白銀の鎧とハイスクールd×d   作:Ks5118

5 / 11
第四話 カミングアウト キバの正体

 練矢side

 

「俺自身が王の駒を持っているからな」

 

 俺がそう口にした瞬間、部室の空気が凍りついた。

 

 リアスをはじめ、オカルト研究部の全員が言葉を失い、その場で固まってしまう。

 

 数秒後、最初に我へ返ったリアスは慌てた様子で部員たちへ声をかけた。

 

「みんな、目を覚ましなさい」

 

 その一言で全員がようやく我に返る。リアスは軽く咳払いをすると、改めて真剣な表情で俺を見つめた。

 

「それで、王の駒を持っているというのは、どういうことかしら?」

 

「正確には『皇帝の駒』っていう神器だ。お前たちが持つ悪魔の駒の元になったヤツだ」

 

 その説明を聞いた途端、イッセー以外の全員が息を呑む。

 

 そんな反応を見たイッセーは、不思議そうに首を傾げた。

 

「何でみんなは驚いているんだ?」

 

 リアスは勢いよくイッセーの肩を掴み、そのまま前後に揺さぶる。

 

「私たちの種族が作ったとされる駒が、実は神器の模倣品だと聞かされて落ち着いていられると思うっ!」

 

「わ、わかります! ぶ、部長……そろそろやめていただきたいのですが……」

 

 揺さぶられ続けるイッセーの声で、リアスはようやく我に返った。

 

「あっ、ごめんなさい、イッセー。私ったら……」

 

 少し頬を赤くするリアスを見て、朱乃がくすりと笑う。

 

「まあまあ、リアスったらはしたない」

 

「あ〜け〜の〜っ! 貴方には言われたくないわねぇ」

 

 リアスの背後に赤い魔力が揺らめき、それに応えるように朱乃の背後では黄色い雷が弾ける。

 

 二人のやり取りを眺めながら、俺は軽く肩をすくめた。

 

「それで? 俺への質問は終わりか?」

 

 その一言で二人はぴたりと動きを止める。

 

 リアスは再び咳払いをすると、何事もなかったように話を戻した。

 

「見苦しいところを見せたわね。それで、その神器にはどのような効果があるのかしら?」

 

「駒を受け取った種族は、王の駒を持つ者と同じ種族になる。それ以外の能力は悪魔の駒とほぼ同じだ」

 

 必要最低限だけ説明すると、リアスは静かに頷いた。

 

「なるほど……教えてくれてありがとう。それなら改めて眷属になる必要はないわ。その代わり、私たちのオカルト研究部へ入ってくれないかしら?」

 

 そう言うと、リアスは柔らかな笑みを浮かべながら右手を差し出してくる。

 

「イッセーもオカルト研究部へ入ったのだから、これからは私たちの仕事を手伝ってもらうわよ」

 

 俺はその手を見つめ、小さく笑った。

 

「こちらこそ。敵対しないのならよろしく」

 

 そう言って握手に応じると、リアスも満足そうに微笑んだ。

 

 こうして俺と兵藤は、オカルト研究部の一員となった。

 

 練矢side out

 

 イッセーside

 

 部室での勧誘が終わり、俺と練矢先輩は無事にオカルト研究部へ入ることになった。

 

 帰ろうとしたその時、部長が俺を呼び止める。

 

「そういえばイッセー。今日の夜に予定はあるかしら?」

 

「あー、多分ないと思いますけど……どうかしたんですか?」

 

 俺が尋ねると、部長は意味深な笑みを浮かべた。

 

「イッセーには、これからやる事をやってもらうわ」

 

 その日は、それだけ言って解散となった。

 

 数日後。

 

 俺は街角で大きな声を張り上げていた。

 

「こちら、お願いしまぁす!」

 

 手に持っているのは、オカルト研究部の依頼募集チラシ。

 

 最初は「何でこんな事を?」と思ったけど、部長曰く、

 

「いいっ! この仕事は本来、使い魔がやる仕事なのよ。でも貴方は悪魔になってまだ日が浅いわ。その身体に慣れるための訓練だと思いなさい」

 

 とのことだった。

 

 それを聞いた俺は、やる気満々で答えた。

 

「わっかりました! これを完遂すれば、俺も一端の悪魔ってことですね!」

 

「そういうことよ。それじゃ、頑張ってね」

 

 部長からチラシを受け取り、俺は街へ飛び出した。

 

 ……そして現在。

 

「こちら、お願いしまぁす!」

 

