Monster Hunter Duel Storm   作:アサシン・零

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第11話「歴史と進化の授業」

ドンドルマ大学の講堂は、古代の石壁に刻まれた竜人族の文字が薄暗い光に照らされていた。ミゲルはアリスを肩に乗せ、古代語学の教室に座った。教壇に立つのは竜人族の教授アルナ、32歳。青みがかった鱗と鋭い目が、知識の深さを物語る。彼女は古びた羊皮紙を手に、講義を始めた。

 

「今日のテーマはドンドルマとハンターズギルドの歴史だ」アルナの声は澄んでいた。「約50年前、ハンターという職業はココット村で誕生した。竜人族の村長が、モンスターと共存する道を模索し、狩猟技術を体系化したのが始まりだ」

 

ミゲルはノートにペンを走らせ、アサシン・零の師だった竜人族の前村長を思い出した。アルナが続けた。「約40年前、古龍種の存在が確認され、ギルドは調査を開始。モガ村近海で地震が頻発したが、原因は古龍ナバルデウスだった。この頃、新大陸に1期団が派遣され、未知の生態系が明らかになった」

 

アリスが「ニャ、古龍、怖いニャ」と呟き、ミゲルは笑みを抑えた。アルナの講義はさらに進む。「約30年前、ゴア・マガラとシャガルマガラの存在、狂竜症が確認された。ファビウス――当時の筆頭ランサー――がセルレギオスの発見に貢献。狂竜症にはワクチンが開発され、事態は収束した」

 

ミゲルはファビウスの名に反応し、禁足地で別れたランス使いを思い出した。「約20年前、温暖化で環境が激変。海面が上昇し、温暖期が長くなった。新大陸5期団がゼノ・ジーヴァという新種の古龍を発見。モンスターの多様な生態が観察されるようになった」

 

アルナは一瞬目を細めた。「そして約10年前、ハンターズギルドが刷新され、ドンドルマが本部に。ロックラック、ミナガルデは支部に再編された。この時、ギルド内で内輪揉めが起き、ギルドナイトが派遣された。秩序を保つため、だが…詳細は機密だ」

 

ミゲルはペンを止め、零の過去を思い出した。ギルドナイトとして活動していた零が、10年前に引退した理由。アルナの話と零の言葉が重なり、ミゲルはノートにこっそりメモした。「零の引退=ギルドの内輪揉め? ゼルレウス関連?」

 

次の授業は猟竜研究学で、アラン教授が教壇に立った。50代の教授は黒板に巨大な飛竜のスケッチを描き、学生たちを引き込んだ。「今日のテーマはモンスターの進化だ。古代に存在したワイバーンレックス――巨大な飛竜種がいたが、巨体が仇となり絶滅した」

 

アランは黒板にリオレウスとリオレイアの図を描き、違いを詳細に説明した。「ワイバーンレックスから進化した飛竜種は多様だ。リオレウスは火を操り、飛行能力が高い。リオレイアは毒尾と繁殖力。ティガレックスは地上での突進力、ナルガクルガは俊敏性、セルレギオスは刃鱗。進化は環境への適応だ」

 

ミゲルはアランの絵に感嘆し、ティガレックスの名に胸が締め付けられた。故郷を壊したモンスターだ。アリスが「ニャ、ティガレックス、強そうニャ」と呟く。

 

アランは突然、驚くべき仮説を口にした。「私は2年前、論文を発表した。寒冷期が長くなり、餌となる竜が全滅したため、ワイバーンレックスが絶滅したと。寒冷期の影響は、モンスターの進化に大きな役割を果たした」

 

学生たちがざわついた。ミゲルは温暖期の長さ――零が孤島で指摘した環境変化を思い出し、ノートに書き加えた。「温暖期の延長=新種飛竜の出現?」

 

授業後、ミゲルはリナと同級生のシグルド、イシュタルと寮の談話室で議論した。シグルドは18歳の狩人学専攻で、短い金髪と弓使いの体格が特徴。イシュタルは19歳の猟竜研究科専攻で、眼鏡をかけた知的な女性だ。

 

「温暖期が長くなってるって、零さんも言ってたよね?」ミゲルが切り出した。

 

リナがノートを見せ、答えた。「孤島で新種の飛竜の痕跡が見つかったけど、温暖期の影響は大きいかも。モンスターの分布が変わってる」

 

シグルドが腕を組んだ。「でも、古龍種も絡んでるかもしれない。ナバルデウスやゼノ・ジーヴァみたいな存在が、環境を変えてるんじゃない?」

 

イシュタルが眼鏡を直し、冷静に言った。「真偽不明だわ。アラン教授の寒冷期仮説も、証拠が不十分。温暖期のデータも不足してる。もっと調査が必要」

 

ミゲルはアクセルアックスを思い浮かべ、呟いた。「新種の飛竜…俺が遭遇したやつ、絶対に突き止める」

 

リナが笑顔で頷いた。「私も編纂者として、記録でサポートするよ!」

 

結局、温暖期の長さは古龍種の影響かもしれないが、結論は出なかった。四人は寮に戻り、各自の部屋で休息を取った。ミゲルはアリスとベッドに横になり、アクセルアックスを壁にかけながら呟いた。「ハンターズギルド…この知識を全部、力に変えるぞ」

 

一方、アサシン・零はドンドルマのギルドホールで、調査の総司令として報告書をまとめていた。ベイルが机の上で丸くなり、「ニャ、温暖期、怪しいニャ」と呟く。零は孤島の羽毛を手に、過去の記憶をたどった。10年前のギルドの内輪揉め、ナヴィアの失踪、ゼルレウスの隠蔽――全てが新種の飛竜と繋がっている気がした。

 

「次はどこだ、ベイル?」零が双剣を手に呟く。

 

「ニャ、もっと痕跡を探すニャ! 新種、捕まえるニャ!」ベイルが跳ねた。

 

ドンドルマの夜空の下、ミゲルと零の道は、それぞれの試練に向かって進んでいた。

 

 

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