絶対不敗の大英雄   作:レゾナ

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14話 竜族と相棒二振り

「や、やっとついた……」

 

龍司はやっとの思いで竜の里、《聖峰ドラゴニュート》についた。

 

目の前に連なるのは先ほどまでいた山と同じ場所なのかと思えるほど神秘的な場所。

 

空気は澄んでいて思わず深呼吸して、空気を肺一杯に吸い込んでみる。

 

「うん、やっぱりいいな、ここ……」

 

と、龍司が竜の里に入る為のゲートをくぐろうとすると

 

「待たれよっ!!」

 

一匹の竜族が龍司の前に降り立った。

 

「ここは神なる竜族の里なり!いづこより、何用で参られた!」

 

どうやら、この竜族の里の門番らしい。

 

「ああ、長老である老竜王に会わせてくれ。あの方に用があるんだ」

 

「ただの人間が、我らが偉大なる老竜王様の名を軽々しく口にするな!」

 

そう簡単にはここを通してはくれないらしい。

 

何とか通してもらおうとするが、「そんな事は出来ない!」の一点張り。

 

というのも、竜族は他の種族……人間族と魔族との関わりは殆ど絶っている。

 

その理由として、人々から恐れられているというのもあるが……一番の理由はそれぞれの種族から利用されるだけ利用され続けてきたという過去がある。

 

その根深い傷が老竜王の心の中に残っており、戦いなどには介入しないという絶対の決まりを作ったのである。

 

彼らが戦いが嫌いな理由はここにあるのだ。

 

「どうしたのだ?」

 

龍司がどうしようかと悩んでいたところ、一人の青年がやってきた。

 

短髪の青色の髪で瞳は切れ長。その口元には笑みが浮かんでいる。特徴としてはその背中に一対の翼がある事だろう。その翼の色は髪の色と同じで青色に輝いている。

 

「あ、蒼刃(あおは)様!申し訳ございません、今人間が我らが里に入ろうとしておりまして……」

 

「人間が……?」

 

と、蒼刃と呼ばれた青年が龍司を見つける。

 

「…………」

 

蒼刃は龍司をじっくりと眺めた後

 

「おおっ!リュージ殿ではないか!」

 

と、仲良さげに龍司に近づきその肩を叩く。

 

「……は?」

 

「痛い、痛いって蒼刃」

 

門番は口を開けて呆然としており、龍司は文句を言っている。

 

「ああ、そうだったね。彼は例外なんだよ。キミだって知っているだろ、大英雄の事は」

 

「あ、あの世界を揺るがすような事態を仲間と共に解決に導いた人物だと……」

 

「そう。その大英雄こそが」

 

そこまで言って蒼刃は一度言葉を切ると、腕で龍司を自身に寄せ

 

「彼、リュージ・トーサカなんだよ」

 

「………………」

 

門番竜はたっぷり十秒ほど動きを止めると

 

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!??????」

 

驚きの声を上げた。ちなみにこの大声は里中に鳴り響いたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありません!申し訳ありません!!!」

 

「いいよ、別に。素性を言わなかった俺にも非はあるしな」

 

「まあ、キミは職務を全うしていただけなんだ。非難はされる事はされないよ。それで?君は何で来たんだい、リュージ」

 

蒼刃は門番竜を慰めると、本題とばかりに龍司に問いかける。

 

「ああ、老竜王に預けておいた俺の相棒を返してもらいにな」

 

「ああ、なるほどね。彼女達か。うんうん、納得だね」

 

と、うんうんと頭を縦に二度振ると

 

「じゃあ行こうか。老いぼれ爺さんもリュージに会うのを楽しみにしているだろうしね」

 

「お前……その呼び方止めてやれよ、実の父親だろうが……」

 

龍司の言うとおり、蒼刃は老竜王の実の息子。老竜王が隠居すれば蒼刃がこの竜の里を切り盛りしていく事になる。

 

「実の父親だからこそこんな呼び方が出来るからねぇ。それじゃ、行こうか」

 

そう言って翼を広げて蒼刃は飛び去っていく。

 