 元気よくチラシを配っていると、不意に誰かとぶつかってしまう。

 

「きゃっ!」

 

「あっ! だ、大丈夫ですか!?」

 

 慌てて声を掛けると、金髪の綺麗な女の子が申し訳なさそうに立ち上がった。

 

「はい、私は大丈夫です。助けていただき、ありがとうございます。貴方は、何て名前ですか?」

 

「俺は兵藤一誠。イッセーって呼んでくれ」

 

「私はアーシアと申します」

 

 そう言って、彼女は柔らかく微笑んだ。

 

 これが、俺とアーシア・アルジェントとの出会いだった。

 

 アーシアと名乗った少女は、とても穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 金色の髪に翡翠色の瞳。どこか世間知らずな雰囲気があるが、それがかえって可愛らしい。

 

 俺は気になって尋ねてみた。

 

「そういえば、アーシアは何でこの街に来たんだ?」

 

 するとアーシアは少し困ったように微笑みながら答えた。

 

「えっと、教会に行きたくて……。この街には初めて来たものですから」

 

 その言葉を聞き、俺はすぐに頷く。

 

「それなら俺が案内するよ」

 

「ありがとうございます」

 

 アーシアは嬉しそうに頭を下げた。

 

 こうして俺たちは教会へ向かって歩き始めた。

 

 しばらく歩いていると、

 

「ウワアァ──ンッ!」

 

 子供の泣き声が聞こえてきた。

 

 アーシアはすぐに駆け寄り、俺も後を追う。

 

「大丈夫か?」

 

 俺が声を掛けると、男の子は涙を流しながら足を押さえていた。

 

「足が痛いよぉ〜」

 

 アーシアは優しくしゃがみ込む。

 

「男の子がそんなに泣いてはいけません」

 

 そう言うと、怪我をした足へそっと手をかざした。

 

 次の瞬間、緑色の柔らかな光が男の子の足を包み込む。

 

 光が消える頃には傷は綺麗に治っていた。

 

「はい、これで怪我は治りましたよ。もう大丈夫です」

 

 男の子は何度か足を動かすと、満面の笑みを浮かべる。

 

「ありがとう、お姉ちゃん!」

 

 だが、アーシアは言葉の意味が分からず首を傾げていた。

 

 俺は笑いながら通訳する。

 

「『ありがとう、お姉ちゃん』だって」

 

 その言葉を聞いたアーシアは、ぱっと花が咲くような笑顔になる。

 

 そして男の子へ向かって、小さく手を振った。

 

 やがて男の子の親も駆けつけ、何度も頭を下げながら帰っていく。

 

 俺たちも再び教会へ向かおうと歩き始めた。

 

 イッセーside out

 

 練矢side

 

 今日のノルマを終え、帰路についていた俺は、前方に見覚えのある後ろ姿を見つけた。

 

「ん? 兵藤、こんな所で何してるんだ?」

 

 俺が声を掛けると、一緒にいた金髪の少女がこちらへ振り向く。

 

「イッセーさん。この方は誰ですか?」

 

 すると兵藤は待ってましたと言わんばかりに俺を紹介し始めた。

 

「この人は俺の一つ上の先輩の白鉄練矢先輩で、俺が憧れている人の一人なんだ! 困った時には助けてくれるし、音楽も得意で運動も得意なんだ。それに、それに──」

 

 どうやら止まる気配はないらしい。

 

 少女も興味深そうに話を聞いている。

 

 俺は苦笑しながら兵藤を制した。

 

「その辺にしてくれ。それで、お前たちは何をしていたんだ?」

 

 すると少女は一歩前へ出て、丁寧に頭を下げた。

 

「改めまして、私はアーシア・アルジェントと申します」

 

 自己紹介を終えた瞬間、二人は同時に何かを思い出したような表情を浮かべる。

 

「あの、教会に向かいたいのですが、どちらへ行けばよろしいのでしょうか?」

 

 兵藤も続けて言う。

 

「俺からも教えてあげてください」

 

「教会か……」

 

 俺は頭の中で街の地図を思い浮かべる。

 

「ちょうど知っている場所だ。案内しよう」

 

「分かるのですか?」

 

「ああ。何度か近くを通ったことがあるからな」

 

 そう言って歩き出そうとした、その時だった。

 

『グゥゥゥ〜〜〜〜〜ッ』

 

 腹の虫が鳴く音が響く。

 

 三人で音のした方を見ると、アーシアが顔を真っ赤にして俯いていた。

 

「す、すみません……こちらに来てから食事をとっていなくて……」

 

