絶対不敗の大英雄   作:レゾナ

16 / 18
15話 剣二人と今後、そして決戦前

「済まないな、何も言わずに出て行ってしまって……」

 

「そうだよそうだよ!せめて説明だけでもしていってよ!」

 

「そうだそうだ。説明だけでもしてほしかった」

 

「ホント、ごめんな」

 

あの後、シロとクロは老竜王の家にて龍司に抱きついていた。

 

龍司も何も言わずに出て行った手前、何も言えない。

 

「ふぉっふぉっふぉ。愛されとるのぉ、リュージよ」

 

「ホント、多分この世界の全員に感謝されてるんじゃないかな?」

 

「さぁな。俺も全部回った訳じゃないし……」

 

「それで?自身の世界に帰った筈のお主が何故、またこちらに来ているのじゃ?」

 

「ああ、そうそう。俺もそれは気になってたんだよ。どういう事?」

 

「説明、しないといけないよな。わかった。シロ、クロ。離れてくれ」

 

「嫌……離さないもん……」

 

「離したくない……」

 

どうやらシロとクロは未だに離れるのは嫌らしい。

 

恐らくは本当にこの世界にいるのかが心配なのだろう。だからこそ、確認の為にこうやってずっと抱きつき続けているのだ。

 

龍司はやれやれといった表情を浮かべながら、老竜王と蒼刃に事情を説明した。

 

そして、全ての説明が終わる。

 

「…………と、まあこんな感じなんだが……」

 

龍司は恐る恐るといった感じで老竜王達の顔を見る。

 

「「…………………」」

 

無言。笑顔なのだが……無言だ。しかもその瞳は全然笑っていない。

 

龍司自身もまさかここまで心配してくれるとは思っていなかったので思わず硬直してしまう。

 

ダキッ

 

「……?シロ、クロ?」

 

と、シロとクロが抱きつく力をさらに強めた。

 

シロの方を見てみると泣きそうな顔をしている。

 

「何で……なんでリュージがそんな目にばっか合わないといけないの!?リュージは何も悪くないのに!?」

 

「……リュージ、大丈夫。リュージは私達を守ってくれた、今度は私達がリュージを守る番」

 

シロは泣き腫らした顔を右腕に押し付ける。クロは珍しくも饒舌だ。クロは寡黙な為、必要な事しか喋らない。

 

その為、ここまで長い言葉を喋る事など滅多にないのだ。

 

「ありがとうな、シロクロ。心配してくれて。大丈夫だ、俺はまったく気にしてないしな」

 

「それでも心配なもんは心配なんだよ……また、リュージは一人になっちゃうしさ……」

 

「大丈夫だ、これからはお前らがいるだろ?」

 

「……うん」

 

「……リュージ」

 

シロとクロはさらに強く抱きつく。

 

「いやぁ、ホント……リュージって罪作りな男だよねぇ?」

 

「何を言ってんだ蒼刃?」

 

「いや、何も。ただ、リュージは鈍感なんだなってだけだよ」

 

「何だ、そりゃ」

 

どうやら本当に蒼刃の言っている事がわからないらしい。

 

「それで?これからどうするのじゃ、リュージよ」

 

「うぅん……」

 

実の所、今の龍司にいくべき目的地などない。

 

風の赴くままに旅をしよう、などと考えていた。むろん、仲間達の姿を一目見た後にだ。

 

そして、仲間と聞いて思い出した事があった。イリアの事だ。

 

今、イリアは龍司と共に召喚されたクラスメイト達と共に過激派魔族達の拠点の一つに強襲を掛けている筈なのだ。

 

(大丈夫かな?まあ、将軍達がいるから万一にも死ぬ、なんて事はないとは思うけど……)

 

しかし、相手は過激派魔族。何をやってくるのかわからない。

 

以前にも、そのような経験がある為に心配で仕方ないのだ。

 

「俺は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、こちらはとある洞窟。

 

その洞窟の入り口にイリア他、将軍達。そして召喚された龍司のクラスメイト達の姿があった。

 

「ここが奴らの拠点なんだな」

 

「はい、ここに私達から離反した魔族の一部が入っていくのを付近の住民が目撃しております」

 

「報告ご苦労だった」

 

「はっ」

 

イリアに報告をしたイリアの配下はそそくさと自身が配置される場所に戻っていく。

 

その姿を見届けてから、イリアは背後に佇んでいる龍司のクラスメイト達に向き直る。

 

「皆、まずは私からの応援要請を受け入れてくれてありがとう」

 

「いいですって!そもそも、俺達はこの為に呼ばれたんですし!」

 

「そうですよ!」

 

「そうそう!」

 

「気にする事ないですって!」

 

そう言って龍司のクラスメイト達は気にするなという言葉をイリアにかける。

 

「ありがとう……」

 

「そうですよ、むしろ張り切っちゃいますからっ」

 

香織が一歩前に出てそう宣言する。その言葉に同調するように他の皆もうんうんと頷く。

 

「ありがとうね……っ」

 

と、イリアは香織を見た瞬間息を呑む。

 

なぜならば、龍司の思い出話に出てきた幼馴染に香織の容姿が酷似していたからだ。

 

「?どうか、したんですか?」

 

「い、いや、何でも……そ、それでは手筈通りに頼む」

 

「はいっ」

 

そう言って香織達も持ち場につく。

 

と、イリアに近づく人物がいた。スレイブだ。

 

「魔王様、もしかして彼女が……」

 

「ああ、多分だけど……まあ、それを今は気にするな。この戦いが終わった後で聞けばいいんだ」

 

「魔王様……わかりました」

 

「さて、それじゃ……行くぞ……!」

 

今、過激派魔族対人間族・魔族連合軍の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。




次回か次々回辺りで龍司君とクラスメイトが合流する……予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。