎の男はネックレスから謎の物体…もといオメガメテオを取ってスラッガーにセットし、スラッガーを展開、手に持ったスラッガーを左側へと持っていきそこからゆっくりと大きく円を描くように右側へと持っていく、そしてスラッガーを掲げ、引き金を引いた、その瞬間謎の男は光に包まれた

 

スラッガーの展開された箇所は銀色のプロテクターへと変化し、謎の男の胸元に装着され、そこを中心に姿が形成されていき、やがて謎の男は赤いウルトラマンの姿へと変化

 

 

{スアァァァッ!!}

 

 

そして光と共に現れたのはオメガスラッガーを頭に携えた赤きウルトラマン

 

 

「真っ赤な…ウルトラマン…?」

 

 

赤いウルトラマンは自分の手足を見た後、目を光らせた。そして赤いウルトラマンは右手をグライムに向け、何かを見る動作をして右手をゆっくり握ると

 

 

{スァッ!}

 

 

そのあとに赤いウルトラマンは怪獣の方へ駆け出し、戦い始めた

 

 

「大丈夫ですか?足ですか?」

 

「はい」

 

「立てますか?」

 

 

赤いウルトラマンが怪獣を食い止めてる間にホープは母親と少女の元へ駆け寄る、母親が足を怪我しているのが分かると、ホープは母親に肩を貸して立ち上がらせた

 

 

「いきますよせーの…!。走れる?よし行くよ!」

 

「行くよ!」

 

 

母親に肩を貸して立ち上がらせたあと、ホープは母親を支えながら少女と共に避難所へ向かっていった

 

 

{フッ!}

 

 

赤いウルトラマンはグライムの攻撃を避けつつグライムにキックを叩き込む、そのあとに互いを見合う、グライムが先に攻撃を仕掛け、赤いウルトラマンがそれを防いで攻撃を叩き込み、さらにサイドキックを食らわせる

 

 

{スアァッ!}

 

 

そこからさらに側転蹴りを食らわせ、グライムを後退りさせた

 

 

「こっち!こっちです!さあ!」

 

 

ホープと母親と少女は何とか避難所の所へたどり着く、職員が彼らをそこへ誘導し、赤いウルトラマンはそれを見つめる

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「お願いします!」

 

「ありがとうございます!」

 

 

ホープは母親と少女を職員へ引き渡す

 

 

「グガァァァァァ…!キィィィィッ…!」

 

 

ここでグライムが腕を振り上げて赤いウルトラマンの方へ突撃、赤いウルトラマンはそれに気づくのが遅れ、グライムは鋭い爪で赤いウルトラマンを二度斬りつけた

 

 

{グワァァァ…!}

 

 

鋭い爪で斬りつけられ、赤いウルトラマンは建物を破壊しながら倒れてしまう

 

 

「お願いします!」

 

 

それを見たホープは何を思ったのか、赤いウルトラマンの方へ走りだした

 

 

「あ、ちょ…!君ー!」

 

 

職員は止めようとするもホープは止まることはなかった

 

 

赤いウルトラマンはフラフラになりながら立ち上がり、グライムは尻尾で赤いウルトラマンを攻撃、追撃とばかりにツノで攻撃しようとするも、赤いウルトラマンはツノを掴んで押しのける、だがグライムは押しのけられたツノで逆に赤いウルトラマンを攻撃、さらには両腕の力で赤いウルトラマンを半分程埋めてしまった

 

 

{シュワァァ…!}

 

 

赤いウルトラマンは脱出しようとするがなかなか出ることが出来ない。ここで赤いウルトラマンのカラータイマーが点滅を始めた、活動限界が近いようだ

 

 

「あ…」

 

 

赤いウルトラマンがピンチに陥っている所を見てホープは驚きを隠せない

 

 

グライムは再びツノから光線を放とうとする、このままでは赤いウルトラマンが危ない、そんな時赤いウルトラマンは空を見あげた

 

 

太陽が照らす明るい空、その空を鳥が飛んでいく

 

 

赤いウルトラマンは空に向かって右手を伸ばした、変化する前の謎の男と同じように。そして右手を握ると…

 

 

{スアァッ!}

 

 

赤いウルトラマンは空へと飛び立った、それによりグライムの光線が当たることはなかった

 

 

「あ、飛んだ…」

 

 

赤いウルトラマンが飛んだ事にホープは驚く

 

 

{ヤァァッ!}

 

 

赤いウルトラマンは飛び上がったあと、急降下キックをグライムにお見舞いし、そこから反撃へと入る

 