 兵藤と俺は顔を見合わせる。

 

「……先に飯だな」

 

「そうですね」

 

 意見は一致し、俺たちは近くのマクドナルドへ向かうことにした。

 

 練矢side

 

 俺たちは近くのマクドナルドへ入り、それぞれ注文を済ませて席へ着いた。

 

 しばらくすると店員が料理を運んできたが、アーシアはトレーの上を見つめたまま首を傾げている。

 

「あの……ナイフとフォークはどちらに?」

 

 その一言に、兵藤は思わず苦笑した。

 

「これは手で持って食べるんだよ」

 

 そう言ってハンバーガーを手に取り、一口かじって見せる。

 

 アーシアは恐る恐る兵藤の真似をしてハンバーガーを持ち、小さく口を開けた。

 

 そして一口。

 

「……おいしいです」

 

 その瞬間、アーシアの表情がぱっと明るくなった。

 

 まるで子供のように目を輝かせ、幸せそうにハンバーガーを頬張る。

 

 その笑顔を見た周囲の客たちまで、思わず微笑んでいた。

 

 俺と兵藤も顔を見合わせ、小さく笑う。

 

「そんなに気に入ったのか」

 

「はい。こんな食べ物は初めてです」

 

 心から嬉しそうに答える姿を見ると、こちらまで嬉しくなってくる。

 

 食事を終えた後は、兵藤の提案でゲームセンターへ寄ることになった。

 

 クレーンゲームや音楽ゲーム、プリクラなど、アーシアは見るもの全てが珍しいらしく、一つ一つに目を輝かせていた。

 

 その反応があまりにも新鮮で、兵藤も終始楽しそうだった。

 

 やがて教会へ着くと、アーシアは俺たちへ向き直り、深々と頭を下げる。

 

「今日は案内をしていただき、本当にありがとうございました」

 

「気にするな」

 

「また会おうな!」

 

 二人でそう返すと、アーシアは柔らかな笑みを浮かべながら教会の中へ入っていった。

 

 その姿を見送った後、俺たちもそれぞれ帰路についた。

 

 翌日。

 

 昨日の出来事をリアスへ報告すると、

 

「貴方たちは何をやっているのっ!」

 

 部室中に響くほどの大声で怒鳴られた。

 

 兵藤は何が悪いのか分からないという顔をしている。

 

 仕方なく俺が説明することにした。

 

「前にリアスが言っていただろ。天使と悪魔は争っているって」

 

 兵藤は頷く。

 

「教会は天使や堕天使、それに神や聖職者の総本山だ」

 

 だが、兵藤はいまいち理解できていない様子だった。

 

 俺はため息をつき、もっと簡単に言い直す。

 

「お前にも分かりやすく言えば、敵の陣地なんだよ」

 

「あっ……」

 

 ようやく理解した兵藤は顔を青くした。

 

 リアスは呆れたように額へ手を当てる。

 

「二度と教会へ近づいちゃダメよ」

 

「ハイ……すみませんでした」

 

 素直に頭を下げる兵藤。

 

 その様子を見ていたリアスは、今度はこちらへ視線を向けた。

 

「貴方にも言っているのよ」

 

「分かってる」

 

 俺が短く返すと、リアスは小さくため息を吐いた。

 

「まあいいわ。それより今日は、はぐれ悪魔の討伐へ向かうわよ」

 

 その一言で部室の空気が一変する。

 

 俺たちはすぐに準備を整え、リアスの後に続いて目的地である廃墟へ向かった。

 

 リアスを先頭に、俺たちははぐれ悪魔が潜むという廃墟へと足を踏み入れた。

 

 建物へ近づいたところで、不意に塔城が足を止める。

 

「……血の匂いがします」

 

 その一言で全員の表情が引き締まった。

 

 静まり返った廃墟へ入ると、天井付近から気味の悪い笑い声が響く。

 

「ゲヘヘヘヘヘヘッ! 不味そうな匂いがする⁉ いや、美味そうな匂いもする⁉ 甘いのかなぁ? 苦いのかなぁ?」

 

 声と共に姿を現したのは、巨大な蜘蛛の下半身を持つアラクネのはぐれ悪魔だった。

 

 その姿を見た兵藤は思わず顔をしかめる。

 

「キモっ!」

 

 正直、気持ちは分からなくもない。

 

 だが、そんなことを口にすれば余計に相手を刺激するだけだ。

 

 俺がそう思っていると、リアスが一歩前へ出た。

 