「あのな。俺は人間だから、空を飛ぶ事なんざ出来ないんだぞ……」

 

龍司はそんな文句を言いながらも重力魔法を発動。自身にかかる重力を無重力にして、蒼刃の後を追っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の屋敷のような和風建築の大きな家。大きさで言うと普通の家が三つ程は入る程だろう。

 

そここそが老竜王の住んでいる家である。

 

ここの竜達はなぜか、それぞれ家を持っている。普通の家のような形だ。大きさは桁違いだが。

 

そんな中でも一番大きいのが老竜王の家だ。

 

「ホント、何度来ても大きいよなこの家……」

 

「まあ、一番大きいしね。固くならないで、気軽に入りなよ」

 

そう言って普通に入っていく蒼刃。そしてそれに続くように龍司も入っていく。

 

「じいさ~ん、帰ったよ~」

 

「うむ、帰ったかバカ息子よ」

 

蒼刃を迎えたのは白髪交じりの銀髪を若者のように下ろしているお爺さんだった。

 

しかし、爺さんとは思えないほどのオーラを放っている。

 

彼こそが竜族を統べる老竜王である。

 

ちなみに一部の竜族は一族の秘伝の術により人間のような姿になる事が出来る。

 

しかし竜族の名残である翼や歯などは変えられないが、それでも人間に限りなく近づける。

 

蒼刃も老竜王もこの術を用いて人間のような姿になっているのである。

 

「それで……何用でここに来た、というのは野暮じゃな、リュージよ。あの剣達を返してもらいにきたのだろう?」

 

「ああ、察しが早くて助かる。早速、返してもらえないか」

 

「うむ、ついてまいれ」

 

そう言って老竜王は先頭を歩いていく。龍司と蒼刃もそんな老竜王についていく。

 

龍司達が到着したのは、離れの倉庫だ。

 

「あの、老竜王さん……?」

 

「何じゃ?」

 

「ここ、『廃棄物倉庫』って書いてあるんだけど……」

 

そう、ドアの隣に大きく『廃棄物倉庫』と書かれているのである。

 

「そうじゃが?」

 

「いや、あいつら廃棄物じゃないからな!?」

 

龍司がそうツッコむが老竜王は

 

「いや、だってあいつらうるさいんじゃもん。「リュージに会わせろ!」っての。じゃから、封印指定物の倉庫に入れておいたんじゃ」

 

「え?ここって封印指定された物の倉庫なの?」

 

てっきり、そのままの意味であると思っていた為龍司はポカンとする。

 

封印指定物とは、あまりにも強大な力故にその存在を封印すると定められた物の総称である。

 

竜族はそういった物の回収もしているのだ。

 

「ま、リュージも帰ってきたし。もう出してあげてもいいじゃろ」

 

そう言って老竜王は鍵を取り出し、封印指定物倉庫のドアを開ける。

 

と、開けた瞬間

 

「リュージーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

「リュージ……!」

 

「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

何かが龍司に激突した。

 

(い、いったい何だ……?)

 

龍司はお腹の痛みに耐えながら何とか目を開き、当たってきた物を見る。

 

龍司の腰にしがみついていたのは二人の少女だった。

 

二人とも、身長は龍司の胸板の部分にまでしかない。

 

一人は金髪を短いツインテール状にしており、その瞳は蒼い。どこか幼く感じる顔をしている少女だ。

 

もう一人は綺麗な黒髪をストレートで腰の部分にまで伸ばしており、瞳の色は紫。こちらも幼く感じる顔つきをしている。

 

「リュージ……バカ、バカバカバカ!何で置いていくんだよ!?」

 

「……ひどいよ、リュージ」

 

「ああ、済まんな。シロ、クロ」

 

金髪の少女の名前は聖王剣(せいおうけん)《ホワイト・リコリス》。

 

黒髪の少女の名前は魔王剣(まおうけん)《ブラック・リコリス》。

 

愛称はホワイト・リコリスの方がシロ。ブラック・リコリスの方がクロだ。

 

この可憐な少女達の正体こそ……龍司の相棒である二振りの剣。それらが擬人化した物なのである。

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