 

「ご覧ください!謎の巨大生物と巨人の戦いは未だ続いています!」

 

 

その様子を建物の屋上にいたテレビクルーが見ており、その様子を全国へと伝える

 

 

途中でグライムが光線を放つも赤いウルトラマンはそれを避けて飛んでいく

 

 

「あっ!巨人が飛びました!」

 

 

グライムはまた再び光線を放とうとする

 

 

対して空を飛ぶ赤いウルトラマンは、グライムから少し離れた場所で滞空

 

 

{スアッ!}

 

 

赤いウルトラマンは頭部に携えたオメガスラッガーをグライムに放つ、オメガスラッガーはグライムの光線を押し返し、そのあとにオメガスラッガーはグライムのツノを切断

 

 

「グギィィィィ!?!?」

 

 

ツノを切断され、グライムは悲鳴をあげる

 

 

赤いウルトラマンは地上へ降り立ち、飛んできたオメガスラッガーを手に取る

 

 

「大変です!巨人が私達の目の前にいます!」

 

 

その近くにはテレビクルーがいる建物があった

 

 

{デァァァッ!}

 

 

赤いウルトラマンはオメガスラッガーを構え、走り出すと

 

 

ジャキィィンッ!

 

 

オメガスラッガーでグライムを切り裂いた

 

 

「グギィィィィ…!キィィィィッ…!」

 

 

グライムは断末魔の叫びを上げて倒れ。その直後に目を閉じて絶命

 

 

戦いを終えた赤いウルトラマンは光となり、元の謎の男の姿へと戻った

 

 

「怪獣達の…目覚めの刻…」

 

 

謎の男は何やら意味深な事を呟く

 

 

「貴方…一体…」

 

 

そのあとにホープはが謎の男へ駆け寄りそのように言った、謎の男はその言葉に反応し、ホープの方へ向く

 

 

「名前は?」

 

「え?」

 

「お前の名前」

 

 

謎の男はホープに名前を聞いてきた

 

 

「ライトオブ…ホープ…」

 

 

ホープはその場で本名を名乗った

 

 

「ライトオブ…ホープ…あっ、思い出した!」

 

 

そのあとに謎の男は何かを思い出したようだ

 

 

「俺の名は……オメガ!」

 

 

謎の男は名を『オメガ』と名乗った

 

 

「あっ あぁ…」

 

「うっ、えっ!?」

 

 

だがその直後、謎の男は倒れてしまった、ホープは倒れた男に駆け寄る

 

 

「大丈夫ですか!?誰かにやられたんですか!?ねえ!」

 

「腹、腹が…」

 

「腹が…?」

 

「減っ…」

 

 

(腹の鳴る音)

 

 

「減った!?」

 

 

謎の男が倒れた原因…それは空腹によるものだった、それを知ったホープは謎の男を警備員室へ連れて行くのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー---

 

 

それから1週間後…警備員室にて

 

 

「1週間経っても帰ってきてない…」

 

 

あれから1週間経ったが、ロドはおろか宗次郎も動くふわふわのウルトラ戦士のぬいぐるみ達も帰ってきていなかった、ホープはその事に絶望しながらカレーを食べていた。警備員室からはラジオが流れていた

 

 

『ホント、今でも信じられないですよね。』

 

『あぁ〜』

 

『怪獣が現れてから、かれこれ1週間、正体は謎のままだそうですね』

 

 

警備員室の中にあるテーブルには様々なジャンルの本が無造作に置かれ、また無造作に本が置かれた、その中には食べかけのカレーが置かれていた

 

 

『あぁ、もう1週間も?』

 

『はい。今回ウルトラマントリガーは現れませんでしたね』

 

『あの時の大きな戦いで負った傷が開いて動けないんじゃない?』

 

『凄い戦いでしたからね…』

 

『でも、今回は赤いウルトラマンが怪獣を蹴散らしたからとりあえずは大丈夫じゃない?』

 

 

ラジオからは1週間前の出来事についての会話が聞こえていた

 

 

『そういえばトリガーやあの赤いウルトラマンって何なんだろうね?』

 

『世間ではどちらとも『宇宙人』なんじゃないかって噂があるようですけど…』

 

『宇宙人!?』

 

 

怪獣グライムの件から1週間が経った。ネットニュースの記事には赤きスラッガー…もといオメガスラッガーを持った赤いウルトラマンの姿が映っていた

 

 

「やっぱり俺は宇宙人なのか…?」

 

 