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しに来たわ。あなたは己が欲望を満たすためだけに暴れ回った。グレモリー侯爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる」

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁっ!!」

 

 怒号と共にバイザーが襲い掛かる。

 

 しかしリアスは落ち着いた様子で言った。

 

「これが悪魔の戦いよ。祐斗」

 

「はい、部長」

 

 木場が一瞬で地面を蹴る。

 

「祐斗の駒は騎士(ナイト)。騎士になった悪魔は速度が増すの。そして祐斗の最大の武器は剣よ」

 

 リアスの説明が終わる頃には、木場の剣が閃き、バイザーの両腕は宙を舞っていた。

 

 苦し紛れにバイザーは塔城へ狙いを変える。

 

「子猫の持っている駒は戦車(ルーク)。戦車を持った悪魔は、とてつもない怪力と圧倒的な防御力を持つの」

 

 巨大な脚を振り下ろすバイザー。

 

 しかし塔城は片手でその脚を受け止めると、軽々と横へ受け流した。

 

 一気に懐へ飛び込む。

 

「…………邪魔です」

 

 ドゴォッ!! 

 

 拳が腹部へめり込み、バイザーの巨体は大きく吹き飛んだ。

 

 なるほど。

 

 あの小さな身体で兵藤たちを止められた理由がよく分かった。

 

 そう思っていると、突然塔城がこちらへ瓦礫を投げつけてきた。

 

 軽く身体をひねって避けながら尋ねる。

 

「危ないな。どういうことだ?」

 

 塔城は無表情のまま答えた。

 

「私のことを小さいと言いました」

 

 まだ気にしていたのか。

 

「悪かった」

 

 素直に謝ると、塔城は何も言わず再びバイザーへ向き直る。

 

 リアスは苦笑しながら朱乃を見る。

 

「最後は朱乃ね」

 

「あらあら。分かりましたわ、部長」

 

 朱乃が優雅に笑う。

 

 次の瞬間、轟音と共に幾筋もの雷が空から降り注いだ。

 

「アガァァァァァァッ!!」

 

 雷撃を受け続けるバイザーを見て、兵藤がおそるおそる口を開く。

 

「朱乃先輩って……もしかして」

 

「えぇ。彼女はとびきりのSよ」

 

 リアスが苦笑しながら答える。

 

 しばらくして雷が止み、朱乃は満足そうに微笑んだ。

 

「ふぅ、楽しかったわ」

 

 誰もが戦いは終わったと思った、その時だった。

 

「グガァァァァァッ!!」

 

 満身創痍のバイザーが最後の力を振り絞り、兵藤へ飛び掛かる。

 

「イッセー!」

 

 リアスの叫びが響く。

 

「お楽しみのところ悪いけど」

 

 俺は兵藤の前へ立ち、左肩に乗っていたキバットバット一世を手に取る。

 

『ガブッ!』

 

 キバットが俺の右手へ噛みついた。

 

「変身」

 

 そのままキバットをベルトへ装着する。

 

 瞬間、ベルト中央の魔皇石が眩く輝き、鎧を拘束していた封印具が砕け散る。

 

 銀と青の装甲が光と共に全身へ装着され、胸の三つの魔皇石が鼓動するように脈打った。

 

 額の原初の魔皇石が妖しく輝き、右肩の「陰」、左肩の「陽」の魔皇石も共鳴するように光を放つ。

 

 ロードキバ。

 

 それが俺の戦う姿だ。

 

 続けて腰のガルルフエッスルを取り出し、キバットへ吹かせる。

 

『ガルル、セイバーッ!』

 

 澄んだ音色が廃墟へ響く。

 

 すると眩い青い光が俺の前方に溢れ、その中から青き狼族ガルルが姿を現した。

 

「よう、待たせたな!」

 

 豪快に笑ったガルルは、その身体を青い光へと変えながら俺へ向かって飛び込む。

 

 光は右手へ集束し、青き牙を思わせる巨大な剣へと姿を変えた。

 

 ガルルセイバー。

 

 俺は静かに剣を構え、バイザーへ切っ先を向ける。

 

「油断大敵だぞ」

 

 一瞬で間合いを詰める。

 

 青い斬撃が閃き、ガルルセイバーがバイザーを一刀両断した。

 

「ガァァァァァァァッ!!」

 

 断末魔を上げたバイザーは、そのまま黒い灰となって崩れ去る。

 

 静まり返った廃墟の中、リアスたちはロードキバとなった俺の姿を驚きと共に見つめていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。