練矢side
ティアマットを捕まえるため、リアス達と別行動をした俺は、山の中を進んでいた。
「はぁー……俺って使い魔を捕まえに来たんだよなぁ?」
思わず愚痴が漏れる。
「たくっ……こうなったら、絶対に使い魔にしてやる」
そう決意した時だった。
『おいっ! そこの者、聞こえておるか?』
突然、頭の中へ直接響くような声が聞こえてきた。
俺は周囲を見回す。
[これは……テレパシーの類か。誰から話しかけられているんだ? ]
そう考えていると、再び声が響く。
『お主、聞こえておるだろうっ! 上じゃ、上!』
「上?」
言われた通り、俺は上を見上げる。
そこにいたのは。
蒼穹のような鱗に覆われた巨大なドラゴンだった。
[コイツがティアマットか……それにしても]
その姿を見て、俺は思わず口に出してしまう。
「美しいな」
その言葉を聞いたドラゴン……ティアマットは、嬉しそうに笑った。
『ほほぉっ! 妾が美しいか、嬉しいことを言ってくれる!』
途中からテレパシーではなく、肉声へ変わり、ティアマットは俺へ話しかけてくる。
「ところでお主、何故このような所におるのだ?」
そう聞かれた俺は、隠す理由もないため正直に答える。
「使い魔を探しに来たんだがな」
俺はため息を吐く。
「知り合いが、俺ならお前を捕まえられるとか言いやがってよ」
そして続ける。
「しかも周りの奴らも同調して、行ってこいって言ってきた」
少し間を置く。
「だから仕返しも兼ねて、お前を使い魔にしに来たんだよ」
俺の言葉を聞いて、ティアマットは黙っている。
俺はさらに続けた。
「まぁ、アイツらを懲らしめた後に、お前が使い魔を辞めたいって言うなら契約を破棄することも出来る」
「無理に繋ぎ止めるつもりはないからな」
そう言い終える前に。
巨大な足が俺へ向かって振り下ろされた。
俺は横へ飛び、攻撃を避ける。
そして、ティアマットを見る。
「同じ、巫山戯たことをぬかしよるな」
ティアマットの声が響く。
「この私を使い魔にする?」
その目には、龍王としての誇りが宿っていた。
「よかろう」
ティアマットは言い放つ。
「ならば、お主の力を証明してみよっ!」
「はぁーっ……」
俺はため息を吐く。
「結局こうなるのかよ」
仕方なく、俺はキバットを呼ぶ。
「キバット!」
呼ばれたキバットが現れる。
俺はキバットへ言う。
「今回の戦いは殺しじゃない」
「手加減を忘れるな」
するとキバットは俺の左手へ飛びつく。
『ガブリッ!』
その瞬間。
俺の身体にステンドグラスのような模様が浮かび上がる。
腰には鎖が巻き付き、それはベルトへと変化していく。
俺はキバットを逆さまにしてベルトへ装着する。
すると俺の身体は、ステンドグラスのように大きく変化し。
次の瞬間。
その姿が弾け飛ぶ。
そこに現れたのは、ロードキバの姿だった。
その姿を見たティアマットは、驚いたように目を見開く。
「お主……今代のキバの継承者かっ!」
俺はティアマットを見ながら答える。
「あぁ」
そして名乗る。
「俺がキバの継承者、白鉄練矢だ」
するとティアマットは、楽しそうに笑い始めた。
「ハァーハッハッハッハッハッハッハッ!」
「そうか、そうか!」
巨大な身体を揺らしながら続ける。
「まさかこの目でキバの鎧を見られるとはな」
そして、さらに笑みを深めた。
「面白い」
「その力、この私に証明してみろっ!」
その言葉と同時に、ティアマットは俺へ向かって突進してくる。
俺はそれを見て、腰から緑色のフエッスルを取り出した。
そしてキバットに咥えさせ、顎を一度押す。
『バッシャー、マグナムッ!』
キバットの声が響く。
すると、どこからともなく光の玉が飛んでくる。
俺はそれを掴む。
次の瞬間。
緑色の彫像が形を変え、マグナムへと変化した。
俺はそれを構える。
そして、迫ってくるティアマットへ向けて撃ち放った。
「ぐぅっ!」
直撃を受けたティアマットは、一歩後退する。
それを見たキバットが呟く。
「ふむ、やはりドラゴンの鱗は頑丈だな」
そして俺へ言う。
「練矢、一気に決めろっ!」
だが俺は首を横に振る。
「いや、殺しちゃダメだって」
するとキバットは平然と答える。
「何、こやつなら耐えられるだろう」
「……」
俺は少し呆れながら、キバットバッシャーマグナムを噛ませる。
『バッシャー、バイトッ!』
キバットの声が響いた瞬間。
周囲が暗闇に包まれる。
そして空には月が現れ、その月は赤く染まっていく。
同時に、俺の周囲が水へと変化した。
ティアマットは、水になった地面へ沈み込み、身動きが取れなくなる。
「お、お主……何をやろうとしておる⁉︎」
ティアマットが問いかける。
