絶対不敗の大英雄   作:レゾナ

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8話 魔国・カオス

龍司とイリアは魔国・カオスへと進路を向けていた。

 

今、龍司達がいるのはとある平原である。

 

「ふぅ……♪」

 

「いや、何笑顔でふぅ……なんか言ってんだよ」

 

「え?だって爽快じゃない?」

 

「襲ってきた魔物をありったけの魔力を使って一気に殲滅すればそりゃ爽快だろうよ」

 

そう、魔物を一掃した後の休憩だ。

 

そしてその一掃方法も龍司が言った通りである。

 

「だって、ちまちまと出てきてさ。出てくんなら一斉に出てきないさよっ!って感じになっちゃうのよ」

 

「だからってありったけの魔力で一掃はないと思うぞ?しかも魔王限定の消滅魔法に使うとか」

 

消滅魔法というのは龍司の言った通り、魔王にのみ許されたいわばユニーク魔法。

 

その名の通り、物体を消し去る事にのみ使用される魔法だ。

 

そんな魔王の中でもこの魔法にイリアは特別適正があるらしい。

 

今までの魔王はこの消滅魔法を直線にしか飛ばせていなかった。

 

しかし、イリアは紐状にして狙った物体だけを消滅させたり、消滅させる対象を決めれたりと多種多様だ。

 

ゆえに魔王としてこの世界に召喚されたのだろうが。

 

「それよりも……龍司は魔法、使わないよね?」

 

「いや、だから今の状態じゃ敵に攻撃出来る魔法なんか使えないんだよ。攻撃力も低いしな」

 

「いや、前の職業だったら別に問題ないでしょ?だって、それで無双とか出来てたんだし」

 

「まあ、確かにそうだけどな……でも、それでもMP消費が半端じゃないからあまり使いたくないんだよ」

 

今の龍司の職業は付与術師(エンチャンター)だ。攻撃力は低い。

 

しかし、魔法科学者(サイエンティスト)になったとしても、MP消費が半端な量ではないため、滅多に魔法は使わない。

 

それこそ、イリアが使ったような一掃をするには龍司のMP全てを使った魔法でなければ出来ないのだ。

 

「ふぅん……ま、いいや。さて!それじゃ休憩もこれくらいにして、そろそろ出発しようか!」

 

「そうだな」

 

そう言って二人は座っていた手頃な石から腰をあげる。

 

「それじゃ、魔国カオスまで一直線だー!」

 

「ああ」

 

そうして、二人は歩き出す。魔王の収める二大大国のもう一つの国。魔国・カオスへと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ようやっと着いたな」

 

「……うん、やっと着いた」

 

魔国カオスへと到着した龍司とイリア。

 

しかし、そんな二人の顔には疲労の色しか見えなかった。

 

それもそうだろう。魔国カオスへと向かう道中、何度も魔物と遭遇したのだ。

 

もう運命が二人を魔国カオスへと行くのを阻むかのように何度も。

 

何度も何度も……二十回を越えた辺りから龍司とイリアは数えるのを止めている。

 

そしてちょうど五十回目……とうとう龍司はキレ、職業を魔法科学者(サイエンティスト)に変更。

 

大規模殲滅魔法を使用し、視界に入る魔物達を片っ端から雷で撃ち貫いていった。

 

大規模殲滅魔法に関しては後々にも解説があると思うのでここではあまり言及はしないでおく。

 

「とりあえず、城に向かおうか……」

 

「そうだな……」

 

そして城の城下町を歩いていく二人。

 

「おや、魔王様じゃないか。さっき出て行ったみたいだったけどすぐに帰ってきたのかい?」

 

「おおっ!おばちゃん、さっきぶり!」

 

と、元気よく挨拶をするイリア。

 

「はっはっは。魔王様は相変わらず元気だねぇ……ん?君は?」

 

「あ、どうも……」

 

龍司は少し引いてから挨拶をする。

 

「おやおやまあまあ!魔王様が男を連れてきてるよ!しかもこの子、あの大英雄様じゃないか!」

 

「お、おばちゃん声が大きいって!」

 

いや、お前も十分声が大きいと思うが……と心の中でツッコミを入れる龍司。

 

「まさか、魔王様が大英雄様にご執心だっていう噂……本当だったのかい?」

 

「えっ!?お、おばちゃん、その噂どこから流れてきたの!?」

 

「どこって……魔将軍様からだよ?」

 

「あのちんちくりんがぁ~~~~~~!!!!!」

 

そう叫びながら城へと一直線に突っ走っていくイリア。そしてその場に残された龍司。

 

─────これは……どう捉えればいいのだろうか?

