白銀の鎧とハイスクールd×d   作:Ks5118

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 第一話は何とか掛けましたが、次の回はかなり後になりそうです。暫くは出ないと思いますが、どうかお楽しみに


第一話 ウェイクアップ! 白鉄の学園生活

 NO side

 

 夜の街路は静まり返り、路地裏には月明かりだけが淡く影を落としていた。

 

 その暗闇を、異形の者が必死に駆け抜けていた。足音は石畳に跳ね返り、荒い息が夜に混ざる。

 

「ハァ……ハァ……な、なんで……なんで俺が……追われなきゃならないんだよ……!」

 

 震える声に、焦燥と怒りが混じる。自分が狩る側だと思っていたはずの者が、今や逃げる立場にある。

 

 視界の端に、古びた廃屋が見えた。

 

「ここしか……ない!」

 

 闇に滑り込む異形。だが、古い壁が行く手を阻む。身動きが取れず、心臓が跳ね上がる。

 

 その時——背後から、金属音のように規則正しい足音が響く。

 

『カシャン、カシャン、カシャン……』

 

 異形は恐怖で全身が震え、振り返るが——そこには誰もいない。

 

 膝をつき、息を整える。安堵のため息が漏れる。

 

「ふぅ……何とか振り切った……か……」

 

 声にはまだ戦慄が残っていた。

 

 しかし、その安堵は長くは続かない。頭上から、冷たく低い声が降ってきた。

 

「ほう……この程度で逃げ切れたと思ったか? 浅はかだな」

 

 異形の体が硬直する。恐怖と驚愕が入り混じる。

 

「え……え……な、な、なんだ……誰だ……?」

 

 喉が渇き、言葉も震える。壁を押して逃げようとするが、手は空を切る。

 

 上を見ると、そこには銀と青の鎧を纏った人物が逆さまにぶら下がり、冷たい瞳で異形を見下ろしていた。

 

 額には一つ、胸には三つの宝石。腰には蝙蝠のような何かが巻き付いている。

 

「で、で、で……出たぁ──────っ!」

 

 恐怖で声が裏返る。

 

 異形が外に逃げようとするが、鎧の男は腰の笛を取り、蝙蝠もどきに噛ませる。

 

「ウェイクアップ1」

 

 蝙蝠もどきの声と共に、月は血のように赤く染まる。

 

 鎧の男は逆さまのまま飛び蹴りを放った。

 

「ぎゃあああああああっ!」

 

 異形の背中に蝙蝠模様が浮かび、爆散する。

 

「ち、ちくしょ──っ!」

 

 怒りと恐怖が入り混じった叫びは、夜の闇に吸い込まれる。

 

 鎧の男は淡々と現場を見下ろし、低く呟く。

 

「……とりあえず、終わったな。キバット、面倒な奴らが来る前に帰るぞ」

 

 腰の笛を取り、蝙蝠もどきに噛ませる。

 

「ゲートアップ」

 

 目の前に白い門が開き、鎧の男は闇に消える。

 

 しばらくして、赤と黒の髪を持つ翼の少女二人が現れる。

 

 赤髪の少女は眉をひそめ、怒りと苛立ちを滲ませた声で言った。

 

「また……やられたわね……!」

 

 黒髪の少女は淡々と言葉を返すが、目は鋭く光る。

 

「えぇ……これで十六回目ですわ……」

 

 赤髪の少女は拳を握り締め、決意を込めて呟く。

 

「もう、このまま好き勝手させるわけにはいかない……!」

 

 二人は翼を広げ、夜空へと飛び立つ。

 

 風に舞う髪、衣装、羽——すべてに力と覚悟が宿る。

 

 赤髪の少女は低く呟いた。

 

「黒、次は絶対に決めるわ……!」

 

 黒髪の少女も静かに頷く。

 

「了解ですわ……」

 

 月明かりの下、二人の背中には、容赦なく、しかし美しく光る怒りと決意が宿っていた——。

 

 NO side out

 

 練矢side

 

 朝日が部屋に差し込み、淡い光が机やベッドの上を照らす。

 

 昨日の夜のことを思い返しながら、俺はベッドの上で伸びをする。

 

 体のあちこちが心地よく痛み、久しぶりに感じる平和な朝に、少しだけ安堵の息をつく。

 

「はぁ……今日も一日か。昨日は色々あったけど、まあ……何とか無事に終わったか」

 

