Monster Hunter Duel Storm   作:アサシン・零

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第12話「市場と過去の影」

ドンドルマのギルドホール最上階、会議室の重厚な扉が閉まる。円形の石卓を囲むのは、ギルドマスター・アレン(竜人族、銀色の鱗が威厳を放つ)、ギルドマネージャー・アルマ(25歳、赤髪の人間族女性)、ミナガルデ支部長レン(40代、片眼に傷を持つ男性)、ロックラック支部長リーファ(30代、弓使いのしなやかな女性)。窓から差し込む朝陽が、緊張感漂う会議を照らしていた。

 

アレンが低く響く声で切り出した。「議題は三つ。アサシン・零の動向、新種の飛竜種、そして温暖期の延長と古龍種の調査だ」

 

レンが書類を手に、渋い顔で言った。「零の招集は正しかったが、10年前の内輪揉めが問題だ。ギルドナイトが仲間を殺害し、処分された事件――零が関与していたと噂された。真相は?」

 

アルマが冷静に答えた。「機密扱いですが、零は直接関与していません。事件の中心はナヴィアというヘヴィボウガン使い。彼女がギルドナイトを殺害し、失踪した。零は当時、ナヴィアの親友として調査を拒否し、引退を選んだ」

 

リーファが弓の弦を弾くように指を動かし、口を挟んだ。「ロックラックでもその噂は有名よ。零の双剣は伝説だけど、ナヴィアの失踪でギルドの信頼が揺らいだ。新種の飛竜がその時期のゼルレウスと関連してるなら、零の知識は不可欠ね」

 

アレンが頷いた。「その通りだ。零は調査総司令として、新種の飛竜を追う。だが、温暖期の延長が古龍種の活動を刺激している可能性も否定できない。ナバルデウス、ゼノ・ジーヴァの記録を再調査し、古龍種の動向を監視する方針を決める」

 

レンが書類を叩き、付け加えた。「ミゲルという見習いも気になる。あの少年、飛竜に遭遇しただけでなく、ドンドルマ大学で頭角を現してる。将来のギルドナイト候補だ」

 

アルマが微笑んだ。「ミゲルの覚悟は本物です。零が鍛えてるのも、良い兆候ね」

 

会議は新種飛竜の痕跡分析と古龍種調査の具体案に移り、ギルドの未来を左右する重い議論が続いた。

 

同じ時間帯、ドンドルマの市場は喧騒に包まれていた。露店には魚介、果物、モンスターの骨で作られた装飾品が並び、子供たちがリオレウスのぬいぐるみを抱えて走り回る。アサシン・零はベイルを連れ、市場の片隅で旧友と再会していた。チャージアックスを納刀した女性――ラーナだ。20年前、零、バルド、アーロンと共にジンオウガ希少種を討伐した仲間。彼女の黒髪は短く切り揃えられ、寡黙でどこか理想主義的な雰囲気が漂う。

 

「久しぶりだな、ラーナ。ロックラックはどうだ?」零が双剣を手に、静かに尋ねた。

 

ラーナは視線を逸らし、短く答えた。「酒がない。退屈だ」

 

零は小さく笑った。「相変わらずだな。お前らしい理想主義も健在か?」

 

 

ラーナは一瞬目を細め、チャージアックスを軽く叩いた。「理想がなきゃ、ハンターは続けられん。零、お前がギルドに戻った理由は? ナヴィアの件か?」

 

「詮索は無用だ」零は冷静に遮った。「新種の飛竜を追ってる。それだけだ」

 

ベイルが「ニャ、ラーナ、固いニャ」と呟き、ラーナは無言で市場の奥に消えた。零は彼女の背中を見送り、ナヴィアの名に一瞬だけ表情を曇らせた。

 

その日、ドンドルマ大学は安息日(休日)で、ミゲルとリナはアリスを連れて街に繰り出した。市場の活気はミゲルを圧倒した。露店には見たことのない熱帯果実、竜の鱗で作られた首飾り、ティガレックスのぬいぐるみが並ぶ。リナが目を輝かせ、ノートにスケッチを始めた。「ミゲル、これ! モンスターの素材でできた工芸品! 編纂者として記録しなきゃ!」

 

アリスが「ニャ、ぬいぐるみ、欲しいニャ!」とリオレウスのぬいぐるみを指差し、ミゲルは笑って買ってやった。「アリス、戦闘以外でそんな目、初めて見たぞ」

 

二人は市場を抜け、ドンドルマの南に広がる港へ向かった。巨大な船が停泊し、荷物を積む船員たちが叫び合う。リナが地図を見ながら言った。「ここ、ロックラック地方のタンジニア港と繋がってるんだ。交易でモンスター素材や装備が運ばれてくるんだよ」

 

ミゲルは海を見ながら、アクセルアックスを握った。「タンジニア…ラーナさんがいたところか。いつか行ってみたいな」

 

リナが笑った。「ハンターになったら、いろんな地方に行くよ! 私も編纂者としてついてくから!」

 

夜、ミゲルは寮に戻り、ノートを開いた。アルナ教授の講義と零の過去を比較したメモが並ぶ。「10年前の内輪揉め…ナヴィアの失踪…ゼルレウス…」ミゲルはアリスに呟いた。「零さんの過去、ギルドの秘密と関係あるのかな?」

 

「ニャ、ミゲル、深く考えすぎニャ。ハンターは戦って強くなるニャ!」アリスがぬいぐるみを抱えて跳ねた。

 

ドンドルマの港から見える星空の下、ミゲルと零の道は、それぞれの試練に向かって進んでいた。

 

 

 

 

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