 

このままここで待っているか。それともイリアを追いかけて城へと向かうか……。

 

その場で龍司は思案する。

 

「大英雄様」

 

と、思案していたら先ほどのおばさんが龍司に話しかけてくる。

 

「何ですか?」

 

「魔王様の事……笑顔にしてくださってありがとうね」

 

「…………?」

 

龍司には訳がわからなかった。なぜなら龍司と再会した当初からイリアは笑顔を振りまいていたからである。

 

「魔王様……大英雄様がいなくなってからずっと泣き続けていたみたいでね……しばらくしてから城下町の方に来られたんだけど、その時に目元が腫れてたんだよ」

 

そこまで泣いてくれたのか……と、龍司は思う。

 

そして、それもそうかと龍司は納得する。

 

元々、イリアの性格は引っ込み思案。前に出る事はあまりしない少女なのである。

 

そして、彼女がここまでになったのは龍司のおかげ。

 

自身を変えてくれた本人がいなくなってしまったのだから、不安に駈られたのだろう。

 

「大丈夫ですよ。あいつはもう大丈夫です。俺なんかいなくてもやっていけますよ」

 

「そういう意味で言った訳じゃないんだけどね……」

 

「……?」

 

では、どういう意味なのだろうか?と龍司は首を傾げる。

 

この男、相当な鈍感だ。

 

「まあ、追ってあげるといいんじゃないかい?」

 

「そうですね。それじゃ行ってきます」

 

そう言ってその場を後にする龍司。

 

その道中でも大英雄様大英雄様と讃えられ、少し照れた顔をしながら城へと向かう龍司。

 

そして城に到着したのだが

 

「待てぇぇぇぇぇ、スレイブゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

「待てと言われて待つバカはいないと思うよっ!!特にそんな形相で追ってくればね!!」

 

青色の髪を肩の部分まで伸ばしているイケメンを追いかけるイリア。

 

そしてイリアの手には魔力が収束している。

 

おそらく、消滅魔法を撃とうとしているのだろう。

 

しかし、そんな緊迫した状況の中にあっても城の兵は何処吹く風といった感じだ。

 

日常茶飯事なのだろう。

 

イリアが追いかけているのはスレイブ・アモン。魔王に使える将軍の一人で魔将軍の称号を持っている。二つ名は解除のスレイブ。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

そう叫びながら消滅魔法を放つイリア。

 

「ふんっ!そんなのは、すぐに解除してあげるよ!」

 

と、スレイブは立ち止まり消滅魔法を見つめる。

 

すると、消滅魔法は一瞬で消え去った。

 

「ちぃっ!相変わらずその解除魔法は厄介だな!」

 

そう、スレイブの持つユニーク魔法……解除魔法。

 

その効果は名前の通りで魔法を問答無用で解除する魔法である。

 

しかし、それには色々と条件がある。

 

一つ目:まず、必ず一度はその魔法を見ておく事

 

二つ目:その魔法に直に触れてその構造、魔法に込められた思想などを読み解く事

 

三つ目:それらを踏まえた上で対象魔法を五秒間見つめ続ける事

 

と、このような条件があって初めて解除魔法は発動される。

 

まあ、消滅魔法に関しては一度喰らったらしく右腕は無くなってしまったらしい。

 

その代わり、今の彼の右腕は義手だ。

 

「おっ!リュージ君じゃないか!」

 

「りゅ、龍司!?来ていたのか!?」

 

そんなこんなで、龍司は魔国カオスの城────ハーオス城へと入城したのだった。

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