 小さく独り言を呟く。頭の中には異形の姿や、あの鎧の男、赤髪と黒髪の少女たちの記憶がちらつく。

 

 少し笑いながら、俺はベッドから体を起こした。

 

 キッチンに向かうと、金髪の少女が元気よく飛び込んできた。

 

「おはようございます、マスター! 今日の朝食は何にするんですか? 俺、朝からワクワクしてたんですよ!」

 

 白いブラトップに青いショートジーンズ——その服装で満面の笑みを向けられると、思わず俺も顔がほころぶ。

 

「今日は無難に……目玉焼きとソーセージ、それに焼きたてのパンでどうかな」

 

 そう答えると、少女の瞳が一気に輝きを増した。

 

「えぇー! それなら私、大盛りでお願いしてもいいですか? あぁ、もう楽しみすぎる!」

 

 彼女の全身から期待が溢れ出していて、俺も思わず笑いをこらえるのが大変だ。

 

「言われなくても準備してる。ちゃんと三人前用意するから、安心しろ」

 

 俺は微笑みながら、朝食の準備に取りかかる。

 

 焼きたてのパンの香りが部屋に広がると、少女は鼻をクンクンさせながら嬉しそうに笑った。

 

「わぁ……すごい、美味しそう! マスター、さすがです! これなら今日も元気いっぱいになれそうですね!」

 

 口に運ぶと、自然に笑顔が広がる。

 

 [……俺も早く食べよう]

 

 そう思いながら自分の分を口に運ぶと、朝の静かな時間の中で少しだけ心が和む。

 

 朝食を済ませ、皿を流しに置きながら俺は声をかける。

 

「俺はそろそろ高校に行くから、皿はそのままにしておいてくれ。後で片付けるから」

 

 少女は頷き、軽く手を振った。

 

 学校に到着すると、授業は相変わらず退屈で、黒板をぼんやり眺めながら時間をやり過ごす。

 

 数学の公式や歴史の年号が頭をかすめるが、俺の関心は別のところにある。

 

 放課後、帰宅途中で後輩の兵藤一誠とその友達、松田と元浜が女子更衣室付近に集まっているのを見つけた。

 

 [あそこは女子更衣室側だ……。間違いなく……また何かやってるな]

 

 直感で、何をしているか分かる。

 

「おい、そこの三人、何やってるんだ? ちょっと見せてもらおうか」

 

 問いかけると、三人はぎくっと動きを止め、慌てた表情でこちらを見る。

 

 俺の顔を見た瞬間——

 

「で、で、で、出たぁ!」

 

 慌ててその場から逃げ出す三人。

 

 俺は落ち着いた声で女子更衣室の方に呼びかける。

 

「おーい、女子! 壁に穴が空いていると思うから、見つけて塞いでおけ。俺はこいつら変態三人を制裁してくるからな」

 

 その言葉に、三人は顔を引きつらせながら必死で逃げる。

 

 追いついて問い詰める。

 

「おい、待て! なんで先輩がここにいるんだ? お前ら、何してるんだよ」

 

 兵藤の声は焦りで震えている。

 

「いや、俺はまだ見てません! 見たのは……元浜と松田だけです!」

 

 必死に言い訳する兵藤。

 

 元浜と松田は互いを見て、納得できない顔をしている。

 

「お前、俺たちを裏切るのか? 本気で?」

 

「お前がその気なら、俺たちだって黙っちゃいないぞ!」

 

 結局、俺は三人まとめて罰することに決めた。

 

「見てる見てないは関係ない。共犯三人まとめて罰だ。ここで逃げたら許さない」

 

 その時、小柄な塔城子猫が現れた。

 

「塔城、三人を捕まえろ」

 

 塔城はすっと前に出て、三人の前に立つ。

 

 小さな体なのに、驚くほどしっかりと三人の服を掴み、まるで糸で吊られたかのように動きを止めた。

 

「えっ、えっ、ちょ、ちょっと……! な、なんで止まるんだ!?」

 

 三人は必死にもがくが、塔城の前では全く身動きが取れない。

 

「もう……これで大丈夫ですよ、白鉄先輩!」

 

 小さく笑う塔城に、俺は少し心が和む。

 

 女子たちの足音が近づき——

 

『ドドドドドドッ!』

 

 三人は絶望で震えながら、俺に助けを求める。

 

「先輩、助けてください! ちゃんと罰は受けますから! お願いです、見捨てないで!」

 

