Monster Hunter Duel Storm 作:アサシン・零
ドンドルマ大学の図書室は、静寂に包まれていた。古びた書棚にはモンスターの生態やハンターの歴史を記した本が並び、薄暗いランプが石壁を照らす。ミゲルはアリスを肩に乗せ、10年前のギルド内輪揉めが気になって仕方なかった。アサシン・零の過去、ナヴィアの失踪、ゼルレウスの謎――全てが繋がっている気がした。
図書室の奥、禁書庫の扉を見つけたミゲルは、周囲を確認し、こっそり中へ滑り込んだ。埃っぽい空気の中、禁書庫の棚に「ハンターズギルド史:機密記録」と題された本を見つけた。借り出しは禁止のため、近くの机と椅子に座り、ページをめくった。
「約10年前、ギルドナイトの内紛事件。筆頭ガンナーだったナヴィアがギルドナイト昇級試験に合格。だが、仲間であるギルドナイトを殺害し、処分された。処分内容:ハンターズギルド追放」
ミゲルは目を細め、ノートに書き留めた。「ナヴィア…追放されただけ? ハンター資格も剥奪されたのかな?」零がナヴィアの親友だったこと、ギルドを辞めた理由がこの事件と関連している可能性に、ミゲルの胸が高鳴った。「ニャ、ミゲル、怪しいニャ。ギルド、隠してるニャ」とアリスが囁き、ミゲルは頷いた。「もっと知りたいけど…これ以上は危険かも」
その日の授業は猟竜研究学で、アラン教授が教壇に立った。黒板にはリオレウスとゼルレウスの精緻なスケッチが描かれ、学生たちが息を呑む。「今日のテーマはリオレウスとゼルレウスの違いだ」とアランが始めた。
「リオレウスは雄火竜、リオレイアは雌火竜。火を操り、飛行能力が高い。対してゼルレウスは、極めて希少な飛竜だ。光輝く白い体に青い鱗を持ち、別名『輝界竜』と呼ばれる。地域によっては神として崇められるほどだ。目撃例は少なく、ギルドの記録も曖昧だ」
ミゲルは教科書を開き、ゼルレウスの記述を確認した。「希少種よりも稀。目撃例極少」とある。アランが続けた。「ゼルレウスはリオレウス希少種やリオレイア希少種とは異なる。単独行動し、知的な戦略を取る。だが、温暖期の延長で出現頻度が増えた可能性がある」
ミゲルは森丘で見た羽毛を思い出した。「羽毛はゼルレウスじゃない…じゃあ、俺が遭遇したのは?」アリスが「ニャ、新種だニャ!」と呟き、ミゲルはノートに書き加えた。
次の授業は植物学で、ゼノン教授が担当した。テーマは状態異常とその対策。「シビレ罠は電撃でモンスターを麻痺させ、落とし穴は動きを封じる。状態異常には毒、麻痺、睡眠、爆破、裂傷がある。対策は解毒薬、シビレ解除、眠気覚ましだ」
ゼノンが黒板にホロホルルの絵を描き、補足した。「ホロホルルの鱗粉は混乱を引き起こす。現在、薬はなく、苦虫を潰して食べるのが一時的な対処法だ。雪だるまや泥まみれ状態も、モンスターの環境適応によるもの。猛毒を出す希少なモンスターも存在する」
ミゲルは質問を重ねた。「猛毒の対策は? ホロホルルの混乱はどれくらい続くんですか?」ゼノンは感心した笑みを浮かべ、詳細に答えた。「猛毒は特効薬(解毒薬グレート)が必要。混乱は数分で自然回復する場合もあるが、苦虫が確実だ」
ミゲルはノートに状態異常の一覧を書き込み、アクセルアックスでの戦闘にどう活かすか考えた。「ニャ、ミゲル、頭いいニャ!」とアリスが褒めた。
同時刻、零は調査団を率いて水没林にいた。湿地帯の水面が揺れ、木々の間から奇妙な鳴き声が響く。セリアが太刀を構え、エルがノートを握る。ベイルが「ニャ、気配が怪しいニャ!」と唸った瞬間、クルペッコ亜種が姿を現した。色鮮やかな羽と、声マネでモンスターを呼び寄せる鳥竜種だ。
「討伐だ!」零が双剣を抜き、鬼人化で突進。クルペッコ亜種が火炎を吐くが、セリアが回避し、尾を斬りつける。だが、クルペッコが甲高い声で咆哮を真似た瞬間、地面が揺れ、イビルジョーが姿を現した。
零は双剣でイビルジョーの脚を狙い、ベイルが爆弾で援護。イビルジョーの咆哮が水没林を震わせ、牙が岩を砕く。セリアがクルペッコ亜種を仕留め、エルが痕跡を記録する。4時間の激戦の末、零の双剣がイビルジョーの首を貫き、巨体が倒れた。
「…終わった」零は息を整え、双剣を鞘に収めた。エルが駆け寄り、地面の羽毛を見つけた。「これ、新種の飛竜の痕跡! 水没林にも広がってる!」
セリアが太刀を拭い、呟いた。「温暖期の延長が影響してるわ。零、ギルドの隠蔽、どこまで知ってるの?」
「十分だ」零は羽毛を手に、目を細めた。「ナヴィアが知ってた真実…俺が暴く」
ドンドルマに戻ったミゲルは、寮でノートを広げた。ナヴィアの追放、ゼルレウスの希少性、温暖期の謎――全てが絡み合う。「アリス、俺、ハンターになってこの謎、全部解くよ」
「ニャ、ミゲルならできるニャ!」アリスがリオレウスのぬいぐるみを抱えた。
零はギルドホールで報告書をまとめ、ベイルに呟いた。「イビルジョーを呼ぶとは、クルペッコも侮れん。新種の飛竜、次はどこだ?」
ドンドルマの夜、ミゲルと零の道は、さらなる試練へと進んでいた。