ラジオを聞いてそのように反応を示す謎の男、この男の正体は何を隠そうあの赤いウルトラマンだ、テーブルに置かれた本を手に取って読みながらカレーを食べているようだ

 

 

『それか、遺伝子操作の生物兵器なんて噂も…』

 

『生物兵器?』

 

 

謎の男は先程読んでいた就活関連の本を置き、今度はオカルト関連の雑誌『ムー』…じゃなくて『ウー』を手に取って読む、開いたページには全身が銀色で目が黒く、頭でっかちな宇宙人…所謂グレイが映っていた

 

 

「似てないと思うけどなぁ…」

 

 

謎の男はそう言いながら雑誌を閉じてテーブルに置く、当たり前だが、あの赤いウルトラマンとグレイは宇宙人である事以外は全くの別物で、トリガーに関してはどちらかというと地球産であり、さらに『人になった光』だ

 

 

「あ、ホープ」

 

 

ここで謎の男は、カレーを食べ終えたホープを呼んだ

 

 

「ん?」

 

「次これ食べたい。これ作ってくれ」

 

 

謎の男は中国料理の載った本のあるページをホープに見せる、そのページには北京ダックの写真が映っていた

 

 

「北京ダック!?作れませんよそんなの!(材料ないし…)」

 

「あと、おかわり」

 

 

謎の男はさらにカレーのおかわりを催促してきた

 

 

「(おかわりぃ?どれだけ食べるのこの人…)」

 

 

謎の男の催促に答え、ホープは器にカレーをよそって謎の男に渡した

 

 

「すみませーん…宗次郎さーん…」

 

 

突然その声が聞こえ、そのあとに警備員室の扉が開けられた、扉の所にはたずなさんが立っていた

 

 

「あら?貴方は宗次郎さんが保護したウマ娘のライトオブホープさんじゃないですか?」

 

「はい…」

 

「隣でカレーを食べてる方は?」

 

 

たずなさんは不思議そうに謎の男を見る

 

 

「俺か?俺はオメ…」

 

「わ〜っ えっと!」

 

 

謎の男がオメガと名乗ろうとしたのでホープは止めに入った、謎の男が赤いウルトラマンである事はバレてはいけない

 

 

「うぅ この人は…大きな…オオキダ…あー!オオキダ・ソラト!この人、オオキダ・ソラトって言います!」

 

 

ホープは咄嗟に謎の男に『オオキダ・ソラト』と名付けた

 

 

「オオキダ・ソラト?」

 

「はい」

 

「俺?」

 

「うんうん」

 

「空…ソラト おぉ、いいな!」

 

「あはは…」

 

 

謎の男は突然名前をつけられて最初は?となるもどうやら気に入ったようだ

 

 

「その…ソラトさん?はどうしてここに?」

 

「え~と 私が保護しました!道端に倒れてたから放っておけなくて…」

 

「そうですか…宗次郎さんがホープさんを保護した時も似たような事言ってましたね…。まあいいでしょう、ホープさんも宗次郎さんに似て困ってる人や倒れてる人を放っておけないんですね」

 

「あはは…」

 

「でも、ほとぼりが冷めたらその人を家に帰して上げてくださいね?」

 

「はーい…」

 

 

その後、たずなさんは扉を閉めて去っていった

 

 

「ふぅぅぅぅぅぅ…」

 

 

ホープは咄嗟に嘘を言って謎の男…もといソラトが赤いウルトラマンであることを隠した、たずなさんにバレずに済み、ホープは大きく息を吐いた

 

 

「さっきのやつ、人間じゃない」

 

 

一連の様子を見ていたソラトはそのように言った

 

 

「へ?」

 

「アイツの正体は…ウマm」

 

「あ~!それ以上は言っちゃ駄目です!」

 

「え?」

 

「あの人の正体を言っちゃ駄目ですよ!言ったら…八つ裂きにされます…」

 

「そうか、分かった」

 

 

たずなさんはたずなさんである、たずなさんが伝説のトキノミノルというウマ娘だというのは全くの間違いである…全く…そんな根拠のない都市伝説を一体どこの誰が広めたのだろうか…

 

 

「ホープ、次はこれ作ってくれ」

 

 

ソラトは、今度はスイーツの載った本のあるページをホープに見せた、そのページにはフォンダンショコラの写真が載っていた

 

 

「はい…(まだ食べるの?)」

 

 

カレーを食べた次はフォンダンショコラを食べたいようだ、ホープはそのように返事をしてキッチンへと向かうのだった…

 

 

to be continued…

 

 

次回 急襲-パートウェイズ-

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