Monster Hunter Duel Storm 作:アサシン・零
ココット村の広場は、調査団のテントと馬車で賑わっていた。調査団リーダーのセリアと学者エルのもとに、ドンドルマのハンターズギルドから返書が届いた。羊皮紙に刻まれたギルドの紋章を見たセリアの顔が強張り、エルが声を上げた。「…これは! アサシン・零の招集命令!?」
ミゲルはアクセルアックスを背負い、隣に立つ零とリナと共に広場にいた。零のオトモアイルー・ベイルが「ニャ! ギルドの奴ら、相変わらず強引ニャ!」と唸る。セリアが書簡を読み上げた。「調査の仕切り直しと、アサシン・零のドンドルマへの召喚。…さらに、ミゲルという少年ハンターにも注目している?」
ミゲルは目を丸くした。「俺!? なんで…?」
零は冷静に書簡を受け取り、読み進めた。「ギルドマスターのアレンが書いたな。竜人族の老獪な奴だ。俺の力を再び必要だとほざいてる。ミゲル、お前が新種の飛竜に遭遇したことで、ギルドの目にも留まったらしい」
エルがノートを手に、呟いた。「新種の飛竜、ゼルレウスとの関連…ギルド上層部が動くなんて、ただ事じゃない」
セリアが太刀を叩き、決断を下した。「全員、ドンドルマへ向かう。調査団の報告と、零の招集に応じる。準備しろ!」
ドンドルマへの旅は、馬車と徒歩を織り交ぜ、1ヶ月半に及んだ。森丘を抜け、砂漠を越え、火山地帯の脇を進む。ミゲルはアリス(オトモアイルー)を肩に乗せ、アクセルアックスを磨きながら、未知の都市への期待と不安に胸を膨らませた。零はベイルと静かに歩き、リナは地形やモンスターの記録をノートにまとめ続けた。旅の途中、零はミゲルに語った。「ドンドルマはハンターの中心地だ。だが、ギルドの裏には政治と秘密がある。現実的に考えろ、ミゲル。誰もが味方とは限らん」
ミゲルは頷き、アクセルアックスを握り直した。「分かりました。俺、絶対ハンターになります。どんな試練でも乗り越えて!」
ドンドルマに到着した一行は、巨大な石造りのギルドホールに圧倒された。尖塔がそびえ、壁には歴代ハンターの紋章が刻まれている。ミゲル、零、リナはギルドマスターの部屋に通された。部屋の中央に立つのは、竜人族のギルドマスター・アレン。銀色の鱗に覆われた体、鋭い目が三人を見据える。隣には、25歳の人間族の女性――ギルドマネージャーのアルマが立っていた。彼女の赤い髪と革の制服が、部屋の重厚な雰囲気に彩りを添える。
「零、久しぶりだな」アレンの声は低く、威厳に満ちていた。「新種の飛竜の件で、お前の力が必要だ」
零は目を細め、苛立ちを抑えた声で答えた。「招集の意味を話せ、アレン。隠居を引っ張り出す理由は?」
アレンは書類を手に、淡々と説明した。「明日、ファビウスが禁足地へ調査団を率いて出発する。だが、人手が足りん。精鋭は限られている。お前のような元ギルドナイトが必要だ」
アルマが頷き、補足した。「零さんの実績はギルドの歴史に刻まれています。新種の飛竜は、禁足地の異常事態と関連があるかもしれない。協力をお願いします」
ミゲルは二人の会話を聞きながら、胸が高鳴った。ギルドナイトの零が、ギルドの頂点に近い存在だったことを改めて実感する。
アレンの視線がミゲルに移った。「ミゲル、か。お前が新種の飛竜に遭遇した見習いだな。興味深い。ギルドの推薦で、ドンドルマ大学研究科の試験を受けてもらいたい」
「研究科?」ミゲルは驚いた。「俺、ハンターになりたくて…狩人科じゃないんですか?」
アレンは笑みを浮かべた。「狩人科にこだわる必要はない。研究科でもハンターになれるし、狩人科の者も学者になれる。ドンドルマでは知識と実戦が共存する。お前の覚悟、試させてもらう」
ミゲルは心が躍った。ハンターへの道が、予想外の形で開けようとしている。リナが横で囁いた。「ミゲル、チャンスよ! 私も編纂者としての正式試験を受けるつもり! 一緒に頑張ろ!」
その夜、零はギルドホールの訓練場で、ファビウスとアルマに再会した。ファビウスは40代の屈強なハンターで、ランスを背負い、零を「先輩」と呼んだ。
「零さん、ギルドがあなたを呼ぶなんて、よっぽどの事態だ」
「行くのか、ファビウス?」零は双剣を手に、冷静に尋ねた。
ファビウスは苦笑し、答えた。「未知なる脅威には勝てない――あなたが昔、言った言葉じゃないですか。禁足地の調査、俺一人じゃ手に負えない。だからあなたが必要なんです」
零は一瞬目を閉じ、呟いた。「ナヴィアも言いそうだな」
アルマが首を傾げた。「ナヴィア? あの伝説の...ヘヴィボウガン使い? 彼女、10年前に失踪したんじゃ…」
「詮索は無用だ」零は遮り、訓練場を後にした。ベイルが「ニャ、昔の話は重いニャ」と呟き、零の後を追う。
翌朝、零はファビウス、アルマと禁足地への出発準備を進めた。セリアとエルも調査団として同行する。ミゲルはアレンから新たなクエストを言い渡された。「ミゲル、試験の結果は後日だ。だが、お前の覚悟は本物だ。禁足地の調査に同行し、飛竜の痕跡を追え」
ミゲルはアクセルアックスを握り、頷いた。
「はい! ハンターとして、絶対に役に立ちます!」
零はミゲルの背中を見やり、小さく笑った。「
ミゲル、いい目だ。行くぞ」ドンドルマの空の下、新種の飛竜と禁足地の謎が、ミゲルと零を待っていた。