俺はバッシャーマグナムへ視線を向けながら答えた。
「何、少しの間気絶していてもらうだけだ」
そして。
バッシャーマグナムの前へ集まった水の塊を、ティアマットへ向けて撃ち放つ。
ティアマットは防御魔法を展開する。
しかし。
その防御は水の弾丸を防ぎきれなかった。
「ぐっ……!」
ティアマットはその場へ倒れ込む。
それを確認した俺は、声を掛ける。
「これで、認めるよなぁ?」
しばらく沈黙した後。
ティアマットはゆっくりと顔を上げる。
「よかろう」
「お主を主人と認めよう」
その瞬間。
ティアマットの前に魔法陣が現れる。
次第に光が広がり、土煙が舞い上がる。
俺は煙の向こうを見る。
そして。
土煙が晴れると、そこには青く長い髪を持つ、グラマラスな女性が立っていた。
俺は少し驚きながら尋ねる。
「お前、ティアマットか?」
すると女性は笑顔で答える。
「えぇ」
「貴方の使い魔になるティアマットよ」
そして、続ける。
「これからはティアって呼んでねっ!」
俺は少し首を傾げる。
「何でティアなんだ?」
するとティアは笑いながら答える。
「それは、親しみを持ってもらいたいからよ」
「……」
少し考えた後、俺は頷く。
「わかった」
そして手を差し出す。
「これからよろしくな、ティア」
ティアはその手を握り返した。
「えぇ」
「これからよろしくね、主人様っ!」
こうして俺は、龍王ティアマットを使い魔にすることに成功した。
そして俺達は、リアス達の元へ戻ることにした。
練矢side out
一誠side
練矢先輩が龍王の住む山へ入って行った後。
俺達は別の場所へ来ていた。
その理由は、俺がウンディーネを使い魔にしたいと言ったからだ。
しかし。
実際にその場所へ来てみると、俺の想像とは大きく違っていた。
そこにいたのは──。
泉の近くに立つ、筋肉ムキムキな奴だった。
俺は困惑しながらザトゥージへ尋ねる。
「な、なぁザトゥージ」
俺は泉にいる存在を指差す。
「あの泉にいるのってぇ……」
するとザトゥージは、何の疑いもなく答えた。
「あぁ、彼女がウンディーネだっ!」
その言葉を聞いた瞬間。
俺は思わず叫んでいた。
「いやっ!」
「あれの何処がウンディーネなんだよっ!」
目の前の存在を見る。
「何処からどう見ても筋肉ダルマだろうがっ!」
するとザトゥージは説明を始めた。
「近頃は縄張り争いのために、身体を鍛える傾向にあってな」
「戦闘ももっぱら肉弾戦だしよ」
さらに部長も説明してくれる。
「それに、千年ほど前に二天龍の戦いがあって、さらにその傾向が強くなったのよ」
その話を聞いた俺は、思わず叫ぶ。
「あんまりだぁー⁉︎」
そして、その場に膝と手をつく。
そんな俺へザトゥージが声を掛ける。
「そんなお前に朗報だ」
「この先に行くと、エッチなモンスターがいるぞ」
その言葉を聞いた瞬間。
俺は勢いよく立ち上がった。
「部長っ!」
「俺っ! この先で探して来ますっ!」
すると部長は慌てて止めようとする。
「待ちなさいっ!」
「そんな先に行かれると追いつかないわっ!」
だが、俺はそれを聞かずに奥へ進んでいく。
そして辿り着いた場所は──。
まるで楽園かと思うほどの絶景だった。
「おおっ……」
思わず見惚れる。
そして、その中へ飛び込もうとした瞬間。
「貴方は、何をしようとしているのっ!」
部長の声が響いた。
次の瞬間。
俺は平手打ちを受ける。
「ぶ、部長……いきなり何するんですか」
俺が言うと、部長は呆れた顔で答える。
「貴方が幻惑魔法にかかって、トラップに引っ掛かりそうになったから私が正気に戻したんでしょ」
「……え?」
俺は周囲をよく見る。
すると、そこには。
口の付いた草が、辺り一面に存在していた。
「ギャアァァァァ────ッ‼︎」
俺の叫び声が森に響き渡る。
そして、部長以外のメンバーも合流し、俺は何とかその場から逃げることができた。
その後。
俺達は改めて使い魔探しを続ける。
すると、遠くから凄まじい音が聞こえてきた。
俺達はその音を聞きながら、同じことを考える。
[[[[[[あぁ〜、今頃練矢〈君、さん、先輩〉が戦っているんだろうなぁ〜]]]]]]
そんなことを思いながら進んでいると、ザトゥージが次の候補を紹介してきた。
「
ザトゥージの説明を聞く。
「蒼い雷撃を操ることのできるドラゴンが、この森にいるのか……」
俺が尋ねると、ザトゥージは頷く。
「あぁ、しかも子供だ」
「成長すると相当強力なドラゴンになるが、今ならゲット出来るかもしれない」
それを聞いた俺は悩む。
「ドラゴンかぁ〜」
「でも可愛い女の子系も捨てがたいんだよなぁ〜……」
そんなことを考えていた時だった。
「ん?」