 俺は無言で三人を女子たちの前に差し出す。

 

 [こうなることを知っていて、馬鹿どもは……]

 

 苦笑しながら帰宅の道を進む。

 

 次の日、兵藤が俺の前に現れた。

 

「先輩! 俺、彼女できました! もう信じられません、先輩にも早く会ってほしいんです!」

 

 額に手を当てて熱を確認する。

 

「熱はないな……喉は痛くないか? 元気そうだな」

 

「風邪じゃないです! 彼女ができたんです! 本当に幸せで……先輩にも紹介したくて」

 

 兵藤は嬉しそうに顔を輝かせる。

 

「……夢じゃなくてよかった」

 

 頬を引っ張ると痛みがあり、現実だと確認する。

 

「ひどいじゃないですか! そんなに信じてくれないんですか?」

 

 兵藤は不満そうに笑う。

 

「まあな。すぐ信じるわけにはいかん」

 

 俺は淡々と答える。

 

「でも、先輩だってイケメンなんですから、勿体ないですよ。恋愛しないなんて、もったいない!」

 

 兵藤はにこやかに言う。

 

「気にしない。俺は恋愛にはあまり興味ないからな」

 

 兵藤は笑顔で頷き、俺は彼女のところへ同行する。

 

「初めまして、天野夕麻です」

 

 丁寧に自己紹介する彼女に、俺も礼儀正しく返す。

 

「俺は白鉄練矢、よろしくな」

 

 互いに握手する。兵藤が小さく警告する。

 

「先輩、彼女を取らないでくださいよ」

 

「取らねえよ。心配するな」

 

 映画館の中は薄暗く、上映前の静けさが場内に漂っていた。

 

 俺は兵藤と一緒に席に座り、隣に彼女の天野夕麻がいる——と、思った瞬間、兵藤が小さく手を握り、にやにやしながら耳打ちしてくる。

 

「先輩、彼女と二人で座るって約束してたんですよ。でも、今日は先輩にも見せたいって言うんです」

 

 俺は小さく笑って肩をすくめる。

 

「そうか……まあ、仕方ないな。映画くらいなら一緒に見てやるか」

 

 映画が始まり、俺はスクリーンに集中するふりをしながら、隣の二人の様子をちらちらと確認する。

 

 兵藤は目を輝かせてスクリーンを見つめ、天野は時折兵藤に微笑みかけ、指で肩に触れる。

 

 [……なるほど、これが彼らの世界か]

 

 心の中で呟きながら、俺は少し微笑む。

 

 上映が終わると、場内はざわざわと人々が立ち上がり、出口へと向かう。

 

 俺は二人を確認して、軽く声をかけた。

 

「映画は楽しめたか?」

 

 兵藤は元気よく答える。

 

「はい! 本当に楽しかったです、先輩も見てくれてありがとうございます!」

 

 天野は少し照れくさそうに笑いながら、兵藤に小声で話しかける。

 

「今日は本当に楽しかったね。ありがとう、一誠」

 

 兵藤は嬉しそうに頷き、天野の手を軽く握る。

 

 俺は二人のやり取りを少し距離を置いて見守ることにした。

 

 [……この後、どこに行くつもりだろう]

 

 二人は映画館を出ると、公園の方へと歩き出した。

 

 天野は嬉しそうに兵藤に話しかけながら、足取りも軽い。

 

「今日は本当に楽しかった! 一誠と一緒に過ごせてよかった!」

 

「俺もだよ、天野。こんなに楽しい時間を過ごせるとは思わなかった」

 

 兵藤の笑顔には純粋な喜びが溢れている。

 

 俺は少し距離を置きつつ、その二人を追う。

 

 [……なるほど。予想通り、何か仕掛けるつもりだな]

 

 心の中で覚悟を決める。

 

 公園に着くと、噴水の周りで天野が兵藤に話しかけている。

 

「今日は楽しかったね! 本当に、先輩が一緒にいなかったからこそ、こうして安心して楽しめたの」

 

 兵藤は少し戸惑いながらも頷く。

 

「そ、そうだな……でも、先輩がいたらどうなっていたかな……」

 

 兵藤の声には少し緊張が混ざる。

 

 天野はくすっと笑い、軽く兵藤の肩を叩いた。

 

「だから言ったでしょ? 今日は先輩には邪魔させないって。これ以上邪魔されちゃ困るからね」

 