珍しいドラゴンということで、自分の欲望との戦いをしていた俺の視界に、ふと青色の何かが映る。
俺はそちらへ視線を向けた。
「ドラゴンって、もしかしてアレなんじゃないか?」
俺が指を向ける。
するとザトゥージが驚いた声を上げた。
「本当だ⁉︎」
「珍しい、こんな早く見つかるとは!」
噂していたドラゴンは、思ったよりも簡単に見つかった。
しかし。
その直後。
後ろからアーシアの悲鳴が聞こえた。
「キャッ!」
俺は何事かと思い、振り返る。
するとそこには。
アーシアが、粘液状の何かに襲われている姿があった。
俺はアーシアへ向かっている粘液状の何かを見て、すぐに状況を把握する。
「アーシア!」
すると部長が前へ出る。
「動かないでね」
部長は手を構える。
「すぐに消滅させるから」
その時だった。
ザトゥージが慌てて説明する。
「待て待て!」
「コイツは服の繊維を好んで食べるスライムだ」
「スライム?」
俺はその言葉を聞いて、部長の前へ出る。
部長は驚いた顔をする。
「ちょっとイッセー、危ないじゃない」
そして続ける。
「それに前にいては消せないわ」
だが俺は首を横に振る。
「いくら部長でも、コイツは殺させません!」
そしてスライムを見る。
「コイツは俺の使い魔にします!」
その言葉を聞いた瞬間。
スライムは動きを変えた。
アーシアだけではない。
部長や朱乃さん、子猫ちゃんにも向かって飛び掛かっていく。
「なっ!」
そして。
スライムは女性陣の服を溶かし始めた。
俺は拳を握る。
[絶対に使い魔にしてやる]
そう思った瞬間。
突然。
蒼い雷撃が走った。
その一撃を受けたスライムは、一瞬で消滅する。
俺はその光景を見て、膝から崩れ落ちた。
「うわぁ────っ!」
「スラ太郎ぉ────っ!」
そんな俺へ、子猫ちゃんが冷静に言う。
「……変態です」
「……」
俺の心はさらに沈んだ。
だが、そこでふと疑問に思う。
「……あれ?」
「何でアーシアだけ無事なんだ?」
俺が尋ねると、ザトゥージが答える。
「蒼雷龍は、狙った相手に雷撃を当てることが出来るんだよ」
その説明を聞いて、俺はアーシアを見る。
すると。
彼女の肩には、小さな蒼いドラゴンが乗っていた。
アーシアは、その子を優しく撫でながら言う。
「決めました」
そして笑顔になる。
「この子を使い魔にします」
「え?」
俺はその言葉を聞いて、先ほど消滅したスライムを思い出す。
「いや、待て!」
俺が近づこうとした瞬間。
「アババババババッ!」
蒼雷龍から放たれた雷撃を受ける。
俺はそのまま地面へ倒れ込んだ。
一誠side out
練矢side
ティアマットを連れて、リアス達を探していた俺は、遠くから雷撃の音を聞いた。
「……何だ?」
俺は音のする方向へ向かう。
すると、ちょうど全員が集まっている場所へ到着した。
声を掛けようとした、その時。
「アババババババッ!」
兵藤が雷撃を受け、地面へ倒れ込む。
俺はその姿を見て、呆れながら声を掛ける。
「何やっているんだ、お前は?」
すると兵藤は顔を上げる。
「あっ!」
「先輩、戻ってたんですね!」
そして俺の後ろを見る。
「って、誰ですか⁉︎ その人は!」
俺は後ろにいるティアマットを見る。
「コイツがティアマットだよ」
そして続ける。
「てか、お前らが捕まえてこいって言ったんだろうが」
それを聞いたリアス達は驚いた表情になる。
「まさか、本当に捕まえてくるなんて」
「これほどとは思いませんでした」
「さすがは、あの者たちを眷属にしている人だ」
「凄いです」
それぞれが感想を口にする。
するとティアマットも楽しそうに笑う。
「この者といれば、面白くなりそうよの」
俺はため息を吐く。
「それで兵藤」
俺は兵藤を見る。
「何か捕まえたのか?」
すると兵藤は、なぜか俺へ近づいてきたと思ったら、そのまま後ろへ下がっていく。
「……」
理由を聞くと。
「自業自得だ」
俺は呆れる。
「もうちょっとマトモなの選べよ」
その言葉を聞いた兵藤は、再び膝から崩れ落ちた。
その後、俺は周囲を見る。
すると、リアス達の服がかなりボロボロになっていることに気付いた。
「あぁ……」
俺は少し考える。
「アーシアと俺の契約が終わったら、服を何着かやろうか?」
するとリアスは首を横に振る。
「いいえ、大丈夫よ」
そして朱乃を見る。
「朱乃が直してくれるから」
「なるほどな」
俺は納得する。
「分かった」
そして俺はティアマットを見る。
「それじゃあ、ちゃっちゃと契約するか」
こうして俺はティアマットとの契約を済ませる。
続けてアーシアも蒼雷龍との契約を終える。
そして俺達は、無事に人間界へと戻ることになった。