 その瞬間、天野の手から光の槍が放たれ、兵藤の胸元に向かって飛ぶ。

 

 兵藤は思わず体をよろめかせて地面に倒れる。

 

「えっ……えぇっ!?」

 

 天野の瞳には冷たい決意が光る。

 

 上空から、三人のカラスのような翼を持った人物たちが天野に声をかける。

 

「レイナーレ、ターゲットは処理したか?」

 

 天野は少し息を切らしながらも、力強く答える。

 

「えぇ、途中で邪魔が入ったけど、何とか撒いてやったわ」

 

 男の一人が天野の行動を確認し、こちらに向かって光の槍を放ってくる。

 

 俺はそれを難なく避けながら、心の中で計算する。

 

 [よし、ここで動く。奴らの意図も見えた]

 

 俺はスクッと立ち上がり、天野たちの前に姿を現す。

 

「……なんでお前がここにいる? 映画館で巻いたはずじゃなかったのか?」

 

 天野は驚き、少し動揺した様子で後ずさる。

 

「いや……少し遅れて出てきただけだ。決して追いかけてきたわけじゃない」

 

 焦りを隠しつつ、俺は冷静を装う。

 

 天野はへたり込み、仲間たちに謝るように言った。

 

「こんな奴に追われていたことに気づかず、ごめんなさい」

 

 金髪の男が挑発的に言う。

 

「あんたがへたり込むなんて珍しいねぇ! まぁ、今殺せばチャラになるんじゃないの?」

 

 俺は拳を握り、目を細める。

 

「たくよぉ……俺の縄張りで好き勝手しやがって。これまで死んでいった奴らの恨みを、その身に刻め」

 

 俺は右腕を掲げ、手元のカバンから銀色のコウモリのような装置——キバットを取り出す。

 

「来いっ、キバット!」

 

 俺の声が公園に響き渡ると、手元の銀色のコウモリのような装置が小さく光り、震えるように動き始めた。

 

「ガブリッ!」

 

 キバットが俺の左手に噛みつくと、腰に巻かれた鎖のようなベルトがじわりと締まり、全身に力がみなぎるのを感じる。

 

 その瞬間、体の輪郭が膨張し、まるでガラスが割れるように音を立てながら、銀と青の鎧が体を覆った。

 

「変身完了……!」

 

 冷たい風が鎧を通して肌を刺激し、視界が少し鋭くなる。背後からは風切り音が聞こえ、心臓が高鳴る。

 

 天野は驚きの声を上げた。

 

「な、何……あの人、さっきまで普通の先輩だったのに……!?」

 

 彼女の瞳は恐怖と驚きで大きく見開かれる。

 

 金髪の男も口を開いた。

 

「な、何だお前……どうしてそんなものを持っている! それを使えるのは……!」

 

 俺は腕を前に構え、静かに答える。

 

「それをお前らが知る必要はない……ただ、今お前らがここでやっていることは許されない」

 

 言葉の端には怒りが滲む。

 

 天野は自分の光の槍を握り直す。

 

「この……どうしてここに……でも、今日は……絶対に邪魔されない!」

 

 その決意が瞳に強く映る。

 

 俺は右腕を掲げ、キバットの力をさらに引き出す。

 

「お前ら……覚悟しろ!」

 

 銀青の鎧は夜の光を反射し、月明かりの下で青く冷たく輝く。

 

 俺の足音が静かに地面を踏みしめるたび、周囲の空気がわずかに揺れる。

 

 金髪の男が光の槍を構え、天野の後ろに立つ。

 

「このままじゃ……お前ら……まずいぞ……!」

 

 俺は拳を握り、天野と男たちの間をゆっくりと歩く。

 

「今日の報いは……その身で受けてもらう」

 

 天野は体を震わせながらも、拳を握り直し、俺を睨みつける。

 

「……許さない……!」

 

 金髪の男が光の槍を投げてくる。

 

 俺は瞬時に避けながら、心の中で計算する。

 

 [……ここからが本番だ]

 

 キバットの鎖が腰で輝き、力がさらに体に流れ込む。

 

 俺は腕を振り上げ、天野たちに向かって静かに構えた。

 

「来い、奴ら……俺の縄張りで好き勝手してきた代償を、今から味わえ!」

 

 ──その瞬間、俺と敵たちの間で空気が張りつめ、戦いの幕が切って落とされた。

 

 練矢side out

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